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Trademark Appeal Case

地名と施設名の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2005−10874(T2005−10874/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「八ヶ岳清里高原天文台」の文字(標準文字による商標)を書してなり,第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成16年8月10日に登録出願されたものである。

そして,その指定役務については,平成17年3月28日受付けの手続補正書により,第41類「カメラの貸与,光学機械器具の貸与,天体観察会の企画・運営又は開催,天体観察施設の提供」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は,「本願商標は,『八ヶ岳清里高原に立地する天文台』といった程度の意味合いを認識させるにとどまり,自他役務の識別標識であるとまでは認識し得えないことから,これをその指定役務の『天文台施設の提供』に使用しても,何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当し,前記役務以外の役務に使用するときは,役務の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので,商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断して,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は,前記1のとおり「八ヶ岳清里高原天文台」の文字を普通に表したものよりなるものである。

ところで,岩波書店の広辞苑(第五版)によれば,本願商標を構成する前半の「八ヶ岳」の文字が,「富士山火山帯中の円錐状火山」を表す語であり,同じく「清里」の文字が,「山梨北西部,八ヶ岳南東麓の高原地帯。避暑地として有名。」であることから,本願構成中「八ヶ岳清里高原」の文字は,「八ヶ岳南東麓の清里高原」という場所を表したものと容易に看取されるものである。

そして,実際に「八ヶ岳清里高原」の文字が,当該場所を表すために一般に使用・採択されているものであることは,以下のインターネット上のホームページ情報によりその一端を知ることができる。

(1)http://www.kiyosato-passport.com/farm/index.html

市民農園「クラインガルテン」の所在地を表すために「ようこそ、八ヶ岳清里高原クラインガルテン「樫山の里」へ!」,「八ヶ岳清里高原 クラインガルテン 」の記載がある。

(2)http://coupons.yahoo.co.jp/bin/detailview?id=ft16454173&.src=coupon&.done=

「Yahoo!クーポン」「店舗情報」に宿泊施設の所在地を表すために「八ヶ岳清里高原 ペンションハロウィン」の記載がある。

(3)http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/27822/27822.html

「楽天トラベル」のウエブサイトに,宿泊施設の所在地を表すために「八ヶ岳清里高原 ヒュッテ ブランシュ」の記載がある。

(4)http://dom.jtb.co.jp/yado/List.aspx?sa=1907

「JTB」「小淵沢・甲斐大泉・清里」「宿一覧」において「八ヶ岳清里高原はスケッチに最適のロケーション春や秋には多くの日曜画家がスケッチブックを開く姿が。」の記載がある。

(5)http://www.city.kameyama.mie.jp/shisetsu/bunka/bunkakaikan/sub5.htm

「富士の国やまなし観光ネット」「ペンション・ロッジ」「杜の花宿ペンション背高のっぽ (モリノハナヤド セイタカノッポ)」において宿泊施設の所在地を表すために,「八ヶ岳清里高原にある『杜の花宿ペンション背高のっぽ』へお越し頂くお客様の目的ベスト3は・・・(後略)」との記載がある。

一方,本願商標の構成中後半の「天文台」の文字は,岩波書店の広辞苑(第五版)によれば,「天文学上の観測並びに研究に従事する機関」の意味を有する語である。

そして,天体を見るのに適した場所とは,「大きな都市から離れ」,「すぐ近くに街灯などの人工灯火がない場所」であるとされ(国立天文台ホームページhttp://www.nao.ac.jp/QA/faq/a0901.html「よくある質問」「9.その他の質問」参照),近年の大型望遠鏡を擁する天文台は,高山に造られることが多いとされ,実際に八ヶ岳の東麓「野辺山原」にある「野辺山宇宙電波観測所/野辺山太陽電波観測所(国立天文台野辺山)」について,なぜ「これらの望遠鏡は野辺山に建設されたのですか」かとの問に対して,「観測しているミリ波の電波は大気中の水蒸気に吸収されて弱くなるため、標高が高くて水蒸気の少ない野辺山が選ばれました。また、まわりを山に囲まれているため、都会からの人工電波がさえぎられ、宇宙からの微弱な電波をとらえるのに適しています。」との回答がなされている(国立天文台野辺山ホームページhttp://www.nro.nao.ac.jp/Misc/faq.html「よくある質問」「なぜこれらの望遠鏡は野辺山に建設されたのですか」参照。)ことからすれば,標高が高く,都市から離れた高原地帯は,天文台の立地に適している場所であるということができる。

してみれば,「八ヶ岳清里高原天文台」の文字からなる本願商標をその指定役務中,「天体観察会の企画・運営又は開催,天体観察施設の提供」について使用しても,実際に八ヶ岳清里高原に天文台が存在するかどうかにかかわらず,これに接する需要者・取引者は,その全体の構成文字より,「八ヶ岳の清里高原に立地する天文台」といった役務の提供の場所及び施設の名称を表示したものと認識するにとどまり,これをもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものというべきである。また,前記以外の場所において提供される役務に使用するときは,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって,本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当であって,取り消すことができない。

なお,請求人は,「八ヶ岳高原」「清里高原」等の過去の登録例を挙げて,本願商標は登録されるべき旨述べるところがあるが,それらは,商標の構成文字,指定商品又は指定役務の点において,本件とは事案を異にするものであり,本願商標については前記のように判断すべきものであるから,当該請求人の主張は,採用することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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