Trademark Appeal Case
地名と一般名称の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−4836(T2005−4836/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「嬉野温泉ふぐ」及び「嬉野温泉河豚」の文字を二段に併記してなり、第31類「ふぐ(生きているものに限る。)」を指定商品として、平成16年3月24日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、「嬉野温泉ふぐ」の文字と「嬉野温泉河豚」の文字を二段に横書きしてなるところ、「嬉野温泉」の文字部分は、「佐賀県にある古くから知られた重曹泉の嬉野温泉」を、「ふぐ」及び「河豚」の文字部分は、「体は肥り、背びれは小さく、歯は板状で鋭く、攻撃されると腹を膨らますものが多いフグ科とその近縁の硬骨魚」の意味合いのある語を連綴したものと認められ、全体として、これよりは、「佐賀県の嬉野温泉のふぐ」の意味合いを理解、認識させるから、これを本願指定商品に使用するときは、単に、商品の品質、販売地を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「嬉野温泉ふぐ」及び「嬉野温泉河豚」の文字を二段に併記してなるところ、その構成中の「嬉野温泉」の文字は、佐賀県に位置し、美肌の湯として知られる温泉地の名称を表すものと解されるものであり、「ふぐ」及び「河豚」の文字は、本願指定商品を表すものである。
(2)ふぐの養殖について
次の新聞記事及びインターネットにおける情報より、温泉を利用したふぐの養殖を含めて、各地でふぐの陸上養殖が行われている事実を認めることができる。
(ア)「フグやアワビ、陸で養殖」の見出しのもと、「魚の養殖といえば沿岸の海でするのが一般的だが、最近、内陸での養殖が注目されている。海の汚染が深刻化しているからだ。陸では水槽で水質を管理して、無投薬で育てられる。・・・鹿児島湾をのぞむ鹿児島県隼人町。海から10キロほど入った山間部で、13万匹のトラフグが養殖されている。川沿いの杉林の中に18メートル四方、300トンの水槽が35個並んでいる。毎日海から水を運んできて殺菌処理し、地下水を加えて使っている。・・・この点、キープインターナショナルの陸上養殖は、殺菌や濾過(ろか)などの処理をした水を使う。外部からの病原菌や微生物の侵入を防げるため、病気の予防に水産用医薬品を使わなくてもいいという利点がある。また、夏は地下水、冬は温泉を利用して、最適な温度に保っている。このため稚魚の成長が早く、海面養殖が出荷までに1年半かかるのに比べ、1年で出荷できる。さらに約8倍の密度で養殖でき、成魚に育つ割合も8割以上と効率がいい。海面養殖ではホルマリンを使わないと、この割合は2割くらいという。」との記事(2004.06.19 朝日新聞東京朝刊 53頁)。
(イ)「株式会社オプティマ・フーズは、平成16年4月に設立された無投薬有機ふぐの養殖事業を行うべく設立された企業であり、本年1月より愛南町にて閉鎖循環式陸上養殖による有機とらふぐ生産を行っています。高品質で安全安心な『天然代行となる有機とらふぐ』の生産を目指すものであり、病原菌類の侵入を防ぐ防菌設計、高断熱構造などを取り入れた完全な閉鎖生育環境の創出、独自開発した飼育水の活性化技術により、高い歩留まり、高密度養殖、早い成長を実現し、さらに高品質化・大型化が可能である上に、無投薬による安全性・信頼性の確保という優位性をもっています。」との記載( http://www.dbj.go.jp/japanese/release/rel2005/0331_sikoku.html)。
(ウ)「当社は、関東地区51店舗、関西地区34店舗(2005年11月末現在)においてとらふぐ料理専門店「玄品ふぐ」の経営を行っている。・・・養殖技術:自社養殖施設において、餌、水質、水温等を調節することにより公害に汚染される以前の自然の海と同じ状態を陸上の養殖施設で作り、天然ふぐにより近い品質のとらふぐを市場の半値以下で生産することを目標としている。」との記載(http://www.shopbiz.jp/pages/t_index.phtml?PID=0001&TCD=FC&SID=06FC001500)。
これらの新聞記事及びインターネットにおける情報よりすれば、ふぐの陸上養殖は各地で行われており、嬉野温泉以外にも温泉を利用した養殖を行っているところがあることが認められる。
(3)むすび
本願商標は、上記(1)、(2)を併せ考慮すれば、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「嬉野温泉の地で温泉により養殖されたふぐ(河豚)である」こと及び「生産地、販売地が嬉野温泉である」ことの意味合いを認識するに止まり、自他商品の識別標識としては認識しないというのが相当である。
してみれば、本願商標は、単に商品の品質、生産地及び販売地を表示するにすぎないものといわざるを得ない。
なお、請求人(出願人)は、「「嬉野温泉」が本願指定商品の産地又は販売地として広く一般に知られているという事実はなく、「嬉野温泉」の文字がその商品の産地又は販売地を表示するものとして普通に使用されている事実もないから、本願商標は、十分自他商品識別力を有するものであり、特定の者に独占的に使用させても、公益上も問題はない。」旨主張する。
しかしながら、「商標登録出願に係る商標が商標法3条1項3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである」(昭和61年1月23日 最高裁昭和60年(行ツ)第68号)とされること、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(平成12年9月4日 東京高裁平成12年(行ケ)第76号)とされることから、請求人(出願人)の主張は採用できない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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