Trademark Appeal Case
固めてポイの識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−2582(T2004−2582/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「固めてポイ」の文字を標準文字で表してなり、第7類「家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」を指定商品として、平成15年6月5日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶理由の要旨
原査定は「本願商標を構成する「固めてポイ」については、各種商品を使用した結果出るゴミや廃材の処理において、「固めて捨てる」という意味を表すときに使用されているものと認められ、本願の指定商品の中には、例えば、家庭内のちり、ほこりなどを清掃し、ごみとして処理するための「家庭用電気掃除機」が含まれていることを考慮すると、当該表示は商標として認識されるというより、前記商品の取扱いの方法に関しての表示として認識されるものであり、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標「固めてポイ」がその指定商品中「家庭用電気掃除機」について、商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、インターネット情報および新聞記事情報として以下の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知した。
1.インターネット情報
(1)株式会社サイクロンジャパンのホームページにおいて、同社の電気掃除機「ファインサイクロン」の製品紹介では「サイクロン掃除機だからいいこといっぱい/■ゴミ捨てはそのままポイ/紙パックの処理がわずらわしかった従来タイプに比べ、ファインサイクロンは透明シリンダーにたまったゴミをポイと捨てるだけです。」との記載がある。(http://www.cyclone.co.jp/txt/fine_cyclone.html)
(2)株式会社日立製作所のホームページにおいて、同社のクリーナー(サイクロンタイプ)の製品紹介で「パワフルスタミナ構造」の説明として「「たつまき旋回流」でまき上げたごみを、メイン吸引で空気と分離。さらに、サブ、センターを加えた「トリプル吸引システム」で微細なチリまできちんとキャッチ。メイン吸引部フィルターの目詰まりを抑え、パワーを長持ちさせます。また、キャッチしたごみは強力「ごみプレス」によりたっぷり集じんします。」との記載がある。(http://kadenfan.hitachi.co.jp/clean/lineup/sj10/cvsj_01.html)
(3)三洋電機株式会社のホームページにおいて、同社のサイクロン式掃除機の製品紹介で「クリーナー/SC−XW33G(W)」の説明として「ごみプレス方式」の記載がある。(http://www.e-life-sanyo.com/products/sc/SC-XW33G_W/index.html#)
(4)三菱電機株式会社のホームページにおいて、同社のサイクロン式掃除機の製品紹介で「お手入れすっきり!」の見出しのもと「お手入れの面倒さは、サイクロン掃除機の課題でした。/捨てる/ゴミが飛び散りにくい自動圧縮機能で、ゴミはひとまとまりに。ポイッとカンタンに捨てられます。」の記載がある。
(http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/cleaner/index.html)
(5)関西電力株式会社が運営するインターネット会員向けのホームページ『かんでんイーパティオ/e-Patio 』では、「生活情報/サイクロン掃除機でお掃除をブラッシュアップ! 」としてサイクロン式掃除機の特徴を紹介する記事の中で「ヒミツ5・・・圧縮機能でゴミ捨てもラクラク/最近では、溜まったゴミを圧縮する機能が付いているタイプがほとんど。たびたびゴミ捨てる手間が省けるだけでなく、ホコリが散らばりにくく、ゴミ捨てもうんとラクに。」との記載がある。
(http://www.fururu.net/e-patio/category/living/1112858265/)
2.株式会社ジー・サーチの提供する新聞記事情報データベースの情報
(1)2003年7月9日付け毎日新聞(東京朝刊)の8頁には、「“竜巻式”掃除機、売れてます 国内6社、新製品続々−−4年で200万台市場」の見出しの下に「サイクロン方式は、吸引力が強く、ごみがたまっても力が衰えないのが特徴。ごみは強力圧縮してそのまま捨てられ、紙パックも不要。英ダイソン社が99年に発売し、高価格ながら人気を得た。国内メーカーは、シャープが00年に初参入、東芝などが続き、昨年8月に日立が加わり6社が出そろった。」との記載がある。
(2)2001年12月9日に共同通信が配信した記事として「「生活=暮らしのアドバイス」ほうきを見直す」の見出しの下に「掃除機の性能には付加価値がつき、ダニも吸引してしまう強力なものや、集めたごみの量が見えて、ポイっと捨てられるものなどが売れているそうです。」との記載がある。
3.以上のような情報を勘案すると、本願の指定商品中「家庭用電気掃除機」との関係においては、以下のような事実が認められる。
(1)掃除機の機能として「排出されるゴミを圧縮する(固める)機能」を有するものが多数の企業から販売されていること。
(2)掃除機のゴミを簡単に捨てられる表現として「ポイ」という言葉が使われていること。
(3)これまでの紙パック方式に加えて、吸入したゴミを遠心力によって分離するいわゆる「サイクロン式」の掃除機が最近人気を博していること。
そうすると、本願商標「固めてポイ」の「ポイ」は「軽く捨て、また投げなどするさま。「紙をまるめて―と捨てる」」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味を有することから、これをその指定商品中「家庭用電気掃除機」に使用するときには、単に「排出されるごみを圧縮して簡単に捨てられる」と言う意味合いを理解するに止まり、掃除機の一機能を端的に表した一種のキャッチフレーズと認識されるとみるのが相当であり、自他商品の識別標識としての機能を有せず、これに接する需要者・取引者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と言わざるを得ない。
第4 職権証拠調べに対する意見の要点
請求人(出願人)は、「本願商標は、商標法第3条第1項第6号には該当せず、自体商品識別標識としての機能を十分有する。」とし要旨以下のとおり主張している。
(1)たとえ掃除機の機能として「排出されるゴミを圧縮する(固める)機能」を有するものが多数の企業から販売され、掃除機のゴミを簡単に捨てられる表現として「ポイ」という言葉が使われているとしても、本願商標の「固めてポイ」なる表現は未だ抽象的であり、「排出されるごみを圧縮して簡単に捨てられる」という掃除機の一機能を端的に表したものといえるほど具体的、かつ直接的に表示するものとは言い難い。
(2)本願商標中「ポイ」なる文字は、簡潔化を図る造語手法として多く用いられるもので、本願商標は、言語構成上、例えば「硬化剤で固めてそのまま捨てる」「圧縮して固めて手軽に捨てる」等の意味合いを簡潔に表現するために案出された、本来的に「造語」である。かかる表現方法よりなる本願商標は、商品の品質、機能等を直接的具体的に表示するとまではいうことができず、一種の造語よりなるものというべきである。
(3)請求人は、現実に本願商標「固めてポイ」を商標として使用しているが、出願から約3年を経過した現在に至っても、本願指定商品の分野において、「固めてポイ」そのものの表現が自他商品識別力を有しないものとして請求人以外によって使用されている例は見当たらない。掃除機のゴミを簡単に捨てられる表現として「ポイ」という言葉が使われているとの事実はあるが、「固めてポイ」そのものが使用されている事実は見当たらない。
(4)本願商標「固めてポイ」が掃除機の一機能を端的に表したキャッチフレーズとして取引上普通に使用されている事実も発見できず、本願商標は、むしろ、請求人独自の創作にかかる造語商標として認識し、把握されているとみるべきである。
(5)以上より、本願商標は、自他商品識別機能を十分に発揮しうる商標であって、掃除機の一機能を端的に表した一種のキャッチフレーズと認識されるものではなく、需要者が何人かの業務に係る商品であることを十分に認識することができる商標であることは明らかである。
第5 当審の判断
本願商標は、前記のとおり、「固めてポイ」の文字からなるところ、その構成中「ポイ」は「軽く捨て、また投げなどするさま。「紙をまるめて―と捨てる」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味を有する擬態語「ぽい」の片仮名表記と認められるものである。また、本願の指定商品である「家庭用電気掃除機」について使用するときには、前記3で示したとおりのような実情を考慮すれば、自他商品の識別標識と理解されるというよりは、「吸引したごみを圧縮して簡単に捨てられる」という商品の機能を端的に表したものと認めるのが相当であり、これに接する需要者・取引者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と言わざるを得ない。
なお、請求人は「固めてポイ」は、請求人のみが商標として使用している旨を述べているが、例えば、請求人のホームページに掲載されている家庭用掃除機の商品情報によれば、「サイクロン性能」の項には、「固めてポイ」の他、「下からポイ」、「カップ水洗いOK」との記載があり、「ヘッド性能」の項には、「前取り機能」、「磨き効果」などと記載されていることから、請求人が使用する「固めてポイ」の表示は、まさに掃除機の機能を説明する為に使用されていると見るのが自然であり、また、他人が「固めてポイ」の表示そのものを使用していないことをもって、直ちに本願商標の登録適格性の適否を判断すべきものとも認められないことから、請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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