Trademark Appeal Case
地名と一般名称の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2005−60082(T2005−60082/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第2100539号商標(以下「本件商標」という。)は、「大江戸」の漢字を縦書きにしてなり、昭和61年10月17日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同63年12月19日に設定登録されたものである。
2 イ号標章
菓子に使用されていると請求人が述べる商標(以下「イ号標章」という。)は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなるものである。
3 請求人の主張
請求人は、商品「菓子、パン」について使用するイ号標章は、商標登録第2100539号の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由を次のように述べ、参考資料(別掲(2)のとおり)を提出した。
被請求人「株式会社大心堂雷おこし」は、菓子に「大江戸みやげ」と表示して、堂々と売っている。東北自動車道パーキングエリヤ売店にて「大江戸」を意識して販売している。
請求人は、「菓子」に「大江戸」を使用することには強く反対を主張する。
4 被請求人の答弁
被請求人は、商品「雷おこし」に使用するイ号標章は、商標登録第2100539号の商標権の効力の範囲に属しない、との判定を求める旨答弁し、その理由を次のように述べ、乙第1号証ないし乙第58号証を提出した。
(1)本件商標及びイ号標章について
本件商標は、「大江戸」の漢字を縦書きして旧第30類「菓子、パン」を指定商品とするものである(乙第1号証)。
一方、被請求人が、商品「雷おこし」に使用するイ号標章は、請求人の提出に係る参考資料によれば、被請求人が商品「雷おこし」に使用している栞(商品の案内書)であって、2個の標章が記載されており、一つは、白色の紬線で縁取りした黒塗りの正方形を描き、その中に白色で縁取りした「雷」と「おこし」の文字を2行で配し、その正方形の右側に「大江戸みやげ」の文字を縦書きし、さらに、その下段に「大心堂雷おこし」の文字を横書きしてなるものである。もう一方は、雷おこしの栞であり、その栞の左側には白色の細線で縁取りした正方形の中に黒塗りの正方形を描き、その中に白抜きの「雷」と「おこし」の文字を2行に配し、その下に雷とおぼしき図形を2個描き、さらに、その下段に「大心堂雷おこし」の文字を横書きしてなるものであり、その栞の右側には雷おこしの説明書と附記的な文字等を書してなるものである。
(2)イ号標章が商標権の効力の範囲に属しない説明
イ号標章の構成は上記したとおりであるところ、その構成中の正方形図形内に書された「雷おこし」の文字は、「おこし」を長方形または梅の実大の球に固めた菓子。江戸浅草雷門前で売ったからという(乙第2号証 広辞苑)。また、審決例においても、「雷おこし」は、江戸時代の末期とくに文政から弘化年代にかけてすでに江戸浅草の名物ないし浅草寺参詣みやげとして、江戸の民衆の間に広く知られ、明治から昭和1 0 年代にかけても浅草寺仲見世を中心とする雷門附近で不特定多数の業者の競業により製造販売され、庶民的な東京名物の一つとして日本全国に周知され親しまれるにいたったのであって、当該取引業者たると需要者たるとを問わず「雷おこし」の名称をもって、何人か特定の業者の商品にのみ用いられるべき商標であると認識する者はなく、古くから浅草雷門附近で名物として、かかる商品に附して自由に使用される語であると一般に認識されるにいたったというべきであり、「雷おこし」の語はおこしの一種である商品の普通名称として広く認識されているものと解するのが相当であると審決している(乙第3号証 昭和35年審判第574号、乙第4号証 昭和34年審判第312号)。
以上のことから「雷おこし」は「おこし」の一種である商品の普通名称として広く認識され使用されているものである。
次に、「大江戸みやげ」の文字についてみると、「大江戸」の文字は「江戸の美称」を意味するものであり(乙第5号証 広辞苑)、「江戸」の文字は「東京の旧名」の意味で広く一般に知られているものである(乙第6号証広辞苑)。また、「みやげ」の文字は「旅先で求め帰りに人に贈る、その土地の産物」を意味するものとして一般に親しまれて使用されているものである(乙第7号証 広辞苑)。
しかして、両語を結合してなる「大江戸みやげ」の文字に接する取引者、需要者は一連不可分の語よりなる「江戸(東京の旧名)のみやげ」の意味合いを直感して認識し把握されるものとみるのが自然であり、これを殊更に「大江戸」と「みやげ」の文字部分に分離して観察しなければならない特段の事情も見出せないところであるから、「大江戸みやげ」の文字は、商品の産地、品質を表示するにすぎないものと認識し理解されるものと認められる。 そうとすれば、イ号標章の「雷おこし」の文字と「大江戸みやげ」の文字に接する取引者、需要者は、「おこしの一種である商品の普通名称」と「商品の産地、品質を表示するもの」よりなるものと理解し、これより「江戸(東京の旧名)のみやげの雷おこし」の意味合いを生ずるものと認識して、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認識し把握されるものと認められる。また、両者ともに普通に用いられる方法で表示されているものと認められる。
ところで、イ号標章の主要部で自他商品の識別力を有する部分は、「大心堂雷おこし」の文字と「雷とおぼしき図形」に有するものである(乙第8号証 商標公報)。
してみれば、イ号標章中の「大江戸みやげ」の文字は商品「雷おこし」の産地、品質を表示するにすぎないものと認められるものであり、その使用態様も普通に用いられる方法で表示してなるものであるから、商標法第26条第1項第2号に該当するものと認められる。
したがって、被請求人が商品「雷おこし」に使用するイ号標章は登録第2100539号の商標権の効力の範囲に属しないものである。
5 当審の判断
(1)イ号標章について、被請求人は、請求人の提出した参考資料に表示された商標をイ号標章として答弁しているが、上記2のとおり、漢字で縦書きに表された「大江戸みやげ」とし、また、使用に係る商品は、「雷おこし」とするものである。
したがって、イ号標章は、商品「雷おこし」について使用する商標「大江戸みやげ」と特定した上で、以下判断することとする。
(2)本件商標とイ号標章の類否についてみると、本件商標は、上記1のとおり「大江戸」の文字を縦書きしたものであって、これより「オオエド」の称呼を生ずるものである。また、「大江戸」は「江戸の美称」を意味し(広辞苑第五版)、「江戸」は「東京の旧名」(広辞苑第五版)を表すから、本件商標よりは、「東京(江戸)」を観念するものである。
他方、イ号標章は、別掲(1)のとおり「大江戸みやげ」の文字よりなるものであるところ、全体としてまとまりよく一体的に表されているばかりでなく、その構成中「大江戸」の文字は、上記のとおり「東京(江戸)」を観念するものであり、また、「みやげ」の文字は、「旅先で求め帰り人に贈る、その土地の産物」を意味する(広辞苑第五版)語であるから、その構成とも相俟って、「東京(江戸)のみやげ(土産)」の一連の親しまれた観念を生じるものである。さらに、これより生じる称呼も冗長でもなく、一連に称呼し得るものであり、その一体の構成及び一連の観念とも相俟って、「オオエドミヤゲ」の一連の称呼のみを生ずるものである。そして、他に、イ号標章の「大江戸」の文字部分のみが、特に注目をひき独立して認識され、分離して観察されるべき特段の理由は見出し得ないところである。
そうすると、本件商標とイ号標章とは、「東京(江戸)」と「東京(江戸)のみやげ(土産)」の観念及び「オオエド」と「オオエドミヤゲ」の称呼において、顕著に相違すること明らかであり、観念及び称呼において非類似のものであるといわざる得ない。
また、外観においても、それぞれの構成上記のとおりであるから、類似しないこと明らかである。
してみれば、本件商標とイ号標章とは、観念、称呼及び外観のいずれの点においても、明確に相違する非類似の商標であり、他に、両者を類似とすべき理由は見出せない。
(3)したがって、被請求人が商品「雷おこし」に使用するイ号標章は、本件商標と非類似のものであるから、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものといわなければならない。
よって、結論のとおり判定する。
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