Trademark Appeal Case
菌株記号の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−12620(T2004−12620/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「EF−621K菌」の文字よりなり、第29類「乳酸球菌(エンテロコッカス・フェカーリス)」を指定商品として、平成15年6月12日に登録出願されたものであるが、指定商品については、原審における同16年2月19日付け提出の手続補正書により、第29類「乳酸球菌を主原料とした顆粒・粉末状の加工食品」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、「EF−621K菌」の文字よりなるところ、その構成中の「EF−621K」の部分は、商品の品番、等級等を表示するための記号、符号として取引上類型的に使用されているアルファベットと数字の組み合わせの一類型であり、本願指定商品の原材料である乳酸菌等の菌の種類を表す記号、符号と認められ、また、「菌」の文字部分は指定商品の原材料を示す文字であると認められる。これらを一連に「EF−621K菌」と表して本願指定商品に使用しても、これに接する需要者、取引者は、「EF−621K」という菌を使用した商品であることを認識するにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記のとおり、「EF−621K菌」の文字を書してなり、「乳酸球菌を主原料とした顆粒・粉末状の加工食品」を指定商品とするものである。
ところで、乳酸菌には、無数の菌株が存在するところ、その菌株を表すために、例えば、次の(ア)及び(イ)に挙げるようなアルファベットと数字とを組み合わせたものが使用されていることが認められる。
(ア)「機能性乳酸菌を含むヨーグルト・飲料」の見出しのもと、表中に、「菌の種類」として、「ラクトバチルス・カゼイ・LC1」、「ラクトバチルス・ガセリ・LG21」、「ビフィドバクテリウム・ロンガム・BB536」の記載がある。(「予防医学の権威がすすめる健康食事典」291頁 2004年3月30日 朝日新聞社発行)
(イ)「下表におもな機能性ヨーグルト等と含まれる乳酸菌、その働きを示しました。」との記載のもと、表中の菌株名の中に「LB81」、「L−55」、「L−92株」、「LC1」、「LG21」、「BB536」、「KW3110」、「Bb−12」、「LKM512」、「BE80」等の記載がある。(http://www.rda.co.jp/lib/lacticacid-list.html)
そうすると、かかる本願商標構成中の「EF」の文字部分は、乳酸菌の一である「エンテロコッカス・フェカーリス(腸球菌)」の頭文字を表すものとして、及びこれにハイフンを介して、「621K」及び「菌」の文字を付加させたと理解し得る本願商標全体からは、固有の乳酸球菌を表したものと把握されることを必ずしも否定するものではない。
しかし、上記のように無数の菌株が存在する乳酸球菌中の有用菌株を表すためにアルファベットと数字の組み合わせが採択使用されている状況のもと、本願商標を構成する「EF−621K菌」もその一類型と認識される以上に商品の出所を識別するための標識(商標)とは認識し得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
(2)なお、請求人(出願人)は、「本願商標は、請求人の創案に係る特定の菌株の名称であり、同業他社は、該表示を用いていない。無数に存在する菌株のうち、有用な機能を発見したものについて命名された表示は、一般的な商標としては自他商品識別力に疑問があるとしても、商標として保護されてしかるべきである。」旨主張している。
しかしながら、自他商品の識別機能をその本質とする商標本来の役割及び商標を使用する者の業務上の信用の維持・保護を図ることを旨とする商標法の法目的に照らし、その主張は妥当性を欠くものといわなければならないし、また、この種乳酸菌含有食品を取り扱う業者であれば、「エンテロコッカス・フェカーリス(腸球菌)」の頭文字「EF」やこれにアルファベットと数字等を付加したものは、誰しもその表示を必要とし、かつ、その使用を欲するものといえるから、かかるものを商標登録し、特定の者の独占的使用に委ねることはできない。
したがって、請求人(出願人)のこの主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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