Trademark Appeal Case
著名商標の類否と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90216(T2005−90216/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4836732号商標(以下「本件商標」という。)は、「ムーミン谷こども園」の文字を標準文字で表してなり、平成16年6月18日に登録出願、第41類「乳幼児の教育,保育園における教授,幼稚園における教授」を指定役務として、同16年12月16日に登録査定、同17年2月4に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人の引用する商標
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、下記の6件の登録商標を引用している。
(a)登録第4419434号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MOOMIN VALLEY」の文字を標準文字で表してなり、平成11年1月29日に登録出願、第39類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同12年9月22日に設定登録されたものである。
(b)登録第4458277号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成10年2月16日に登録出願、第35類、第36類、第39類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同13年3月9日に設定登録されたものである。
(c)登録第2461315号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成1年9月19日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年9月30日に設定登録され、その後、同14年11月27日に指定商品を第9類及び第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする書換登録がなされたものである。
(d)登録第2546067号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成1年9月19日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年6月30日に設定登録され、その後、同15年5月14日に指定商品を第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする書換登録がなされたものである。
(e)登録第2572484号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成1年9月19日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年8月31日に設定登録され、その後、同15年6月25日に指定商品を第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする書換登録がなされたものである。
(f)登録第4616787号商標(以下「引用商標6」という。)は、「MOOMIN」及び「ムーミン」の文字を二段に書してなり、平成10年12月2日に登録出願、第3類ないし第6類、及び第8類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年11月1日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ムーミンダニ」及び「ムーミン」の称呼、「ムーミン谷」の観念を生じ、引用商標1は、「ムーミンバレー」、「ムーミン」の称呼、「ムーミン谷」の観念を生じ、及び引用商標2からは、「ムーミン」の称呼をも生じる。
したがって、本件商標と引用商標1及び2は、類似の商標であり、その指定役務も類似のものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、「ムーミン」あるいは「MOOMIN」を商標の構成中に包含する引用商標1ないし5を所有するが、「ムーミン」は、本件商標の出願、又は登録時においては、すでに日本国内において、周知、著名となっており、申立人の業務にかかる商品、又は役務を表示するものとして、一般需要者に広く知られている。
申立人は、「ムーミン」の著作者であるトーベ・ヤンソン氏、及びラルス・ヤンソン氏等から、「ムーミン」に関する著作権、及び商標に関する権利を譲渡されており(甲第15号証)、市場に流通している様々な「ムーミン」の商品も申立人とライセンシーとの間に締結されたライセンス契約に基づいている。
しかしながら、申立人と本件商標の権利者間には、係るライセンス契約は締結されてなく、何らの制約なく自由に本件商標を使用できるとすると、申立人の提供する役務との関係において、出所の混同を生ずるおそれがあり、また、一般需要者において、申立人と何らかの経済的、組織的な関係があるものと誤認させるおそれがある。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標1ないし5は類似し、本件商標の出願日以前には、引用商標1ないし5は、いずれも周知、著名な商標となっていたことは公知の事実である。
また、本件商標の権利者には、幅広い年代層、特に幼児に人気のある「ムーミン」の周知、著名性にただ乗りして、園児を募集しようとする剽窃的な意思の存在が推認され、不正の目的が認められる。
(5)商標法第4条第1項第7号について
「ムーミン」に関する著作権、及び商標権に関する権利を有する申立人と、何らの関係も有しない本件商標の権利者が本件商標を使用すると、一般需要者において、当該役務が申立人と何らかの経済、組織的なつながりがある者により提供されていると誤認をまねくおそれが強く、世人を欺瞞することになるので、社会公共の利益に反する。
また、本件商標の権利者に対しては、ライセンス契約等を通じた役務の質管理をすることができないので、一般需要者が役務の質について、不測の不利益を被るおそれがあり、公共の利益に反する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由の要旨
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、「ムーミン」の著作者であるトーベ・ヤンソン氏等から「ムーミン」に関する著作権及び商標に関する権利を譲渡されている者であるところ、「ムーミン」とは造語であり、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの作品「ムーミン」シリーズに登場する架空の動物ムーミントロールの略称、通称である。そして、「ムーミン」シリーズは、絵本が10作品、コミックスが14作品、小説が9作品出版されており、全作品が日本語に翻訳されており(甲第8号証ないし甲第10号証)、また、我が国では、ファミリー層を対象にした「ムーミン」のアニメ番組が1969年10月以降、フジテレビ系あるいはテレビ東京系で放映されており、幼児及びその保護者をはじめとする幅広い年齢層で購読・視聴されていたものと認められる。
また、申立人は、我が国において、「MOOMIN VALLEY」、「MOOMIN/ムーミン」等、甲第2号証ないし甲第7号証の登録商標を所有するとともに、「ムーミン」に係る標章について、数多くの企業とライセンス契約を締結しており、広告・販促・イベントにおける契約も数多く締結している事実を認めることができる(甲第11号証、甲第12号証)。
以上の事実によれば、「ムーミン」に係る標章は、申立人の業務に係る絵本やアニメ番組に登場する架空の動物としてばかりでなく、申立人の業務に係る各種商品や役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時においては既に、我が国における幼児及びその保護者を含めた幅広い取引者・需要者の間において広く知られていたものと認められ、その著名性は登録査定時においても継続していたものということができる。
(2)本件商標は、前記のとおりの構成からなるところ、構成中の「ムーミン」は、上記したとおり、造語であって、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの作品「ムーミン」シリーズに登場する架空の動物ムーミントロールを指称するばかりでなく、これを「ムーミン谷」として捉えた場合においても、甲第8号証にもみられるように、ムーミンの住む架空の地名を表すものであり、また、「こども園」の文字部分は、その指定役務との関係からみれば、自他役務の識別機能の弱い部分であるということができる。そして、本件商標の指定役務は、幼児を対象とした役務であることから、申立人の業務に係る「ムーミン」の絵本やアニメ番組及び「ムーミン」に係る各種の子供向けの商品や役務と密接な関連性を有するものである。
してみれば、本件商標は、その構成中に、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「ムーミン」の文字を含むものであるから、商標権者が本件商標をその指定役務について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、前半部の「ムーミン」の文字より、申立人の業務に係る絵本やアニメ番組に登場する「ムーミン」あるいは、申立人が各種商品や役務に使用して広く知られている「ムーミン」の標章を連想・想起し、該役務が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
商標権者は、3の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。
5 当審の判断
平成17年12月26日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。そして、上記3の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。