Trademark Appeal Case
イオンパワーの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90753(T2004−90753/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4804886号商標(以下「本件商標」という。)は、「イオンパワー」の文字と「ION POWER」の文字を二段に横書きしてなり、平成15年5月9日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」及び第32類「ビール,清涼飲料水,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、平成16年9月24日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立の理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出している。
本件商標は、片仮名文字「イオンパワー」と欧文字「ION POWER」を上下二段に左横書きに書してなるものであり、当該「イオンパワー」及び「ION POWER」を普通に用いられる方法で表示したにすぎないから、第3類の指定商品「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」中、「イオン効果を利用した商品」に使用しても、単にその商品の品質・効能等を表示するにすぎず、自他商品識別標識として機能を果たし得ない。また、本件商標を上記商品以外の商品について使用する場合は、その商品の品質、機能について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、第3類の指定商品「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
第3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成17年11月9日付けで商標権者に対し通知した取消理由は次のとおりである。
1.申立人の提出に係る甲第5号証の1、甲第6号証の1及び2、甲第6号証の8、甲第6号証の13によれば、以下の事実が認められる。
(1)除菌イオンを発生させ、車内の空気をきれいにする空気清浄機能付きカーエアコンについて、「イオンパワー」の語が使用されていること。
(2)床表面洗浄剤について、「イオンパワー・秒速浸透剤配合/イオンパワー・秒速浸透剤の働きにより、汚れを瞬時に分解、洗浄作業をスピードアップ。」の文言が使用されていること。
(3)高濃縮強力洗剤について、「強力界面活性剤とクリーニングイオンのツインパワーで頑固な汚れも素早く除去」の文言が使用されていること。
(4)美容機器「ビオニカ[イオン導入器]」について、「イオンの力で美肌&毛穴ケア。本格エステの効果をご家庭で。」の文言が使用され、また、同じく「ビオニカ ホワイトニングセット」について、「[特徴]イオンパワー/落ちにくい肌の汚れもきれいに落とします。」の文言が使用されていること。
(5)「歯科なんでもコラム」なるホームページには、「【歯垢(−)→唾液のカルシウム(+)←歯のエナメル質(−)】の強力な結びつきをイオンの力で引き離してしまおうと、登場したのが『電子イオン歯ブラシ』です。イオンの力で歯垢が歯に付着するのを阻み、・・」の文言が使用されていること。
2.商標法第43条の8において準用する特許法第150条第5項に基づいてした職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)1998年1月16日付け産経新聞(東京朝刊19頁)には、「【あそびのコラム】ライフスタイル 天然石 『幸運呼ぶ石』願い込め」の見出しのもと、「『天然石が発するイオンパワーや磁気には、ヒーリング効果もあるんですよ』と森下さん。時には、石にでもいいから癒してもらいたいな。」との記事が掲載されている。
(2)1998年7月3日付け化学工業日報(3頁)には、「フクバデンタルのマイナスイオン歯ブラシ、イオンパワーの人気上昇」の見出しのもと、「『電池を内蔵しているが、電動ではない。しかし、歯垢除去や歯周病予防効果が著しいと日米の大学が認めた』という、一風変わった歯ブラシが、人気を呼んでいる。・・マイナスイオン歯ブラシがそれ。・・植毛部分や柄の形状に工夫を凝らした新製品によって、熾烈な競争を続けるライオン、サンスター、花王などの巨大企業に、フクバデンタルがイオンパワーの独創技術で挑む。」との記事が掲載されている。
(3)1999年12月8日付け日刊工業新聞(22頁)には、「TOTO、手入れが楽な公衆トイレ用洗面器などを発売」の見出しのもと、「独自の釉薬(ゆうやく)によるイオンパワーと衛生陶器表面の超平滑化の相乗効果により汚れが付きにくく、落としやすい。このため、清掃員の作業負担が大幅に軽減するという。」との記事が掲載されている。
(4)2001年2月20日付け朝日新聞(東京朝刊10頁)には、「イオンの力を脱臭や殺菌にシャープが新技術」の見出しのもと、「シャープは十九日、イオンの力でにおいや細菌を分解し、空気を浄化する新技術を開発した、と発表した。フィルターなどで微粒子を取り除く従来方式と違い、微粒子そのものを破壊する方法で、同社によると世界初の実用化という。同社は、この技術を利用した除湿器と冷蔵庫を三月から発売するほか、他業種の企業にもこの技術を売っていく考えだ。『プラズマクラスター』と名付けたこの技術では、空気中の水蒸気をプラズマ放電でプラスイオン(水素)とマイナスイオン(酸素)に分解して放出。電気的に不安定な状態にして、空気中に浮遊するにおい分子やカビ菌と吸着させ、無害物質に変換する。同技術の装置を密閉された空間に置いて実験したところ、一時間後に約九割の大腸菌とカビ菌が死滅した。このほかアンモニアやホルムアルデヒド、メタンガスなどにも有効という。同社はエアコンや空気清浄機に同技術を搭載したほか、今後は石油ファンヒーターなどの家電製品に幅広く応用していく方針だ。」との記事が掲載されている。
(5)2002年7月4日付け共同通信には、「イオン家電で買い替え促進 除菌やリフレッシュうたう」の見出しのもと、「滝のほとりなどに漂うイオンを人工的につくりだして、除菌やリフレッシュ効果をうたった『イオン家電』が増加の一途だ。国内家電メーカーは安価な輸入製品にはない高付加価値製品として、イオン機能付きの機種を続々投入、買い替え需要を掘り起こしている。イオンは空気中に含まれている粒子で、森の中や水辺などに多く、マイナスとプラスがある。医学的には完全に証明されていないが、マイナスイオンは細胞の老化を遅らせ新陳代謝を促し、ストレスの緩和や疲労感の軽減、快眠などに効果があるといわれている。さらに、除菌や脱臭など、使い方によってさまざまな効果があると期待されている。シャープはイオンの力で脱臭、除菌する『プラズマクラスター』機能を備えた家電を相次いで発売。中でも実売価格で四万−五万円の空気清浄器は、二○○二年四−六月の売り上げが前年同期比で三倍と大幅に伸びた。高電圧によるプラズマ放電で空気中の水蒸気を分解。発生したプラスとマイナスのイオンが雑菌やにおいの分子を分解し無害化するという。松下電工は、マイナスイオンの力で髪に潤いを与えるヘアドライヤーが大ヒットしたほか、マイナスイオンによる『リラックス効果』をうたった加湿器などの売れ行きも好調という。今後はイオン関連製品のラインアップを強化し、電動マッサージいすなどにも広げていく方針だ。」との記事が掲載されている。
(6)2002年11月13日付け日本工業新聞(17頁)には、「INAXがシャワートイレ発売 イオンパワーで臭いのもと分解」の見出しのもと、「プラズマクラスターイオンは、プラズマ放電でつくられるプラス、マイナスイオンの集合体で、空気中に浮遊するカビ菌、ウイルスの活動を抑え、においのもとを分解するという。同イオンは便座横のユニットから放出する。」との記事が掲載されている。
(7)2003年1月23日付け朝日新聞(東京夕刊5頁)には、「プレゼント マリオン」の見出しのもと、「歯を再石灰化する歯磨きセット/サンギが、冬季限定発売の『アパガード ホワイトセット』を80人に。歯を再石灰化し、歯の明度を高める効果があるという薬用ハイドロキシアパタイトを配合した歯磨き『アパガードMプラス』(115グラム)と、『イオンパワー歯ブラシ』1本のセットをギフト向けパッケージに収めた。」との記事が掲載されている。
(8)2003年10月21日付け産経新聞(東京朝刊10頁)には、「【健康 フラッシュ】パンツタイプの紙おむつ」の見出しのもと、「コットンタッチの柔らか素材を採用することで、ふんわりとした肌ざわりを実現。全面通気性シートでムレを防ぎ、超薄のパワフル吸収体がおしっこ2回分をスピード吸収、臭いもイオンパワーで瞬間消臭する。」との記事が掲載されている。
3.前記1及び2で認定した事実によれば、本件商標の登録出願前より、イオンの有する除菌効果、消臭効果、洗浄効果等を利用した家庭用電気機械器具をはじめとする各種商品が市場に多数出回り、この種商品の効能等について「イオンパワー」、「イオンの力」なる語が使用されていた事実を認めることができる。
そうすると、「イオンの力」なる意味合いを想起させる「イオンパワー」の文字及びその欧文字表記である「ION POWER」の文字よりなる本件商標をその指定商品中、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について使用した場合、これに接する需要者は、該商品が「イオンのもつ除菌効果、消臭効果、洗浄効果等の効果を利用した商品」であるとの意味合いを表したと認識するに止まるものと認められる。
したがって、本件商標は、これをその指定商品中、第3類「イオンの有する効果を利用した商品」について使用しても、単に商品の品質、効能を表示するものにすぎず、また、前記商品以外の第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。
4.むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ない。
第4 商標権者の意見
上記第3の取消理由に対し、商標権者は、次のように意見を述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第30号証を提出している。
1.「イオンパワー/ ION POWER」登録の実例
過去、登録された商標として以下の事例がある。
(1)登録第2021275号 「イオンパワー」
第21類「化粧用具、その他本類に属する商品」
(2)登録第2685446号 「イオンパワー」
第1類、第5類、第8類、第9類、第10類、第16類、第21類
(3)登録第32196456号 「イオンパワー/IONPOWER」
第23類「糸」
(4)登録第3246694号 「イオンパワー/IONPOWER」
第27類「敷物,洗い場用マット,人工芝,体操用マット,プラスチ ック製の壁紙・タイル及び床板,リノリュム製の壁紙・タイル及び床 板,壁掛け(織物製のものを除く。),壁紙」
(5)登録第4007553号 「イオンパワー/IONPOWER」
第3類「つや出し剤」
(6)登録第4225177号 「ION POWER/イオン パワー」
第11類「・・洗浄機能付き便座,便器,汚水浄化槽,便所ユニット ,浴室ユニット,浄水装置,家庭用電熱用品類,ゴミ焼却炉,し尿処 理糟,和式便器用椅子・・」
(7)登録第4524298号 「イオンパワー/IONPOWER」
第24類「織物,メリヤス生地・・」
(8)登録第4578193号 「ION POWER/イオン パワー」
第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具・・」
(9)登録第4578361号 「イオンパワー/IONPOWER」
第12類「自動車並びにその部品,二輪自動車・自転車並びにその部 品及び付属品・・」
(10)登録第4582631号「ION POWER/イオン パワー」
第21類「ラス基礎製品(建築用のものを除く。)なべ類,コーヒー 湯沸かし・・清掃用具及び洗濯用具,寝室用簡易便器・・」
(11)登録第4586590号「ION POWER/イオン パワー」
第10類「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器,しびん,成人 用便器」
(12)登録第4804886号(本件商標)
「イオンパワー/ION POWER」
第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」
以上のように登録された各種「イオン パワー/ION POWER」の実例があるところから、特許庁において先に認定された「イオン」、「イオンパワー」「イオンの力」又は「イオン〜」なる語が、「空気清浄器付きカーエアコン」、「床表面洗浄剤」、「美肌器」、「歯科材料」、「天然石」、「歯ブラシ」、「トイレ洗浄器」、「エアコン」、「空気清浄器」、「石油ファンヒーター」、「各種家電製品」、「ヘアードライヤー」、「加湿器」、「電気マッサージ器」、「トイレ」、「歯磨きセットの歯ブラシ」、「紙おむつ」等々の商品を現行の商品区分に当てはめると概略次のようになる。
「空気清浄器付きカーエアコン」、「美肌器」、「トイレ洗浄用タンク」、「エアコン」、「空気清浄器」、「石油ファンヒーター」、「各種家電製品」、「ヘアードライヤー」、「加湿器」は第11類で、「床表面洗浄剤」は本件商標の第3類で、「歯ブラシ」は第21類で、「電気マッサージ器」、「トイレ」は第10類で、及び「紙おむつ」は第16類で「イオンパワー」は登録済み。
したがって、指定商品でいえば、申立人が提出した証拠及び特許庁が職権で調べた証拠のうち、「歯科材料」(第10類)と「天然石」(第1類)のみが「イオンパワー/IONPOWER」が未登録分野であることから考えれば、商品「歯科材料」、「天然石」を除いて、その他については証拠能力を欠いていることは明らかである。
2.本件商標は、次のような経過により登録されたものである。
出願日 平成15年(2003)5月9日
公開日 平成15年(2003)6月19日
登録日 平成16年(2004)9月24日
商標権者において商標「イオン パワー」を使用したのは、その出願(平成15年(2003)5月9日)の直後であるから、申立人の提出にかかる甲第5号証の1に掲載されている「イオンパワーで車内の除菌」なる記載の発表年月日(平成15年(2003)7月2日)は、本件商標の出願日の約2ケ月後であることから、この記載をもって「イオン パワー」が世間で普通に使用されていたとするのは早計である。
3.登録例
既に特許庁において登録された登録例の中から「〜パワー」なる商標を現行商品区分で第3類の中からほぼ登録順にリストアップする。
「ウオーターパワー/WATERPOWER」、「ソルトパワー」、「トリマリンパワー」、「酸素イオンパワー」、「スパパワー/SPAPOWER」、「バイオパワー」、「日本海深層パワー」、「キュティクルパワー」、「クイックパワー」、「しっとりパワー」
上記に例示した登録商標は、この度本件商標についてなされたような判断基準であれば、そのほとんど全てが「品質又は効能」を表示するとして恐らく拒絶される商標であるように思われるが、これが登録になっている理由は、結合商標の不可分一体性を重視された結果であり、これらの結合商標に独占適応性が認められた結果である。
なお、「酸素イオンパワー」では、本件商標「イオンパワー/ION POWER」と指定商品を共通にすると共にその商標の構成上、本件商標では前半部「イオン」であるのに対し、前半部「酸素イオン」の違いだけである。品質表示、効能表示を問題にするのであれば、その判断は同様である筈である。
4.結合商標の不可分一体性
結合商標の不可分一体性は、「〜パワー」なる商標は、同じ書体、同じ間隔で、まとまりよく一体的に表されているものであるから、外観上も一体として把握し得るものであること、したがって、これらの商標を前半部「〜」の部分と、後半部「パワー」との部分に分離して、称呼、観念しなければならないとする特段の事情が存すると認められない場合、需要者間には商標の構成の全体をもって一体不可分の商標と認識され、把握されるものとみなされるのが自然である商標の場合、仮に、現行第3類に登録第538164号「POWER/パワー」があるとしても、乙第13号証〜乙第22号証が登録されることに関して何らの問題はない。
審査段階で、本願商標が登録されたのは、この一体性を考慮されて登録されたものと確信する。
翻って、「〜パワー」なる結合商標は、その一体感が強固であって、前半部「〜」の部分と、後半部「パワー」との部分とを分離して観察することを許さない商標であることは上記「〜パワー」が事実を以て証明している。
5.上記1.で「イオンパワー」なる商標が、上記3.で「〜パワー」なる商標が多数登録されている事実があることを述べた。これらの商標について、異議申立の審理の際になされたような例えば「イオンパワー」を「イオンの力」と同一視したのでは、商標の一体不可性が損なわれてしまうことは明らかである。そのことは、例えば、「バイオパワー」なる商標を「バイオの力」と置き代えて検討すれば明瞭である。即ち、商標「バイオパワー」と商標「バイオの力」とは似て非なる商標であることは明白である。即ち、「バイオの力」とした場合、前半部「バイオ」と後半部「〜の力」とが分離して解釈される結果、その前半部「バイオ」の部分から品質、効能、用途表示に当たるとされることが濃厚である。このことは、本件商標「イオンパワー」はもちろんのこと、上記3.で例示したすべての商標に当てはまる。
6.本件商標「イオンパワー/ION POWER」を構成する、その前半部「イオン/ION」は、申立人の提出にかかる広辞苑第5版(甲第2号証)によると「(ファラデーが電気分解のとき電場で移動すると考えられるものを、ギリシャ語の「行く」という語に因んで名付けた)正または負の電荷を持つ原子又は原子団。陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)がある。期待分子(原子)は、X線や放射線などの作用により電子を失うか得るかして、イオンになる。電解質は水に溶かすと電離してイオンを生ずる。」と定義している。
「イオン」の意味が上記のような意味であるとしたら、一般の取引者又は需要者には、「イオン」の正確な意味を把握することは困難である。又「POWER(パワー)」を英和辞書、小学館の英和中辞典「P R O G R E S SI V E E N G LIS H−JAPAN E S E D I CT I ONARY」では、「1)(する)能力、力 2)(肉体的、精神的な)特別な能力〔才能〕3)強さ、力、体力、4)権力、支配力、勢力、政権、法的能力、委任された権限、5)パワー、(政治、社会、経済的な力)、6)権力者、有力者、国力、強国、7)軍力、兵力、8)神、悪魔、9)多数、多量、10)動力、機械力、11)エネルギー、物理的な力、12)(てこなどの)簡単な機械、13)動力、仕事率、効率、14)累乗、15)(レンズの)倍率」などの多数の意味が記載されている。上記のような意味を有する本件商標の前半部「イオン/ION」、後半部「パワー/POWER」とを連結して、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」等の商品に使用したとしても、これらの取引者又は需要者には明確な品質、効能、用途を表示したことにはならないことも明確である。特許庁商標課において編集された「改正商標審査基準(1991年12月)」によると、商標法第3条第1項第3号の審査に関連して、その3.に、「指定商品の品質、効能、用途等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする。」と記載されている。
仮に、本件商標が品質、効能、用途的であるとしても、せいぜい間接的にそれを表示しているにすぎないと確信する。
7.商標「イオン」の登録
登録商標「イオン」は、現存する登録商標に限ってみても登録第485286号(昭和31年7月30日登録)にはじまって、最も最近の登録第4883410号(平成17年7月29日登録)までに商標区分の全区分で全63件を数えており、恐らく「イオン」なる商標はほぼ全商品区分くまなく登録されているように思われるが、ここでは商標「イオン」の登録の全体像を示すに留める。
8.類似商品群(11A06)における商標「イオン」の登録
類似商品群(11A06)における商標「イオン」の登録は4件、登録第4198654、登録第4563565号 、 登録第4883409号及び登録第4883410号を数えるのみであるが、先に見た類似商品群コード(11A06)の商品「エアコン」「ヘアードライヤー」「加湿器」「電気マッサージ器」「空気清浄器」等については既に登録されている。
このような商標「イオン」及び「イオン関連商標」について、申立人が平成17年2月25日に提出した「手続補正書」の11ページ下から11行〜5行目に述べられている次の一節、即ち「また、イオンは自然界に存在するものであり、有害な化学品と異なり、自然界を破壊せず、人体にも安全、無害なものとして知られている。そして近年の環境問題に対する意識の高まりから、該イオンの力(イオンパワー)を利用する製品は、特に注目され、その用途の幅は広がる傾向にある。このような実情において、一私人には「イオンパワー/ION POWER」の使用に対し独占を認めるとすれば、イオンの効果を利用した商品についての記述、説明が不当に制限され、該商品の製造、販売に関わる多数の者が不測の損害を受ける可能性がある。」との説明は、商標「イオン」関連の商標が多数登録されている現状では、申立人がすでに現在でも「イオン」又は「イオン関連商標」が多数登録されている
事実を認識していないことに基づく誤認の過剰反応であるように思われる。
「イオン」に関連する造語は無数にあり、その中から商標を採択する者は自由に選択することができ、その「イオン」関連の結合商標の選択幅も際限がない。
9.本願商標は登録されるべきである。
その不可分一体性の故に又纏々上述したように、本件商標は維持されるべきであって、本件商標をその指定商品に使用したとしても、断じて商品の品質について誤認を生じさせるおそれがない。従って、本件商標は、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないので、その登録は維持されるべきであると確信する。
第5 当審の判断
本件商標は、「イオンパワー」と「ION POWER」の文字を二段に書してなるものであるところ、上記第3の取消理由は妥当なものであって、これをその指定商品中、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」について使用しても、「イオンのもつ消臭効果、洗浄効果、除菌効果等の効果を利用した商品」であることを表したと認識するに止まり、単に商品の品質、効能を表示するものにすぎず、また、イオンの有する効果を利用した商品以外の商品について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ない。
他方、商標権者は、上記第3の取消理由に対し、意見を述べているが、以下の理由により採用することができない。
すなわち、商標権者は、「イオンパワー/IONPOWER」及び「〜パワー」なる商標の登録例が多数存在する。そして、これらの各登録例の商標は、前半部と後半部を分離して称呼、観念するものではなく、一体不可分の商標として認識され、把握されるべきものであって、これらの登録商標を本件商標の場合と同じように判断するとすれば、そのほとんど全てが、識別力がない商標ということになる。さらに、仮に、本件商標が品質、効能、用途的であるとしても、せいぜい間接的にそれを表示しているにすぎないものである旨述べている。
しかしながら、イオンの有する消臭効果、洗浄効果、除菌効果等を利用した家庭用電気機械器具をはじめとする各種商品が市場に多数出回り、この種商品の効能等について「イオンパワー」、「イオンの力」なる語が使用されていた事実を認めることができるものであり、「イオンの力」なる意味合いを想起させる「イオンパワー」の文字及びその欧文字表記である「ION POWER」の文字よりなる本件商標からは、「イオンのもつ消臭効果、洗浄効果、除菌効果等の効果を利用した商品」であるとの意味合いを表したと認識するに止まるものと認められること上記第3の取消理由で述べたとおりである。
そして、商標が商標法第3条第1項第3号にあたるものかどうかの判断は、当該商標とその属する指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、これらの各登録例が存在するという事実をもって、本件商標が同号に該当することを否定することはできず、また、本件商標についての同号該当性の判断が、これらの各登録例に拘束されるものでもないから、商標権者の主張は採用し難い。
したがって、本件商標は、上記第3の取消理由により、その指定商品中、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわなければならないから、同法第43条の4第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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