Trademark Appeal Case
記述的語と氏名の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−21280(T2003−21280/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「乳酸球菌カワイ」の文字を標準文字で表してなり、第29類、第30類、第32類及び第33類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成15年1月10日に登録出願され、その後、指定商品については、同年9月17日付けの手続補正書により、第29類「乳酸球菌を主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・キャプレット状又は液状の加工食品,乳酸菌飲料,乳酸球菌を含む乳製品」、第30類「乳酸球菌を含むイーストパウダー・こうじ・酵母」及び第32類「乳酸球菌を含むビール・清涼飲料・果実飲料・飲料用野菜ジュース・乳清飲料」と補正されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『乳酸球菌カワイ』の文字を書してなるところ、その構成中『乳酸球菌』は乳糖やブドウ糖を分解して大量の乳酸を作る細菌のうち球状をしたものを意味する語であり、近年、この乳酸球菌は老化を予防し、肌荒れを改善させ、便秘解消して大腸癌の予防改善に効果があることに注目されて様々な食品に利用されていることがインターネットホームページの記載から認められること、そして、その構成中「カワイ」の文字部分は、ありふれた氏の一つ「河合」の表音を表示するにすぎないものと認められるから、これらの語を一連に書してなる本願商標をその指定商品中、上記を使用してなる商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、単に上記意味合いを理解するに止まり、何人の業務に係る商品であるかを認識できないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」と認定、判断して、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標は、前記第1のとおり、「乳酸球菌カワイ」の文字を標準文字で表してなるところ、前半部の「乳酸球菌」の文字は、乳酸菌の一を表すものであることから、前記第1の補正後の指定商品との関係においては、商品の品質、原材料を表すものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといえるものである。
この「乳酸球菌」の語(文字)については、新聞記事情報、インターネット情報及び書籍において、例えば以下のような掲載を見出すことができる。
(1)「『健康によい』といわれる乳酸菌は、・・・タイプは色々あるが、大きく乳酸桿菌(かんきん)、乳酸球菌などに分かれる。・・・」(2005年11月20日付け、朝日新聞東京朝刊4頁「(今さら聞けない)乳酸菌 加工に活躍、健康効果も」の項)
(2)「・・・乳酸球菌類はヨーグルト製造で風味づくりには欠かせないものであるが、・・・」(1998年8月31日付け、日本食糧新聞「海外チルドデザート徹底研究(2) フランスでは人気の定番商品」の項)
(3)「コンビは、独自に開発した加熱処理乳酸球菌『EF−2001』の、飲料、シリアルなど一般食品向けの市場展開を強化する。・・・すでにタブレット状の健康食品では実績をあげており、次のステップとして一般食品向けの展開を強化するもの。現在、複数の食品メーカーとともに、これまで乳酸菌の添加が難しかった食品への応用を検討しており、今秋にも商品化が期待される。・・・」(2001年4月19日付け、化学工業日報5頁「コンビ、加熱処理乳酸球菌の一般食品用途開拓、加工性のよさ前面に」の項)
(4)「・・・乳酸菌には、乳酸桿菌と乳酸球菌があり、特に乳酸球菌の有する生体応答調節物質としての働きが注目されています。その乳酸球菌(EF−621K菌)から生まれたライフサポートサプリメントです。・・・」(http://www.iwata-tenjindou.co.jp/ef-621.htm「乳酸球菌(EF−612K菌)製品」、「エコフEFスーパー(菌数 約1兆2000億)の見出しの下」)
(5)「はっ酵乳用乳酸菌の菌属である乳酸球菌の主な用途がはっ酵乳、乳酸菌飲料、バター、チーズ」である旨及び「腸管系乳酸菌の菌属である乳酸球菌の主な用途がチーズ、はっ酵乳」である旨を掲載した表。「代表的な乳酸菌3つを表す拡大写真と、そのうちの1つの写真の下に『乳酸球菌』」(それぞれhttp://www.nyusankin.or.jp/health/5.html「乳酸菌とは」、「乳製品の製造に用いられるおもな乳酸菌」の見出しの下。「代表的な乳酸菌」の見出しの下)
(6)「[A]球状乳酸菌類(乳酸球菌) 此の中にはクリームの醗酵に極めて必要なる細菌やチーズの熟成に必要な極めて有益なる細菌類を包含してゐる。・・・」(昭和21年9月20日三版発行「乳と乳製品の細菌學」177頁 戸田節治郎発行)
してみると、「乳酸球菌」の語(文字)は、新聞記事情報、インターネット情報及び書籍において普通に使用されている状況が窺えるものであり、本願の指定商品の取引者・需要者にも代表的な乳酸菌の一として十分に知られているものといえるものである。
また、請求人(出願人)が、その指定商品を、前記第1のように、「乳酸球菌を・・・」と、それぞれ補正したことからも明らかなとおり、自他商品識別力を有しない原材料表示部分でもある。
2 さらに、後半部の「カワイ」の文字は、請求人(出願人)が意見書で述べているとおり、ありふれた氏である「河合」の表音と容易に理解されるといえるものであり、該氏を片仮名で表したものと認められるものである。
3 そうとすれば、請求人(出願人)は、本願商標が全体として自他商品識別機能を具備するにいたるものと解し得べき合理的事由も証拠も提出していないことから、自他商品の識別力を有さない「乳酸球菌」の文字とありふれた氏である「河合」に通ずる「カワイ」の文字とを単に一連に表したにすぎない本願商標は、これを前記第1の補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
4 なお、請求人(出願人)は、「本願商標の構成中、『乳酸球菌』の文字部分は、多数存在する乳酸菌中、球形の形状をした特殊な乳酸菌を意味するものであって、広く使用されている『乳酸菌』とは異なり、本願指定商品の需要者・取引者において必ずしも馴染みのある一般的な用語ではない」旨を主張しているが、「乳酸球菌」の語(文字)については、前記1のとおり判断されるものであるから、請求人(出願人)の該主張は認めることができない。
5 したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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