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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89145(T2005−89145/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4436004号商標(以下「本件商標」という。)は、「STILA SPORT」の欧文字を横書きしてなり、平成11年12月22日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同12年11月24日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が引用する登録第518500号の2商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和31年3月13日に登録出願、同33年4月15日に設定登録された登録第518500号商標権について、同52年12月14日付け分割移転の登録により分割された商標権に係る商標であり、第2類「化粧用染料、化粧用顔料」を指定商品とするものである。なお、その後に、昭和54年2月5日、同63年4月20日及び平成9年12月24日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

同じく登録第1472087号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和50年6月24日に登録出願、第4類「歯みがき、化粧品、香料類(ただし薫料を除く)」を指定商品として、同56年7月31日に設定登録され、、その後、平成3年10月29日及び同13年6月26日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同14年5月8日に指定商品を第3類「歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする書換登録がされているものである。

同じく登録第1720181号商標(以下「引用C商標」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和55年12月26日に登録出願、第4類「歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同59年10月31日に設定登録され、その後、平成6年9月29日及び同16年6月29日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年11月17日に指定商品を第3類「歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする書換登録がされているものである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。

3 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の指定商品のうち「香料類,化粧品,歯磨き」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし第5号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)本件商標と引用商標との類否

本件商標は、「STILA SPORT」の欧文字よりなるものであるところ、「STILA」と「SPORT」の文字間には間隔が置かれていること及び両者を全体として一連不可分のものとしてのみ把握しなければならないとする特段の事情は見当たらない。

したがって、本件商標は、「STILA」と「SPORT」という要素からなると容易に理解されるものというべきである。

しかるところ、「STILA」の文字は、特定の意味を有する語として一般に知られているものではないのに対して、「SPORT」は、「運動、スポーツ」を意味する英語として広く一般に知られているものであるから、本件商標がその指定商品について使用されたとき、これに接する取引者・需要者は、その構成中にあって広く一般に親しまれている「SPORT」の文字に強く注意をひかれ、これより生ずる「スポーツ」の称呼あるいは「運動」または「スポーツ」の観念によって、取引に当たる場合も決して少なくないというべきである。

したがって、本件商標は、「スポーツ」の称呼及び「運動、スポーツ」の観念を生ずるものといわざるを得ない。

一方、引用商標は、それぞれ別掲(1)ないし(3)に示すとおりのものであるところ、それぞれの構成からみて、これらにおける「SPORTS」、「Sports」及び「スポーツ」の文字も独立して見る者の注意をひき、かつ、自他商品の識別標識たり得るものである。

ところで、化粧品業界において、肌に有害な紫外線から肌を護る日焼け防止用の化粧品や汗をかいても化粧くずれしない化粧品が取引されてはいるが、専らスポーツをする際に用いられる化粧品、すなわち、スポーツをする際のみに使用されるという固有の品質を有する化粧品というような化粧品が取引されているといった事情は見出せない。

もっとも、アウトドアスポーツは、太陽の下で行い汗をかくことも多いから、スポーツと前記のような日焼け防止用化粧品や汗によって化粧くずれをしない化粧品は、全く無縁のものとまではいい得ないが、「SPORTS」、「Sports」及び「スポーツ」の語には、本来的に「日焼けを防止する」とか「化粧くずれをしない」といった意味はないから、これに前記のような事情を併せて考慮すると、「SPORTS」、「Sports」及び「スポーツ」の語は、上記の化粧品の用途なり効能なりを漠然と暗示するものとはいえても、更に進んで、自他商品の識別力を有しないものとまではいえないものとみるのが相当である。

したがって、「SPORTS」、「Sports」及び「スポーツ」の文字は、化粧品との関係において、自他商品の識別標識として機能し得るものというべきである。

ちなみに、本件審判請求人が商標登録出願していた商願2004一3912号商標「スポーツ/SPORTS」(第3類「化粧品」)は、平成17年8月1日付けで登録査定されている(甲第5号証の1ないし3)。

また、スポーツと「香料類,歯磨き」といった商品の品質、用途等の間には、何らの具体的、直接的な関係はないから、「SPORTS」、「Sports」及び「スポーツ」の文字が、これら商品の自他商品の識別標識として機能するものであることは明らかである。

そうすると、引用商標がその指定商品について使用されたとき、これに接する取引者・需要者は、それぞれの構成中の「SPORTS」、「Sports」及び「スポーツ」の文字に強く注意をひかれ、これらより生ずる「スポーツ」の称呼及び「運動、スポーツ」の観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないというべきである。

してみれば、引用商標は、いずれも「スポーツ」の称呼及び「運動、スポーツ」の観念を生ずるものといわざるを得ない。

そして、本件商標の指定商品のうちの「香料類,化粧品,歯磨き」と引用商標の指定商品とは、同一又は類似のものである。

以上のとおり、本件商標は、引用商標とその称呼及び観念を同じくする類似のものであって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である「香料類,化粧品,歯磨き」について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)むすび

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「香料類,化粧品,歯磨き」について、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものといわざるを得ないから、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第26号証を提出している。

(1)被請求人商標について

本件商標は、欧文字横一列にて、同書・同大にて書されており、「STILA」と「SPORT」との間には、僅かに半角程度のブランクが設けられているが、殊更いずれか一方を強調するような構成態様でないこと、また、文字数の構成においてもいずれも5文字とバランスの取れた構成であることから、全体をもって一体的な構成として視認される。

そして、全体構成から生じる「スティラスポート」の称呼も、全体で7音であり、決して冗長にすぎず、淀みなく一息に称呼できる。

また、観念としては、「STILA」は、指定商品との関係において、需要者の間で広く認識されている商標権者「Stila Cosmetics,Inc.」の略称であることを想起させる。そして、「SPORT」部分は、「スポーツ用の、スポーツに(あるいはスポーツ後に)適した」といった用途を表示するものとして需要者には認識される(乙第2ないし第25号証)。

したがって、本件商標全体としては、「スティラのスポーツ用の商品」であることを容易に認識させるものであるから、本件商標は、その構成全体をもって認知識別されると判断するのが自然であり、殊更、構成要素の一部である「SPORT」部分のみを切り取って類否を論じる請求人の主張は失当である。

仮に、略称される可能性があるとしても、かかる構成から生じる略称は、その冒頭部分の「STILA」から生じる称呼「スティラ」であって、「SPORT」部分のみを捉えて「スポート」と称する状況は、取引の実状を踏まえても想定できない(乙第26号証 最判平成3年(行ツ)第103号 「EYE」事件 参照)。

(2)むすび

以上のとおり、請求人の主張には全く理由がなく、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反したものではないことから、その登録は無効とされるべきものではない。

5 当審の判断

(1)本件商標は、前記1に示したとおりの構成からなるところ、これを構成する「STILA」と「SPORT」の文字との間には、半文字程度の間隔が設けられてはいるが、同書・同大に書されており、殊更いずれか一方を強調するような構成態様ではなく、全体をもってまとまりよく一連に書されているものであって、これより生ずると認められる「スティラスポート」の称呼も格別冗長というべきものでもなく、よどみなく一連に称呼し得るものであって、構成中の「SPORT」の文字部分のみを分離抽出すべき特段の理由は見い出せない。

そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然であるから、該構成文字全体に相応して「スティラスポート」の称呼のみを生ずるものであって、単に「スポート」の称呼、「運動、スポーツ」の観念が生ずることはないものといわなければならない。

してみれば、本件商標から単に「スポート」の称呼及び「運動、スポーツ」の観念をも生ずるものとし、そのうえで、本件商標と引用商標とが該称呼及び観念において類似するものとする請求人の主張には理由がないものといわなければならない。

また、本件商標と引用商標とは、外観においても明らかに区別し得る差異を有するものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標である。

(2)この点について、請求人は、(ア)「STILA」の文字は、特定の意味を有する語として一般に知られているものではないのに対して、「SPORT」は「運動、スポーツ」を意味する英語として広く一般に知られているものであるから、本件商標に接する取引者・需要者は、広く一般に親しまれている「SPORT」の文字に強く注意をひかれ、これより生ずる「スポーツ」の称呼あるいは「運動、スポーツ」の観念によって取引に当たる場合も決して少なくないこと、(イ)「SPORTS(Sports)/スポーツ」の語は、化粧品の用途なり効能なりを漠然と暗示するものとはいえても、更に進んで、自他商品の識別力を有しないものとまではいえず、また、「香料類,歯磨き」との関係においては、自他商品の識別標識として機能するものであることは明らかである旨主張している。

しかしながら、被請求人の提出に係る乙第20ないし第25号証(いずれもポータルサイト「YAHOO!JAPAN Beauty」の検索情報)によれば、「スポーツ」の語は、ボディケア商品等について、「アフタースポーツに合うフレッシュなフレグランス」、「スポーツ後のボディをクールダウンしながら気持ちをリフレッシュさせてくれます」、「暑い夏やスポーツ時に」、「バスタイムやスポーツの後・・・」等の如く、商品の説明文中に用途を表示する語として用いられており、また、乙第2(「Stila Cosmetics,Inc.」のホームページ)ないし第6号証(インターネット掲示板「2ch」カテゴリスレッド一覧)によれば、「STILA/スティラ」の語は、被請求人の商号の略称として、あるいは化粧品等の商標として、インターネット情報中において盛んに採録されている事実を認めることができる。

そうとすれば、「SPORTS(Sports)/スポーツ」の語の識別力を一概に否定することはできないとしても、少なくとも、「SPORTS(Sports)/スポーツ」の語には、さほど強い出所表示力があるものとはいえないから、「SPORT」あるいは「SPORTS(Sports)/スポーツ」の語それ自体が独立して表されているような商標の場合は別にしても、他の語と一体不可分に構成されているような商標の場合にあっては、その構成全体をもって、一連一体の商標として理解・認識され、取引に供されるものとみるのが自然である。

してみれば、本件商標の場合にあっても、その構成全体から生ずる「スティラスポート」の一連の称呼をもって取引に供されるものとみるのが相当であり、略称される場合があるとしても、被請求人の商号の略称として、又、化粧品等の商標として多用されている前半部分の「STILA」から生じる「スティラ」の称呼であって、「SPORT」の文字部分のみを分離抽出して、「スポート」の称呼をもって取引に供されることはないものといわなければならない。

以上のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用できない。

(3)したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の第3類「香料類,化粧品,歯磨き」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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