結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2005−89097(T2005−89097/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4832137号商標(以下、「本件商標」という。)は、「カトランホームズ」の文字を標準文字で表してなり、平成16年6月1日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」及び第37類「建設工事」を指定役務として、平成17年1月14日に設定登録されたものである。
請求人が引用する登録第4041634号商標(以下、「引用商標」という。)は、「KATOLON」と「カトラン」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成7年5月11日に登録出願、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」を指定役務として、平成9年8月15日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第64号証を提出した。
(1)請求の理由
ア 本件商標は、引用商標と類似し、かつ、指定役務も類似するものである。
また、本件商標の出願と、被請求人のフランチャイズシステム脱会が同時期であることを考慮すれば、本件商標が不正の目的をもって、あるいは信義則に反して出願・登録された商標であることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第11号及び同第19号に該当し、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。
イ 請求人及び利害関係について
請求人は、住宅の設計・施工及び販売を主たる業務とする企業であり、本件商標と類似する引用商標の所有者である。
また、請求人がフランチャイザーである「カトラン フランチャイズシステム」には被請求人が所属していた経緯があり、請求人と被請求人の間で交わされた契約書には、契約終了後の商標・商号・マーク等の使用禁止に関する条項が含まれている。
よって、これらの事情から判断すれば、請求人が無効審判を請求することに関し利害関係を有していることは明らかである。
ウ 商標法第4条第1項第11号について
本件商標「カトランホームズ」中の「ホームズ」は、指定役務との関係から役務の質表示であり、本件商標の要部は「カトラン」である。
一方、引用商標から生ずる称呼は明らかに「カトラン」であり、指定役務には「建築一式工事」等が含まれており、本件商標の指定役務と類似している。
よって、本件商標は、先願・先登録商標と類似し、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
上記考察が正当であることは、「ホームズ」の文言を含む甲第3号証ないし同第6号証商標が自他商品・役務識別力の欠如を理由に拒絶されていることからも明らかであり、少なくとも商品「建築又は構築専用材料」や役務「建築一式工事」に関しては、「ホームズ」は自他商品・役務識別力を有しない語であることを示している。
エ 商標法第4条第1項第19号について
甲第7号証は、被請求人がカトランフランチャイズシステムを脱会する際の請求人に対する通知であり、甲第8号証及び同第9号証は、請求人と被請求人の間で交わされたフランチャイズシステム契約書である。
そして、甲第8号証の契約書の「第17条2」、甲第9号証の契約書の「第18条(1)」には、契約終了後の措置として「本契約が終了した場合、乙は、甲の商標・商号・マーク等の使用をしてはならず、従来、乙の営業のために標示していたこれらの表示物は、即時に撤去しなければならない。」と明確に取り決められている。
しかるに、被請求人は、フランチャイズシステムの脱会(通知の日付は平成16年6月8日)と同時期に本件商標を登録出願(平成16年6月1日)しており、しかも、本件商標は、「カトラン フランチャイズシステム」のフランチャイジーが広告に常用している「カトランホーム」とも類似している。
甲第10号証ないし同第12号証は、本件商標の登録出願日以前にフランチャイジーが実際に配布していたチラシであり、「カトラン」、「KATOLON」と共に「カトランホーム」の名称が共通して使用されていたことが理解される。
すなわち、「カトラン フランチャイズシステム」のフランチャイジーであった被請求人は、これらの事情を承知の上で、引用商標と類似し、かつ、各フランチャイジーが常用している「カトランホーム」とも類似する本件商標を出願し登録したのであり、明らかに不正の目的ありと解されてしかるべきである。
なお、カトランシリーズの住宅が全国規模で施工・販売され、引用商標が需要者の間に広く認識されていたことは、前記チラシの〔カトラン営業店ご案内〕の記載からも推認されるものであるが、月刊ハウジング(2001 2月号)においてもカトランシリーズの住宅が紹介されている(甲第13号証)。
以上、これらの事情を考慮すれば、被請求人が不正の目的をもって、本件商標を出願・登録したことは明らかであり、よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
オ 商標法第4条第1項第7号について
被請求人が本件商標を出願・登録する行為は、甲第8号証及び同第9号証の契約書の趣旨に反し、信義則に反する行為である。
また、被請求人が本件商標を指定役務に使用する行為は、請求人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと類似の商品等表示を使用し、請求人の営業と混同を生じさせる行為であり、不正競争防止法第2条第1項第1号に該当する行為である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標と引用商標は非類似であり、本件商標の使用は不正目的ではなく、請求人の営業と混同を生じさせることもなく、本件商標を出願・登録する行為は信義則にも反しないと主張する。
そこで請求人は、甲第14号証及び同第15号証を提出する。
甲第14号証は、フランチャイズシステム脱会後も被請求人が「カトランホームズ」や「KATOLAN」を使用して営業していたため、その行為の中止を求めた「通知書」であり、甲第15号証は、その通知書に対する被請求人の「商標(カトランホームズ及びKATOLAN)に関するお詫びと経緯のご説明」である。
そして、この甲第15号証の書簡の中で、被請求人は「フランチャイズ契約書の文言にも、脱会後のカトランに関する商標の使用とそれに類するもの(のぼりや旗など)の使用を行わない旨が記載されており、それに関しましても、弊社でも認識しております。」「差し当たり、早急に商標を表記してあるもの(立て看板、のぼり、ホームページなど)を撤去あるいは、差し替えなど行います。」「フランチャイズ契約解除以降、カトランホームズという名称では一切の新規顧客獲得等の営業活動は行っておりません」と明確に述べている。
すなわち、これらの文言は、「カトランホームズ」、「KATOLAN」は引用商標と類似すること、及び被請求人による「カトランホームズ」の使用は請求人の営業と混同を生じさせることを、被請求人自身が明確に認識していたことを示すものである。
したがって、甲第7号証ないし同第9号証、甲第14号証及び同第15号証を併せて参酌すれば、出願人が本件商標を出願・登録する行為が信義則に反することは明らかであり、不正目的であると推認されてしかるべきである。
また、被請求人は、請求人が提出した甲第10号証ないし同第13号証では、引用商標の周知性は証明されないと主張する。
しかし、請求人は、甲第10号証ないし同第13号証により周知性は十分立証されると確信するものであるが、さらに、甲第16号証ないし同第64号証を提出する。甲第16号証ないし同第64号証は、他のフランチャイジーのチラシであり、これにより、甲第10号証ないし同第12号証はフランチャイジーのチラシの一部であることが理解され得るものである。
また、甲第23号証ないし同第64号証をみれば、甲第13号証の月刊ハウジングの掲載記事も全体のほんの一部であることが理解されるものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、答弁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第3号証を提出した。
(1)本件商標は、引用商標と称呼、観念、外観のいずれにおいても著しい相違があり非類似であることはもちろん、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当するものではなく、さらに他人の周知商標と同一又は類似し不正の目的で使用するものに該当するものでもなく、したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第7号及び同第19号のいずれの規定にも違反しておらず、十分に登録要件を備えているものである。
(2)本件商標と引用商標
本件商標は、片仮名文字「カトランホームズ」の標準文字から構成される商標であり、また、指定役務は第36類の「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」及び第37類の「建設工事」である。
これに対して、引用商標は、アルファベット文字の「KATOLON」を上段に標記し、片仮名文字の「カトラン」を下段に標記した構成からなる文字商標であり、その指定役務には「建築一式工事」等を含んでいる。
本件商標と引用商標とは、指定役務の第36類については類否の関係は存在せず、指定役務の第37類については同一又は類似するが、標章同士は称呼、観念、外観のいずれもが著しく相違しており、全くの非類似である。
(3)請求人及び利害関係について
請求人は、「本件商標と類似する引用商標の所有者である。」と主張している。
しかし、本件商標は、後記(4)で述べる理由で明らかなように、引用商標と類似しないのは明白である。つまり、請求人は本件商標と類似しない引用商標の所有者である。
請求人は、「請求人と被請求人の間で交わされた契約書には、契約終了後の商標・商号・マーク等の使用禁止に関する条項が含まれている。」と主張している。
しかし、甲第8号証の第17条第2項の条項には「本契約が終了した場合、乙は、甲の商標 ... 等を使用してはならず、」との記載であり、つまり、被請求人乙が契約終了後に使用できないのは請求人甲の商標の「カトラン」であって、非類似の商標の使用については同契約書で禁止しておらず、これと非類似の商標の「カトランホームズ」は当然に使用できるものであり、同条項には当然に違反していない。
したがって、被請求人は請求人との間で、契約終了後は利害関係を有していない。
(4)商標法第4条第1項第11号について
請求人は、「本件商標『カトランホームズ』中の『ホームズ』は、指定役務との関係から役務の質表示であり、本件商標の要部は『カトラン』である。」と主張している。
しかし、本件商標と引用商標との関係のように、一方の商標の前半部分と他方の商標全体とが同一の称呼を有し、かつ、一方の商標の後半部分に「ホームズ」の称呼を有し、しかも、指定役務の類似群コードも本件商標と同一の「建設工事(37A01)」を含む以下の商標同士が、それぞれ非類似として登録されていることから次のことがいえる。
ア 指定役務との関係において商標の後半部分の「ホームズ」の称呼を有する部分は前半部分と分離して判断するのは適当でなく、あくまで後半の「ホームズ」の称呼を有する部分と前半部分とは一体として取り扱うのが相当といえる。つまり、後半に「ホームズ」を含む商標の場合に前半部分の名称のみが商標の要部とするのは不適当である。本件商標の要部は「カトランホームズ」であり、請求人が主張するように「カトラン」ではない。本件商標の類否の判断は「カトランホームズ」であり、「カトラン」と「ホームズ」とに分離して類否を判断するのは不適当である。
イ 後半部分に「ホームズ」の称呼を有する商標は、前半部分が別の商標全体と同一の称呼を有していても両者は非類似として取り扱うのが相当である。
ウ 商標の後半部分の「ホームズ」の称呼を有する部分は、指定役務の「建設工事(37A01)」との関係において、自他識別機能が十分に認められる。
《一方の商標の前半部分と他方の商標全体とが同一の称呼を有し、かつ、一方の商標の後半部分に「ホームズ」の称呼を有し、しかも、指定役務の類似群コードも「建設工事(37A01)」を含む商標同士が、それぞれ非類似として登録された登録例》(乙第1号証)
(ア)「Human Homes/ヒューマン ホームズ」と「HUMAN」
登録第4062541号の「Human Homes/ヒューマン ホームズ」の商標権者は株式会社ヒューマンランド、登録第3008494号の「HUMAN」の商標権者は三洋電機株式会社であり、両商標の商標権者は異なっている
(イ)登録第4386493号の「BOOMERANG HOMES/ブーメランホームズ」の商標権者は株式会社スペック、登録第4687041号の「ブーメラン」の商標権者は西部電機株式会社であり、両商標の商標権者は異なっている。
(ウ)登録第3175926号の「東海ホームズ」の商標権者は増田富彦、 登録第3265107号の「TOKAI」の商標権者は株式会社ザ・トーカイであり、両商標の商標権者は異なっている。
(エ)登録第4628536号の「三洋ホームズ」の商標権者は三洋電機株式会社、登録第4230446号の「山葉」の商標権者はヤマハ株式会社であり、両商標の商標権者は異なっている。
(オ)登録第3013123号の「セントラルホームズ」の商標権者は株式会社セントラルホームズ、登録第3201654号の「有限/会社セントラル」の商標権者は株式会社資生堂であり、両商標の商標権者は異なっている。
《一方の商標の前半部分と他方の商標全体とが同一の称呼を有し、かつ、一方の商標の後半部分に「ホームズ」の称呼を有し、指定役務の類似群コードも本件商標と同様の「建物の管理等(36D01)」を含む商標同士が、それぞれ非類似として登録された登録例》(乙第2号証)
(カ)登録第4120989号の「Human Homes/ヒューマン ホームズ」の商標権者は株式会社ヒューマンランド、登録第3008484号の「HUMAN」の商標権者は三洋電機株式会社であり、両商標の商標権者は異なっている。
(キ)登録第4493739号の「UNITEDHOMES」の商標権者は株式会社ユナイテッドホームズインターナショナル、登録第4861766号の「United」の商標権者は株式会社ユナイテッドコーポレーションであり、両商標の商標権者は異なっている。
(ク)登録第4393755号の「GARDEN HOMES/ガーデンホームズ」の商標権者は鹿島建設株式会社、登録第4230968号の「ガーデン/GARDEN」の商標権者はエヌ・ティ・ティ・リビング株式会社であり、両商標の商標権者は異なっている。
(ケ)登録第4177730号の「clare Homes/クレア ホームズ」の商標権者はセントラル総合開発機株式会社、登録第4011836号の「クレア」の商標権者は株式会社興人であり、両商標の商標権者は異なっている。
(コ)登録第3102124号の「パークホームズ」の商標権者は三井不動産株式会社、登録第3017992号の「パーク」の商標権者は株式会社コンチネンタルプロダクツであり、両商標の商標権者は異なっている。
(サ)登録第3270631号の「ディアホームズ」の商標権者は鹿島建設株式会社、登録第3108929号の「Dear」の商標権者は積水ハウス株式会社であり、両商標の商標権者は異なっている。
(シ)登録第4000458号の「SANHOMES/サンホームズ」の商標権者は三洋電機株式会社、登録第4024749号の「サン」の商標権者は株式会社あさひ銀行であり、両商標の商標権者は異なっている。
(ス)登録第3112162号の「インペリアルホームズ」の商標権者はインペリアルホームズ株式会社、登録第3038211号の「IMPERIAL」の商標権者は東京興産株式会社であり、両商標の商標権者は異なっている。
(セ)登録第4043438号の「COMHOMES」の商標権者はトヨタ自動車株式会社、登録第3135618号の「COM」の商標権者は積水化学工業株式会社であり、両商標の商標権者は異なっている。
(ソ)登録第4044342号の「東海ホームズ」の商標権者は東海ホームズ株式会社、登録第3178030号の「TOKAI」の商標権者は株式会社ザ・トーカイであり、両商標の商標権者は異なっている。
また、請求人は、「上記考察が正当であることは、「ホームズ」の文言を含む甲第3号証ないし同第6号証商標が自他商品・役務識別力の欠如を理由に拒絶されていることからも明らかであり、少なくとも商品「建築又は構築専用材料」や役務「建築一式工事」に関しては、「ホームズ」は自他商品・役務識別力を有しない語であることを示している。」と主張している。
しかしながら、甲第3号証商標と同一の称呼を有し、しかも、指定役務に「建築一式工事(37A01)」を含む次の商標(登録第3364249号)が登録されている(乙第3号証)。
・商標: 「North American Homes/ノースアメリカンホームズ」
・指定役務:「建築一式工事,・・・」
・商標権者:「株式会社土屋ツーバイホーム」
この商標が登録されていることから、指定役務の「建築一式工事」に関して「ホームズ」は十分に自他役務識別力を有していると考えられ、請求人の主張には根拠がない。
請求人は、類似性の理由として、本件商標の「カトランホームズ」の中で「ホームズ」は指定役務との関係で識別力がなく、要部は「カトラン」と述べているが、前記理由より明白なように、「ホームズ」は識別力があり、また、一方の商標の前半部分と他方の商標全体とが同一の称呼を有し、かつ、一方の商標の後半部分に「ホームズ」の称呼を有し、しかも、指定役務の類似群コードも本件商標と同一の「建設工事(37A01)」又は「建物の管理等(36D01)」を含む前記の商標同士が、それぞれ非類似として登録されていることを考えると、類否を判断する場合、本件商標の要部は一連の「カトランホームズ」で判断するのが相当である。
そして、本件商標と引用商標の類否を判断すると、本件商標には後半に「ホームズ」の称呼を有するのに対して、引用商標はこれを有せず、両者の称呼は非類似である。
また、観念においても、本件商標の「カトランホームズ」は造語であり特定の観念を生じさせることがないので、両者の観念は相違し、観念においても本件商標と引用商標とは非類似である。
さらに、両商標の外観について検討すると、本件商標は、標準文字のカタカナ8文字を一連にした「カトランホームズ」から構成される。これに対して引用商標は、アルファベット7文字の「KATOLON」を上段に一連に横書きし、カタカナ4文字の「カトラン」を下段に一連に横書きしたものから構成される。本件商標ではアルファベット文字がなく、しかも、カタカナ文字においては、引用商標にない「ホームズ」の文字を有しており、本件商標と引用商標とはその外観が明らかに相違しており、したがって、本件商標と引用商標の外観は非類似である。
したがって、本件商標は、引用商標とその称呼、観念、外観のいずれもが非類似であり、本件商標と引用商標とは類似するとの請求人の主張は成り立たない。
(5)商標法第4条第1項第19号について
本号に該当するというためには、(ア)他人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標、(イ)不正の目的をもって使用をするもの、の2つの要件のいずれも満足する必要がある。
請求人は、上記(ア)の要件について、甲第10号証のミツマタ建設株式会社のチラシ、甲第11号証の株式会社山彦のチラシ、甲第12号証の新盛住宅株式会社のチラシ、甲第13号証の月刊ハウジング(2001 2月号)抜粋で証明しようとしているが、日本国内の3カ所のみのチラシ、また単に1回だけ月刊誌に掲載された事実だけでは、到底、日本国内で周知になっているとはいえない。
また、「カトランホームズ」が「カトラン」と類似しないのは、明らかである。
したがって、上記(ア)の要件を欠き、商標法第4条第1項第19号の規定に該当しないことは明白である。
さらに、上記(イ)の要件について、請求人は種々述べているが、いずれも根拠のないものであり、しかも、被請求人は不正の目的で本件商標を使用しておらず、したがって、上記(イ)の要件も欠いている。
このように、請求人の主張は上記(ア)(イ)のいずれの要件をも欠いており、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当しないのは明らかである。
(6)商標法第4条第1項第7号について
請求人は、「被請求人が本件商標を出願・登録する行為は、甲第8号証及び同第9号証の契約書の趣旨に反し、信義則に反する行為である。」と主張しているが、具体的事実がなく、根拠がない。
また、請求人は、「被請求人が本件商標を指定役務に使用する行為は、請求人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと類似の商品等表示を使用し、請求人の営業と混同を生じさせる行為であり、不正競争防止法第2条第1項第1号に該当する行為である。」と主張している。
しかし、前記(5)で述べたように、周知でなく、また、本件商標の使用が請求人の営業と混同を生じさせることがないのも自明であり、不正競争防止法第2条第1項第1号に該当しないのは明白である。
したがって、被請求人による本件商標の使用は、公序良俗に違反せず、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(7)弁駁に対する答弁
甲第15号証から、「カトランホームズ」は、引用商標と類似すること、被請求人による「カトランホームズ」の使用は、請求人の営業と混同を生じさせることを被請求人自身が明確に認識していたことを示すものであると請求人は主張している。
しかしながら、被請求人は、類似しないと確信していたが、客観的な類否の判断ができないため、取り敢えずその回答を回避すべく、へりくだった表現での回答になったものであり、請求人の主張は、誤解以外のなにものでもない。
被請求人の商標登録出願・登録行為は、「カトランホームズ」と「カトラン」とが類似しないことの確認を取るための行為であって、信義則に反するものではないこと、及び不正目的でないことを明確に断言するものである。
また、請求人は、甲第23号証ないし同第64号証によって周知性を立証しようとしているが、これだけの事実では、日本国内で周知・著名になっているとはいえない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第7号及び同第19号のいずれにも違反しておらず、十分に登録要件を備えているものであり、無効にされる理由は存在しない。
(8)むすび
以上述べたように、本件商標は、引用商標と称呼、観念、外観のいずれにおいても著しい相違があり非類似であることは自明である。また、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当するものではなく、さらに他人の周知商標と同一又は類似し不正の目的で使用するものに該当するものでもないことも明白である。
(1)審判請求の利害関係の有無につき、当事者間に争いがあるので、これについて判断する。
無効審判の請求人は、審判請求をするについて法律上の利益を有することを要すると解されるところ、請求人は、同人が本件商標と類似すると思料する登録商標の所有者であることに加え、本件商標との関係で被請求人に対し契約の履行を問題とする当事者であると認められる。
してみれば、請求人は、本件商標の登録の存在によって、自己の商標及びその管理すべき商標との間で直接的な影響を受けることがあり得るとみられるから、本件審判の請求について利害関係を有する者というべきである。
(2)そこで、本案に入り審理する。
請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人を甲(フランチャイザー)、被請求人を乙(フランチャイジー)として、平成7年12月12日に、甲と乙の間においてフランチャイズシステムに係る契約が締結され、その後、平成12年12月11日に、その更新契約がされた(甲第8号証及び同第9号証)。
そして、当該両契約書において、甲第8号証の第17条2及び甲第9号証の第18条(1)には、契約終了後の措置として、「本契約が終了した場合、乙は、甲の商標・商号・マーク等の使用をしてはならず、従来、乙の営業のために標示していたこれらの表示物は、即時に撤去しなければならない。」との取り決めがなされていた。
イ 被請求人は、平成16年6月8日付け通知をもって、前記フランチャイズシステムを脱会した(甲第7号証)。
ウ 前記フランチャイズシステムの会員の中には、本件商標の登録出願日よりも前の時点において、自己の提供する役務「建築一式工事」等について「カトランホーム」「カトランホーム前橋西店」、「カトランホーム八日市店」、「カトランホーム三重中央店」、「カトランホーム福岡南店」、「カトランホーム青森中央店」、「カトランホーム小田原店」、「カトランホーム北千葉店」、「カトランシリーズ」等の表示を使用している(甲10号証ないし同第13号証、同第21号証、同第51号証ないし同第64号証)。
エ 請求人は、被請求人に対して、平成16年9月14日付け「通知書」をもって、フランチャイズ契約解除に伴い、「カトランホームズ」、「KATOLAN」と記載した広告等の即時撤去を求めるとともに、以後「カトラン」「KATOLON」と混同するおそれのある名称を使用しないよう警告する旨の通知をした(甲第14号証)。
オ 被請求人は、前記エの通知に対して、平成16年9月22日付けの「商標(カトランホームズ及びKATOLAN)に関するお詫びと経緯のご説明」をもって回答した。その内容の一部に、下記「」内の記述があることが認められる(甲第15号証)。
「差し当たり、早急に商標を表記してあるもの(立て看板、のぼり、ホームページなど)を撤去あるいは差し替えなど行います。弊社としましても細心の注意を払い、誠心誠意事にあたります。・・(中略)・・。尚、フランチャイズ契約解除以降、カトランホームズという名称では一切の新規顧客獲得等の営業活動は行なっておりませんので、ここに申し添えておきます。」
(3)ところで、商標の構成(文字や図形等)それ自体が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのあるものはもとより商標法第4条第1項第7号に該当するが、商標自体はそうでなくても、当該商標の登録出願が適正な商道徳に反して社会的妥当性を欠き、その登録を認めることが商標法の目的に反することになる場合には、同法第4条第1項第7号に該当することがあると解される(東京高裁 平成14年(行ケ)第616号・平成15年5月8日判決・最高裁HP参照)。
(4)これを本件についてみると、上記(2)の認定事実によれば、被請求人は、請求人に対する回答の中で、「フランチャイズ契約解除以降、カトランホームズという名称では一切の新規顧客獲得等の営業活動は行なっておりません」と述べているうえ、前記フランチャイズの会員であった経緯に照らせば、請求人及びそのフランチャイジーによって、「カトラン」商標を中心として、「カトランホーム」あるいは「カトランホーム」を要部とする「カトランホーム○○店」という標章が使用されていたことを知悉していたものと推認し得るところである。そして、本件商標は、上記「カトランホーム」とは語尾の「ズ」の有無という微差を有するにすぎず極めて酷似する標章であり、これらとの関連を承知している被請求人は、脱会に伴う措置として、「カトランホームズ」を自己の商標として使用しないとの意思を明確に表示したものと認めるのが社会通念に照らし相当というべきである。
しかるに、被請求人は、上記意思の表示とは反して、フランチャイズからの脱会通知の数日前に本件商標を登録出願し、前記(2)オの回答と前後して、商標登録を受けたものであるから、かかる一連の行為は、信義誠実を旨とすべき商取引上の約束を反故するものといわざるを得ず、公正な取引秩序を損なうおそれのある行為と評価せざるを得ないものである。
してみれば、かかる一連の行為は、著しく社会的妥当性を欠くものといわざるを得ないから、これによってなされた本件商標の登録は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものに当ると判断されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(5)以上のとおり、他の無効理由について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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