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Trademark Appeal Case

商標の類否と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35081号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3163685号商標の登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1.本件商標

本件登録第3163685号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第42類「西洋料理を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成4年9月26日に使用に基づく特例の適用を主張し登録出願、同8年6月28日に特例商標として設定登録がなされたものである。

第2.請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次のとおり主張し、証拠方法として甲第1号証乃至甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。

1.商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、その出願前から請求人が役務「飲食物の提供」について使用する商標「CASA」(以下、「使用商標」という。)と称呼・観念において類似し、かつ、本件商標の指定役務と請求人の使用に係る役務とは共通である。更に、使用商標は、本件商標の出願時・査定時いずれの時においても広く認識されている。

(1)本件商標と使用商標の類否について

本件商標は前記に示したとおりの外観からなり、「レストランカーサ」又は「カーサ」の称呼を生じ、スペイン語の「家屋」の観念を有する「CASA」の字音からなるレストランの名称と認められる。

一方、引用商標は前記に示したとおりの外観からなり、「カーサ」の称呼を生じ、スペイン語の「家屋」の観念を有する語と認められる。したがって、本件商標から生じる「レストランカーサ」又は「カーサ」の称呼と使用商標から生じる「カーサ」の称呼とは、「カーサ」の称呼を共通にするため称呼上類似する。

更に、前記の如く、指定役務との関係で本件商標が有する観念と使用商標が有する観念とは観念上も類似する。

したがって、本件商標と使用商標とは、互に類似する商標である。

(2)使用商標の周知性について

請求人は、レストラン業界では比較的数の少ない東証1部上場企業の一つであり、セゾングループの外食部門を担う中核企業として1983年には東証1部上場をはたしており、毎年発表される外食企業の売上げランキングでも常に上位10位前後を保っている有名企業である。ファミリーレストラン「CASA」は、請求人の営業に係るレストランの中核店舗で、1978年8月に第1号店をオープンし、関東圏を中心に出店が行われたが、1992年(平成4年)には既に200店体制が確立されていた。このうち本件商標の使用されている九州地方では、1991年(平成3年)に店舗営業権の譲渡を受けることで、一挙に42店舗の「CASA」が出現した。この事態は、レストラン業界の専門誌である「月刊食堂」にインタビュー記事として掲載されたほか、当時の熊本日日新聞でも、1991年10月16日、同12月17日、1992年3月17日、同5月30日、同7月18日の各記事でその内容が紹介されている。更に1991年12月14日朝日新聞の朝刊西部版にも同趣旨の記事の掲載がなされている。一方、関東地方のファミリーレストランの中にあって請求人の営業にかかる「CASA」は、常にトップテンに入る店舗数を保っており、ファミリーレストラン業界は勿論のこと、多くの利用者に知られているレストランの名称である。更に、バブル期を経て多くの不採算店を整理した現在にあっても店舗数は、1997年(平成9年)現在で221店を有しており、ファミリーレストランについて使用商標は周知商標である。

以上より、本件商標は、使用商標と類似する商標であって、その指定役務も使用商標に使用されている役務に係るものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

2.商標法第4条第1項第15号について

店舗数が全国で200店体制を確立している請求人の営業に係る周知・著名な使用商標と同一又は類似の称呼・観念を生じる本件商標を同一役務について使用すればその役務の出所について混同を生じるおそれがあるか又は、請求人と何らかの関係があるかの如く混同を生じるおそれがある事は明かである。

3.商標法第4条第1項第16号について

請求人の営業に係る使用商標は、周知・著名な商標とである。従って、「カーサ」の読みを含む本件商標を同一役務について使用すれば、ファミリーレストラン「CASA」で提供される役務の質と誤認を生じるおそれがある。

第3.被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、要旨次のとおり答弁し、証拠方法として乙第1号証乃至乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。

1.商標法第4条第1項第10号について

本件商標と使用商標とが相互に類似する商標であることは認める。

(1)使用商標の周知性について

使用商標は、本件商標登録出願時において周知のものではなかった。請求人は、「CASA」の店舗数の比較的多い関東・九州地方では、ファミリーレストランの利用者にとって広く知られている店舗名称であった旨を主張する。しかしながら、甲第6号証−5によれば「CASA」は、平成3年末において国内に160店舗を展開しているものの、その多くは関東地方に集中し、九州地方では10店舗を数えるに過ぎない。ことに被請求人がレストラン「カーサ」を経営している鹿児島県においては、請求人の店舗「CASA」は全くなかった。かかる状況に鑑みれば、本件商標の登録出願時点において、請求人の使用商標が需要者の間に広く認識されている商標であったとは到底いえない。なお、請求人は、その使用商標の周知性を裏付ける事実として、請求人の年間売上高が過去10年間、飲食業中全国10位前後であることを主張している(甲第5号証−1から甲第5号証の11)。

しかしながら、請求人は、レストラン「CASA」以外にも、居酒屋「藩」(平成9年末90店舗)、中華料理店「小吃坊」(平成9年末43店舗)、ラーメン店「糸ぐるま」(平成9年末44店舗)、クラブハウスレストラン「TALK」(平成9年末69店舗)、企業内カフェテリア(平成9年末177店舗)、保養所・研修施設内レストラン(平成9年末40店舗)、フランス食品店「ルノートル」(平成9年末17店舗)、ベーカリー「ぼるとがる」(平成9年末27店舗)等、レストラン「CASA」以外に様々な店舗を経営しており、その合計店舗数は、レストラン「CASA」の店舗数の約3倍にも達しているのであるから(甲第3号証−1)、請求人の主張する売上高をもって、請求人の使用商標の周知性を裏付ける事実とみることはできない。

(2)本件商標の周知性について

被請求人は、建物メンテナンス等を主たる業務として営むものであるが、昭和62年6月、ホテル鴨池ACアネックスの1階にレストラン「カーサ」をオープンし、同レストランは、開業以来、ホテル利用者、近隣ビジネスマン、周辺住民に広く利用されてきた。平成元年から同4年の間において、レストラン「カーサ」の年間売上高は約6400万円から7300万円に上り、また、年間利用客数は約73000人から82000人に上っている。レストラン「カーサ」のオープンは、昭和62年7月5日発行の鹿児島県農協運の会報においても紹介され、その後、忘年会等のシーズンには、チラシを周辺地域において配布したりダイレクトメールで送付したりする等の広告を行っていた。また、レストラン「カーサ」は、平成6年に鹿児島県黒牛黒豚銘柄販売促進協議会から推奨店に認定されており、鹿児島県内において広く認知されていた。このように、本件商標は、少なくとも鹿児島県内において周知のものであった。なお、レストラン「カーサ」の年間売上高は、その後も、約6000万円前後、年間利用客数は60000人前後に上っている。

(3)以上より、請求人の使用商標は、本件商標の登録出願時において需要者の間に広く認識されている商標であったとはいえず、被請求人の本件商標は、鹿児島県内において周知のものであった。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しない。

2.商標法第4条第1項第15号について

使用商標は、本件商標登録出願時において、需要者の間に広く認識されている商標であったといえず、まして、著名な商標であったとは到底いえない。他方で、被請求人の本件商標は、鹿児島県内において周知のものであった。したがって、本件商標は、請求人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3.商標法第4条第1項第16号について

同号に該当するためには、当該商標が商品の品質又は役務の質につき具体的な一定の観念を生ぜしめるものであることを要する。しかしながら、本件商標はスペイン語で農場・農家という意味を有するもので、かつ、かかるスペイン語は日本国内において一般的に通用しているものでないから、本件商標が役務の質につき具体的な一定の観念を生ぜしめるものとはいえない。

したがって、本件商標は、役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第16号に該当しない。

第4.当審の判断

1.使用商標の周知性について

請求人が提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)請求人会社は、1947(昭和22)年9月6日に設立され、年間売上高935億円(1996年度実績)、店舗数774店(1997年12月末)のレストラン事業・コントラクト事業・食品事業を中心とする総合外食企業であること、1978(昭和53)年8月コミュニティレストラン「CASA」の展開を開始したこと、1991(平成3)年6月「CASA」42店舗を九州エリアで展開したこと、1992(平成4)年7月に「CASA」が200店舗体制となったこと、1997年12月末には全国に221店となったことが認められる(甲第3号証−1)。

(2)平成3年7月1日発行の月刊食堂7月号によれば、外食大手の新たな挑戦の特集として、「グルッペ四二店を譲り受けカーサ展開に乗り出した西洋フードシステムズの九州制覇作戦」の見出しの記事の記載が認められる(甲第4号証−2)。

(3)平成1月4月29日から平成10年4月23日の間に発行の日経流通新聞に記載の平成2(1990)年から平成10(1998)年飲食業ランキングによれば、請求人は、常に10位前後に位置していることが認められる(甲第5号証)。

(4)また、平成4(1992)年から平成11(1999)年発行の月刊食堂各3月号の県別出店状況によれば、「カーサ」の出店状況が平成3(1991)年全国160店(関東地方90店、九州地方10店)、平成4(1992)年全国205店(関東地方101店、九州地方33店)、平成5(1993)年全国219店(関東地方106店、九州地方39店)、平成6(1994)年全国213店(関東地方103店、九州地方37店)、平成7(1995)年全国205店(関東地方100店、九州地方36店)、平成8(1996)年全国205店(関東地方108店、九州地方36店)、平成9(1997)年全国213店(関東地方112店、九州地方35店)、平成10(1998)年全国226店(関東地方121店、九州地方36店)であることが認められる(甲第6号証)。

(5)以上の事実によれば、レストラン「CASA」は、本件商標の出願時には、主に関東地方において、請求人の業務「飲食物の提供」を表すものとして取引者、需要者に広く認識され周知著名に至っていたものと判断するのが相当である。

2.本件商標と使用商標の類否について

本件商標は、前記したとおりの構成よりなるものであるところ、構成中の「レストラン」の文字は、本件指定役務の提供の場所を表すものであり、自他役務の識別標識としての機能を有する部分は、「カーサ」の文字にあり、これより「カーサ」の称呼が生ずるものである。

他方、引用商標「CASA」は、スペイン語で「家」を意味するところ、提出の証拠によれば「カーサ」と称呼されていることが認められる(甲第3号証−1、甲第4号証−1乃至甲第4号証−4、甲第6号証−2等)。

そうとすれば、本件商標と引用商標は、「カーサ」の称呼を共通にする類似の商標であり、指定役務も類似すること明らかである。

3.本件商標の周知性について

被請求人は、本件商標が周知である旨主張しているが、提出の被請求人の会社案内(乙第1号証)、被請求人作成に係るレストラン「カーサ」売上実績表(乙第2号証)、昭和62年7月25日発行の五友(乙第3号証)、昭和62年から平成11年の忘年会・新年会の広告の写し(乙第4号証−1から乙第4号証−10)からは、周知であるとは認められない。

4.むすび

したがって、本件商標は、請求人のその他の主張について論及するまでもなく、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものと認められるから、同法第46条の規定により、その登録を無効とすべきである。

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