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Trademark Appeal Case

ヘルスケアネットワークの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−14070(T2004−14070/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「ヘルスケア ネットワーク」の文字を横書きしてなり,第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成15年8月11日に登録出願されたものである。

そして,願書記載の指定役務については,同16年4月1日付の手続補正書により,第35類「飲食店の経営に関するコンサルティング」及び第43類「病院・老人ホーム・介護施設における飲食物の提供,その他の飲食物の提供,飲食物の提供に関するコンサルティング,飲食店のメニューに関するコンサルティング」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は,本願商標は,「ヘルスケア ネットワーク」の文字を書してなるものであり,「健康管理に関するコンピュータの通信網」といった意味合いを表わしてなるものと容易に把握させることから,これを本願指定役務中の「病院・老人ホーム・介護施設における飲食物の提供」に使用しても,単に役務の質(方法)を表示するにすぎず,自他役務の識別標識としての機能を有しないから,商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定,判断して,本願を拒絶したものである。

3 当審において通知した審尋

当審において,請求人に対し,平成18年2月21日付け(発送日)で通知した審尋は,以下のとおりである。

本願商標は,「ヘルスケア ネットワーク」の文字を横書してなるものであるところ,「ヘルスケア」の文字は,「健康管理」を意味を有する語として,また,「ネットワーク」の文字は「網細工・網状組織」,「通信網」「企業の支店・事業所網」,「チェーン店組織」等の意味を有する語として,いずれも広く一般に知られているところである。

ところで,近年,高齢化社会の進展を背景として,様々な事業が健康管理をうたって医療・介護分野へ参入しているところ,「ヘルスケア」の語は,そのような事業を表すために「ヘルスケア事業」,「トータルヘルスケアショップ」等と広く普通に使用されているものである。そして,健康管理には,様々な業種が関係してくるのであって,病院における「給食事業」や「高齢者専門宅配弁当の配食サービス」といった飲食物の提供も,健康管理を目的とした事業に含まれているということができる(例えば,「経済界」第760号(株)経済界 2003年10月7日発行41頁,「財界」第51巻21号(株)財界研究所発行2003年10月7日発行95頁)。

他方,情報化社会の進展を背景として,インターネット等の通信網の発達により,効率的なサービスの提供網が形成されてきているところ,「ネットワーク」の語は,そのように効率的に結びついた事業所や店舗を表すために「事業所ネットワーク」「店舗ネットワーク」等と使用されることも多いのが実情である。

しかして,「ヘルスケア」及び「ネットワーク」の各語を,「ヘルスケア」及び「ネットワーク」の間に約1文字の間隔を開けて,同所,同大,同間隔で結合したにすぎない本願商標に接する取引者,需要者は,さほどの困難を伴うことなく,全体として「健康管理を目的とした事業所網」,「健康管理を目的としたチェーン店組織」という程の抽象的意味合いを認識,把握すると見て差し支えなく,もって,本願指定役務に係る業務の内容と関連づけて認識すると見るのが自然である。

してみれば,「ヘルスケア ネットワーク」の文字よりなる本願商標をその指定役務について使用した場合,需要者・取引者は,「健康管理を目的としたコンサルティング事業所網」又は「健康管理を目的とした飲食物提供のチェーン店組織」であることをうたったと理解するにとどまるものであって,単にその役務の質(内容)を誇称表示するにすぎないものと認められるから,自他役務の識別標識としての機能を有するものとはいうことができない。

そうとすれば,当審においても,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものと判断するものである。

4 審尋に対する請求人の回答

請求人は,平成18年4月3日付け回答書をもって,当審が示した前記3の審尋に対し,要旨次のように意見,回答を述べ,反論している。

審尋の内容は,「どんな業種も健康管理に関係する場合があること。」を確認的に述べたものにすぎず,その一般的な認識から「本願商標について,本願商標に接する取引者等は,全体として『健康管理を目的としたコンサルティング事業所網』,『健康管理を目的とした飲食物提供のチェーン店組織』であることをうたったと理解するにとどまるもので,本願商標をその指定役務について使用した場合,単にその役務の質(内容)を誇称表示するにすぎないものと認められる。」という論理の飛躍は,承伏できない。

審尋の判断は,「ヘルスケア」「ネットワーク」の語の意味に引きずられ,役務「飲食物の提供」等の関係を全く無視したものになっている。すなわち,「ヘルスケア」又は「ヘルスケア ネットワーク」等の語が用いられている医療関係の分野と異なり,飲食物の提供を行う業界では,「ヘルスケア」の語でさえ広く使用されているとはいえないものであり,そのようなものが実際に存在するとも思えないこと等から,本願の指定役務の取引者・需要者が,本願商標に接して自然に「健康管理を目的とした(飲食物の提供に関する)コンサルティング事業所網」,「健康管理を目的とした飲食物提供のチェーン店組織」であることをうたったと理解するとは考え難い。

また,本願商標が「健康管理を目的とした(飲食物の提供に関する)コンサルティング事業所網」や「健康管理を目的とした飲食物の提供のチェーン店組織」を表示する語として「飲食物の提供」等を行う業界で普通に使用されている事実はない。

さらに,特許庁の審査では「ヘルスケア」の語を含む商標が登録されているが,本願商標のみ質の表示と判断されることは,審査・審判の公平に反するといわざるを得ない。

したがって,本願商標を役務「飲食物の提供」等に独占的に使用しても,第三者の「飲食物の提供」等の業務に支障を来すものとはいえないので,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。

5 当審の判断

本願商標について,当審においてした前記3の審尋は,妥当なものであって,その認定に対する請求人の主張は,以下の理由により,いずれも採用の限りでなく,先の認定を覆すに足りない。

本願商標を構成する「ヘルスケア ネットワーク」の各文字は,その指定役務を取り扱う業界において,前半の「ヘルスケア」の文字部分は,例えば,健康維持に気を配った献立を用意するといった点で,「飲食物の提供」の質と密接な関係を有し,役務の質を表示するといえるものであり,また,後半の「ネットワーク」の文字は,「店舗網」「チェーン店」等の役務の提供の形態を表したものと容易に認識・理解させるものであり,全体として見た場合であっても,前記3の審尋で述べたとおり,自他役務の識別機能を有するものということはできないといわざるを得ない。

そして,例え,「ヘルスケア ネットワーク」の文字が,「健康管理を目的とした飲食物の提供に関するコンサルティング事業所網」や「健康管理を目的とした飲食物の提供のチェーン店組織」を表示するものとして現に使用されているものではないとしても,役務の質を表す記述的なものは,現在使用されていなくても,将来使用される可能性があるのであって,これを特定人に独占使用させることは,取引社会の正常な競業秩序を害し,公益上適当でないということから,本願商標は,登録を拒絶されるべきものである。

また,請求人は,過去の登録例を挙げて,本願商標も登録されるべきである旨主張しているが,それらは,商標の構成等において本件とは事案を異にするものであり,その判断が本件の判断を左右するものではなく,本願商標については,上記認定のとおりであるから,請求人の主張は,採用することはできない。

したがって,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当なものであって,取り消すことができない。

よって,結論のとおり審決する。

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