結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2005−30308(T2005−30308/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第496747号商標(以下「本件商標」という。)は、「キャロル」の文字を書してなり、昭和31年3月8日に登録出願、第36類「被服、手巾、釦鈕及び装身用『ピン』の類」を指定商品として、同32年2月23日に設定登録され、その後、同52年5月9日、同62年7月22日及び平成9年5月23日の3回にわたり商標権存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、「商標登録第496747号は、旧第36類の指定商品中「被服,衣服,洋服,コート,パンツ(洋服),パンツ(下着),ネビヘシラズ,和服,前掛,涎掛,胸當,エプロン,手甲,腕貫,脚袢,経帷子,帯止,冠,帽子,カラ,カフス,領飾,襟,襯衣,ズボン下,胴締,手袋,足袋,及びこれらに類似する商品」について取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、旧第36類の指定商品中「被服,衣服,洋服,コート,パンツ(洋服),パンツ(下着),ネビヘシラズ,和服,前掛,涎掛,胸當,エプロン,手甲,腕貫,脚袢,経帷子,帯止,冠,帽子,カラ,カフス,領飾,襟,襯衣,ズボン下,胴締,手袋,足袋,及びこれらに類似する商品」については、過去3年間商標権者によって使用された形跡がない。また、専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため、この点からも、本件商標は、不使用の商標である。
したがって、本件商標は、上記取消請求に係る指定商品に関する登録は、取り消されるべきである。
(2)弁駁の理由
(ア)乙第1号証「広島アパレル工業組合理事長の証明書」は、どのような資料に基づいて使用の証明がされたのか不明である。また、証明を行った「広島県アパレル工業組合」には、被請求人の取締役が専務理事として名前を連ねているため(甲第2号証)、客観的に本件商標の使用事実が証明されているということはできず、採用されないものである。
(イ)被請求人は、乙第2号証の1及び2「上衣の写真、ズボン写真」は実施の一例として会社のユニフォームの上衣(ジャンパー)とズボン(パンツ)を示すものであると述べている。
しかしながら、かかる写真がいつ、どこで、誰によって撮られたか明らかにされておらず、写真にある商品が何時流通経路に乗ったものなのか不明で、証拠能力を欠く資料であることは明らかである。
(ウ)被請求人は、乙第3号証の1及び2「襟ネーム、タグカード」について、それぞれに本件商標の「キャロル」の文字の表示があると述べている。
しかしながら、「キャロル」の片仮名文字があるとしても、その部分のみが識別標識となって認識されることはない。
乙第3号証に示されている商標は、「キャロル」の片仮名文字が楕円形の上線に配され、楕円の中に装飾的な欧文字の「CAROL」と読み得る文字部を含む、図案化された商標であると認識される。全体の色彩も共通している上に、登録商標であることを示すマルR記号(円内に「R」の文字を配したもの。以下同じ。)が右下に配されている。
この配置・構成だと、片仮名文字「キャロル」が登録商標であると考えることは通常の知識を有する者は不可能である。むしろ、そこに示されている図案化された標章が全体として別の登録商標であるとして看取されると考えるのが自然である。
また、マルR記号は、登録商標であることを示す登録表示であると考えられるが、登録表示が認められるのは登録商標のみである。乙第3号証に示されている資料は、少なくとも本件商標とは対応しておらず、よって、本件商標の使用を示したものと考えることはできない。仮に、乙第3号証に示された標章が本件商標であるとするならば、それは虚偽表示行為(第80条)に該当するおそれがある。
乙第3号証に添付された証拠に示されている商標は、本件商標と明らかに外観が異なり、社会通念上同一の商標(甲第4号証)であるということはできず、よって、乙第3号証は証拠として採用されないものである。
(エ)乙第4号証の1に添付された「縫製時に必要となる附属品の単価、すなわちファスナー、ドット釦、ゴムや芯地・・・などを島田商事株式会社福山支店(以下「島田商事」という。)へ見積りさせた見積書(写)(平成14年11月1日付け)は、本件審判対象商品の見積書ではなく、それを作成するための部品の見積書である。よって、本件商標の使用はそこから窺い知ることはできない。また、乙第4号証の2の納品書も、見積書に示された商品の納品を示すものであり、本件商標の使用とは何ら関係がない。
(オ)乙第5号証の1及び2、さらには乙第6号証の1及び2について、乙第4号証と同様に部品の見積書及び納品書であり、本件商標の使用を証明する証拠とならないことは明らかである。
加えて、乙第4ないし6号証の1にある見積書には見積書を作成した者の認印や社印がなく、真に島田商事が見積りを行ったかどうか疑念が生ずる。さらに、仮に見積書にある部品がすべて納品されていたとしても、そこから形成された商品に「キャロル」商標が入った襟ネームやカードが付されて、「キャロル」製品として販売されたかはこれらの資料からでは窺い知ることができない。
よって、乙第4号証ないし同第6号証は、本件商標が取消対象商品に使用されていることを示す証拠にはならない。
(カ)乙第7号証「2005年2月14日付け売上伝票」について、被請求人は、納品書(乙第4号証の2)にもとづき、納品された付属品により縫製されたジャンパーの売上伝票であり、納品書における品名規格(945524−575105)と同一記号575105が品番として記載してあることから同一製品と認識できる、と述べている。
しかしながら、乙第7号証の売上伝票に示されたジャンパーに商標が付されていたか否かは判別できない。
乙第8号証においても乙第7号証と同様の主張がなされているが、これからは本件商標が付された商品であるか否かは窺い知れない。
加えて、売上伝票とは、そもそも被請求人自身が作成する伝票であり、それのみでは商品の取引があったことを客観的に示す資料にはならない。現実に取引があったとすれば、当該取引に係る納品書の控え、請求書や物品受領書、領収書等、第三者から発行された取引書類が存在しているはずである。これらの提出がなく、単に売上伝票の写しのみでは、それをもって現実の取引があったと推認することはできない。
また、本件売上伝票は、発送日及び検印が欠落している。
よって、乙第7号証及び同第8号証は、売上伝票としての証明力が欠如しているため、証拠資料としては採用されない。
さらに、仮に乙第3号証の襟ネームや下げ札が付されていたとしても、商標が同一とはいえないので、その観点からも証拠として採用できないことは明らかである。
(キ)乙第8及び9号証は、被請求人とビッグボーン商事株式会社(以下「ビッグボーン商事」という。)との関係、及び会社の履歴事項を示すもので、それ自体本件の審判の争いに関係ない。
(ク)以上述べたとおり、本件商標は、指定商品について、本件審判請求の登録前3年以内に、使用されているものではないから、その登録は取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、被請求人自身が、その指定商品中の被服について、昭和57年当時から継続実施しているものであり、すなわち、乙第1号証の証明書は、このことを立証するものであるが、以下具体的に近年の実施態様例について説明する。
(ア)乙第2号証の1及び2は、実施の一例として会社のユニフォームの上衣(ジャンパー)とズボン(パンツ)を示すものである。
(イ)乙第3号証の1及び2は、上記における上衣及びズボンに取り付けてある襟ネーム及びタグカードであり、それぞれに本件商標の「キャロル」の表示がある。しかして、これら襟ネーム及びタグカードには、それぞれ朱線で示す箇所に比較的小さいながら付属品番が、すなわち、襟ネームには「M−824」、タグカードには「A−593」と記入されている。
(ウ)乙第4号証の1は、上記上着の縫製に際し、その縫製時に必要となる附属品の単価を島田商事へ見積りさせた見積書(平成14年11月1日付け)である。同号証の2は、上記見積書にもとづいて、島田商事が121着分の付属品を被請求人へ納品した平成16年12月24日付け納品書である。
(エ)乙第5号証の1及び2は、上記上衣の製品化が平成17年3月11日付けで行われたときの見積書と平成17年3月25日付け150着分の納品書であり、襟ネームの付属品番は、同じ「M824」である。
(オ)乙第6号証の1は、上記乙第2号証の2に係るズボンの縫製に際し、必要な付属品の単価を上記の上衣同様に島田商事へ見積りさせた見積書(平成16年12月20日付け)である。同号証の2は、該見積書にもとづいて、島田商事が134着分の付属品を被請求人に納品したことを示す平成16年12月24日付け納品書である。
(カ)乙第7号証は、上記納品書(乙第4号証の2)にもとづき、納品された付属品により縫製されたジャンパーの2005年2月14日付け売上伝票であり、ここで上記納品書における品名規格(945524−575105)と同一記号575105が品番として記載してあることから、同一製品と認定できる。この品番は当初の見積書における品番571075とも同一である。
(キ)乙第8号証は、同じく上記納品書(乙第6号証の2)にもとづき納品された付属品により縫製されたパンツの2005年2月15日付け売上伝票であり、ここで記載の品番571075が上記と同様の取扱いのもとで縫製されて販売されたことを立証するものとなっている。
(ク)乙第9号証は、乙第7号証及び同第8号証の売上伝票記載のビッグボーン商事と本件の被請求人との関係を示す証明書であり、すなわちビッグボーン商事は、被請求人が業務としている衣料用繊維製品を独占して販売する販売会社であることを証明するものである。
(2)上記は一例であるが、上記した如き各挙証資料などから、請求人の主張は、全く当を得たものにならない。
(1)被請求人は、その指定商品中の被服について、昭和57年当時から継続実施していることを立証するとして乙第1号証以下を提出するので、本件商標が取消請求に係る商品に使用されていたか否かについて、以下検討する。
(ア)使用している一例を示すとして提出された写真(乙第2号証の1及び2)に掲載されているユニフォームの上衣(ジャンパー)及びズボン(パンツ)の襟ネーム及びタグカード、並びに、これらの襟ネーム及びタグカードであるとして提出した乙第3号証の1及び2には、図案化された「CAROL」の文字及び「キャロル」の文字が表示されており(以下「本件使用商標」という。)、また、この襟ネームには「M−824」の文字が、タグカードには「A−593」の文字が表示されている。
以下、被請求人の示したユニフォームの上衣(ジャンパー)を「本件ジャンパー」といい、ズボン(パンツ)を「本件パンツ」という。
(イ)被請求人が上記本件ジャンパーの縫製に必要となる付属品(ファスナー、ドット釦、ゴムや芯地など。)について見積りさせたものと述べる島田商事の平成16年12月20日付け見積書(乙第4号証の1)には、「品番」として「575105」の文字が、「付属名」中の「ネーム」の「付属品番」として「M824」の文字が表示され、その納品書と述べる平成16年12月24日付け納品書(乙第4号証の2)には、「品名規格」として「945524−575105」の文字が記載されている。
また、被請求人が本件パンツの縫製に必要となる付属品(ファスナー、ドット釦、前カン、芯地など。)について見積りさせたものと述べる島田商事の平成16年12月20日付け見積書(乙第6号証の1)には、「品番」として「571075」の文字が、「付属名」中の「カード」の「付属品番」として「A593」の各文字が表示され、その納品書と述べる平成16年12月24日付け納品書(乙第6号証の2)には、「品名規格」として「945519−571075」の文字が記載されている。
(ウ)ビッグボーン商事が北綿山形有限会社(山形県山形市南栄町3丁目14番8号。以下「北綿山形」という。)に宛てた2005年2月14日付け売上伝票(乙第7号証)には、「品番 品名」に「575105 ジャンパー」と記載され、2005年2月15日付け売上伝票(乙第8号証)には、「品番 品名」に「571075 パンツ」と記載されている。
(エ)ビッグボーン商事の証明書(乙第9号証)には、ビッグボーン商事は被請求人会社の製品を独占販売する販売会社であると記載されている。
(2)以上の事実を総合すれば、被請求人は、島田商事から平成16年12月24日に本件使用商標が付されている商品品番「M824」の襟ネーム及び「A593」のタグカードを含む付属品(品番又は品名規格「575105」又は「571075」)の納品を受け、これらの付属品を使用して縫製した本件ジャンパー及び本件パンツを、平成17年2月14日又は同15日に被請求人の販売会社であるビッグボーン商事を通じて山形市の北綿山形に販売したものと認めるのが相当である。
したがって、被請求人の製造・販売した本件ジャンパー及び本件パンツには、商品品番「M824」の襟ネーム又は「A593」のタグカードが付されていたものというべきであるから、本件ジャンパー及び本件パンツには本件使用商標が表示されていたものと認めるのが相当である。
そして、本件ジャンパー及び本件パンツに表示されていた本件使用商標は、「キャロル」の文字及び「CAROL」の文字より「キャロル」の称呼、「中世以来のイギリスの民衆的なクリスマス祝歌。キャロル。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第五版」)の観念を生ずるものであって、本件商標と同一の称呼、観念を生ずるものと認められ、これらの点を総合すれば、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものといわなければならず、また、本件ジャンパー及び本件パンツは、取消請求に係る指定商品に含まれるものである。
(3)(ア)請求人は、本件使用商標に「キャロル」の片仮名文字があるとしても、その部分のみが識別標識となって認識されることはない。「キャロル」の片仮名文字は楕円形の上線に配され、楕円の中に装飾的な欧文字の「CAROL」と読み得る文字部を含む、図案化された商標であると認識される。全体の色彩も共通しており、この配置・構成だと、片仮名文字「キャロル」が登録商標であると考えることは通常の知識を有する者は不可能である。むしろ、そこに示されている図案化された標章が全体として別の登録商標であるとして看取されると考えるのが自然であると主張する。
確かに、該襟ネーム又はタグカードに表示されている商標は、「キャロル」の片仮名文字のみからなるものではなく、楕円形状に装飾的に表された「CAROL」の欧文字を含むものである。しかしながら、取引の実際においては、登録商標を単独で使用するのみならず、登録商標に商品の名称や品質を表すような付記的な文字を付加し、あるいはその登録商標に相当する他の異なる文字種の文字を添えるなどして使用されていることは広く知られているところである。そして、本件使用商標は、本件商標「キャロル」の片仮名文字に、これを欧文字で表したとごく自然に認識し得る「CAROL」の文字を装飾的に配してなるといい得るものであり、その全体からも、上述のとおり、本件商標より生ずる「キャロル」の称呼及び「中世以来のイギリスの民衆的なクリスマス祝歌。キャロル。」の観念と同一の称呼・観念を生ずるものであって、このような使用が、本件商標の本質的な自他商品の識別機能を損なう使用にあたるものとは認められない。したがって、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものというべきである。
(イ)請求人は、乙第4号証ないし同第6号証は、部品の見積書及び納品書であり、本件商標の使用を証明する証拠とならない。また、これらの見積書には、これを作成した者の認印や社印がない。仮に見積書にある部品がすべて納品されていたとしても、そこから形成された製品として販売されたかは窺い知ることができない。さらに、乙第7号証及び同第8号証の売上伝票に示された商品に商標が付されていたか否かは判別できず、加えて、売上伝票とは、そもそも被請求人自身が作成する伝票であり、それのみでは商品の取引があったことを客観的に示す資料にはならない。また、本件売上伝票は、発送日及び検印が欠落している。よって、乙第7号証及び同第8号証は、売上伝票としての証明力が欠如している旨主張する。
しかしながら、乙第3号証における襟ネーム又はタグカードの「付属品番」(「M−824」「A−593」)が同第4号証又は同第6号証のそれと符合し、また、同第4号証の1及び2又は同第6号証の1及び2の品番(品名規格)として記載されている「575105」又は「571075」の文字は、乙第7号証又は同第8号証の品番と符合している。これらの事実からすれば、乙第7号証及び同第8号証の「売上伝票」に示された本件ジャンパー及び本件パンツには、同第3号証に示された襟ネーム又はタグカードが付されていたものと推認することができる。したがって、これらの商品には本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていたといわなければならない。
また、乙第4号証の1及び同第6号証の1の見積書には、「伝票NO.」が記載されているほか、「販売」及び「業務」欄あるいは欄外に押印がされている。また、同第7号証及び同第8号証の売上伝票には、販売先の名称がフルネームで、住所が番地まで明記され、また、「品番、品名、色」欄のそれぞれについて記載され、「出庫者」、「点検者」欄にも記載がある。さらに、「サイズ別数量」「数量」「単価」「金額」の各欄には商品毎に詳細に記載され、これらの「金額合計」「消費税額」「総合計」のそれぞれにも金額が記載されており、これらの記載に照らせば、当該取引に係る納品書の控え、請求書や物品受領書、領収書等の第三者が発行した取引書類によるまでもなく、これらに記載された内容は、事実に裏打ちされたものであって、これらの記載のとおり現実に取引がされたものと推認することは可能であるというべきである。
(4)以上のとおりであり、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、被請求人により取消請求に係る指定商品に含まれる商品「本件ジャンパー及び本件パンツ」について使用されていたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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