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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89141(T2005−89141/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4891992号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4891992号商標(以下「本件商標」という。)は、「VOGUEER」の文字を標準文字で書してなり、平成17年1月12日に登録出願、第9類「眼鏡,雑誌の内容を記憶させた記録媒体,測定機械器具,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,光学機械器具,加工ガラス(建築用のものを除く。),電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成17年9月2日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第655209号商標(以下「引用商標1」という。)は、「VOGUE」の文字を横書きしてなり、昭和36年10月23日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和39年10月9日に設定登録され、その後、平成17年4月6日に、指定商品を第16類「雑誌、書籍,その他の印刷物(この商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く。)」とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(2)登録第967284号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ヴォーグ」の文字を横書きしてなり、昭和43年12月20日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和47年6月7日に設定登録され、その後、平成14年11月27日に、指定商品を第6類「金属製彫刻」、第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」、第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」、第19類「石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻」及び第20類「額縁,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻」とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(3)登録第4547685号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ボーグ」の文字を標準文字で書してなり、平成11年1月8日に登録出願、第16類「紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルナプキン,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、平成14年3月1日に設定登録されたものである。

(4)登録第4802292号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成16年2月20日に登録出願、第16類「雑誌,新聞,その他の印刷物,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,書画,写真,写真立て」を指定商品として、平成16年9月10日に設定登録されたものである。

(5)登録第4672411号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成9年9月30日に登録出願、第9類「眼鏡,眼鏡用枠,その他の眼鏡の部品及び附属品」を指定商品として、平成15年5月16日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第148号証(枝番を含む)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第15号について

(ア)引用商標1は、請求人の所有に係るファッション雑誌のタイトルとして、日本を含め世界的に著名となっている商標である。

また、引用商標2は、引用商標1の片仮名表記であって、わが国においては、第二次大戦以前より現在に至るまで使用され、日本国内で周知著名となっている。

さらに、引用商標3は、わが国文部省の「国語審議会」による指導に基づき、引用商標1の片仮名表記として、わが国の新聞社をはじめ、辞典、雑誌等の出版業界で使用され、本件商標の登録出願前から周知著名性を獲得し、現在に至っているものである。

引用商標1及び2からは「ヴォーグ」の称呼のほかに「ボーグ」の称呼も生じる。

引用商標1の称呼に関し、「日本語の感覚からすれば『ボーグ』と『ヴォーグ』の称呼の区別はつけにくいところである」点は、東京高裁によるVOGUE関連判決における認定でも明らかである。現に、わが国における「VOGUE」誌の説明においても、「ボーグ」と表記している例も多くみられる。

しかも、「登録商標の著名度が高い場合には、その著名度の高い部分に世人の注意が集中し当該著名登録商標の称呼、観念が生じる」ことも裁判所においても明確に認定されているところである。

さらに、引用商標4は、わが国において、平成11年から専用使用権者である有限会社日経コンデナスト(平成17年10月1日、社名変更により、有限会社コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパンとなった。)により使用されている「VOGUE」誌の日本語版の標章であり、実質的に引用商標1と同一の標章である。

したがって、引用商標1ないし4は、本件商標の登録出願前よりファッション雑誌のタイトルとして周知・著名であると共に、本件商標の査定時及び現在に至るまで、周知著名性のある登録商標となっている。

(イ)これに対し、本件商標は、「VOGUEER」の文字からなるものである。

したがって、本件商標は、その要部である「VOGUE」において、引用商標1及び4と共通にするから、外観、称呼、観念において類似する。さらに、引用商標2及び3とは、称呼及び観念が類似する。

しかも、本件商標の指定商品は、ファッション商品の代表的な商品である「眼鏡」を含むほか、引用商標1ないし4が主として使用される代表的類似群コード「26A01」と同一又は類似の商品である「雑誌の内容を記憶させた記録媒体」を含むものである。

ところが、原査定は、本件商標の称呼につき、引用商標1ないし4についての特許庁における130件を超える登録異議決定、登録無効審判事件、及び10数件を超える東京地裁、東京高裁、大阪地裁、大阪高裁によるVOGUE関連事件で示された類否判断についての事実認定の存在を全く無視し、その上で、本件商標の称呼を「ボグエアー」、「ボグエール」、「ボギュエアー」、「ボギュエール」とし、指定商品「眼鏡」については、引用商標5を看過し、「雑誌の内容を記憶させた記録媒体」については、引用商標1ないし4の存在を看過し、本件商標の登録査定を行った。

したがって、「ER」の文字については、全く審査されていない。

加えて、本件商標の商標権者は、メガネ業界では、わが国ではトップシェアの企業であり、世界でもトップメーカーの地位を獲得してきた会社で、「メガネファッション」あるいは「ファッションメガネ」の最先端を行く会社であるから、ファッション雑誌「VOGUE」の存在を知らないはずはない。その上で、本件商標を登録出願し、登録を受けたものであるから、ファッション雑誌として世界的に著名な「VOGUE」へのフリーライドの意図は明白である。

このため、ファッション雑誌について世界的に著名な引用商標1ないし4と本件商標とは、相互に関連性は深く、本件商標は、出所について混同を生ずるおそれがある商標である。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、引用商標1及び4と外観、称呼及び観念について類似し、また、引用商標2及び3とは、称呼及び観念において類似するものであって、本件商標の指定商品中の「雑誌の内容を記憶させた記録媒体」は、引用商標1ないし4の指定商品と同一又は類似の商品である。

さらに、本件商標は、引用商標5とは、外観、称呼及び観念において類似し、かつ、その指定商品中「眼鏡」は、引用商標5の指定商品と同一の商品である。

(3)むすび

以上のように、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第11号に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、前記3の請求人の主張に対し、何ら答弁するところがない。

5 当審の判断

(1)甲第14号証の1ないし甲第119号証、甲第123号証ないし甲第128号証、甲第131号証の1ないし甲第138号証及び甲第142号証ないし甲第146号証の42を総合すると、以下の事実が認められる(なお、枝番のすべてを引用するときは、以下枝番を省略する。)。

「VOGUE」誌は、フランスの服飾雑誌であり、1892年にフランス版が創刊された(甲第55号証)。該「VOGUE」誌は、アメリカをはじめ、イギリス、フランス、イタリア等世界の15カ国で発刊され(2001年10月現在、甲第66号証)、わが国においても1999年9月1日に「VOGUE NIPPON」(ヴォーグ ニッポン)が発行されたが、それ以前にも海外版の「VOGUE」誌が輸入されていた。例えば、昭和24年10月3日付け朝日新聞(甲第71号証)によれば、「『ヴォーグ』入荷 世界的スタイル雑誌『ヴォーグ』が十年ぶりに一日入荷した。」との記載がある。

わが国において、本件商標の登録出願前に発行された百科事典類には、例えば、「ヴォーグ Vogue 最も知られた流行服飾雑誌の名。」(甲第72、77号証)、「ボーグ Vogue フランスの服飾雑誌。」(甲第55、57、73、75号証)、「ボーグ Vogue 婦人服飾流行雑誌。・・・ファッション雑誌としては高水準のものを紹介している・・」(甲第56、74号証)などのように記載している。また、「アメリカ州別文化事典」(甲第60、81号証)には「Vogue ボーグ。月刊ファッション誌。ファッションマガジンの代名詞と言われる高い評判を獲得した。」と、「アメリカを知る事典」(甲第61、82号証)には「ボーグ|Vogue 1893年に発刊されたファッション雑誌。・・《ボーグ》は代表的なファッション誌となった。」と、「現代用の基礎知識1959年版」(甲第83号証)には「外国の代表的なものとしては、『ヴォーグ』(Vogue米、仏、英版)」、「現代用の基礎知識1980年版」(甲第62、84号証)には「ボーグ(vogue) 流行。服飾雑誌の名。」との記載がある。

また、服飾関係の事典類等にも、「ヴォーグ(Vogue)」に関し、著名なファッション雑誌である旨の記載がある。

さらに、わが国の著名な週刊誌、全国紙等にも、例えば、「世界的なハイファッション誌、フランスの『ボーグ』が・・〈パリモードを魅惑の日本で・・〉という・・日本特集を企画。」(甲第89号証)、「フランスのファッション誌『ボーグ』の編集長のフランソワーズ・モー夫人が来日した。」(甲第94号証)などのように、その時々の話題として記事が掲載されたほか、「ヴォーグ60年展」の関する記事も多くの新聞、雑誌で特集された(甲第97号証ないし甲第106号証)。

そして、「VOGUE」誌に関する上記事典類、新聞、雑誌等においての掲載は、「VOGUE」、「vogue」及び「Vogue」の文字と共に「ヴォーグ」又は「ボーグ」の文字が記載されていたり、あるいは「VOGUE」、「vogue」及び「Vogue」の文字が単独で使用されていた。

(2)前記(1)の事実からすると、請求人の発行するファッション雑誌の題号である「VOGUE」の表示は、本件商標の登録出願時(平成17年1月12日)においてはいうまでもなく、その査定時(平成17年8月4日)においても、わが国の服飾関係のデザイナーをはじめとして、ファッション関連分野の取引者、需要者の間で広く知られていたものと認めることができる。

(3)出所の混同について

本件商標は、前記のとおり、「VOGUEER」の文字を書してなるものであるところ、該文字は、構成全体として、特定の語義をもって親しまれた語であるとは認め難いばかりでなく、本件商標を構成する7文字中、冒頭から5文字までが、請求人の業務に係るファッション雑誌の題号を表示するものとして、ファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く認識されている「VOGUE」と同一の綴り字よりなるものであって、上記ファッション雑誌の題号と外観上きわめて近似する構成よりなるものである。

加えて、本件商標の指定商品中の「眼鏡」は、目の矯正や保護等に用いられるものであると同時に、ファッション性をも兼ね備えた商品であるともいえる。また、同じく指定商品中の「雑誌の内容を記憶させた記録媒体」は、「VOGUE」の文字が使用されるファッション雑誌と少なからず関連性のある商品と認めることができる。

そして、ファッション雑誌の題号である「VOGUE」の表示の著名性を考慮すると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、請求人の業務に係るファッション雑誌を想起又は連想し、該商品が請求人又は請求人と営業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標といわざるを得ない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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