結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2005−30155(T2005−30155/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第672368号商標(以下「本件商標」という。)は、「ライトリン」の文字を横書きしてなり、昭和38年7月6日に登録出願、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同40年4月6日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成17年3月2日にされたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「薬剤」について登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の要旨を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
(1)請求の理由
被請求人は、本件商標を、その指定商品中「薬剤」については継続して3年以上日本国内において使用していない。
また、本件商標について専用使用権者は存在せず(甲第1号証)、また通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、上記商品につき使用されていないものである。
よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件審判につき請求の趣旨どおりの審決を求める次第である。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)乙第1号証は、薬品名として「鎮咳剤」と表示した薬剤、その包装箱並びに効能書の写真に係るものである。その包装箱には、本件商標「ライトリン」が表示されているが、乙第1号証の3に示されているとおり、この薬剤の配置期限は2003年2月である。
まず、この写真からは、そのような薬剤が存在したことは一応認められるとしても、乙第1号証の薬剤が現実に配置ないし販売されたとの証明は全くない。
さらに、通常、この種の配置薬の配置期限は、5年である(甲第3号証及び甲第4号証)。したがって、上記乙第1号証の薬剤が、仮に実際に配置されたものであるとしても、それが配置された時期(消費者の手に実際に渡った時期)は、2003年2月より5年前、すなわち1998年2月項であることが推認される。
なお、請求人は、本件審判請求に先立ち、本件商標の使用状況調査を行ったが、それによれば、本件商標に係る薬剤は1963年に製造販売が開始され、1998年春頃に製造が中止されており、この調査結果からみて、乙第1号証の薬剤は、ほぼ最後に(すなわち1998年春頃に)製造販売されたものの在庫品と推定される。すなわち、上記乙第1号証の薬剤が、仮に実際に配置されたものであるとしても、その製造販売時期は1998年であって、乙第1号証に係る使用は、請求登録日前3年以内の使用という商標法第50条第2項の要件を充足しないものである。
被請求人は、上記配置期限2003年2月時点で流通していたとの主張を行っているが、仮に実際に配置されたものであるとしても、商標法第50条第2項の要件を充足するためには、請求登録日前3年の2002年3月2日以後に配置しなければならないことになるが、5年の配置期限(使用期限)を有する薬剤を、わずか1年未満の使用期限を残すのみで配置するということは到底考えられない。被請求人は、製造後4年以上も経った薬剤を配置していたということを認めるのであろうか。いずれにしてもそのような証明はなされていない。
以上のとおり、乙第1証は、本件商標が本件審判請求登録前3年以内に使用されたことを証明するものではないことが明らかである。
(イ)乙第2号証は、被請求人の平成17年2月作成の会社案内ということであり、そこには「鎮咳去痰薬 セキサリン、ライトリン」との記載がみられるが、本件商標「ライトリン」に関しては、上記のとおり、実際の製造販売は1998年頃終了しており、平成17年2月時点においては本件商標に係る商品は存在しない。もし、平成17年2月時点で、本件商標に係る商品が存在するのであれば、配置期限2003年2月というような古い商品(乙第1号証)を提出する理由はないはずである。つまり、乙第2号証の「鎮咳去痰薬 ライトリン」との記載は、存在しない商品についての記載であるから、このようなものが商標の使用に該当しないことは当然である。
また、文言上も、乙第2号証の会社案内は、製薬会社たる被請求人を紹介する文書であって、商標法第2条第3項第8号所定の「広告」「価格表」「取引書類」のいずれにも該当しないから、この点からも、乙第2号証における本件商標の記載は、本件商標の使用には該当しない。
さらに、提出された乙第2号証の2は、カラー印刷による上質紙による本体部分に、簡易な印刷に係る「会社案内」と題する1枚の紙が挟まれたものであって、「鎮咳去痰薬 ライトリン」の記載は、この簡易印刷による独立の1枚紙にのみ表示されており、上質紙による本体部分に掲載されている被請求人の商品の写真による紹介部分には、本件商標に係る商品は掲載されていない。
なお、被請求人のインターネット・ウェブサイトにおける「取扱医薬品一覧」にも、「鎮咳去痰薬 セキサリン」は掲載されているが、本件商標に係る商品は掲載されていない(甲第5号証)。
以上のとおり、乙第2号証も、本件商標が、本件審判請求登録前3年以内に使用されたことを証明するものではないことが明らかである。
(ウ)乙第3号証(配置薬を説明した文書)には、本件商標は表示されておらず、乙第4号証及び同第5号証はそれぞれ本件商標に係る薬剤の「医薬品製造承認書」「医薬品製造品目変更許可書」の写とのことであるが、このようなものが商標の「使用」を証明するものでないことは明白である。
以上のとおり、乙第3号証ないし乙第5号証も、本件商標が、本件審判請求登録前3年以内に使用されたことを証明するものではないことが明らかである。
(エ)以上詳述したとおり、本件商標が請求に係る指定商品について請求登録日前3年間に使用されたことを立証する証拠はない。
被請求人は、本件商標が本件審判請求に係る指定商品に使用されたとの事実を証明していない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標「ライトリン」は、その指定商品中「薬剤」に属する鎮咳去痰剤について被請求人によって長年に亘り一貫して使用されてきたものである。
かかる事実は、「ライトリン」の商品写真(配置期限2003年2月の商品...乙第1号証の1ないし5)と、鎮咳去痰薬「ライトリン」錠の記事のある「中央薬品株式会社会社案内」(平成17年2月印刷...乙第2号証の1及び2)により明らかである。
鎮咳去痰剤としての商品「ライトリン」は配置薬である。
ここで、配置薬について簡単に説明すると、配置薬は配置販売業の許可を受けた業者が一般家庭、会社、事業所などをまわって、まず無償で医薬品を詰めた薬箱を配置し、一定期間毎にこれらを巡回して、消費された分につき薬代の支払いを受けると共に医薬品を補充するという医薬品の販売システムの1つである。乙第3号証にもあるように、発端は江戸時代に遡り、現在のように商品の流通の便がよくなかった頃、医薬品の入手が困難な所に常備の家庭薬をおき、消費した分だけ代金を回収し医薬品を補充するという「先用後利」の販売法が確立されて今日に至っている。
したがって、この流通システムによれば配置期限を目安に医薬品を配置するのであって、2003年2月が配置期限(乙第1号証の3)の乙第1号証の商品は本件審判請求の予告登録日である平成17(2005)年3月2日より遡ること3年以内に流通していたことが明らかである。
また、「中央薬品株式会社会社案内」(乙第2号証の2)は平成17年2月の印刷にかかるもので、同年1月迄の社史を掲載しており、昭和53年に鎮咳去痰薬「ライトリン」錠が新発売され、昭和57年に処方に変更があったことが記載されている。更に、「医薬品製造承認書写」(乙第4号証の2)、「医薬品製造品目変更許可書写」(乙第5号証の2)は、昭和53年当時に「ライトリン」が医薬品の製造承認をうけ、その後昭和57年に変更許可をうけつつ現在に至っていることを示している。これらの資料は、昭和53年の新発売より、処方・包装デザインなどに変遷があったとしても鎮咳去痰剤「ライトリン」が被請求人により一貫して使用し続けられていることを伺わせるに充分である。
(2)以上述べたように、本件商標「ライトリン」は、その指定商品中「薬剤」に属する「鎮咳去痰剤」について、被請求人自身により、本件審判請求の予告登録日である平成17(2005)年3月2日より遡ること3年以内に使用されていたことが明白であるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取消されるべきでない。
被請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出し、本件商標はその指定商品中「薬剤」に属する「鎮咳去痰剤」(以下「使用商品」という。)について使用してきた旨主張している。
そこで、被請求人の提出に係る前記証拠についてみるに、乙第1号証の登録商標の使用説明書(1)に添付された使用商品の写真によれば、使用商品の配置期限が2003.2と表示されており、少なくも2003年2月の時点において使用商品が需要者に配置されていなかったとまではいい得ないものであり、使用商品には本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていたものといわざるを得ない。
乙第2号証の登録商標の使用説明書(2)に添付された会社案内は、平成17年2月に印刷されたものとしており、平成17年1月までの沿革が掲載されており、また、会社概要の従業員の欄には、85名(平成16年10月現在)と記載されていることから、その会社案内は、請求人の主張する如く、平成17年2月に印刷されたものと認められる。さらに、「主な製造品目」中に「鎮咳去痰剤 セキサリン、ライトリン」の記載があり、「沿革」中に昭和53年に鎮咳去痰薬「ライトリン」錠が新発売され、昭和57年に処方に変更があったことが記載されている事実を認めることができる。
してみれば、本件商標は、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、被請求人により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品中使用商品について使用していたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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