結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35159(T2003−35159/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3369471号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年6月16日に登録出願され、「BULGARI」の欧文字と「ブルガリー」の片仮名文字とを二段に書してなり、第28類「運動用具,スキーワックス」を指定商品として、同10年4月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、請求の理由、答弁に対する弁駁及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第409号証(枝番含む)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号及び同第15号について
(ア)請求人は、甲第13号証ないし甲第27号証に示す自己の使用に係る、ローマ字「BULGARI」、片仮名文字「ブルガリ」若しくはローマ字「BVLGARI」を左横書きしてなる登録第1598029号、同第1601804号、同第1789717号、同第1789718号、同第1849668号、同第1849669号、同第1887285号、同第1898386号、同第1989622号、同第1993826号、同第2349706号、同第2455154号、同第2479998号、同第2522763号及び同第2538269号の各商標を引用する。
(イ)請求人は、ローマでの銀細工の創業が1884年であって、その絶えざる技術の向上及び研鑚に努力した結果、世界における三大宝飾品メーカーとしての名声を獲得するまでに至り、その後、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第9号証(平成5年5月20日発行)に記載されているように、その業務活動を本来の「宝飾品」だけでなく、「腕時計、置時計、メンズアクセサリー、キーホルダー、ライター並びに文房具」の分野にまで拡充すると共に、日本における営業活動の拠点として、東京都千代田区紀尾井町4−1にブルガリ・ジャパン株式会社を設立し、同時に、大阪の商品販売拠点として大阪ヒルトンホテル内にブルガリ・ヒルトンプラザ店を開設、莫大な費用を投じ各種のメディアを通じて広告・宣伝活動を行ってきたところである。
(ウ)請求人は、商願平06−70356号の出願に対して異議申立をしたところ、甲第4号証に示すとおり「『BULGARI』商標が取引者・需要者間に広く知られていたものと認め得る」との判断がなされ、当該商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして拒絶査定がなされたところである。
(エ)「BULGARI」は、請求人の名称の著名な略称であるばかりでなく、「BULGARI」及び「ブルガリ」の商標は、本件商標の出願日である1993年6月16日までには取引者・需要者に広く知られていたものである。
してみれば、本件商標は、請求人の名称で著名な略称を含む商標であって請求人の承諾を得ていないばかりでなく、本件商標がその指定商品に使用された場合は、取引者・需要者をして請求人の業務にかかる商品又は請求人と関係を有する者の業務に係る商品の如く、その出所ついて混同を生じさせるおそれのある商標であること明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号の規定に違反して登録を受けたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき無効とされるべきである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、請求人の商号の略称に同一と言えるほど類似しているものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品に使用することは、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、あわせて需要者の利益を保護することを目的としている商標法の精神に悖るものと言わねばならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき無効とされるべきである。
(3)結語
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号及び同第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づいて、その登録は無効とされるべきものである。
(1)本件商標は、その構成がローマ字「BULGARI」を上段にその下に片仮名「ブルガリー」と二段に表示したものであり、商標法第4条第1項第8号に違反して商標登録されたものである。
(2)被請求人は、本件商標の指定商品が「運動用具,スキーワックス」であり、該商品は一般の消費者が対象であるのに対して、請求人の取り扱う商品である「宝飾品,腕時計,置時計,メンズアクセサリー,キーホルダー,ライター,文房具」が極めて高価であるためこれら購入者は限られた層であると共に、取引系統等が全く異なる旨の主張をしている。
しかしながら、本件商標が付された本件商標の指定商品の購入者がスポーツに関係を有し、それらの人々は外国選手名並びに外国製の製品等にしばしば接する機会があることを考慮すると、たとえ本件商標の指定商品と請求人の商品の取引系統等が異なるとしても、その構成が上述したとおり請求人の著名な略称を含む商標であるから、本件商標をその指定商品に使用する場合は、それらに接する需要者をして請求人又は請求人と関係を有する者の取り扱う商品のごとくその出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して商標登録を受けたものである。
(3)さらに、本件商標は、商標登録を受けるまでの経緯からすると他人の著名な標章を自己の営業に利する目的で商標登録を受けたものと言えるものであり、商取引の信頼関係において公序、良俗に反するものと言わざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して商標登録を受けたものである。
請求人は、本件商標の出願日前までに日本国内において発行された定期刊行物に掲載された請求人の名称の略称である「BULGARI」「BVLGARI」「ブルガリ」の各商標を請求人の業務に係る商品に表示し使用していた事実から、上記の各略称が請求人の著名な略称となって広く需要者間に知られていたことを立証する追加の資料を提出する。
被請求人は、「本審判請求は成り立たない。審判請求の費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
(1)乙第1号証の登録異議(商願平05−59773号)の決定によれば、「申立人が引用商標を使用する『時計、宝石、身飾品』と補正後の本件商標の指定商品である『運動用具,スキーワックス』とは、商品の品質、用途はもとより生産部門、取引系統等を全く異にする異質の商品と認められ、その関連性は極めて希薄というべきものであるから、たとえ近時産業界における多角経営化を考慮しても、本願商標をその指定商品に使用した場合、取引者、需要者をして申立人の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標が商標法第4条第1項第8号及び同第15号に該当するとする本件登録異議の申し立ては理由がないものとすべきである。」とされている。
(2)請求人は請求書において、「その業務活動を本来の宝飾品だけではなく,腕時計,置時計,メンズアクセサリー,キーホルダー,ライター並びに文房具の分野にも拡充すると共に」とあるが、これらすべての商品は請求人の証拠資料が示す通り、極めて高価のものであり、宝飾品に近いものである。つまり、これらの購入者は限られた層であるのに対して、本件商標の指定商品「運動用具,スキーワックス」は一般の消費者が対象であるので、取引系統等が全く異なる。
同じく、請求書において、「その業務活動を本来の宝飾品だけではなく,腕時計,置時計,メンズアクセサリー,キーホルダー,ライター並びに文房具の分野にも拡充すると共に」とされているが、本件商標の出願時には、乙第2号証に示すとおり、少なくとも腕時計については取引者、需要者に広く知られていたものではない。
(3)請求人の商品は請求人の証拠資料が示すとおり、その商品は極めて高価であり、限られた層にのみ知られているとしかいえず、著名性を主張することはできない。また、被請求人が本件商標をその指定商品「運動用具、スキーワックス」に使用するときに、取引者、需要者がその出所について、極めて高価な宝飾品を扱う請求人と何らかの関係があるという誤認混同を生じることはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号及び同第15号の規定に違反して登録されたものではない。
(1)本件商標は請求人により異議申立がされたものであり、同一請求人が同一内容で同一商標に対して、異議申立の維持の決定後、5年も徒過した後、無効審判を提起することは商標の安定した登録を妨げるものといわざるを得ない。
(2)現代の日本において、外国人並びに外国製の製品に接しない最終消費者はほとんどいないのであるから、本件商標の指定商品と請求人の略称等とを混同する事由とはなり得ない。
(3)請求人は多くの資料を提出しているが、その全てがきわめて高価な宝飾品及び宝飾された時計等であり、その店舗も都会の一等地のビルや超高級ホテルで請求人の商品にふさわしい立地である。それに対して本件商標の指定商品は運動用具、スキーワックスであり、販売する店舗も、地価のそれほど高くない商業地域や郊外がほとんどである。
(4)近年の企業の多角化を考えても、一般人の常識を持ってすれば、超高級ホテルで売られている世界三大宝飾品メーカーの高級宝飾品と、激しい動きにも耐えられるように作られた運動用具や、ロウを数センチ角に固めた1000円程度のスキーワックスとを関係のある会社が製造しているとは考えつかないとするのが相当である。
請求人の主張及び甲第3号証ないし甲第409号証(枝番を含む)によれば、次の事実が認められる。
(1)請求人は、1884年にローマで銀細工の店として創業され、その後、カルティエ、ティファニーと並ぶ世界の三大宝飾メーカーとして知られるに至り、1991年2月に日本における営業活動の拠点として東京都千代田区にブルガリジャパン株式会社を設立し、販売場所を東京と大阪とし、その後、1992年に福岡店を開設したこと(甲第3号証、同第28号証及び同第30号証(枝番を含む))。
(2)請求人は、取扱商品を「宝飾品、時計,カフス,キーホルダー,ライター,ボールペン」等とし「BULGARI」「BVLGARI」「ブルガリ」の表示を使用して営業活動をおこなっていること(甲第5号証ないし甲第12号証、甲第28号証、甲第31号証ないし甲第409号証(枝番を含む))。
そして、「BULGARI」「BVLGARI」「ブルガリ」の表示は、例えば、甲第5号証(「世界の一流品大図鑑」1987年版)、甲第6号証(「世界の一流品大図鑑」1988年版)、甲第7号証(「世界の一流品大図鑑」1989年版)、甲第8号証(「世界の一流品大図鑑」1991年版)、甲第9号証(「世界の一流品大図鑑」1993年版)、甲第10号証(「世界の一流品大図鑑」1994年版)、甲第11号証(「世界の一流品大図鑑」1995年版)、甲第12号証(「世界の一流品大図鑑」1996年版)、甲第31号証及び甲第32号証(「25ANS」1986年2・5月号)、甲第33号証(「JJ」1986年10月号)、甲第34号証(「CLASSY」1986年10月号)、甲第35号証(「WINDS」1986年4月号)、甲第36号証(「家庭画報」1987年1月号)、甲第37号証(「SOPHIA」1987年2月号)、甲第38号証(「ミセス」1987年3月号)、甲第39号証(「LA SEINE」1987年4月号)、甲第40号証(「CLASSY」1987年4月号)、甲第41号証(「LA SEINE」1987年5月号)、甲第42号証(「ミセス」1987年5月号)、甲第43号証(「家庭画報」1987年5月号)、甲第44号証(「婦人画報」1987年5月号)、甲第45号証(「マリクレール」1987年5月号)、甲第46号証(「SOPHIA」1987年6月号)、甲第47号証(25ANS」1987年6月号)、甲第48号証(「JJ」1987年6月号)、甲第49号証(「ミセス」1987年6月号)、甲第50号証(「ハイファッション」1987年6月号)等各種雑誌等において繰り返し掲載されていること。
(3)上記(2)における各種雑誌等における「BULGARI」「BVLGARI」「ブルガリ」の表示は、「宝飾品,時計」等の商品と係わり掲載されていること。
(4)以上の事実よりすると、「BULGARI」「BVLGARI」「ブルガリ」の表示(以下「『BULGARI』商標等」という。)は、宝飾品、時計等の商品におけるブランドとして、少なくとも本件商標の登録出願時である平成5年6月16日前においてすでに我が国の取引者、需要者間に広く認識されていたものであり、また、その状況は本件商標の登録査定時である同10年1月14日を含む現在に至るまでも継続していたものである。
本件商標は、「BULGARI」の欧文字と「ブルガリー」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「ブルガリ」又は「ブルガリー」の称呼を生ずるものである。
他方、請求人商品に使用されている「BULGARI」商標等は、「BULGARI」「BVLGARI」「ブルガリ」の各文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「ブルガリ」の称呼が生ずるものである。 そこで、本件商標より生ずる「ブルガリ」の称呼と「BULGARI」商標等より生ずる「ブルガリ」の称呼を比較すると、両称呼は、「ブルガリ」の称呼を同一にするものである。また、本件商標より生ずる「ブルガリー」の称呼と「BULGARI」商標等より生ずる「ブルガリ」の称呼を比較すると称呼において印象に強く残る語頭部分において「ブルガリ」の4音を共通にし、本件商標における末尾の長音において差異を有するものである。そして、該差異音は、前音の「リ」に吸収されて明瞭に聴取されにくい弱音であるうえに、語尾に位置するものであることから、一層、不明瞭なものとなる。
してみると、両称呼をそれぞれ全体として称呼するときは、互いに聞き誤られるおそれがあるというのが相当である。
また、本件商標及び「BULGARI」商標等は、「BULGARI」の欧文字と「ブルガリ」の片仮名文字を共通にする構成よりなるものであるから、それぞれの構成文字綴りの大部分を共通にする点で、外観上近似した印象、連想等を生じさせるおそれがあることも否定できない。
してみれば、本件商標と「BULGARI」商標等とは称呼において相紛らわしいく、外観においてもその近似性を否定できないものであるから、互いに類似する商標というべきである。
本件商標の指定商品「運動用具,スキーワックス」と「BULGARI」商標等が使用されている「宝飾品,時計」等の商品との関連性及び需要者を検討するに、本件商標の指定商品の需要者は、その商品の性質上年齢、性別、職種等を問わず、あらゆる分野の広範な一般需要者であり、その中には「BULGARI」商標等が使用されている「宝飾品,時計」等の商品の需要者も当然含まれる。
また、例えば、本件商標の指定商品中「運動用具」に含まれる「ゴルフ用具,テニス用具,スキー用具」と「宝飾品,時計」等の商品とは、高級感や美感性を重視する点においてその特徴を共通にする場合のある関連する商品と言える。そして、上記の商品の関連性より、「BULGARI」商標等が使用されている「宝飾品,時計」等の商品の需要者は、本件商標の指定商品に接する機会のあることは、決して稀なこととはいえないものである。
そうとすれば、本件商標の指定商品の需要者と「BULGARI」商標等が使用されている「宝飾品,時計」等の商品の需要者は、相当程度共通する。
以上により、本件商標と「BULGARI」商標等の類似性の程度、「BULGARI」商標等の周知著名性の程度、両商品間の関連性の程度、需要者の共通性等を総合勘案(最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決 平成10年(行ヒ)第85号)すると、本件商標の登録時はもとよりその出願時において、本件商標をその指定商品に使用したときには、これに接する需要者が、「BULGARI」商標等を想起し、これより連想して、当該商品が請求人又は同人と経済的、組織的に関係を有する事業者の業務に係る商品であると誤信し、その商品の出所について混同するおそれがあったというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項に基づき、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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