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Trademark Appeal Case

商標不使用取消:使用態様

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−30574(T2005−30574/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4164703号商標(以下「本件商標」という。)は、「HIP」の文字を横書きしてなり、平成8年8月8日に登録出願、第10類「医療用機械器具及びその部品」を指定商品として、同10年7月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標は、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品「医療用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において使用された事実が存在しないことから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。

請求人の調査によると、本件商標の商標権者は、標章「HIP」を自社の製品を紹介する「Horiba Information Press」の略称として、インターネット上で使用している(甲第1号証)。

しかしながら、甲第1号証から明らかなように、商標権者の製造販売する医療用機械器具に、本件商標を使用している事実は見当たらない。

「HIP」が商標権者の製品に使用されていない限り、かかる製品の紹介に「HIP」を使用したからといって、商標法第2条第3項第8号に規定する標章の使用に当たらないことについては、多言を要しない。

よって、商標権者が、その指定商品である「医療用機械器具およびその部品」に本件商標を使用している事実は確認できない。

また、本件商標の登録原簿(甲第2号証)から明らかなように、本件商標には、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも登録されていない。

これらのことからみて、本件商標は、その指定商品について審判請求の登録前の3年以内に商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用されていない可能性が極めて高く、これが事実であれば、本件商標はその登録を取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、自らの主張の妥当性を裏付けるものとして、乙第5号証を引用し、被請求人の発行する出版物がパンフレットに該当するものであり、そこには商品の内容、特性の説明をなし購入を勧める文言が記載されているから、該出版物は一般消費者をも念頭においた「広告」と認められるのが相当であると主張する。

しかしながら、乙第5号証に示される判決は、パンフレット上における商品の総称としての商標「コスメディカルズ」の使用が、被告の保有する商標「コスメディカルズ」の使用に該当し、該パンフレットは一般消費者をも念頭においた広告に該当すると判断されたものであり、被請求人の主張の妥当性を何ら裏付けるものではない。

上記の判決は、被告の頒布したパンフレットA及びBには、被告商品の総称として商標「コスメディカルズ」が使用され、そこには被告商品の内容、特性の説明をなし購入を勧める文言が記載されていることを考慮し、パンフレット上における商品の総称としての使用を商標の使用と認め、それに付随して、該パンフレットは一般消費者をも念頭においた広告に該当すると判断したものである。

これに対し、被請求人の発行する出版物における標章「HIP」の使用形態についてみれば、該出版物に、被請求人の製造・販売に係る医療用機械器具に関してその内容、特性の説明をなし購入を勧める文言が記載されていることは認め得るとしても、被請求人の製造・販売に係る医療用機械具の総称として本件商標が使用されている使用形態は何ら見当たらない。

なぜならば、判決が「コスメディカルズ」を被告商品の総称として認めた根拠となるパンフレット中の文言における「コスメディカルズ」を「HIP」に置き換えて、例えば、「HIPのご紹介」、「HIP全8品」、「HIPご購入」、「HIPご使用中」、「HIPの使い方」、「HIPを正しく使っていただく」などと言った場合、意図しているところが不明であり、全く無意味な文言となるからである。

したがって、被請求人は判決の趣旨を誤解ないし曲解していると言わざるを得ず、「HIP」が単に該出版物の題号としてのみ使用されていることは、動かし難い事実である。

このように、本件商標が、被請求人の製造・販売に係る医療用機械器具の総称として使用されていないにも係わらず、判決における「コスメディカルズ」と同様に、被請求人の発行する出版物が商品に関する広告に該当するとする被請求人の主張は明らかに失当であり、本件商標の使用を何ら立証するものではない。

要するに、被請求人は商品区分第16類に分類される印刷物に対して本件商標を使用しているのであって、医療用機械器具に本件商標を使用しているのではない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

(1)カタログにおける使用

被請求人は、商標権者として登録商標「HIP」をWebカタログ及びカタログ冊子(乙第1号証ないし乙第4号証)において使用している。

乙第1号証 WebカタログHIP 自動血球計数CRP測定装置

Webカタログである乙第1号証の左上等に見られる「HIP」の表示は、本件商標と社会通念上同一と認められ、かつ、乙第1号証は、3頁の著作権表示から明らかなように、本件審判請求の登録前3年以内から現在に至るまで、Webカタログとして使用され続けている。

乙第2号証 カタログ冊子HIP 自動血球計数装置 PENTRA80

乙第3号証 カタログ冊子HIP 自動血球計数CRP測定装置

乙第4号証 カタログ冊子HIP 小型電極式血糖測定機器

カタログ冊子である乙第2号証ないし乙第4号証の表紙に見られる「HIP」の表示は、本件商標と社会通念上同一と認められ、かつ、同表紙に記載されている発行月から、本件審判請求の登録前3年以内に、発行されていることが明らかである。

付言すれば、請求人自身が証拠として採用している甲第1号証のWebカタログにおいても、本件商標と社会通念上同一と認められる「HIP」の表示を有しており、かつ、甲第1号証は被請求人自身が採用していることから明らかなように、本件審判請求の登録前3年以内に、使用されていることが明らかである。

(2)本件使用が商標法上の使用に当たるか否か

請求人は、審判請求書の中で『かかる製品の紹介に「HIP」を使用したからといって、商標法第2条第3項第8号に規定する標章の使用に当たらないことについては、多言を要しない。』と述べている。

しかしながら、東京高裁平成16年(行ケ)150号(乙第5号証、以下、「判決」という)において、『パンフレットA及びBには,...商品8点の内容,特性の説明がなされ,さらに...など,被告商品の特性や効能をアピールし,その購入を勧める文言が記載されていることが認められる。これらの記載によれば,パンフレットA及びBは,...一般消費者をも念頭に置いた「広告」であると認めるのが相当である。』と述べている。

本件Webカタログ及びカタログ冊子は、判決に述べているパンフレットと同様に、商品(自動血球計数装置等)の内容、特性の説明をなし、次の通り被請求人商品の特性や効能をアピールし、その購入を勧める文言が記載されている。

乙第1号証:自動血球計数CRP測定装置 LC270

「わずかな検体、1本の採血管で2つの検査 世界初のハイブリッドアナライザー」「緊急性の高い炎症検査で大きな効果を発揮します。」

乙第2号証:自動血球計数装置 PENTRA80

「優れた操作性。使いやすさを追求」「オンラインヘルプ完備で困ったときでもすぐ解決」

乙第3号証:自動血球計数CRP測定装置

「機能はそのままに、各種機能をパワーアップ。より一層、医療現場で使いやすい製品となっています。」

乙第4号証:小型電極式血糖測定機器 アントセンスΙΙΙ

「安心・安全」「緊急・即時の検査に信頼の測定原理。いつでも、どこでも、信頼のデータ。」

これらの記載によれば,乙第1号証ないし乙第4号証のカタログは、一般消費者をも念頭に置いた「広告」であると認めるのが相当であると考えられる。

なお、カタログ冊子は、乙第3号証の裏表紙のアンケート葉書に、「HIPについておうかがいします。」『今後も引き続き「HIP」の送付をご希望ですか?』「新製品ニュース...アントセンスΙΙΙ」との記載があるように、年2回、定期的に顧客に向けて新製品等を広告・宣伝するために発送しているカタログである。また、カタログ冊子は、新製品等を広告・宣伝するだけでなく、多くの顧客に発送し、多くのアンケートに回答してもらい、より多くの情報のフィードバックを得ることを大きな目的として作成・発送されているため、年間30,000部以上という驚異的な部数を顧客に配布している。

この事実からも、カタログ冊子は、一般消費者をも念頭に置いた「広告」であると認めるのが相当であると考えられる。

よって、上記(1)に述べた「カタログにおける使用」は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告に標章を付して頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。

(3)むすび

したがって、乙第1号証ないし乙第4号証に見られる「HIP」の表示は、本件商標と社会通念上同一と認められ、かつ、本件審判請求の登録前3年以内に、本件取消請求に係る指定商品に関する広告について使用されていることが明らかであるので、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当するものではない。

4 当審の判断

被請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証を提出し、乙第1号証ないし乙第4号証に見られる「HIP」の表示は、本件商標と社会通念上同一と認められ、かつ、本件審判請求の登録前3年以内に、本件取消請求に係る指定商品に関する広告について使用されていることが明らかである旨主張している。

そこで、被請求人の提出に係る前記証拠についてみるに、乙第2号証ないし乙第4号証のカタログ冊子によれば、いずれの表紙にも「HIP」の欧文字が表示されており、その表示がカタログ冊子に掲載されている商品、例えば、「自動血球計数装置」等についての商標の使用ではないとまではいい得ないものであって、カタログ冊子の表紙に表示されている「HIP」の欧文字は、本件商標と社会通念上同一の商標といわざるを得ない。そして、そのカタログ冊子には、「2004.3」「2004.9」「2005.3」とそれぞれ表示されており、それらは「2004年3月」「2004年9月」「2005年3月」であると認められるから、そのカタログ冊子が被請求人により本件審判の請求の登録前3年以内に発行されたものとみるのが相当である。

また、乙第2号証ないし乙第4号証のカタログ冊子に掲載されている「自動血球計数装置」、「自動血球計数CRP測定装置」及び「小型電極式血糖測定機器」は、いずれも本件商標の指定商品の範疇に属する商品と認められる。

してみれば、本件商標は、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、被請求人により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品中「自動血球計数装置」等について使用していたものといわなければならない。

なお、請求人は、被請求人は商品区分第16類に分類される印刷物に対して本件商標を使用しているのであって、医療用機械器具に本件商標を使用しているのではない。旨主張しているが、前記のとおり乙第2号証ないし乙第4号証のカタログ冊子の表紙に表示されている「HIP」の欧文字は、商品「自動血球計数装置」等の商標の使用とみるのが相当であるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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