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Trademark Appeal Case

プレママの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89140(T2005−89140/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4760179号商標(以下「本件商標」という。)は、「プレママ」の片仮名文字と「PREMAMA」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成15年8月7日に登録出願、第29類「乳製品,粉乳(乳児用を除く),食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと」、第30類「菓子及びパン,コーヒー及びココア」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同16年4月2日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第41号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、「プレママ」の片仮名文字と「PREMAMA」の欧文字とを、それぞれ普通に用いられる方法により上下二段に書してなるところ、「プレママ(PREMAMA)」の文字については、甲第1号証として示す「現代用語の基礎知識2000」、又は、甲第2号証として示す「現代用語の基礎知識2003」の記載に明らかなように、「これからママ(母親)になる人」を意味するものと認められるとともに、例えば、以下の甲各号証に示すように、様々な分野における用例をみることができるものである。

甲第3号証及び甲第4号証は、いずれも妊産婦向けの書籍であるところ、甲第3号証には、その題号としての「プレママ応援BOOK」の用例を、甲第4号証の「赤ちゃんに学ぶ子育て」には、そのサブタイトルとしての「なんぶ先生のプレママふれあい通信」の用例をそれぞれみることができる。

甲第5号証は、妊婦向け雑誌「プレモ(2003年7月号)」であるところ、「妊娠初期・中期・後期別、夏のコーディネート徹底比較!/東西プレ(Pre)ママ ファッションスタイル大研究」、「街のプレママたちの夏スタイルを大公開!」、「プレママ時代からベビーのためにできること」、「過去に喫煙経験のあるプレママは注目。」、「プレママのメンタル面もしっかりサポート」との記載をみることができる。

甲第6号証ないし甲第23号証は、いずれも自治体が開設するインターネットサイトの打ち出し写しであって、特に妊婦を対象とする催事や調理又は母子保健等の講習会開催に関わる広報の類である。これらの広報類には、その性質上、何人にも理解し得る日常的に親しまれた平易な語が使用されるものと思料されるところ、これらにおいても、「プレママ」の文字を使用した例は少なくない。

すなわち、例えば、横浜市港北区の記者発表資料における「プレママとおなかの赤ちゃんのためのマタニティミニコンサート」(甲第6号証)、仙台市広報における「プレママ・コンサート」(甲第7号証)、東京都江戸川区広報における「プレママ・クッキングセミナー」(甲第8号証)、東京都中央区広報における「プレママのためのヘルシークッキング」(甲第9号証)、東大阪市政だよりにおける「プレママクッキング」(甲第10号証)、札幌市北区の地区ニュースにおける「プレママ簡単クッキング」(甲第11号証)、ちば市政だよりにおける「ヘルスサポーター教室(プレママ編)」(甲第12号証)、ひたちなか市広報における「プレパパ・プレママ教室」(甲第13号証)、守山市広報における「プレママ教室」(甲第14号証)、広報よこはま全市版における「プレパパ・プレママ教室」(甲第15号証)、かわさき市政だよりにおける「プレパパ・プレママ教室」(甲第16号証)、宇都宮市広報における「プレママ・パパの子育てフォーラム」(甲第17号証)、浜松市広報における「出産を控えているプレママ・パパを対象とした〜」(甲第18号証)、新庄市広報における「プレママ広場(母親教室)」(甲第19号証)、市川市広報における「プレママ・ルーム」(甲第20号証)、松江市広報における「プレパパ・プレママ教室」(甲第21号証)、取手市広報における「プレママ・プレパパにとっておきの講座」(甲第22号証)、京都市広報資料における「プレママ・マーク」(甲第23号証)等々の用例をみることができる。

また、妊婦は、食生活につき相当の注意を払う必要があり、前記のような自治体による調理講習等もかかる必要から実施されているにほかならない。

そして、例えば、インターネットサイトやテレビ番組等においても、妊娠中に好適とされる料理やそのレシピを紹介したものは少なくなく、それらを「プレママ用」、「プレママ向け」等と称している例をみることもできる。

甲第24号証は、請求人によるインターネットサイト「はぐくみ」の打ち出し写しであり、これらは、2001年5月7日ないし2003年9月29日に、テレビ北海道、テレビ東京、テレビ大阪、テレビせとうち、TXN九州の各局放映に係るテレビ番組「ママさん応援!育児ナビ」において紹介された料理レシピを請求人のインターネットサイトにおいて紹介したものであって、特に妊娠中に好適なものにつき、「プレママ用」又は「プレママ・子育てママ用」と表示していたことを示すものである。当該テレビ番組の放映内容(動画)については、現在もなお、その−部が甲第25号証として示すインターネットサイト「yahoo!JAPAN」において視聴可能である。

また、甲第26号証として示すフジサンケイグループ「ままナビweb」のインターネットサイトの打ち出し写しにおいても、「プレママ用レシピ」、「プレママのためのレシピ」なる表示をみることができる。

さらに、甲第27号証は、和光堂株式会社によるインターネットサイトの打ち出し写しであって、「プレママ向けレシピ」と題されたページであるところ、ここでは妊娠中に必要とされる栄養素(カルシウム、鉄分、食物繊維、葉酸)が説明されているとともに、栄養素ごとにされた料理レシピの紹介をみることができる。

一方、甲第28号証ないし甲第39号証に示すように、本件商標の指定商品の分野においては、妊産婦用とされた商品や妊産婦をその主たる需要者とすると考えられる商品が少なくない。

甲第28号証は、請求人の2001年における商品総合カタログの写しであり、「妊娠・授乳期の栄養補給飲料/森永ペプチドミルクEお母さん」をみることができるとともに(乳製品)、商品の包装に「お母さん用」と表示することによって、その用途を明らかにしている(甲第29号証)。

甲第30号証は、ビーンスターク・スノー株式会社によるインターネットサイトの打ち出し写しであって、2003年1月16日付の商品発売に関する案内であるところ、妊産婦・授乳婦用粉乳「ビーンスタークマム マタニティ」をみることができるとともに、当該粉乳につき、妊産婦に不足しがちな栄養素(鉄分、カルシウム)を補給できる旨の記述をみることができる。

そして、この商品については、インターネットサイト「楽天」における株式会社創快ドラッグによる通信販売において、「ママとプレママの栄養補給に」とのキャッチコピーをみることができる(甲第31号証)。

甲第32号証は、被請求人によるインターネットサイトの打ち出し写しであって、妊産婦・授乳婦用粉乳「明治ビオママ」の紹介に係るものであるところ、「妊娠中に」とのキャッチコピーがみられるほか、「非妊娠時に比べ必要量が増加する鉄分・カルシウム・葉酸・DHA・マグネシウムなどの栄養素を手軽に摂れる。」旨の記述をみることもできる。

また、甲第33号証は、同じく被請求人によるインターネットサイトの打ち出し写しであって、果汁入り飲料「ビオママFeドリンク(アップル、グレープフルーツ)」の紹介に係るものであるところ、「妊娠中不足しがちな鉄分をじょうずに補う〜」、「〜妊娠後期に必要な量も充分に補えます。」等の記述をみることができる。

その他、株式会社ローズマダムの取扱いにかかる商品「マタニ・ティー(健康茶)」につき、「『足のムクミが気になるわ・・』というプレママに!」とのキャッチコピーがあり(甲第34号証)、有限会社ハーブガーデンショップの取扱いにかかる商品「ハーブティ」について「プレママブレンド」の用例があり(甲第35号証)、日本トイザラス株式会社の取扱いにかかる商品「緑の母乳(生搾り青汁)」の説明中には「妊娠中に貧血に悩むプレママも多いのです。」との記載があり(甲第36号証)、ケンコーコム株式会社の取扱いにかかる商品「フェリシャス鉄分補給せんべい」の説明中には、鉄分を多量に含むことから妊産婦、授乳婦に好適である旨の記述があり(甲第37号証)、「たんぽぽコーヒー」の説明中には、カフェインを含まないことから妊産婦に好適である旨の記述をみることができる(甲第38号証及び甲第39号証)。

ところで、甲第30号証及び甲第32号証に示す各商品は、いずれも「妊産婦・授乳婦用粉乳」であって、健康増進法第26条に基づくいわゆる特別用途食品と認められる。かかる特別用途食品として厚生労働大臣の許可を受け得るのは、病者用、妊産婦用、乳児用、幼児用、その他厚生労働省令で定める特別用途の各食品であるところ、妊産婦用のそれが一区分として用意されているということは、妊産婦用とされる食品や飲料が市場に流通している実情があることを示すものにほかならない。

要するに、料理メニューにしても、また、商品として流通する食品や飲料にしても、妊婦用ないしは妊婦に好適とされるものは少なくなく、それらを「プレママ用」、「プレママに」等のように表現している事実も少なからずみられる。

本件指定商品中の商品のうち、「食用油脂」、「カレー・シチュー又はスープのもと」及び「乳清飲料」のそれぞれについては、特に妊産婦に好適とされた商品をみることができなかった。

しかしながら、近年の食品分野における商品の多様化や健康維持・増進に関わる商品への関心が増していること等の実情からすれば、甲各号証が示す事実を総合的に勘案するも、これらの各商品において妊産婦に好適とされる商品が発売される蓋然性は高いというべきである。

そして、商標が取引者・需要者に指定商品に係る品質を表すものとして認識され、使用されている場合はもとより、仮に、その商標が指定商品の品質を表すものとして取引者・需要者に使用されていない場合であっても、その商品の品質を表しているものと認識されるものであって、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときには、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である。

そうとすると、本件商標を構成する「プレママ」及び「PREMAMA」の文字は、その指定商品との関係において、当該商品が妊婦用のものであること、ないしは妊婦に好適又はその摂取が差し支えないことを直接具体的に示すにすぎないものと認められる。

したがって、本件商標は、これをその指定商品中「妊産婦用粉乳」をはじめとする妊婦用の商品や妊婦に好適又はその摂取が差し支えないとされる商品に使用するときは、これに接する者に当該商品の用途ないしは品質を認識させるにとどまり、上記のような商品以外の商品に使用するときは、その用途ないしは品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に該当する。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人の提出に係る乙第2号証ないし乙第5号証によれば、「プレママ」の文字につき、「広辞苑(第四版)」、「大辞林(初版)」、「知恵蔵(2003年版、2005年版)」には掲載がない。しかしながら、ある文字が有する意味合いの特定には、必ずしも代表的といわれる辞書や複数の辞書類への掲載が認められることを要せず、それが誤認や誤記によるものでない限りは、一の辞書への掲載をもって足りると思料する。

もとより、請求人は、辞書掲載の例として、甲第1号証及び甲第2号証を示したにすぎず、その他にも、例えば、甲第40号証(インターネットサイト「goo」提供に係る辞書検索)には、「プレママ」の文字につき「俗に、母親になる直前の女性、妊婦のこと。」との説明があり、これは三省堂発行「デイリー新語辞典」に基づくものであることを確認することができる。要するに、「プレママ」の文字を掲載した辞書は、少なくとも甲第1号証及び甲第2号証には限られないことが明らかである。

そして、甲第3号証ないし甲第5号証の書籍又は雑誌における用例、並びに、甲第6号証ないし甲第23号証の自治体等広報類における用例、その他の甲各号証における用例のそれぞれは、いずれも「プレママ」の文字が前記意味合いのものとして理解され、普通に使用されているものであるということを裏付けるに十分、かつ、客観性の高い証拠とみることができる。

したがって、たとえ一部の辞書類に記載がないとしても、「プレママ」の文字が「これからママ(母親)になる人」、すなわち「妊婦」を意味するものであることには疑う余地がないものといわざるを得ない。

ところで、甲第40号証に明らかなように、「プレママ(PREMAMA)」の文字は、いわゆる和製語を表したものであり、確かにその意味においては、本来は造語であるにほかならない。しかし、それが一部ではあるにせよ辞書に掲載されるまでとなり、また、日常的に広く使用されるに至っていることも甲各号証より明らかであることからすれば、例えば、万人においてこれを理解しているという程のものでないにしても、妊婦又は最近に妊娠を経験した者及びこれらの者の周辺の者等においては、該文字並びにその有する意味合いにつき、よく理解しているものとみるのが妥当である。

そして、請求人は、妊婦において食生活に相当の注意を払う必要があることを述べるとともに、甲第24号証ないし甲第27号証により、インターネットサイトやテレビ番組において、妊娠中に好適とされる料理レシピを紹介したものが少なくなく、これらが「プレママ用」、「プレママ向け」、「プレママにおすすめ!」、「プレママのための」等々と表示ないしは表現されていることを示した。また、本件指定商品の分野において、妊産婦用の商品や妊産婦を主たる需要者とすると考えられる商品が少なくないことにつき、甲第28号証ないし甲第39号証をもって明らかにするとともに、これらの中には、その用途ないしは品質に関し、「プレママの栄養補給に」、「〜というプレママに!」、「〜に悩むプレママも多いのです。」等の表現をもって商品を説明する例があることを示した(甲第31号証、甲第34号証及び甲第36号証)。

確かに、これらの例示中には、例えば、商品の包装に「プレママ用」、「プレママ向け」等の用途表示をした商品の例などはみることができない。しかしながら、前記「プレママの栄養補給に」、「〜というプレママに!」、「〜に悩むプレママも多いのです。」等の表現による商品説明の例は、商品の広告において、「プレママ」の文字がその用途を表示するものとして普通に用いられている事実を示すものにほかならない。

そして、本件商標が自他商品の識別標識としての機能を有するか否かの検討において、重要なのはむしろ、前記意味合いに理解されるに至った該文字が本件指定商品との関係上どのように理解されるかということ、すなわち、例えば、当該指定商品にこの文字を表示した場合に、需要者・取引者等がその用途につき妊婦用であることや妊婦に好適又はその摂取が差し支えないというほどのことを表したものと理解するか否かということであって、妊婦用の商品につき、その用途を表示するものとしての多数の使用例が現に認められるか否かということではないと思料する。

加えて、すでに用途表示としての「妊産婦用」等の語が存在しているということと、本件商標が自他商品識別力を有するか否かということとは、直接の関係がなく、あるいは、かかる存在をもって、本件商標に独占適応性があるということにもならない。

また、被請求人は、多くの登録例を示して、本件商標につき自他商品識別力がある旨主張しているが、本件商標は、そのいずれとも同列にみることのできないものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証の1ないし乙第23号証(枝番を含む。)を提出した。

請求人は、甲第1号証及び甲第2号証で提出した、現代用語の基礎知識の記載を根拠に本件商標の意味は「これからママになる人」であるとした上で主張を展開している。

しかし、請求人が採用している本件商標の意味が本件商標の有している一般的な意味であるとは言えない。

即ち、請求人は、現代用語の基礎知識の記載を根拠にしているが、我が国において代表的な辞書である広辞苑(乙第2号証)、大辞林(乙第3号証)に、本件商標の記載は認められない。また、「現代用語の基礎知識」と同様の現代用語の辞典と認められる「知恵蔵」(乙第4号証及び乙第5号証)にも、本件商標の記載は認められない。更に、品質等の表示であるか否かを判断する上で比較的重要であると考えられる他の辞書の取り扱い、同種の商標の登録状況を始めとした既登録商標の状況等が全く考慮されていない。

したがって、本件商標の意味は、当初は造語として誕生し、ある一定の人たちの間で徐々に「これからママになろうとしている人」程度の意味で使用されているものの、広く一般的には、成語として定着した語とは認められておらず、本件商標は、「これからママになろうとしている人」を暗示させる語であるとしても、現状では特定の意味を直接的に表示する語とは認められない。

請求人は、本件商標が特定の意味を表すわずかな可能性の上に立って、第一に、妊産婦用の商品があり、そのような商品をプレママ用として記載している例をあげて本件商標に自他商品の識別力がないと主張し、第二として、本件商標は独占適応性がないと主張している。

しかしながら、請求人の提出した証拠によると、本件商標と同一の商標が妊産婦用の商品の目印(商標)として使用されているものが一部に含まれていることは認められるものの(甲第35号証)、妊産婦用の商品であることを指称する語として普通に使用されている事実は存在していない。

まず、甲第35号証は、有限会社ハーブガーデンショップのホームページと認められるが、有限会社ハーブガーデンショップでは、商標「プレママブレンド」(乙第7号証)を登録しているため、少なくとも使用者にとって「プレママブレンド」は、商標として使用しているものと認められる。

次に、請求人の提出している他の証拠によれば、妊産婦用の商品が存在することは理解できる。また、妊産婦のことを「プレママと指称している人がいる」ことは理解できる。しかし、これらの証拠から、本件商標が妊産婦用の商品の用途等を表示する語として用いられている事実、更には、同事実を表示する語として普通に用いられている事実を立証してはいない。

本来の成語でない本件商標が、妊産婦用の商品の用途等を表示する語として普通に用いられているのであるならば、少なくとも、本件商標は、「妊産婦」又は「妊産婦用」の語と同程度に多数の使用例があってしかるべきである。本来の造語について、特定の意味を想起するようになるためには、その特定の意味を表す語として広く使用されていることが不可欠だからである。

一方、登録例を見ると、本件商標等の様な商標の登録性を認めている。即ち、上記の乙第7号証以外にも、妊産婦用の商品があると考えられる化粧品等の分類で、本件商標と同一の商標「プレママ/PREMAMA」(第3類:乙第8号証)が指定商品の限定なく登録されており、本件商標より直接的に妊産婦を表す「マタニティ/MATERNITY」についても特に指定商品を限定することなく登録されている(乙第9号証及び乙第10号証)。また、本件商標のような造語でなく、人の種類を表す言葉として広く用いられている「ママ」の語又は、「ママ」を含む語についても多くの分類で多数登録されている(乙第11号証ないし乙第21号証)。多くの分類で「ママ用」の商品が存在するにもかかわらず、係る登録がある事実を考慮すると、「ママ」の語が商品の用途等を表示していないことは明らかである。請求人の主張する商品の使用者として、意味のはっきりしている「ママ」の語ですら、その指定商品の用途等を表示している語と認められてはいないのであるから、意味の暖味な本件商標について商品の用途等を表示していると言うことはできない。

したがって、本件商標は、妊産婦用の商品について商品の用途等を表示する語ではなく、妊産婦用以外の商品に使用しても商品の用途・品質等について誤認を生じさせるおそれはない。

また、本件商標は、上記のように、本来意味を有していない造語であるため、一定の使用を伴うことなく、取引者・需要者が特定の意味を認識するようになることは考えられない。更に、妊産婦用商品についての用途表示としては、「妊産婦」又は「妊産婦用」なる語が既に存在しており、本件商標がいわゆる「独占適応性のない語」とは言えないはずである。本件商標が商品の用途等を表示できるのであれば、人を指称するもの以外に、「妊産婦」・「妊産婦用」等の語と同様に、商品の用途等の品質を表している語として単独で使用している例も多数認められるはずであるが、かかる証拠は何ら提出されていないため、本件商標は、一私人が独占しても何ら取引上の支障を生じることはない語であり、独占適応性のある語と認められる。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号には該当しない。

4 当審の判断

(1)請求人は、甲第1号証ないし甲第40号証を挙げて、本件商標は「これからママ(母親)になる人」を意味するものであるから、その指定商品中の妊産婦向け商品に使用するときは、当該商品の用途ないし品質を認識させるにとどまり、前記商品以外の商品に使用した場合には、商品の用途ないしは品質につき誤認を生じさせるおそれがあり、このような商標を特定人に独占使用させることは公益上からみても適当でない旨主張している。

そこで、請求人の提出に係る甲各号証をみるに、甲第1号証(自由国民社発行の「現代用語の基礎知識2000」)及び甲第2号証(自由国民社発行の「現代用語の基礎知識2003」)には、「プレママ/プレパパ(premama/prepapa)」の説明として「これからママやパパになろうとしている人のこと」とあり、甲第40号証(インターネットサイト「goo」提供に係る辞書検索)には、「プレママ」の文字につき「俗に、母親になる直前の女性、妊婦のこと」との説明がなされている。

甲第3号証(2003年3月18日、株式会社学習研究社発行の「学研ナビブックス/プレママ応援BOOK」)には、題号としての「プレママ応援BOOK」の記載があり、甲第4号証(1993年10月1日、株式会社メディカ出版発行の「赤ちゃんに学ぶ子育て」)には、そのサブタイトルとして、「なんぶ先生のプレママふれあい通信」の記載があり、甲第5号証(主婦の友社発行の「Pre−mo/プレモ2003年7月号」)には、「妊娠初期・中期・後期別、夏のコーディネート徹底比較!/東西プレ(Pre)ママ ファッションスタイル大研究」等の記載がある。

甲第6号証ないし甲第23号証は、いずれも自治体が開設するインターネットサイトの打ち出し資料の写しであり、特に妊婦を対象とする催事や調理又は母子保健等の講習会開催に関わる広報の記載の中に、例えば、甲第6号証(横浜市港北区による平成15年11月13日付記者発表資料)には「プレママとおなかの赤ちゃんのためのマタニティミニコンサート」、甲第8号証(東京都江戸川区広報平成14年3月1日号)には「プレママ・クッキングセミナー」、甲第9号証(東京都中央区広報平成14年12月15日号)には「プレママのためのヘルシークッキング」、甲第12号証(ちば市政だより緑区版/みどり2003年12月5日号)には「ヘルスサポーター教室(プレママ編)」、甲第13号証(ひたちなか市広報194号平成15年1月10日発行)には「プレパパプレママ教室」等々の記載があることを認めることができる。

甲第24号証は、請求人のインターネットサイト「はぐくみ」の打ち出し資料の写しであり、2001年5月7日から2003年9月29日に、テレビ東京、テレビ大阪等の各局放映に係るテレビ番組「ママさん応援!育児ナビ」において紹介された料理レシピを請求人が自身のインターネットサイトにおいて紹介したものであって、「プレママ用」、「プレママ・子育てママ用」の記載があることを認めることができる。そして、当該テレビ番組の放映内容の−部は、インターネットサイト「yahoo!JAPAN」(甲第25号証)において、現在においても視聴可能の状態にある。また、甲第26号証(フジサンケイグループ「ままナビweb」のインターネットサイトの打ち出し資料の写し)においても、「プレママ用レシピ」及び「プレママのためのレシピ」なる表示があり、甲第27号証(和光堂株式会社のインターネットサイトの打ち出し資料の写し)にも「プレママ向けレシピ」の記載があり、妊娠中に必要とされる栄養素(カルシウム、鉄分、食物繊維、葉酸)が説明されているとともに、栄養素ごとにされた料理レシピの紹介がされている。

また、甲第28号証ないし甲第39号証は、本件商標の指定商品の分野において、妊産婦用とされる商品や妊産婦をその主たる需要者とする商品の例が記載されており、それらの商品を紹介する記事の中には、例えば、甲第31号証(インターネットサイト「楽天」における株式会社創快ドラッグの通信販売サイト)には、「ママとプレママの栄養補給に」とのキャッチコピーがあり、甲第34号証(インターネットサイト「楽天」における株式会社ローズマダムが運営する通信販売サイト)には、「マタニ・ティー(健康茶)」について「足のムクミが気になるわ・・というプレママに!」とのキャッチコピーがあり、甲第35号証(有限会社ハーブガーデンショップのインターネットサイトの打ち出し資料の写し)には、「ハーブティ」について「プレママブレンド」の記載があり、甲第36号証(日本トイザラス株式会社の取扱いにかかる商品)の「緑の母乳(生搾り青汁)」の説明中には、「妊娠中に貧血に悩むプレママも多いのです。」との記載をみることができる。

(2)上記において認定した事実によれば、「現代用語の基礎知識2000、2003」(甲第1号証及び甲第2号証)及び「インターネットサイトgoo提供に係る辞書検索」(甲第40号証)には、「プレママ(premama)」の語の説明として、「これからママになろうとしている人のこと」、「俗に、母親になる直前の女性、妊婦のこと」との説明がなされていることは認められるが、被請求人の提出に係る一般的な辞書である広辞苑(乙第2号証)や大辞林(乙第3号証)には、「プレママ(premama)」の語の記載はなく、また、「現代用語の基礎知識」と同様の現代用語の辞典と認められる「知恵蔵」(乙第4号証及び乙第5号証)にもその記載は認められない。

そうとすれば、「プレママ(premama)」の語は、和製英語(外来語)として定着しているといえる程の語ではなく、「これからママ(母親)になろうとしている人」程度の意味合いで用いられている場合のある造語とみるのが相当である。

そして、確かに、甲各号証によれば、「プレママ」の語は、書籍や雑誌の題号として、あるいは記事中に使用されている例があり、自治体が開設する妊婦を対象とする催事や調理又は母子保健等の講習会開催に関わる広報の記載の中にも使用されている例があり、また、請求人の提供に係るテレビ番組の料理レシピにおいても使用されている例を認めることができる。これらの例によれば、「プレママ」の語は、「これからママ(母親)になろうとしている人」程度の意味合いの語として使用されていることを理解することができる。

しかしながら、これらの例で「プレママ」の語が使用されているのは、その殆どが妊娠についての基礎知識や妊婦に対するファッション、生活講習、調理講習、育児講習等についての場面であって、本件商標の指定商品について、その商品が妊産婦用の商品であることを表すものとして使用されている例はなく、僅かに3〜4件の事例において、商品の説明中に「プレママ」の語が使用されているのみである。しかも、そのうちの1件である甲第35号証の「プレママブレンド」は、登録商標の使用とも認められるものである。

そうとすれば、「プレママ」の語は、この語が使用される場面によっては、「これからママ(母親)になろうとしている人」程度の意味合いを理解し得るとしても、本件商標の指定商品との関係においては、妊産婦用商品の用途等を表示する語として一般的に使用されているものとは認められない。

してみれば、本件商標は、その指定商品との関係においては、直ちにその商品の用途、品質等を表したものとまではいい難く、これを本件商標の指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、また、その指定商品中のいずれの商品について使用しても、商品の用途、品質等について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

(3)また、請求人は、登録異議の決定例(甲第41号証)を示して本件商標の独占不適応性についても言及しているが、上記のとおり、「プレママ」の語は、元々、特定の意味合いを有しない造語であり、本件商標の指定商品における品質表示用語としての使用例もなく、しかも、請求人の提出に係る証拠によれば、甲第28号証(請求人会社の商品総合カタログ2001年版)には「妊娠・授乳期の栄養補給飲料」の記載があり、甲第29号証(請求人のインターネットサイト「はぐくみ」の打ち出し資料)には「お母さん用/妊娠、授乳期のお母さんは・・・」の記載があり、甲第30号証(ビーンスターク・スノー株式会社のインターネットサイトの打ち出し資料)には「妊産婦・授乳婦用粉乳」の記載があり、甲第32号証(被請求人会社のインターネットサイトの打ち出し資料)には「妊産婦・授乳婦用粉乳です。・・」の記載があるように、「これからママ(母親)になろうとしている人」を表す場合には、「妊産婦」の語が一般的に使用されているものと認められるから、本件商標の存在により、実際の商取引において支障を来すとは考え難く、本件商標が独占適応性を欠く語であるとまでいうことはできない。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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