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Trademark Appeal Case

品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2004−90640(T2004−90640/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4787484号商標の指定商品中「化粧品」についての登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4787484号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラメラストラクチャー」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成15年7月29日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品」を指定商品として、同16年7月16日に設定登録されたものである。

2 本件商標に対する取消理由

本件登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対して平成17年11月25日付けで通知した取消理由は、次のとおりである。

甲各号証によれば、化粧品メーカーのホームページ情報において「『LS』は、Lamellar Structure(ラメラストラクチャー)の略称で、角質層にある細胞間脂質によく似た構造の成分です。」「健康なるお肌の細胞間脂質と構造的によく似た、油相と水相のラメラ構造からなる保湿成分で・・・」(見出し「ヤクルト化粧品の成分」)の記述ほか、インターネット上において「ラメラ構造 lamellar structure」(見出し「漢語教材」)掲載及び「岩波 理化学事典」(2000年4月25日 第5版第4刷発行)において「ラメラ構造 [lamellar structure]」の見出しの下でラメラ構造についての解説がされていることが認められ、本件商標の構成文字「ラメラストラクチャー」は、「Lamellar Structure」の片仮名表記であり、かつ、その邦訳は「ラメラ構造」の語であるとみて差し支えないといえるものである。

そして、化粧品を取り扱う業界において「ラメラストラクチャー(Lamellar Structure)」の語は上述の使用例のほかに、「ラメラ構造」の表示をもって、皮膚の角質層において、セラミドと脂質が交互に層を形成し、その間に水分が蓄えられている状態を指称する語として、本件商標の指定商品中「化粧品」に属するクリームや美容液等の成分・効能の宣伝語句において、肌のラメラ構造を整え保湿効果を有するような商品であることを謳うため使用されていることが認められる。

そうしてみると、化粧品を取り扱う業界にあって「ラメラストラクチャー」の語は、「ラメラ構造」の語と同義のものとして認識されるといえるから、かかる構成文字のみからなる本件商標をその指定商品中の化粧品に属するクリームや美容液等について使用しても、ラメラ構造を整えることを謳う商品であることを端的に表現したもの、すなわち当該商品の用途・効能等の品質を表示するにすぎないものというのが相当である。

また、本件商標を上記に照応する商品以外の「化粧品」について使用するときは、あたかも当該商品が「ラメラ構造に効果のある化粧品」であるかの如く商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「化粧品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるといわなければならない。

3 商標権者の意見

商標権者は、上記2の取消理由に対し、本件商標は十分に登録要件を満たすものであり、該取消理由書は撤回されるべきであるとして、次のように意見を述べた。

(1)本件商標は、「ラメラストラクチャー」の片仮名文字よりなるものであり、常識的には、「ラメラ」と「ストラクチャー」の各語を結合したものであると認知され、かつ、各語において、●「ラメラ」は、「薄板、層板」あるいは(形容詞として)「層状の」を意味すること、●「ストラクチャー」は、「構造」を意味すること、が認知されるものである。

(2)本件商標の構成文字「ラメラストラクチャー」は、「Lamellar Structure」の片仮名表記であり、かつ、その邦訳は「ラメラ構造」の語であるとみて差し支えない、と認定している。

しかしながら、前記認定は、何故、その邦訳が「ラメラ構造」であるとしたか不明である。邦訳として(「ラメラ」の部分も邦訳した)「層状(薄板状)構造」などがあり、これらの点を勘案すると前記認定は不当である。

このことは、「ラメラストラクチャー」という用語は、生物学(細胞組織の構造など)、地質学(地層の構造)、建築学、化学などにおいて広く使用されていることから首肯されるところである。

なお、本件商標は、この用語を特定(指定商品)との関係で商品の識別力を発現させようとするものであり、十分に登録性を有するものである。

(3)上記したことから、「ラメラ」と「ストラクチャー」の各語を結合した本件商標の構成から、直ちに「ラメラ構造を整え(る?/かつ?)保湿効果のある商品」の意味を引き出すことはできない。「ラメラストラクチャー」からは、せいぜい「層状の構造」という意味を引き出すことしかできないからである。

(4)また、●化粧品を取り扱う業界においては、●「ラメラストラクチャー(Lamellar Structure、LS)」という語は、「ラメラ構造」の表示をもって、皮膚の角質層において、セラミドと脂質が交互に層を形成し、その間に水分が蓄えられている状態を指称する語であるとされ、(認知され)、かつ、●クリームや美容液等の成分・効能の宣伝語句において(として)、(「ラメラ構造」という語は)「肌のラメラ構造を整え(る?/かつ?)保湿効果を有するような商品」であることを謳うため使用されている、と認定している。

この認定が不当なものであることは、甲各号証、特に化粧品メーカーのホームページ情報をみても判ることであって、「ラメラストラクチャー」=「ラメラ構造」の語が、化粧品業界との関連において(化粧品メーカーのホームページ情報に示されているように)「皮膚の角質層において、セラミドと脂質が交互に層を形成し、その間に水分が蓄えられている状態」を表している、ところまでの認定は認めるが、この語が、●クリームや美容液等の成分・効能の宣伝語句において(として)、「肌のラメラ構造を整え(る?/かつ?)保湿効果を有するような商品」であることを謳うため使用されている、旨の認定は、明らかに証拠に基づかないものであり、不当なものである。

(5)以上のとおり、本件商標を指定商品に使用しても、商品の用途・効能等の品質を表示するとは認め難いものである。

したがって、本件商標は、特定の意味合いを生じることのない「造語」からなるというべきであって、その指定商品に使用しても自他商品の識別標識としての機能を具備するものであり、また、商品の品質についても誤認を生じさせるおそれはない。

4 当審の判断

本件商標についてした取消理由の通知(上記2)は妥当であって、指定商品中「化粧品」についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないものであり、これを論駁する商標権者の主張は以下のとおり採用することができない。

(1)「ラメラストラクチャー」の語が「薄板、層板」あるいは(形容詞として)「層状の」を意味する「ラメラ」と「構造」を意味する「ストラクチャー」の各語を結合した複合語であることを否定するものでない。また、甲各号証において、「ラメラ構造」ほか「層状の構造」としている点も認め得るものである。しかして、取消理由において、邦訳を「ラメラ構造」としたのは、「『LS』は、Lamellar Structure(ラメラストラクチャー)の略称で、角質層にある細胞間脂質によく似た構造の成分です。」「健康なるお肌の細胞間脂質と構造的によく似た、油相と水相のラメラ構造からなる保湿成分で・・・」(見出し「ヤクルト化粧品の成分」)の記述ほか、インターネット上において「ラメラ構造 lamellar structure」(見出し「漢語教材」)掲載及び「岩波 理化学事典」(2000年4月25日 第5版第4刷発行)において「ラメラ構造 [lamella structure]」の見出しの下でラメラ構造についての解説がされていることによるものであり、また、化粧品メーカーのホームページ情報における使用例において「皮膚の角質層において、セラミドと脂質が交互に層を形成し、その間に水分が蓄えられている状態」を表すものとして「層状の構造」よりも「ラメラ構造」の使用例が多いこと基づいたものであって、「ラメラストラクチャー」の語と「ラメラ構造」の語とは、一方の語より直ちに他方の語を想起し得る程度の知覚作用が働くもの、すなわち観念的に相互・互換性を有するものであり、そして、いずれの語からも化粧品の分野においては、「皮膚の角質層において、セラミドと脂質が交互に層を形成し、その間に水分が蓄えられている状態」を表わすものとして認識されるといえる。

(2)そして、取消理由において「・・・クリームや美容液等の成分・効能の宣伝語句において、肌のラメラ構造を整え保湿効果を有するような商品であることを謳うため使用されている」旨の認定は、「アットコスメ ブランド情報(ロゼリカ)」を見出しとするホームページ情報において「ロゼリカ独自の特許成分をたっぷりと贅沢に複数配合。それぞれの成分が様々な方向から肌に働きかけ、健やかで美しい肌へと導きます。/ナノサイズ化した美容成分をカプセルで包みこみ、肌の深部まで届けます。また肌の保湿構造と同様のラメラ構造で長時間うるおいを持続。」、「健康肌化粧品ビーバンジョア トップページ」を見出しとするホームページ情報において「■抜群の保湿効果「ラメラゲル」とは/・・・ニュータイプの構造を持つクリーミィゲルです。お肌にやさしく馴染み、角質深層部までたっぷり潤しながら肌表面をさらっと滑らかな状態に保ちます。・・・」、「Beauty web|ベルメール」を見出しとするホームページ情報において「〈ラメラケアで美しい肌へ〉刺激から肌を守ったり、うるおいを逃がさないようにしている「ラメラ構造」。このラメラ構造をすこやかに保つことが美肌のカギとなります。」、「ラメラ構造の保護膜」を見出しとするホームページ情報において「ラメラ構造(層状構造)の保護膜とは?/私たちの肌の角質層にある細胞間脂質には、層状のラメラ構造になっています。/薬用ハンドクリームが肌の上につくるうるおい保護膜も/ちょうど同じラメラ構造になっていて、肌になじみやすくベタつかないのが特長。/何層にも温泉水とうるおい成分を内包するため、角質層に/うるおいを長くとどめることができるのです。」などのホームページ情報においての記述を勘案して認定したものである。

(3)以上のとおり、「ラメラストラクチャー」の語は、化粧品に関する分野においては、「皮膚の角質層において、セラミドと脂質が交互に層を形成し、その間に水分が蓄えられている状態」を表わすものとして認識され、これより転じて、本件商標をその指定商品中の化粧品に属するクリームや美容液等について使用した場合、取引者等がラメラ構造を整えることを謳う商品であるとの共通認識を有すること決して少なくないというべきであって、その商標的機能、すなわちその出所を認識させる機能を発揮することは困難なものといわなければならない。また、本件商標を上記に照応する商品以外の「化粧品」について使用するときは、あたかも当該商品が「ラメラ構造に効果のある化粧品」であるかの如く商品の品質についての誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。

そうしてみると、商標権者が述べる、本件商標「ラメラストラクチャー」は、特定の意味合いを生じることのない「造語」からなるというべきであって、その指定商品に使用しても自他商品の識別標識としての機能を具備するものであり、また、商品の品質についても誤認を生じさせるおそれはない旨の主張は、化粧品メーカーのホームページ情報(甲各号証)等に照らし採用の限りでなく、その他、上述認定を覆すに足りる証拠の提出もない。

(4)したがって、本件商標の登録は、指定商品中の「化粧品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

そして、本件商標の登録に係るその余の指定商品については、「ラメラストラクチャー」等の語が派生して、直ちに化粧品と同様に認識し使用されているような状況は窺えないものであって、その登録を取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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