sokuhyo

Trademark Appeal Case

Doctor付加商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2004−90462(T2004−90462/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4766117号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4766117号商標(以下「本件商標」という。)は、「Doctor Kent」の欧文字を書してなり、平成15年2月26日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成16年4月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)商標「Kent」の周知・著名性について

登録異議申立人(以下「申立人という。)は、紳士用の衣服、及び服飾洋品雑貨の製造、販売をその業務としている会社であり、昭和55年12月3日に株式会社ヴァンヂャケット新社として設立され、その後、昭和56年3月25日に社名を株式会社ヴァンヂャケットと変更して現在に至っている。

申立人は、商標「Kent」(以下「引用使用商標」という。)を本件商標の出願前から多年、紳士用の衣服、及び服飾洋品雑貨に使用してきており、引用使用商標は申立人の業務にかかる商品を表示するものとして極めて著名となっている。

申立人は、昭和30年代中頃から昭和50年代後半にかけてわが国における紳士用ファッションの分野をリードした企業であり、引用使用商標が申立人の商標として全国的に極めて著名であったことは、衣服及び服飾洋品雑貨の業界のみならず、一般消費者の間でも顕著な事実である。

引用使用商標は、すでに商標として著名であった「VAN」の関連ブランドとして1963年に立ち上げられたものであるが、引用使用商標の付された商品(以下「Kent製品」という。)は、当初青山Kentショップのみで販売していた。その後、直営店であるKAMAKURAKENTが出来、銀座8丁目のテーラー・ヤマキ、東京駅の大丸、銀座松屋と増えていった。

申立人は、Kent製品を上述した青山Kentショップ等で販売するとともに、定期的に雑誌等に引用使用商標そのものの広告やKent製品の広告を掲載し、また、年に2回、6ヶ月ごとにKent製品のカタログを作成し、それをKentショップ等に来店したお客等に配布していた。

近年(2000年以降)もKent製品の販売が現実におこなわれ、それが継続している。

したがって、本件商標の出願時である平成15年2月26日においても、また、現在においても引用使用商標の周知・著名性は維持されているものである。

(2)本件商標に対する登録異議の申立ての理由

(ア)商標法第4条第1項第10号について

引用使用商標は、上記のとおり、本件商標出願前から使用が開始され、周知・著名となっており、本件商標出願時はもとより、現在においても、継続的な使用によってその周知性は維持されている。

そして、本件商標と引用使用商標とは、「ケント」、「英国のケント州」の称呼及び観念が同一であり、本件商標が「Kent」の語の前に「Doctor」の語を付加したものであっても、そのことによって、両商標の間に全く関連性がないと認識させることにはならない。また、本件商標の指定商品のうち第25類の「被服」と引用使用商標の使用に係る商品とは同一である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

(イ)商標法第4条第1項第11号について

請求人が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、次のとおり。

なお、以下、これらを一括して、「引用商標」という。

(a)「KENT」(やや右に傾けて表記してなる。)の文字を書してなり、昭和38年2月12日登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として昭和39年9月16日に設定登録、その後、指定商品については平成17年11月9日付けの書換登録で、第25類「被服」ほか、第16類、第20類、第21類、第22類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に書き換えられ、現在も有効に存続している登録第653109号商標

(b)「ケント/KENT」(やや図案化してなる。)の文字を書してなり、昭和38年12月25日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として昭和44年10月29日に設定登録、現在も有効に存続している登録第836101号商標

(c)「ケント」の文字を書してなり、平成4年5月8日に登録出願、第25類「運動用特殊衣服」を指定商品として平成7年3月31日に設定登録、現在も有効に存続している登録第3031467号商標

本件商標と引用商標とは、「ケント」、「英国のケント州」の称呼及び観念が同一の類似関係にあり、その指定商品も互いに同一又は類似するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(ウ)商標法第4条第1項第15号について

また、引用使用商標は「被服」等の商品に使用されているが、引用使用商標は、周知・著名商標であるため、多くの服飾メーカーが、衣服だけでなく、靴や傘・かばん等にまで同一ブランドの下に商品を製造、販売し、同一デザインや同一コンセプトを活かしたトータルファッションを提供するという商品展開をおこなっている実情があるから、本件商標をその指定商品のうち第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について使用した場合、その出所について混同を生ずるおそれのあるものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、上記のとおり、「Doctor Kent」の文字よりなるところ、該文字は「Doctor」と「Kent」の文字間に一字分の間隙を有するとしても、その構成文字全体は、外観上まとまりよく一体的に表されていて、これより生ずる「ドクターケント」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。また、その構成文字中、「Doctor」の文字は、「博士、医師」や呼掛けで「先生」といった意味合いを有する一般に馴染まれた英語と認められ、「Kent」の文字は、欧米の男子の名を表したものと認められるから、本件商標は、その構成文字全体をもって「ケント博士」「ケント先生」といった、敬称と人名の一体となった意味合いをもって認識し把握されるとみるのが相当である。

そうすると、本件商標よりは「ドクターケント」(ケント博士、ケント先生)の称呼、観念のみを生ずるものといわなければならない。

申立人は、本件商標よりは、その構成中「Kent」の文字部分より「ケント」(英国のケント州)の称呼、観念を生ずると主張しているが、本件商標は、「Kent」の文字に冠し「Doctor」の文字が書されているものであるから、それに続く「Kent」の文字は人の名を表したものとみるのが自然であり、そして、本件商標よりは、全体として「ケント博士」「ケント先生」といった一体とした意味合いを無理なく看取し得ること上記のとおりであるから、かかる構成おいて、たとえ「Kent」の文字に「英国のケント州」の意味合いがあるとしても、構成中、該文字部分のみを捉え、これより「ケント」(英国のケント州)の称呼、観念を生ずるというのは不自然というほかはなく、したがって、かかる請求人の主張は採用できない。

他方、引用商標は、前記したとおり、「Kent」、「KENT」及び「ケント」の文字を単独で若しくは組み合わせて構成されてなるものであるから、これよりは「ケント」の称呼を生じ、欧米の男子の名を表したものと理解させるほか、「英国のケント州」の意味合いを有するものと認められる。

そうすると、本件商標より生ずる「ドクターケント」と引用商標より生ずる「ケント」とは、その音構成、構成音数を明らかに異にするものであるから、両商標は、称呼において相紛れるおそれはないものであり、また、観念においてもその差異は明らかであり、外観においては明瞭に区別し得る差異を有するものと認められる。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れることのない非類似の商標であり、他に、両商標が類似するとすべき理由は見出せない。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

申立人は、昭和30年代中頃から昭和50年代後半にかけて「VAN」の商標を使用して我が国における紳士用ファッションの分野をリードした企業であり、「VAN」ブランドの関連ブランドとして「Kent」の文字を横書きしてなる引用使用商標を1963年に立ち上げ、同「Kent」の文字を付した商品(以下「Kent製品」という。)を、青山Kentショップや、直営店であるKAMAKURAKENT、銀座テーラー・ヤマキ、東京駅大丸、銀座松屋等で販売していたものである(甲第7号証、甲第10号証及び甲第12号証)。

しかしながら、申立人の提出した証拠によっては、Kent製品の本件商標の登録出願時及び登録査定時における取扱い状況が明確でなく、例えば、提出された商品カタログも2000年以降のものは見当たらず、甲第43号証によれば、Kent製品の売上高も、最も直近のもので、2004年1月〜6月迄で約1,500万円、年間でみても2002年で約4,700万円、2003年で約3,700万円程度の僅少なものとなっている。

そうすると、上記におけるKent製品の取扱い状況や販売実績等を総合して判断すれば、引用使用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者間において、なお広く知られるに至っている状況にあったとは、俄にこれを認めることができない。

そして、本件商標と引用使用商標とは、本件商標と引用商標の類否について判断した上記(1)と同様の理由で、互いに類似しないものであり、他に、両商標間において混同を生ずるとすべき特段の理由を見出すことはできない。

してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用したとしても、これに接する取引者、需要者が、直ちに引用使用商標を連想又は想起するものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。