結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−31446(T2004−31446/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4475105号商標(以下、「本件商標」という。)は、「BRAVO PH SYSTEM」の文字を標準文字としてなり、平成12年11月20日に出願、第10類「ペーハーを測定するための医療用測定装置,その他の医療用機械器具」を指定商品として、平成13年5月18日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1及び同2を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品「ペーハーを測定するための医療用測定装置,その他の医療用機械器具」について、少なくとも本件審判請求の日前3年間継続して、商標権者又はその使用権者の何れによって使用されていない。よって、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)弁駁の要旨
ア 乙第1号証ないし同7号証に示されているのは、医師による個人輸入である。個人輸入の医療器具は、たとえ輸入者が病院等に勤務する医師であったとしても、それは私的使用に供されるものと解され、また当該医師によって輸入された医療器具は医療器具として承認を受けていないのであるから、その医療器具を日本の医師に販売したMedtronic A/S社は商標法上「業」として譲渡したとは解されないので、当該医療器具は、商標法上の「商品」に該当しないし、これに付された標章は、商標法第2条に規定する「商標」に該当しない。したがって、これら各号証によっては、本件商標が医療器具に使用されたという事実は証明され得ない。
イ 被請求人は、Medtronic A/S社とMedtronic,Inc.社は、共に被請求人の通常使用権者であるというが、両社が被請求人の通常使用権者であるという証拠は存在しない。
乙第13号証ないし同15号証によって、両社が親子関係又は兄弟関係にあることは推認されるとしても、そのことをもって本件商標に関し使用許諾関係があるということまでは明らかにされたとはいえない。
したがって、仮に、乙第1号証ないし同7号証によって、個人輸入された医療器具が商標法上の商品であり、これに付された標章が商標法上の商標であるとしても、これらの証拠をもってしては、本件商標が通常使用権者によって医療器具に使用されたという事実は証明され得ない。
ウ 更に、もし仮に、乙第1号証ないし同7号証の医療器具が商標法上の「商品」であり、その医療器具に付された標章が、商標法第2条に規定する「商標」に該当する場合においても、下記の理由により被請求人の答弁は成り立たない。
(ア)乙第9号証ないし同12号証のパンフレットはアメリカのMedtronic,Inc.社が作成したものと認められ、したがって、これに示されている「ペーハーを測定するための医療用測定装置」は同社の製造・販売に係わるものであると認められる。
これに対し、乙第1号証ないし同7号証の医療器具はデンマークのMedtronic A/S社の製造・販売に係わるものである。両社は、準拠法を別にする異なった法人である。
そして、乙第1号証ないし同7号証の医療器具が、乙第9号証ないし同12号証の「ペーハーを測定するための医療用測定装置」であるという事実もこれらの証拠から明らかではない。したがって、たとえ両社が本件商標の通常使用権者であったとしても、乙第1号証ないし同7号証の医療器具が、直ちに、乙第9号証ないし同12号証の「ペーハーを測定するための医療用測定装置」と同一のものということにはならず、本件商標が医療器具に使用されたということを、明らかにし得ないものである。
(イ)もし仮に、乙第9号証ないし同12号証のパンフレットに掲載されている「ペーハーを測定するための医療用測定装置」が乙第1号証ないし同7号証の医療器具と同一のものとしても、それらの医療器具に使用されている商標は「BRAVO」であって、本件商標「BRAVO PH SYSTEM」ではない。
本件商標は、「BRAVO PH SYSTEM」の文字を同形、同大のローマ字の大文字で一連一体に構成した商標である。これに対し、パンフレットに示されている「ペーハーを測定するための医療用測定装置」に使用の商標は、「BRAVO」である。このことは「BRAVO」の文字に「TM」の記号が付されており、「BRAVO」が商標であることを示していることから明らかである。
本件商標「BRAVO PH SYSTEM」と乙第9号証ないし同12号証のパンフレットに使用されている「BRAVO」とは同一ではなく、また同一性もない。
更に、乙第1号証ないし同7号証のインボイスに使用されているのは「Bravo pH Capsule」「Bravo pH Receiver 210」等であって、本件商標とは同一ではなく、また同一性もない。
したがって、乙第1号証ないし同15号証よっては、本件商標が医療器具に使用されたという事は、明らかにされ得ない。
ウ 以上を総合して判断すると、本件商標が、審判請求の登録の前3年間に日本で指定商品に使用されたという事実は、証明されていないこと明らかである。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同15号証を提出した。
被請求人の通常使用権者は、本件審判の予告登録日前3年以内に日本国内において本件商標を商品「ペーハーを測定するための医療用測定装置」に使用していたから、本件商標はその登録を取り消されるべきでない。
(1)乙第1号証ないし同7号証は、被請求人の通常使用権者であるデンマークのMedtronic A/S社が発行したインボイスで、日本国内の医師が個人輸入した「ペーハーを測定するための医療用測定装置」に係るものである。輸入事務は、東京都内の有限会社アサヒバイオメッド(AsahiBiomed Co.Ltd.)が取り扱っている。インボイスの日付及び輸入者は、2003年10月10日〜2004年5月28日のもので、いずれも異なる7人の者である(乙第1号証ないし同7号証)。
乙第1号証ないし同3号証、同7号証に「Doctor License Import」と記載されているのは、医師免許を有する者が個人輸入するものであることをインボイス上明示したものである。乙第8号証は、被請求人の企業グループに属する日本メドトロニック株式会社の書簡写であるが、医師の個人輸入に関する説明が記載されている。
国内の医師に販売された乙第1号証ないし同7号証の製造者は、インボイス発行元のMedtronic A/S社である。第9号証の5頁目に「Manufactured by:Medtronic A/S Tonsbakken 16-18,DK-2740 Skovlunde,Denmark」と記載されている。
(2)乙第10号証は、2003年に被請求人の通常使用権者であるMedtronic,Inc.社が作成したカタログであるが、その1頁目(表紙)に「Apatient-friendly test for heartburn」(患者にやさしい胸焼けの検査)の表示がある。しかして、乙第1号証ないし同7号証中「Bravo pH Receiver 210」と記載された商品は、乙第10号証の4頁目に「Receiver」(レシーバー)、「Receiver worn on waistband」(ベルトに装着したレシーバー)と記載された写真に掲載のもので、乙第10号証の3頁目に本件商標を付したレシーバーの写真が掲載されている。4頁目の本文には、以下のとおり記載されている(和訳)。
「Bravoシステムの働き ...検査にはジェルキャップほどの大きさの小さなpHカプセルを使用し、これが食道に取り付けられます。検査期間中、Bravoカプセルは食道のpHを測定し、ページャーや携帯電話のようにベルトやバンドに装着したページャーサイズのレシーバーに情報を送ります。食道逆流症状を起こしたとき(咳、胸やけ、吐きもどし等)、食事中、就寝中等の時間を記録するダイアリーを渡されます。検査が完了したら、ダイアリーとBravoレシーバーをお医者さんに返しますが、するとコンピュータに情報がアップロードされてすっかりレポートができますので、お医者さんは貴方の状態を診断することができるのです。」
即ち、pHカプセルとレシーバーが一体となって食道のpH測定を行う訳である。pHカプセルは、乙第1号証ないし同7号証に「Bravo pH Capsule with Delivery System,box of 5」と表示された商品である。
2002年にMedtronic,Inc.社が作成した乙第11号証のカタログにも、本件商標を付したレシーバーの写真が掲載されている。
なお、現在ウェブ上に掲載されている商品カタログも乙第9号証と同一のものである(乙第12号証)。
(3)次に、本件商標と使用権者との関係につき説明する。
2004年6月30日付の乙第13号証は「Form 10-K for MEDTRONIC INC」と題されているが、これは米国証券取引委員会に提出する2004年度年次決算報告書を意味し、その39頁末尾に「Medtronic,Inc. and subsidiaries」(Medtronic,Inc.とその子会社)と記載され、40頁に「Medtronic A/S Denmark」(Medtronic A/S デンマーク法人)、「Medtronic Endonetics,Inc. California」[Medtronic Endonetics,Inc.カリフォルニア州法人(注:2004年6月30日当時)]、「Medtronic Japan Co.,Ltd. Japan」(日本メドトロニック株式会社 日本法人)と記載されている。
乙第14号証のMedtronic,Inc.社の2003年度年次報告書には、「2002年度の第三四半期に、6億7千2百ドルで胃食道逆流症(GERD)の診断・治療技術の開発に携わるEndonetics,Inc.(Endonetics)を買収しました。」と記載されている(和訳)。
乙第15号証にも、Medtronic A/S、Medtronic,Inc.及び日本メドトロニック株式会社(Medtronic Japan Co.,Ltd.)が住所と共に記載されている。
乙第13号証ないし同15号証より、カタログ作成者であるMedtronic,Inc.社及び商品の製造販売元であるMedtronic A/S社は本件商標の権利者であるMedtronic Endonetics,Inc.社の関係者であって、商標権者より通常使用権を受けて本件商標を使用していたことが明らかである。同様に、日本メドトロニック株式会社が乙第8号証の作成適格者であることも明らかである。
(4)叙上のとおり、本件商標は、指定商品中「ペーハーを測定するための医療用測定装置」について、本件審判の請求の予告登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により使用されていたから、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるべきものではない。
(1)本件商標の使用について
ア 乙第1号証ないし同7号証(いずれも、インボイスの写し)によれば、医師資格を有すると推認される帝京大学の「Susumu Kurosawa」をはじめとして7人の者が、デンマークのMedtronic A/S社から個人輸入したことが認められる。そして、輸入の対象として、いずれも「Bravo pH Receiver 210」および「Bravo pH Capsule with Delivery System,box of 5」等が記載されている。
また、インボイスの日付は、2003年10月10日〜2004年5月28日(乙第1号証ないし同7号証)の間のものである。
イ 乙第10号証は、2003年のMedtronic,Inc.社の商品カタログであるが、この3枚目と4枚目には、「Receiver」と「pH Capsule」として現物写真が掲載されており、その「Receiver(レシーバー)」本体には、「Bravo」と「PH System」の文字が二段に表示されているのが認められる。
そして、乙第9号証には、その形状と付された商標からして、上記機器と同一のものとみられる機器が示され、加えて、Medtronic A/S社の製造に係る旨の記載がある。さらに、他の乙号証に係るカタログ等においても、「Receiver(レシーバー)」とされるものは、いずれも同じ形状と商標が付された機器と認められるものであるから、上記アの「Bravo pH Receiver 210」は、乙第10号証のカタログに示された「Receiver(レシーバー)」と同じ商品とみるのが自然であり、合理的である。
ウ 本件商標は「BRAVO PH SYSTEM」の文字からなるところ、前記「イ」の「Receiver(レシーバー)」に付された商標は、「BRAVO」と「PH System」とが二段に表され、後者の「System」中の「ystem」部分が小文字で表されてはいるが、上下の文字は一体性をもって看取されるものであり、本件商標とその文字構成及び称呼を同じくし、観念上での変動があるともいえないから、社会通念上同一の商標というべきものである。
エ してみると、2003年10月10日をはじめ、乙第2号証ないし同7号証に示された各日付に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した機器の個人輸入があったと推認される。しかして、前記の個人輸入は、見方をかえていえば、注文を受けて、商標を付した商品を日本の需要者に譲渡したことになるから、商標法第2条第3項第2号にいう商標の使用に該当するというべきである(東京高裁・平成14年(行ケ)第173号審決取消訴訟事件の判決参照)。
(2)使用に係る商品について
上記(1)の「Receiver(レシーバー)」に関して、乙第10号証には、「小さなpHカプセルを使用し、これが食道に取り付けられます。検査期間中、Bravoカプセルは食道のpHを測定し、ページャーや携帯電話のようにベルトやバンドに装着したページャーサイズのレシーバーに情報を送ります。食道逆流症状を起こしたとき(咳、胸やけ、吐きもどし等)、食事中、就寝中等の時間を記録するダイアリーを渡されます。検査が完了したら、ダイアリーとBravoレシーバーをお医者さんに返しますが、するとコンピュータに情報がアップロードされてすっかりレポートができますので、お医者さんは貴方の状態を診断することができるのです。」との記載、すなわち、pHカプセルとレシーバーが一体となって食道のpH測定を行う旨の記載が認められる。
してみれば、当該機器(「ペーハーを測定するための医療用測定装置」)は、専ら医師の診断に使用するデータを取得するために患者の検査を行うものと認められるから、かかる機器は、商標法上の医療機械器具の範疇に属する商品というべきである。
この点について、請求人は、使用に係る商品が商標法上の「商品」に該当しない旨主張する。
しかしながら、当該商品は、その用途や機能からみて医療機械器具に属すべきものと判断されるものであり、独立して取引の対象となっている物品であって、商標法上の「商品」に該当し、また、医療器具としての承認の有無は、他の法令の規制等については格別、商標法上の商品性の判断に直接的なこととはいえないというべきである。よって、前記主張は採用し得ない。
(3)使用権者について
乙第13号証ないし同15号証によれば、被請求人とMedtronic A/S社とMedtronic,Inc.社の両社は、親子関係あるいは兄弟関係にある会社ということができ、このような関係性と被請求人の主張を併せ勘案すれば、いずれも被請求人から本件商標についての使用を許諾された者であると推認するのが相当である。そして、これを否定する証拠はない。
(4)小活
以上によれば、前記(1)の年月日に、通常使用権者によって、本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品が譲渡されたものと認められ、本件商標は、取消請求に係る指定商品「ペーハーを測定するための医療用測定装置」について、本件審判請求の登録前3年以内の時期に日本国内において、通常使用権者によって使用されていたと認めることができる。
(5)まとめ
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について使用をしていないものには該当しないから、商標法第50条第1項により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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