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Trademark Appeal Case

不使用取消の使用立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−31091(T2005−31091/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1973515号商標の指定商品中「納豆及びその類似商品,納豆入り即席みそ汁及びその類似商品,納豆入りお茶漬けのり及びその類似商品,納豆を加味した加工野菜及びその類似商品,納豆粉末を主成分とした錠剤状・カプセル状・粒状の加工食料品及びその類似商品」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1973515号商標(以下「本件商標」という。)は、後掲のとおりの構成からなり、昭和59年7月16日に登録出願、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として昭和62年7月23日に設定登録され、その後、平成9年6月17日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

そして、本件審判請求の登録は、平成17年9月22日にされた。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証(枝番を含む。)を提出している。

<請求の理由>

本件商標は、その指定商品中「納豆及びその類似商品、納豆入り即席みそ汁及びその類似商品、納豆入りお茶漬けのり及びその類似商品、納豆を加味した加工野菜及びその類似商品、納豆粉末を主成分とした錠剤状・カプセル状・粒状の加工食料品及びその類似商品」について、過去3年の間、商標権者が日本国内において使用した事実が認められない。

また、商標登録原簿上、使用権者の存在は認められず、使用権者が本件商標を上記商品について使用した事実も認められない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、上記商品についての登録は取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第6号証(枝番を含む。)を提出している。

<答弁の理由>

商標権者(被請求人)は、本件商標をその指定商品について、昭和57年6月1日に「有限会社おなか」を設立(乙第1号証)して以来、その事業目的である「飲食店業」「食料品の販売」及び「前各項に附帯する一切の業務」において本件商標を屋号である「おなか」のイメージキャラクターとして用いて来た実績があるばかりでなく、取扱い商品の商標として、上記会社設立と共に使用を開始し、昭和59(1984)年7月16日に本件商標登録出願を行って以来、今日現在迄、「おなか」の文字を含む図形商標を本件商標指定商品中の「納豆及びその類似商品、納豆入り即席みそ汁及びその類似商品、納豆入りお茶漬けのり及びその類似商品、納豆を加味した加工野菜及びその類似商品、納豆粉末を主成分とした錠剤状・カプセル状・粒状の加工食料品及びその類似商品」と類似する類似群に属する商品である「湯葉」について、継続して使用している事実がある。

その使用事実について、以下のとおり立証する。

(1)使用の事実の立証

(ア)請求に係る指定商品の販売業務は本来業務

商標権者は、乙第1号証に示す如く、昭和57年6月1日に「有限会社おなか」として会社設立した後、本店住所を「名古屋市中区新栄1丁目47番15号」に定めて以来、今日現在迄活動している。平成14年8月には「おなか錦店」を更に開店し、今日現在迄、「おなか本店」及び「おなか錦店」の二店舗において、事業目的(乙第1号証)の活動を継続しており、本件商標を付した商品販売も本来の業務として継続している。

(イ)商標権者が飲食店舗を経営している事実

乙第3号証の1に示す資料は、平成17年6月1日以来、インターネットに公開されているものであり、誰もがその情報の入手が容易にでき、商標権者の営業活動が確認できるものであって、その最初のページのみ証拠資料として提出する。

この乙第3号証の1のページ下方に「お得掲示板」の見出しがあり、そのすぐ上のパラグラフにおいて、「お好み焼きや焼きそばを家族やお仲間で取り分けて食す「団欒の時」と「味わい」に加え、おなか独自の「鉄板焼」や「割烹料理」の組み合わせは他に類を見ない質の高い料理をもたらしております。」と記載されている。

「割烹料理」と唄っているように、商標権者は、日本料理の提供は本来の業務範囲であり、得意の提供食品である。

(ウ)乙第3号証の2及び3は、平成8年以来継続的に日本料理に関し不特定多数の顧客に向けて提供しているパンフレットであり、これにより商標権者が日常日本料理を提供していることを証明する。

a)乙第3号証の2のパンフレットは、商標権者が自己の店舗において顧客に提供するおすすめ料理について、毎月例えば、「11月のおすすめコース」等として料理内容を紹介している。

そのパンフレットにおいて、中央部に「東寺湯葉」とあるのは、教王護国寺である東寺の僧侶が、昔考案した精進料理の一つであり、湯葉を用いた料理の総称であって、例えば、東寺蒸しとは湯葉蒸しを意味しており、商標権者が提供する「東寺湯葉」は、銀杏、木くらげ、百合根を内部に混入している食品である。

b)乙第3号証の3は、お正月用のおせち料理のパンフレットであって、毎年斯様な、日本料理のおせちを販売致している。毎年12月中旬迄に注文を受け、年末に提供している。このおせち料理の中には、湯葉も提供食品として含まれている。

(エ)乙第4号証は、「有限会社おなか本店」を移転して、平成17年6月7日に「鉄板料理おなか本店」を新装開店した時の開店案内であって、その葉書を約500枚、同一内容文面による封書を約200枚、今迄の重要な顧客並びに新しい地における新しい顧客獲得の為に、郵便制度を利用して、不特定多数人に配布したものである。

乙第4号証の上段は、その一人として被請求人の代理人が平成17年6月6日に受領した開店案内通知葉書であり、その表面に被請求人の代理人の宛先を示している。

同下段には、商標権者が乙第1号証に示す事業の目的の総てを提供する同開店案内通知葉書の裏面であって、「平成17年6月7日」が開店日であること及び店舗の地図と共に、発信人であるおなか本店が明確に記載されている。

(オ)乙第5号証は、7枚の写真で構成され、写真撮影者は、被請求人の代理人である。

乙第5号証の(1)ないし(3)は、平成17年7月22日に、愛知県大府市森岡町在の「おなか本店」に直接赴き、撮影したものである。

乙第5号証の(4)ないし(7)は、平成17年11月15日に上記「おなか本店」に直接赴き、平成9年以来販売を続けている商標権者の商品である「湯葉」を撮影したものである。

以下に、具体的な内容を説明する。

乙第5号証の(1)ないし(3)は、乙第4号証に基づく平成17年6月7日の開店日以来、1ケ月半程度経過した上記「おなか本店」の店舗の状況を示しており、順に店舗の正面玄関、店舗の全景、店内に及びける鉄板料理を行う鉄板を囲む客数名と調理人である代表者が鉄板料理を直接顧客に提供している様子が示されている。この写真の他店舗内部には約30名程度の客を収容するテーブル席がある。

この乙第5号証の(3)は、役務の提供の様子を示すものであることは、充分承知しているが、乙第5号証の(1)及び(2)に示した店舗において、鉄板料理の提供を受けた顧客の総てではないが、多くの客は、友人や仕事の相談業務等の会合に基づく来店機会から鉄板料理を食した後、自宅に帰り家族にも、鉄板料理の一部として、この店舗が供給している焼きそばや日本料理全般の内、日本料理の一つである湯葉の味をお土産として求める客がかなりいる。

そうした客のために、商標権者は、総ての店舗において、乙第1号証の会社設立に伴う開店と同時に、野菜果汁、食酢、香辛料をベースに調合した商標権者特製の焼きそばやお好み焼き用のソースである「フレッシュベジタブルソース」をお土産品用商品として店内で別途販売に供しているばかりか焼きそば麺のお土産用商品をも\1,500の価格により商品提供していると共に、平成9年以来「湯葉」のお土産用商品をも\1,200の価格により商品提供している。

この「湯葉」は、銀杏、木くらげ、百合根を混ぜ込んだものであり(以下「本件商品」という。)、乙第5号証の(4)ないし(7)において、その詳しい商品形態を証明している。

(2)本件商品は請求に係る指定商品に入る

請求に係る指定商品に包含される「湯葉」をお土産用商品として、審判請求の登録日前3年以内に、商標権者の店内において\1,200の価格により商品提供している。

湯葉は、本件商標の指定商品中の「加工食料品」中の「豆腐、凍り豆腐、油揚げ、こんにゃく、納豆、豆乳」に分類されるべき性質の商品であることは自明であるから、本件商標の指定商品に属する商品について、本件商標を使用していることになる。

(ア)乙第5号証の(4)ないし(7)は、乙第4号証に示す平成17年6月7日の当日に、商標権者が「おなか本店」において、来店客が鉄板料理を食べた後、お土産商品として単価\1,200で販売した商品であり、湯葉4個を透明プラスチック製ケースに封入致し、本件商標が印刷された包装紙により巻かれた状態の本件商品を示している。

a)乙第5号証の(4)は、商標権者から顧客へ提供される包装状態の本件商品の形態を示しており、このお土産用湯葉は、販売目的の商品であることから、透明プラスチック製ケースに、湯葉4個を封入した後、商標権者の住所、名称を印刷して発売元であることを明らかにした包装紙にて被装して、出所表示機能及び品質の保証機能を全うしている。

b)乙第5号証の(5)及び(6)は、包装袋を外して透明プラスチック製ケースと分離した状態を示しており、商品である湯葉が4個封入されている状態を透視観察できる状態である。

c)乙第5号証の(7)は、4個の夫々の湯葉が包装用ラップにより被装されていることを示している。これら4個の湯葉は、銀杏、木くらげ、百合根が内部に混入されている。

(イ)「湯葉」は、豆乳を熱して水面上に浮き上がる蛋白質の凝固分を取り上げたものであるから、請求に係る指定商品が所属する類似群である「32F05」に所属する商品であり、例えば、「銀杏を加味してなる凍り豆腐」「銀杏を加味してなる豆腐」「銀杏を加味してなる油揚げ」「味付けされた肉巻き豆腐」等も同じ類似群に所属する商品である。

(3)土産用販売商品の湯葉販売証明書

商標権者の新しい店舗である愛知県大府市森岡町在の「おなか本店」なる名称の鉄板前割烹店舗を、平成17年6月7日(火)に開店したところ(乙第4号証)、開店初日に来店した客が商標権者の鉄板料理を食べた後、同店舗内部でお土産商品として販売している本件商品を\1,200で購入した事実がある。購入した客による購入の事実を証する証明書を乙第6号証の1及び2として提出する。

(4)むすび

被請求人(商標権者)は、上述の如く本件商標の指定商品中、請求に係る指定商品に類似する「湯葉」に対して、本件商標を審判請求の登録日である平成17年9月22日前3年以内に相当する乙第6号証1及び2に基づく平成17年6月7日に使用していた事実を立証したので、審判請求の理由は解消したものである。

4 当審の判断

(1)被請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば、以下の点が認められる。

(ア)商標権者(被請求人)は、「飲食店業」「食料品の販売」及び「前各項に附帯する一切の業務」目的として、昭和57年6月1日に設立された名古屋市中区新栄在の法人(有限会社)であり、大府市森岡町において平成17年6月7日に鉄板料理「おなか本店」(以下「本件店舗」という。)を新装開店したこと(乙第1及び第4号証)。

(イ)本件店舗では、「鉄板前割烹」ないしは「鉄板料理」と称し、鉄板焼と割烹料理を組合せた料理の提供が行われており、その料理の一例として月々のおすすめコースや正月用のおせち料理があって、そのコース料理には「東寺湯葉」が含まれていること(乙第3号証の1ないし3)。

「東寺湯葉」は、湯葉を用いた料理の総称であり、商標権者の提供する東寺湯葉は、銀杏、木くらげ、百合根を内部に混入したものであること(本件商品)。

また、上記鉄板料理は、店内における鉄板料理を行う鉄板を囲む客には調理人自ら直接提供されること(乙第5号証の(3))。

(ウ)本件店舗に来店し鉄板料理の提供を受けた客で希望する者は、該鉄板料理の一部である「湯葉」(本件商品)をお土産用として有料で持ち帰ることができること。

a)本件商品は、1個づつ包装用ラップに個包装され、4個まとめて透明プラスチック製ケースに封入した後、包装紙により巻かれた状態で客に販売されること。

b)本件商品の包装紙には、全面に本件商標と同一といい得る大小の標章が数個不規則に印刷されているほか、左下隅に「鉄板割烹」及び「おなか本店」の文字が住所等と共に表示されていること(乙第5号証の(4)ないし(7))。なお、本件商品の包装紙には、食品表示に関連した法令に基づく「名称」、「原材料名」、「内容量」、「賞味期限」等の表示は付されていない。

(エ)本件店舗の開店初日である平成17年6月7日に、本件店舗に来店し鉄板料理の提供を受けた客が、土産用に本件商品を1,200円で購入したことを不動文字による証明願で証明していること(乙第6号証の1及び2)。

(2)以上によれば、本件商品は、銀杏、木くらげ、百合根を混ぜ込んだものであって、単なる「湯葉」ではなく、本件店舗において提供される湯葉を素材とした料理の一つと認められものであり、請求に係る指定商品と類似するものとは認め難いものである。そして、本件商品は、本件店舗において料理の提供を受けた客が希望すれば、土産用として持ち帰ることができるというものであって、それ自体を常に商品として準備し店内に展示しておくというような証拠もなく、また、その包装形態からしても、通常一般に行われる加工食品の取引形態とは異なるものであり、市場において転々と流通する商品というのは困難である。

そして、本件商品に使用された包装紙は、本件商標と同一といい得る大小の標章が数個不規則に一面に印刷されているとしても、これが直ちに本件商品にかかる自他商品の識別標識あるいは出所標識として印刷されたものとみるよりは、一種の地模様が付されているものと認識されるばかりでなく、その用紙の大きさからして簡易で汎用性があるものであって、専ら本件商品ためにのみ使用される包装紙ともいい難いところである。また、その左下隅に印刷された「鉄板割烹」及び「おなか本店」の文字は、鉄板料理の提供者を示したものというべきものである。

(3)ところで、商標法第50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、当該商品の識別表示として同法第2条第3項、第4項所定の行為がされることを要するものというべきである(東京高裁、平成12(行ケ)117、平成13.2.28判決参照)。そして、商標法上における商品とは、一般市場で交換されることを目的として生産される有体動産等をいうと解されるところ、和食料理店又はその宴会場において有償で提供される料理及び同料理店で顧客の注文により持帰り用に有償で提供される料理の折詰、更に宴会料理の残り物を入れた折詰は、いずれも市場において交換することを目的として生産されるものではないことは明らかであるから、商標法にいう商品には当たらない(東京地裁、昭和59(ワ)6476、昭和62.4.27判決参照)。

これを本件についてみるに、本件商品は、上記(2)のとおり、本件店舗で料理の提供を受けた顧客が注文することにより始めて提供されるものであり、独立した取引の対象として市場に流通するものでもないから、商標法上の商品ということはできない。

(4)以上の(1)ないし(3)を勘案して判断するに、本件商標は、審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品「納豆及びその類似商品、納豆入り即席みそ汁及びその類似商品、納豆入りお茶漬けのり及びその類似商品、納豆を加味した加工野菜及びその類似商品、納豆粉末を主成分とした錠剤状・カプセル状・粒状の加工食料品及びその類似商品」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていなかったものといわざるを得ない。また、その使用がされていないことについて正当な理由があるものとも認められない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その指定商品中の上記商品についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

本件商標

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