Trademark Appeal Case
地名と普通名称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−26576(T2004−26576/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「栗駒深層水」の文字を標準文字で表してなり、第32類「ミネラルウォーター」を指定商品として、平成15年11月7日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『栗駒深層水』の文字を普通に用いる方法で書してなるが、その構成中の『栗駒』の文字部分は、岩手県、宮城県及び秋田県の3県の県境にある山で、その一帯の宮城県側には『栗駒町』という自治体もある『栗駒山』を指称するものであり、また、『深層水』の文字部分は、出願人自らが平成16年7月27日付けの意見書において『地底若しくは海底のいずれかから汲み上げた水についての総称であります。』と述べているところである。そうすると、本願商標は、全体として、『栗駒山から汲み上げた水』である旨を表示するものとして認識されるといえるから、これを、その指定商品中、『栗駒山で採取した水を使用したミネラルウォーター』に使用したときは、その商品の品質又は産地を表示するにすぎないものと認める。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。 」と認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「栗駒深層水」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「栗駒」の文字部分は、「宮城県北西部の山名・町名など。」(「コンサイス日本地名事典〈第3版〉」1989年12月15日、株式会社三省堂発行)を意味するものである。
そして、該「栗駒」が意味する「宮城県北西部の山名」すなわち、岩手県、宮城県及び秋田県の3県の県境にある山である「栗駒山」は、国定公園であって、登山やキャンプ、紅葉、スキー及び温泉が楽しめる場所として世人に広く知られているものであり、また、新聞報道記事情報及びインターネット掲載情報においては、例えば、以下のようなものを見出すことができる。
(1)「・・・山から頂く貴重なものがミネラルウオーター。栗駒山には3カ所、名水のわく場所がありますが、・・・」(2004年6月29日付け、河北新報「ティータイム/山の優しさ〈船山昭子〉」の項)
(2)「・・・秋田、岩手、宮城の3県にすそを広げる栗駒山。・・・周辺にわき出る名湯、名水の源にもなっている。・・・」(2003年6月11日付け、スポーツ報知22頁「[とびきりの湯]秋田・東成瀬村『須川温泉』」の項)
(3)「栗駒山(須川岳、1628メートル)中腹に、天然のわき水の給水施設を備えたポケットパークが完成、県内外から多くの人が水くみに訪れている。名水は、山頂に向かって一関市の真湯から国道342号を約10キロ登ってすぐ山側にある。・・・」(2001年10月12日付け、毎日新聞地方版/岩手23頁「須川の恵みどうぞ 天然『ひゃっこ水』給水施設が完成ーー栗駒山の中腹/岩手」の項)
(4)「・・・仙人水は、同村の標高九百メートルの地点に毎分約五十リットルわき出ている栗駒山ろくの地下水で、県外からも冷たく澄んだ水を求めて来るほどの人気だ。・・・」(2001年7月26日付け、読売新聞東京朝刊31頁「『仙人水』使ったビールいかが 東成瀬で地元の名水の新製品を発売=秋田」の項)
(5)「・・・樹齢250年を超すブナの林を進み、地蔵尊を通り過ぎると、金明水の看板が見える。ミネラル豊富な水が沸き出ると評判で、近くの駐車場からは観光客が、ポリタンクを手に三々五々訪れていた。・・・」(1997年5月5日付け、河北新報「春風が呼ぶ・宮城(8)/栗駒山ブナ林=栗駒町=山伏も登った急坂に汗」の項)
(6)「自然豊かな栗駒からきれいなおいしい水を産地直送で! DHC栗駒深層水 ナチュラルミネラルウォーター」の見出しの下、「栗駒山の火山活動によって積もった火山灰・火山礫などの堆積によりできた凝灰岩や集塊岩・泥岩などの地層をくぐり抜けた原水を、地中深くから採水。」及び「大自然の恵み豊かな水源・栗駒」(http://www.dhc.co.jp/shop/link_basket/kurikoma/index.html)
してみると、「栗駒」の文字が意味する「栗駒山」は、飲用水が採取される場所として一般に知られていることが窺われるものである。
また、構成中の「深層水」の文字部分は、請求人(出願人)も「地底若しくは海底のいずれかから汲み上げた水の総称である」旨を述べているが、該文字は「ミネラルウォーター」に多数使用されて市場に流通していることが認められ、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといえるものである。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品との関係において、その構成中の「栗駒」の文字部分は、世人に「栗駒山」を表したと理解されるものであり、本願商標をその指定商品中「栗駒山で採取した水を使用したミネラルウォーター」に使用したときは、これに接する取引者・需要者は、商品の品質又は産地を表したものと理解するに止まり、自他商品を識別する商標とは認識し得ないといわなければならず、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。
なお、請求人(出願人)は、過去の審決例を挙げて、本願商標についても登録されるべきである旨主張しているが、本願商標については前記取引の実情を勘案すると、商品の品質又は産地を表示するにすぎないものと判断するのが相当であるから、該主張を採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
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