Trademark Appeal Case
称呼・観念の類似性判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90580(T2005−90580/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4886859号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラジィ」及び「L'ASIE」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成17年2月14日に登録出願され、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成17年8月12日に商標権の設定登録がされたものである。
2 登録異議申立て理由(要点)
(1)本件商標は、映画・テレビドラマ・小説・アニメ等の著作物に登場する主人公のコリー犬の名称又はこれら映画等の題号として需要者間において広く認識され、周知著名となっている「LASSIE」及び「ラッシー」(以下「引用標章」という。)に類似する商標であるから、その指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(2)本件商標は、上記引用標章に関して登録異議申立人(以下「申立人」という。)及びその許諾を受けた者等が本件指定商品の分野に進出することを阻むものであり、また、引用標章に化体した信用や名声にただ乗り(フリーライド)し、希釈化(ダイリューション)、汚染(ポリューション)することにより申立人等に損害を与えるものであることから、不正の目的をもって使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
一般に、欧文字と仮名文字を併記した構成の商標において、その仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは、仮名文字部分より生ずる称呼がその商標より生ずる自然の称呼とみるのが相当である。これを本件についてみるに、本件商標は、その構成中の「L'ASIE」の欧文字部分は、「アジア」の意味を有し「アジィ」と発音されるフランス語「Asie」と「ラ」と発音される定冠詞「La」とを結合したものであり、片仮名文字部分の「ラジィ」は、その読みを表したものとみるのが自然であるから、本件商標のかかる構成からは「ラジィ」の称呼のみを生じ、「アジア」の観念を有するものというべきである。
他方、引用標章は、「お嬢さん、少女、娘」の意味を有する英語「lassie」又はその発音を示す「ラッシー」からなるものであるから、「ラッシー」の称呼及び「お嬢さん、少女、娘」の観念を生ずるものといえる。
しかして、本件商標から生ずる「ラジィ」の称呼と引用標章から生ずる「ラッシー」の称呼とは、構成音数を異にし、第2音以下が「ジィ」と「ッシー」と異なるばかりでなく、前者は各音が平坦に発音されるのに対し、後者は語頭音の「ラ」が促音を伴い強く発音されることから、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感音調が明らかに異なり、彼此紛れることなく明確に聴別できるものである。また、本件商標と引用標章とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、上記の観念においても両者は明らかに異なるものである。
してみれば、本件商標と引用標章とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものというべきである。
また、申立人の証拠によれば、引用標章は、「ラッシー」と称呼され、映画・テレビドラマ・小説・アニメ等の著作物に登場する主人公のコリー犬の名称又はこれら映画等の題号として一般世人に広く認識されているものであり、この点を考慮してみても、上述の本件商標と引用標章とは類似するところのない別異のものとの認定・判断に影響を及ぼすものとはいい得ない。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合に、これに接する取引者、需要者が引用標章を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標の登録出願時には既に引用標章が需要者間に広く認識されていたとしても、上記(1)のとおり、本件商標と引用標章とは類似するところのない別異のものである。また、本件商標の商標権者が引用標章の名声や信用等にただ乗り等して不正の利益を得る目的をもって先取り的に出願したものということはできない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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