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Trademark Appeal Case

著名人氏名と公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2003−23901(T2003−23901/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「野口英世」の文字を標準文字で書してなり、第16類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年3月11日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年9月16日付け手続補正書をもって、第16類「文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,写真立て」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、1928年に死亡した福島県生まれの有名な医学博士『野口英世』の文字よりなるが、その者の遺族等の承諾を得ているものとは認められないから、本願商標を登録し使用することは穏当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項第7号について

「世界的に著名な死者の氏名を遺族と何ら関係を有しない者が遺族等の承諾を得ることなく、商標として登録することは、故人の名声、名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして、公の秩序又は善良の風俗を害するものといわざるを得ない。」と解される(東京高裁 平成13年(行ケ)第443号判決 平成14年7月31日判決言渡参照)。

2 これを本件についてみるに、本願商標は、「野口英世」の文字を標準文字で表してなるところ、野口英世は、世界的に有名な細菌学者であり、梅毒スピロヘータの純粋培養に成功したことや黄熱病研究に尽力したこと等で知られる人物であり、近時においては、その業積等を讃えて我が国の通貨(1000円紙幣)に肖像が採用されていることは遍く知られているところである(審査甲第2号証)。

そして、「野口英世」は、野口英世博士の氏名として、我が国の一般世人にも広く知られているものであり、これに止まることなく、世界的にもその業績とともに著名であるといえる。さらに、野口英世博士の業績を讃え、あるいは、その業績や遺志を引き継ぐ事業や団体等が国内外に実在することもまた知られたところである(たとえば、野口英世記念財団(http://www.noguchi-hideyo.com/hideyo/index.html)、野口英世記念館(http://www.noguchihideyo.or.jp/)、野口医学研究所(http://www.noguchi-net.com/))ことからも、同人は、世界的に有名な細菌学者として著名な存在であり、その死亡時から査定時及び今日においても、その著名性が継続していると認められる。

3 そこで、本件の請求人(出願人)と前記野口英世博士との関係についてみるに、両者が何らかの関係を有する者であると認め得る証左はなく、また、当該氏名の出願や登録に関して、何らかの承諾等を得た者であるともいえないものであるから、本件の請求人(出願人)は、故野口英世博士とは何ら関係を有することのない者といわざるを得ない。

4 してみれば、本願商標は、指定商品の取引者、需要者に故野口英世博士の氏名を表す文字よりなるものと容易に認識させるものであるから、遺族等の承諾を得ることなく本願商標を指定商品について登録することは、著名な死者の名声に便乗し、指定商品についての使用の独占をもたらすことになり、故人の名声・名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるといわざるを得ないものである。

なお、請求人(出願人)は、登録例を挙げて、本願商標も同様に登録されて然るべきであると主張する。

しかしながら、本号に該当するか否かは、査定時又は審決時において、それぞれ個別具体的に判断されるべきものであり、例えば、請求人(出願人)の主張する登録第4195559号(審判甲第2号証)「福沢諭吉」は、無効審判(無効2004−89021)によって、商標法第4条第1項第7号により無効になっていること、及び登録第2685845号(審査甲第11号証の1)「ダリ DALI」と同様な標章「ダリ DARI」(登録第3370476号商標)が、前述のとおり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものと判示されていることからも、登録例によって本件の判断を左右され得ないことを窺うことができる。

したがって、請求人(出願人)の主張は採用できない。

5 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり、審決する。

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