Trademark Appeal Case
欧文字造語の称呼認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−18985(T2002−18985/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「VECTORONE」の欧文字を横書きした構成よりなるものであり、第9類「携帯電話・その他の無線通信機械器具の利用者の現在地を表示するための携帯電話・その他の無線通信機械器具のハードウェア又はソフトウェアに組み込まれる電子コンパス,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,測定機械器具」を指定商品として、平成13年7月30日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標の拒絶の理由に引用した登録第1776856号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(1)のとおり「VECTORON(「T」と「R」の文字は若干図案化されている。)」の欧文字を横書きしてなるものであり、昭和55年10月28日に登録出願、第10類「空間座標測定用機械器具,その他の測定機械器具,その他本類に属する商品」を指定商品として、同60年6月25日に設定登録され、その後、平成7年9月28日及び同17年4月12日に商標権存続期間の更新登録がなされ、同年5月18日に、第9類「理化学機械器具,光学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,測定機械器具」及び第10類「医療用機械器具」とする指定商品の書換登録がなされているものである。
同じく、登録第2722011号商標(以下「引用B商標」という。)は、「VECTRON」の欧文字を横書きしてなるものであり、平成2年2月22日に登録出願、第11類「電気機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。),電気材料」を指定商品として、同9年6月6日に設定登録され、その後、商標権の一部放棄により指定商品中「電線,ケーブル(光ファイバー・光ファイバーケーブルを含む。),電気材料」については、同10年8月10日に抹消登録されている。
3 当審の判断
(1)本願商標の外観及び観念について
本願商標は、上記のとおり「VECTORONE」の欧文字よりなるところ、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさで等間隔に表されていて、外観上纏まりよく一体的に看取し得るものであり、かつ、その綴りをもって我が国において馴染まれた外国語ともいい得ないから、特定の意味合いを有しない造語商標として把握されるというべきである。
(2)本願商標の称呼について
欧文字表記からなる造語商標の称呼にあっては、一般的に格別の事情がない場合、ローマ字風の読みないし我が国において慣れ親しまれた英語あるいはその他の外国語の読みに倣って称呼されるものとみて差し支えないものである。
そこで、本願商標の構成文字「VECTORONE」をみるに、上述のとおり、かかる構成文字は一体的に看取し得るものであり、これに接する取引者、需要者は、次に示す請求人(出願人)主張の如く常に「VECTOR」と「ONE」とに分かちみてのみ商取引に資されるものとは直ちに認定し難く、むしろ、任意に冒頭から「VEC」「TO」「RONE」のように音節(シラブル)に分かちみて「ベクトロン」のように称呼する場合があること決して少なくないというのが相当である。
(3)請求人(出願人)の主張について
請求人(出願人)は、請求人(出願人)が「CDMAONE(CdmaOne)」という通信サービスを行っていることは周知な事実であり、出願や登録された商標の語尾も「ONE」の欧文字とすることを特徴としていること」、「携帯電話の電子コンパス機能に「VectorOne」の欧文字を付して実際に使用していること」及び「本願商標の構成文字中にはその指定商品中の「電子コンパス」とは「進路」の意味を有することにおいて関係のある「Vector」の欧文字を含んでいること」等を述べて、本願商標中から該欧文字を抽出することは十分に可能であるから、本願商標は「Vector」と「One」の欧文字の結合語として「ベクターワン」の称呼のみが生ずる。」旨を主張している。
確かに、本願商標構成文字中の「VECTOR」の文字部分を分離し抽出してみれば「vec・tor」の見出し語の下、別掲(2)に示す発音記号の様に「ベクター」と発音されること必ずしも否定するものでない。しかし、英和辞典でその意味等の解説において「1〔数〕ベクトル、方向量;動径・・・」の記載が認められ(新英和中辞典 第4刷:株式会社研究社発行)、また、カタカナ語辞典(最新カタカナ語辞典 有紀書房発行)において、「ベクトル」の見出し語の下、上記英和辞典と同様の語[vector]の記載が認められるところである。してみると、「電子コンパス」が「進路」の意味を有し、これより「vector(VECTOR)」の英単語をあるいはその逆を連想して、常に「ベクター」読まれるものと俄に認め難いばかりでなく、請求人(出願人)の行う上記通信サービス等に使用される構成態様は、「cdmaOne」、「gpsOne」の構成態様をもって使用されているように「O」の欧文字のみを大文字で表し、他の構成文字を小文字で表すことによって、語尾の「One」の文字部分が、他の文字部分から分離され、強調されるような構成態様で使用されているというのが実情である。また、請求人(出願人)の商標が、語尾に、「ONE」の文字を使用して出願、登録されているとしても、上記商標は、本願商標とは、その構成態様、指定商品(指定役務)等を異にするものであり、本願指定商品についての使用状況等も明らかでないから、このことをもって、本願商標に接する一般の取引者、需要者が、これを請求人(出願人)の取り扱いに係る商標であると看取し、常に「VECTOR」と「ONE」の語を結合した商標としてのみ捉えるとはいえないものである。
そして、「VectorOne」の欧文字が請求人(出願人)他の開発した技術名として用いられている事情があるとしても、該欧文字の構成態様は、本願商標とはその構成態様(二語の結合であると理解する上での構成態様)を異にするばかりでなく、平成14年5月7日付けの意見書で、「この技術は、現時点では松下通信工業製のau携帯端末「C3003P」にのみ搭載されている。」と述べているように、その使用例が僅少なことからみて、該技術名が周知なものとなっているとは認め難いものであり、たとい「VECTOR」の文字(語)が「進路」の意味を有するとしても、その指定商品中の「携帯電話・その他の無線通信機械器具の利用者の現在地を表示するための携帯電話・その他の無線通信機械器具のハードウェア又はソフトウェアに組み込まれる電子コンパス」と直接的に関係のある語であるということは俄に認め難いところである。
そうしてみると、外観上纏まりよく一体的に看取し得る本願商標「VECTORONE」を「VECTOR」と「ONE」とに分断し、常に「ベクターワン」のみの称呼が生じるとの請求人の主張は採用することができない。
(4)引用商標について
他方、引用A商標及び引用B商標は、上記のとおりの構成よりなるところ、両商標は、いずれも本願商標と同様に特定の意味合いを有しない造語商標として把握されるものであるから、引用A商標は、任意に冒頭から「VEC」「TO」「RON」のように分かち「ベクトロン」の称呼を生ずるといえるものであり、また、引用B商標は、「VECT」「RON」のように分かち「ベクトロン」の称呼を生ずるといえるものである。
(5)本願商標と引用商標との類否について
(ア)外観上の類似
上記のとおり、本願商標と引用A商標とは、構成各欧文字「V」「E」「C」「T」「O」「R」「O」「N」の綴りを同一にし、唯一異なる「E」の欧文字も比較的印象の薄い語尾に位置していることから、これを時と所を異にして離隔的に観察する場合には、外観上紛らわしいものであり、同じく、本願商標と引用B商標とは、構成各欧文字「V」「E」「C」「T」「O」「R」「O」「N」の綴りを同一にし、異なる「O」と「E」の欧文字も比較的印象の薄い中間及び語尾に位置していることから、これを時と所を異にして離隔的に観察する場合には、外観上紛らわしいものである。
(イ)称呼(観念)上の類似
上述のとおり、本願商標、引用A商標及び引用B商標からは、いずれも「ベクトロン」の称呼が生じるものであり、また、これらはいずれも観念上において相違点を格別強調すべき理由のない造語であるから、それぞれより生ずる「ベクトロン」の称呼を共通にする称呼類似の商標であるといわなければならない。
(ウ)商品の類似
本願の指定商品は、引用A商標及び引用B商標の指定商品と同一又は類似の商品を包含しているものである。
4 結語
以上のとおり、本願商標と引用A商標及び引用B商標とは、外観及び称呼において類似する商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、これを理由として本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
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