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Trademark Appeal Case

著名商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2005−90666(T2005−90666/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4898757号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4898757号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成17年2月9日に登録出願、第6類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月9日に登録査定、同年9月30日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、構成中の図形部分は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)がドリルやグラインダ、レンチ、ラチェットなどの工具、作業台に使用している別掲(2)に表示した商標(以下「引用商標」という。)と類似するものである。

引用商標を付した商品は、少なくとも平成17年2月9日よりも前から販売されている(甲第3号証)。申立人は、アメリカ合衆国の49州に1200を超える店舗を有しており(甲第4号証)、アジア諸国にも製品を輸出している。引用商標を付した製品のカタログの宣伝、広告の費用は、2002年には1億5千万円、2003年では4億6百万円、2004年には4億5千万円となっている。また、全世界における2004年5月から2006年1月までの1年半の売上は、110億円にのぼる。2004年5月から2006年1月までの1年半におけるアジア方面への製品の輸出高は、90億円である。以上のことから、申立人の商標を付した商品は、全世界で広く宣伝・広告され、販売されている。

わが国においても、引用商標が付された商品が有名な工具ブランドの一つとして紹介されている(甲第5号証)。また、申立人のホームページでは、引用商標を付した280品目の商品が販売されており、このホームページを通じて、わが国でも商品の入手が可能となっている(甲第6号証)。

以上より、本件商標を付した商品が市場に出現するときには、需要者・取引者は、申立人の著名な図形商標を容易に連想し、申立人と何らかの経済的若しくは組織的関係を有するものにかかる商品であるかの如き混同を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第19号について

商標権者が製造・販売する銅板・銅線・銅管等の伸銅製品の製造過程において、様々な機械装置が使われていることからすれば、申立人にかかる製品である工具が使用され、引用商標を商標権者が認識している可能性が高い。

また、本件商標と引用商標は、円形の内側に内接するように六角形が描かれ、その内側に「K」の欧文字が大きく描かれている点において共通し、相紛らわしく、相互に類似している。

以上より、商標権者が、商標に蓄積してきた申立人の高い業務上の信用にフリーライドする不正の意図を有していたことが推認できる。

したがって、本件商標は、申立人の著名商標と類似する商標について、不正の目的で出願されたものであり、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第7号について

本件商標の登録出願は、申立人の商標に対する故意による模倣又は寄りかかりによるものである。申立人が引用商標を日本国において出願していないのを奇貨として先取り的に出願し、商品の品質保証と不断の営業活動による長年の多大な努力によって得た高い名声にフリーライドしようとすることは、引用商標の持つ強力な信用を希釈化することになり、申立人の業務上の信用を害し、ひいては商品流通社会の秩序を侵害するものである。これは商標法の目的に反する行為であり、社会における一般的道徳観念にも反するものであり、本件商標は、商品流通社会の秩序を侵害するものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第15号について

本件商標と引用商標は、その構成、別掲のとおりであるところ、本件商標と引用商標とは、その外観において近似するものとするのが相当である。

しかしながら、申立人は、引用商標を付した商品は、少なくとも平成17年2月9日よりも前から販売されている旨主張しているが、甲第3号証には、引用商標の表示、具体的な日付の表示も見いだせないから、該主張は認められない。

また、申立人は、アメリカ合衆国の49州に1200を超える店舗を有しており申立人の商標を付した商品は、全世界で広く宣伝・広告され、販売されている旨主張しているが、甲第4号証において、「LOWE’S」店舗の分布図は示されているが、引用商標との関係が不明である。

申立人の提出に係る甲第5号証、同第6号証によれば、別掲(2)の構成よりなる引用商標をラチェット、レンチ等の工具に使用していることが認められるが、これをもって、本件商標の登録出願時に著名であるとはいい難く、また、「国外不出の工具たち???/アメリカから国外販売不可?の工具を・・・個人輸入してみました。」という見だしのもとに「KOBALT工具」が紹介されていることより、引用商標を付した商品が、日本国内で一般の商品と同様に販売されているともいい難いものである。

その他に引用商標の著名性を裏付ける具体的な証拠を何ら提出していないから、引用商標が、わが国においても著名であるとする申立人の主張は、採用できない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観上近似するとしても、商標権者が本件商標をその指定商品に使用するとき、これに接する需要者、取引者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。

(2)商標法第4条第1項第7号及び第19号について

本件商標は、引用商標が日本国において出願していないのを奇貨として先取り的に登録出願されたものと断じ得る証拠はなく、また、引用商標が登録出願時に著名であるともいい難いこと前記(1)のとおりであって、それらを裏付ける証拠の提出もない。

そうとすれば、本件商標は、申立人の主張するような業務上の信用を害し、ひいては商品流通社会の秩序を侵害するという社会的に到底是認し得ない行為により商標登録を受けたものであると断ずることはできないというべきであるから、公序良俗(商品流通社会の秩序)に反するものとはいえない。また、本件商標の商標権者は、申立人が商標に蓄積してきた高い業務上の信用にフリーライドする不正の意図を有するものということもできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当しないものである。

(3)まとめ

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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