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Trademark Appeal Case

指定商品と使用実態

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−30660(T2005−30660/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2635172号商標(以下「本件商標」という。)は、「ステリア」の片仮名文字を横書きしてなり、平成3年12月27日に登録出願、第10類「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するもの及び電気磁気測定器を除く)医療機械器具、これらの部品及び附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、同6年3月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「医療機械器具及び医療機械器具の部品及び附属品」について、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第7号証(枝番を含む。)を提出した。

1 請求の理由

本件商標の使用について調査したところ、本件商標の商標権者は、少なくとも過去3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品中、「医療機械器具及び医療機械器具の部品及び附属品」について使用している事実が認められない。

また、本件商標については、専用使用権又は通常使用権の設定登録もなされていない(甲第2号証)。

よって、本件商標は、商標法第50条の要件に該当するものであり、その登録の取り消しを免れないものである。

2 答弁に対する弁駁

乙各号証によっては、本件商標が本件取消請求に係る指定商品について使用されている事実は、証明されていないというべきである。

(1)乙第1号証には、確かに、本件商標「ステリア」と同一といえる文字が包装箱の蓋面に表示されているが、包装箱の蓋面には、「血算」及び「EDTA−2K」の各表示があり、この表示は、本件商標の使用商品を特定しているものと理解・認識させるものである。

そこで、この「血算」及び「EDTA−2K」の各表示の意味する内容についてみるに、「EDTA−2K」は、被請求人が述べているように、「EDTA」は薬品といえる「エチレンジアミンテトラ酢酸」の略称として用いられているものであり、「K」の部分は「カリウム」を表していると容易に理解・認識させるものである。また、「血算」の文字は、「医学生物学大辞典」の第684頁(甲第3号証)の「血算」の項には、「赤血球の算定」とある。

したがって、「EDTA−2A」の表示及び「血算」の各表示からすると、この乙第1号証の包装箱の中味の商品は、その実質は、採血管に注入されてある「薬剤(血液検査用試薬)」であるとみるのが、この種商品の取引の実情からみて自然である。

そして、乙第1号証の包装箱の写真において、「使用上の注意」として、「採血管は横倒しにしないで下さい。」と記載されているが、この「採血管」の表示は、本件商標の使用商品との関係で問題となっている商品の普通名称を表示しているのではなく、単に、乙第1号証に係る物品が採血管に注入されてある「薬剤(血液検査用試薬)」であるため、この物品「試薬」の容器の取り扱いについて記述したにすぎないと理解・認識させるとみるのが自然である。

なお、被請求人は、「採血管」が本件取消請求に係る商品「医療用機械器具」に属する商品であることを証明するために、乙第2号証を提出しているが、そもそも、乙第1号証に係る物品は、その実質においては、「血液検査用試薬」というべきものであるから、「採血管」が「医療機械器具」に属するかどうかを問題にすることには意味がないというべきである。

以上のように、本件商標は、被請求人が提出した乙各号証によれば、本件商標の指定商品に含まれない物品「血液検査用試薬」について使用されていると推認されるにすぎないものである。

なお、念のために、乙第1号証の2に表示されてある「製造番号」の右側に表示された「5.2.28」について検討すると、この「5.2.28」の表示が被請求人の主張するように、仮に、製造年月日の表示であるとして、「使用期限」の表示の右脇にある「7.2.28」の表示からすると、少なくとも、この乙第1号証の物品の使用期限は2年間ということになる。この使用期限は、被請求人が主張するような「容器」の使用期限としては不自然であるばかりでなく、各種医薬品についての一般の使用期限に照らしてみると、2年という使用期限は、医薬品(薬剤)については妥当な年数であることが分かる(甲第5号証参照)。また、この「5.2.28」の数字部分の「5」が被請求人が主張するように、西暦の2005年であることを客観的に証明する証拠方法は何ら添付されていないので、この点に関する請求人の主張は客観的に裏付けられたものとはいえない。

したがって、乙第1号証の1及び同2によっては、本件商標と同一の文字が、本件取消請求の登録前3年以内に被請求人の主張する年月日に使用されているということさえ証明されてはいない。

(2)乙第3号証によれば、乙第1号証と同じ商品を平成17年4月26日、平成17年5月2日及び平成17年5月26日に「受領したことに相違ありません。」とする内容が記載されている。

しかしながら、この書面の作成者として表示された株式会社セイキ・ダイヤがこの書面の作成日として記載した日付は、平成17年9月2日となっており、これは、本件取消審判請求日の後である。被請求人が主張するように、乙第1号証に係る物品がいわゆる商標法上の商品として通常の取引がされていたのであれば、株式会社セイキ・ダイヤから被請求人宛の注文書や納品書のような、取引の事実を直接的に証明する証拠方法が提出されてしかるべきである。

(3)さらに、当該株式会社セイキ・ダイヤの主たる業務は、インターネット情報(甲第6号証)によれば、医療用機器のメーカーである。医療用機器のメーカーである株式会社セイキ・ダイヤがわざわざ被請求人から、被請求人の主張するような「血算」用の「検体検査用容器」を購入する合理的理由は見当たらない。その上、被請求人のインターネットのホームページ(甲第7号証の1)によれば、被請求人の事業内容は、「主に臨床検査業務を中心として、他に環境分析・食品の成分分析・医薬品などの安全性評価に関する試験、健診業務、臨床検査に関する情報処理システムの開発などを受託」とあり、「医療用機器」が具体的には示されてない。この点からみても、乙第1号証に示された物品は、被請求人が主張するような「検体検査用容器(血算)」として商取引の対象となっているのではなく、むしろ、その実質は、血算用の「血液検査用試薬」であり、かつ、試供品として、株式会社セイキ・ダイヤに無償で配布されたものと推認するのが自然である。

(4)最後に、乙第1号証の2には、「使用上の注意」として、「薬剤がキャップに付着している場合は、・・・」として、この乙第1号証に係る物品は、空の容器ではなく薬品が入っていることを示している。このことは、この乙第1号証に係る物品が容器に入った「血液検査用試薬」であると推認されるに充分であることを如実に示しているものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証の1ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出した。

被請求人は、審判請求日である平成17年6月6日以前から現在も、本件商標を「医療用機械器具」について継続して使用をしている。

すなわち、本件商標は、血液検査における検体検査用容器(採血管)について使用されており、その証明として、同容器の包装箱写真を乙第1号証の1及び乙第1号証の2として提出する。同号証の1の包装箱上蓋には、「ステリア(マルR)血算」「EDTA−2K」「50本入」「三菱化学ビーシーエル」と表示されている。「三菱化学ビーシーエル」は、本件商標権者の略称であり、包装箱の中身の製造販売業者を表している。

乙第1号証の2は、乙第1号証の1の包装箱の右側面の拡大写真で、そこには「EDTA−2K」「採血量2ml」「コード番号MP−052G」「製造番号5.2.28」「使用期限7.2.28」の文字が上下並行して記載されている。包装箱後面側には、「使用方法」、「使用上の注意」が記載されている。「使用上の注意」においては、「採血管は横倒しにしないで下さい」という表示がなされており、包装箱の中身が採血管であることを明示している。この採血管は、血液検査のための検体用血液の保存専用容器として用いられるものであるから、第10類「医療用機械器具」の中の「診断用機械器具」に属するものといえる(乙第2号証参照)。

包装箱上蓋並びに右側面に記載されている「EDTA−2K」の文字のうち、「EDTA」はエチレンジアミンテトラ酢酸の略称として一般に用いられており、文字「2K」の「K」はカリウムを表す。「EDTA−2K」は、検体の血液の凝固を防ぐための薬剤として採血管に予め注入される。

また、上記の製造番号の記載について説明すると、「5.2.28」と印字されているが、この表記は、製造番号の表示ではあるが、製造年月日を表すものである。製造番号の下に使用期限という記載が併記され、使用期限の記載の横に「7.2.28」という印字が製造番号の「5.2.28」の印字の下に記載されていることから、製造年月日と使用期限とを対応させていることが十分推認できる。この使用期限は、検体血液の凝固防止剤「EDTA−2K」の経時的変質と採血管の経時的変質を考慮して設定されている。すなわち、「5.2.28」は、2005年2月28日を表し、「7.2.28」は、2007年2月28日を表している。

さらに、本件商標に係る商品「検体検査用容器」は、正規に取引されており、その証明として購入者からの受領証明書を乙第3号証として提出する。同書において、株式会社セイキ・ダイヤは、乙第1号証の1に表示の商標と同一の商標「ステリア」の商品「検体検査用容器(採血管)」を平成17年4月26日、平成17年5月2日、平成17年5月26日に受領したことを認めている。これらの日付が本件審判の請求日である平成17年6月6日前3年以内のものであることはいうまでもない。

本件商標は、永年にわたり継続使用されているので、購入者からの使用証明を多数必要とあれば、各購入者に証明を依頼することをいとわないが、上述の内容及び証明書により、審判請求の登録日前3年以内の使用を立証したものと思料する。

第4 当審の判断

(1)当事者の提出に係る証拠によれば、以下の事実を認めることができる。

乙第1号証の1は、包装箱の全体を写した写真であり、乙第1号証の2は、その包装箱の右側面及び背面部分の拡大写真と認められるものである。

乙第1号証の1によれば、包装箱の上蓋部分に、「ステリア血算(ステリアの文字の右肩に小さく「マルR」が付されている)」、「EDTA−2K」、「50本入」、「三菱化学ビーシーエル」の各表示があり、前面及び側面には、「血算」の文字が表示されている採血管と思しき図形が描かれている。また、乙第1号証の2によれば、包装箱の側面部分に、「EDTA−2K」、「採血量2ml」、「コード番号MP−052G」の表示とともに、「製造番号」及び「使用期限」の文字が上下並行して記載されており、その右方のやゝ離れた所に、「5.2.28」及び「7.2.28」の数字が上下並行に表示されている。そして、包装箱の背面部分の「使用方法」の欄には、「必要量(2ml)を採血しキャップを閉めて直ちにゆっくり5〜6回転倒混和して下さい。」と記載されており、「使用上の注意」の欄には、「採血量は2mlを入れて下さい。採血管は横倒しにしないで下さい。」等と表示されている。

乙第2号証は、特許庁IPDLの「商品・役務名リスト」であり、「採血管」が第10類の「医療用機械器具」(類似群10D01)に属していることが示されている。

乙第3号証は、平成17年9月2日付けの株式会社セイキ・ダイヤからの受領証明書であり、同書面には、別添商標「ステリア」の商品「検体検査用容器(血算用)」を平成17年4月26日、平成17年5月2日、平成17年5月26日に受領したことに相違ありません旨記載されており、乙第1号証と同様の商品の写真が添付されている。

甲第3号証は、株式会社メヂカルフレンド社発行の「医学生物学大辞典」であり、その「血算」の説明には「赤血球の算定」と記載されている。

(2)上記において認定した事実に被請求人の主張を総合してみれば、被請求人は、検体の血液の凝固を防ぐための薬剤である「EDTA−2K」(「EDTA」は、エチレンジアミンテトラ酢酸の略称であり、例えば、南山堂発行の「医学大辞典」には、抗凝血作用等を目的として用いられる旨の記述がある。また、「2K」の「K」はカリウムを表している。)が注入されている「赤血球の算定」用の採血管の50本入り包装箱に、「ステリア(マルR)」と表示して、本件商標の使用をしていたものということができる。

また、包装箱に表示されている「製造番号」の右に表示されている「5.2.28」の数字は、その下部に表示されている「7.2.28」の「使用期限」の表示と併せみれば、被請求人が主張しているように、「製造番号」ではなく、「製造年月日」を表したものとみるのが自然であり、近年、西暦表示が多用されている実情からみれば、「5.2.28」の表示は、「2005年2月28日」を表しており、「7.2.28」の表示は、「2007年2月28日」を表しているものとみるのが相当である。

そして、該採血管は、血液検査のための検体用血液の保存専用容器として用いられるものと認められるから、取消請求に係る「医療機械器具及び医療機械器具の部品及び附属品」の範疇に属する商品と認められるものである。

以上を総合し、これに乙第3号証の株式会社セイキ・ダイヤからの受領証明書をも併せみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成17年6月22日)前3年以内である2005年(平成17年)2月28日の製造に係る採血管の50本入り包装箱に本件商標を表示して、取引に供していたものとみるのが相当である。

(3)請求人の主な反論について

この点について、請求人は、乙第1号証における「EDTA−2A」の表示及び「血算」の各表示からすると、この包装箱の中味の商品の実質は、採血管に注入されてある「薬剤(血液検査用試薬)」というべきものである旨主張している。

確かに、各種要素の複合した商品が数多くあり、商品を構成するいずれの要素にその商品の主眼があるのか検討を要する場合のあることを否定するものではない。

しかしながら、本件使用商品についてみるに、請求人の主張するように、該商品の実質が「薬剤(血液検査用試薬)」にあったとしても、前記認定のとおり、乙第1号証の包装箱の背面に記載の「使用方法」の欄には、「必要量(2ml)を採血しキャップを閉めて直ちにゆっくり5〜6回転倒混和して下さい。」と記載されており、また、「使用上の注意」の欄には、「採血量は2mlを入れて下さい。採血管は横倒しにしないで下さい。」等と表示されていることからみれば、乙第1号証の商品は、単なる血液の凝固防止剤の容器ではなく、血液の凝固防止剤が注入されている「採血管」として製造・販売されているものであることは疑いのないところといわなければならない。効率化が求められている医療現場においては、採血の都度、採血管に血液の凝固防止剤を注入するより、予め、血液の凝固防止剤が注入されている採血管が製造・販売され、使用されているであろうことは容易に推認し得るところである。

そして、現実に使用されている商品は、商標法におけるいずれの商品類似群に属するかについて、その判断が極めて困難な商品も存するのが実情であり、特に、不使用取消審判の場においては、登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが真に複数の商品類似群に属する多面性を有する商品であれば、当該複数の商品類似群に属する商品について登録商標が使用されているものと扱っても差支えないというべきであり、このように解しても、不使用取消審判制度の趣旨に反することにはならないものというべきである。

そうとすれば、被請求人の取り扱いに係る商品は、あくまでも、血液の凝固防止剤が注入されている付加価値の付された「採血管」として製造・販売されていたものというべきであるから、これは、取消請求に係る「医療機械器具及び医療機械器具の部品及び附属品」の範疇に属する商品として使用されていたものといわなければならない。

また、請求人は、包装箱に記載されている「使用期限」について、2年というのは「容器」の使用期限としては不自然である旨主張しているが、採血管に注入されている凝固防止剤の経時的変質との関係からみれば、そのような採血管自体の使用年限が2年であるのも首肯し得るものである。

さらに、請求人は、乙第3号証についても言及しているが、確かに、乙第3号証のみをもって、使用の事実を認定するには、その記述に些か不明瞭な点があるとしても、乙第1号証により認定し得る使用の事実を補強する資料としての価値は認められるものである。

そうしてみると、請求人の上記主張は、いずれも理由のないものというべきである。

(4)まとめ

してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を取消請求に係る「医療機械器具及び医療機械器具の部品及び附属品」の範疇に属する「採血管」について使用していたものといわなければならない。

したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る「医療機械器具及び医療機械器具の部品及び附属品」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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