Trademark Appeal Case
「マエストーソ」と「マエストロ」の称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90579(T2005−90579/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4886724号商標(以下「本件商標」という。)は、平成17年2月1日に登録出願され、「マエストーソ」の片仮名文字と「MAESTOSO」の欧文字を二段に書してなり、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土 地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募 集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入のあっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,割賦購入あっせん,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,個人年金保険の引受け,火災保険の引受け,傷害保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,保険に関する助言,保険情報の提供」を指定役務として、同17年8月12日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する商標は、以下のとおりである。
(1)登録第4684646号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MAESTRO」の欧文字を標準文字で書してなり、平成14年2月14日に登録出願され、第36類「預金の受入れ,資金の貸付け,両替,クレジットカード・デビットカード利用者に代わってする支払代金の清算,クレジットカードの利用金額に関する情報の提供,クレジットカードの発行の取次ぎ,デビットカードの発行の取次ぎ,内国為替取引,外国為替取引,電子マネー利用者に代わってする支払代金の決済,現金自動預け払い機を用いて行う預金の支払,クレジットカード利用者のための信用保証,ラジオ周波識別装置(自動応答機)を用いたクレジットカード・デビットカード利用者に代わってする支払代金の清算,旅行傷害保険の引受け,旅行傷害保険契約の締結の媒介,小切手の検証,旅行者用小切手の発行,保険に関する助言」を指定役務として、同15年6月20日に設定登録されたものである。
(2)登録第3299294号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Maestro」の欧文字を横書きしてなり、平成4年9月30日に登録出願され、第36類「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算」を指定役務として、同9年5月2日に設定登録されたものである。
(3)登録第4257476号商標(以下「引用商標3」という。)は、「マエストロ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成9年12月5日に登録出願され、第16類「カード状の印刷物」及び第36類「デビットカード利用者に代わってする支払代金の清算」を指定商品及び指定役務として、同11年4月2日に設定登録されたものである。
(4)登録第4677229号商標は、「MAESTRO」の欧文字を標準文字で書してなり、平成14年8月8日に登録出願され、第42類「コンピュータの設計に関する助言,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,コンピュータサイトのホスティング(ウェブサイト),電子計算機用プログラムの提供」を指定役務として、同15年5月30日に設定登録されたものである。
(5)登録第4329917号商標は、「MAESTRO」の欧文字を横書きしてなり、平成10年9月28日に登録出願され、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信」を指定役務として、同11年10月29日に設定登録されたものである。
(6)登録第2574554号商標は、「MAESTRO」の欧文字を横書きしてなり、平成3年4月5日に登録出願され、第26類「カード状印刷物」を指定商品として、同5年9月30日に設定登録され、その後、同15年4月22日に存続期間の更新登録がされ、指定商品については、同16年9月1日に第16類「カード状印刷物」とする書換登録がされたものである。
以下、一括していうときは、「引用商標」という。
3 登録異議の申立ての理由
(1)本件商標は、申立人の所有に係る引用商標1ないし3と類似する商標であり、また、その指定役務も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)申立人「マエストロ インターナショナル インコーポレイテッド」は、世界最大手のクレジット・デビットカード業を主とする世界最大規模の会社で「マエストロ」としても周知である。引用商標の高度な周知性、引用商標と本件商標との類似性の程度、両商標の役務の性質、目的における関連性の強さ、その取引者・需要者の共通性の程度を考慮すれば、本件商標がその指定役務に使用された場合、その役務の需要者が申立人又は申立人の関連会社の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同するおそれがあり、かつ、本件商標は、他人の著名な商標と類似の商標を、不正の目的をもって使用をする意図の下に出願し登録されたものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反して登録されたものである。
(3)以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録は、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、前記のとおり、「マエストーソ」の片仮名文字と「MAESTOSO」の欧文字を二段に書してなり、引用商標は、前記のとおり、「MAESTRO」「Maestro」の欧文字、又は「マエストロ」の片仮名文字を書してなるものである。
そこで、外観についてみると、本件商標の「MAESTOSO」の欧文字部分と引用商標の「MAESTRO」の欧文字は、前半の「MAEST」の文字と末尾の「O」の文字を共通にしているものの、8字及び7字からなる構成において、一方が連続する「OS」の文字を有し、他方が「R」の文字を有してなるものであるから、本件商標と引用商標の欧文字部分は、この差異により外観上、区別し得るというのが相当である。
また、本件商標の「マエストーソ」の片仮名文字部分と引用商標の「マエストロ」の欧文字は、前半の「マエスト」の文字を共通にしているものの、6字及び5字からなる構成において、一方が末尾に「ーソ」の文字を有し、他方が「ロ」の文字を有してなるものであるから、本件商標と引用商標の片仮名部分は、この差異により外観上、区別し得るというのが相当であり、他に本件商標と引用商標が外観上類似とすべき理由は、見あたらない。
つぎに、称呼についてみると、本件商標は、上段の片仮名文字が下段の欧文字の読みを特定するものとして不自然ではないから、その構成文字より、「マエストーソ」の称呼を生ずるというのが相当であり、他方、引用商標は、「MAESTRO」「Maestro」の欧文字、又は「マエストロ」の片仮名文字を書してなるものであるから、その構成文字より「マエストロ」の称呼を生ずるものと認められる。
そうとすると、本件商標より生ずる「マエストーソ」の称呼と引用商標より生ずる「マエストロ」の称呼とは、6音及び5音という格別冗長ともいえない称呼にあって、末尾において「ソ」と「ロ」の音の差異を有し、かつ、本件商標の「ト」の音が長音を伴って発せられることにより語調も異にすることから、両者をそれぞれ一連に称呼しても相紛れるおそれがないものというのが相当である。
さらに、観念についてみると、本件商標の「MAESTOSO」、「マエストーソ」は、「『堂々と』『荘厳に』の意。」の意味のイタリア語及びその外来語であり、引用商標の「MAESTRO」「Maestro」「マエストロ」は、「音楽で、巨匠・名手・大家。」(以上、広辞苑第5版)の意味のイタリア語及びその外来語であって、共に広く知られているものであるから、本件商標と引用商標は、観念においても紛らわしいものではない。
そうとすれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれより見ても類似しない商標といわなければならない。
してみれば、本件商標と引用商標1ないし3とが類似の商標であるとして、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする申立人の主張は、採用できない。
(2)引用商標の著名性
申立人は、引用商標を申立人のデビットカードに係る役務に使用し、周知であると主張し、甲第11号証ないし甲第37号証を提出している。
そこでまず、新聞及び雑誌の記事の写し(甲第12号証ないし甲第25号証)についてみると、甲第12号証ないし甲第22号証、甲第24号証の1、甲第24号証の2及び甲第25号証は、いずれも申立人のデビットカード(MAESTRO)が我が国において平成12年6月1日から利用開始されたことを伝える、その開始前後に発行された新聞及び雑誌であり、甲第23号証は、電子マネーに関するインタビュー記事であり、その中で、MAESTROが今年中に導入するものとして紹介されているものである。
また、甲第11号証は、クレジットカード業界用語集検索サイトの「マエストロ」の語に関するものであり、甲第26号証(枝番号を含む。)ないし甲第28号証は、マスターカード インターナショナル インコーポレイテッド、日立カードサービス株式会社及び東京スター銀行株式会社が、自己のウェブサイトに取り扱う役務の紹介として掲載しているものであるから、このようなサイトへの記載があるとしても、記載された内容が直ちに周知になったものとはいうことができない。
さらに、甲第29号証ないし甲第37号証は、外国において申立人の役務を宣伝・紹介するカタログ及びウェブサイトの写しである。
そうすると、申立人の「MAESTRO」について、我が国の利用開始時に新聞、雑誌等で紹介されたとしても、平成12年6月1日前後の一時期であり、その他、提出された証拠によっては、引用商標が申立人のデビットカードに係る役務に使用され、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、周知、著名になったとまでは認めることができない。
(3)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について
本件商標と引用商標とは、上記(1)で認定・判断したとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものであり、加えて、上記(2)のとおり、引用商標が使用をされた結果、著名性を獲得するに至ったものとは認めることができない。
してみれば、本件商標をその指定役務に使用しても、その役務の需要者が申立人又は申立人の関連会社の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同するおそれはなく、さらに、本件商標は、不正の利益を得る目的をもって出願されたものとも認められない。
(4)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する
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