Trademark Appeal Case
NEO HYBRIDの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−23899(T2002−23899/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第12類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年9月10日登録出願されたものであり、その後、指定商品については、原審において同14年6月3日付け手続補正書により、第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,異なった動力源を組み合わせた動力源を備えた自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにその部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,車いす,荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,乗物用盗難警報器,落下傘 」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、他の外来語に付けて『新しい』の意を添える語『NEO』の文字と『混成物、合成物』の意の『HYBRID』の文字とを多少図案化して『NEO HYBRID』と書してなるところ、構成中の『HYBRID』の文字はその指定商品中『自動車』との関係においては、ガソリンを使うエンジンとモーターを組み合わせた動力源を意味し、エンジンとモーター両方の動力を車の走りに活用する方式(パラレル方式)とモーターを動力として使い、エンジンはそのモーターに電気を送る発電機として働く方式(シリーズ方式)等があり、これらのシステムを用いたものをハイブリッド車(HV車)と称しており、また、最近ではガソリン・エンジンと電気モーターの良いところを組み合わせることにより、ガソリン・エンジンの半分の低燃費とし、排出される二酸化炭素を半減させる環境を考慮した低公害車が開発・販売等されていることからも、本願商標をその指定商品中例えば『ハイブリッド自動車』に使用するときには、新しいハイブリッドシステムを備えたもの程度の意を認識させる止まり、単に、商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、当審において証拠調べを行った結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に証拠調べの結果を知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えたが、所定の期間を経過するも、請求人は何らの意見を述べていない。
記
「NEO HYBRID」の語に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
1「NEO」及び「HYBRID」の語の有する意味について
「広辞苑(第五版)」に、「ネオ【neo】(ギリシャ語で「新しい」意のneosから「新しい」意を表す接頭語。「ハイブリッド【hybrid】(ア)雑種(イ)(異種のものの)混成物。【〜car】複数の動力源を利用して走行する自動車。ガソリンエンジンと電動機を組み合わせた自動車の類。」の記載がある。
2 上記1の意味合いで、「neo」の文字を語頭に付した既成語の例
(1)【neo−impressionnisme】(ネオ−アンプレッショニスム)新印象主義。
(2)【neo−classicism】(ネオ−クラシシズム)新古典主義,新古典派。
(3)【neo−colonialism】(ネオ−コロニアリズム)新植民地主義。
(4)【neo−Darwinism】(ネオ−ダーウィニズム)新ダーウィン主義
(5)【neo−Thomism】(ネオ−トミズム)新トマス説
(6)【neo−mercantilism】(ネオ−マーカンティリズム)新重商主義
(7)【neo−Lamarckism】(ネオ−ラマルキズム)新ラマルク説
以上、(1)〜(7)広辞苑(第五版)
3 自動車に関する専門書等において、「ハイブリッド【hybrid】」の語が掲載されている事実について
(1)「ハイブリッド・エンジン【hybrid engine】」複数の種類の動力源を組み合わせたエンジン。(自動車用語中辞典 P360)
(2)「ハイブリッド・タイプ【hybrid type】」2種類以上のものを組み合わせて使う方式。(自動車用語中辞典 P360)
(3)「ハイブリッド車【hybrid vehicle】2種以上の動力源を用いて駆動推進させる車両。(自動車情報事典 大車林 P0820)(4)「ハイブリッド電気自動車【hybrid electric vehicle】 電気動力と内燃機関やそのほかの動力源を組み合わせたハイブリッド自動車。(自動車情報事典 大車林 P0821)
4 用語集に「ハイブリッド【hybrid】」の語が掲載されている事実について
(1)「ハイブリッド車(hybrid vehicle)(HV車)」ハイブリッドとは、混成物という意味で、クルマの場合は、エンジンとモーターを組み合わせた動力についていう。「現代用語の基礎知識2002 P368」
(2)「ハイブリッド(hybrid)」ガソリンを使うエンジンとモーターの混成動力であるところから、こうした自動車をハイブリッドとよぶ。「現代用語の基礎知識2000 P998」
(3)「ハイブリッドカー(hybrid car)」電気モーターとガソリンエンジンを組み合わせるなど、2種類以上の動力源を持つ車のこと。「イミダス2005 P703」
5 本願指定商品を自動車業界においてハイブリッド【hybrid】の語がハイブリッド車を指称する語として使用されている事実について
(ア)「富士重工業、ハイブリッド車の開発計画を見直しの」見出しの下に、「富士重工業・・・2007年のテスト販売開始を目指しているターボエンジンとモーターを組み合わせた独自のハイブリッド車の開発について、計画を抜本的に見直す考えを表明した。資本業務提携したトヨタ自動車が持つハイブリッド関連特許の導入を軸に、新たな開発計画を立て直す。」の記事がある。「2006年1月14日 東京朝刊 8頁 読売新聞社」
(イ)「ハイブリッド車:競争が熱気 GMとフォードが参入、好調・日本勢を追う」の見出しの下に、「ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターの米2大自動車メーカーが、エンジンと電気モーターを併用して燃費を良くするハイブリッド車の販売に本格的に取り組み始める。・・・燃費を改善する簡易型のハイブリッド装置を搭載したスポーツタイプ多目的車(SUV)を年内に発売。BMWなどと共同開発した新タイプのハイブリッド車を来年発売する方針だ。」の記事がある。「2006年1月12日 東京朝刊9頁 経済 写図有 毎日新聞社」
(ウ)「『カムリ』にハイブリッド トヨタが米国で発売へ」の見出しの下に、「トヨタ自動車は・・・「カムリ」に新たに導入する、ガソリンエンジンと電気モーター併用のハイブリッド車を公開した。カムリは・・・現地生産のハイブリッド車を五月ごろに発売する。同社のハイブリッド車は既に小型車「プリウス」があるが、カムリの投入で米国でのハイブリッド戦略を加速させる。」の記事がある。「2006年1月10日 共同通信 共同通信社」
(エ)「日本3社、中・小型で新型車 トヨタ「カムリ」改良 北米ショー」の見出しの下に、「当地で開催中の北米国際自動車ショーでトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車が、・・・トヨタは、昨年まで4年連続で米国一売れた乗用車となった中型セダン「カムリ」の新型車を発表した。全面改良は約5年ぶり。日本では1月下旬、米国では3月に発売する。米国では、今春にハイブリッド版も加える予定だ。」の記事がある。「2006年1月11日東京朝刊12頁3経済 写図有 朝日新聞社」
(オ)「中型車開発で提携模索 クライスラーCEO」の見出しの下に、「・・・ラソーダ氏は、エンジン開発・生産で三菱自動車と韓国の現代自動車、ハイブリッド・システムでゼネラル・モーターズ(GM)と提携するなど、分野別での関係強化が成果を挙げていると強調。」の記事がある。「2006年1月10日 共同通信 共同通信社」
(カ)「ディーゼル版ハイブリッド 仏プジョーが開発を表明」の見出しの下に、「ロイター通信によると、フランスの自動車大手、プジョー・シトロエングループ(PSA)は五日、ディーゼルエンジンを基にしたハイブリッド車の開発に乗り出すと表明した。」の記事がある。「2006年1月6日共同通信 共同通信社」
(キ)「2006年環境キーワード/持続可能な社会実現へ−注目技術や施策で占う」の見出しの下に、「京都議定書の発効により日本は2012年までに温室効果ガスを90年比6%削減しなければならない。・・・一方、産業界にはハイブリッド自動車や省エネ家電、燃料電池など日本が世界に誇る優れた環境技術を武器に、脱温暖化社会を実現する役割が期待される。」の記事がある。「2006年1月1日 日刊工業新聞 17頁」
(ク)「 素材業界、自動車産業にハンドル切る」の見出しの下に、「自動車産業が日本経済のけん引役であることを否定する人はいない。・・・国内化学メーカーは汎用樹脂主体から、高付加価値製品主体の事業構造への転換を推進中だ。この戦略で重要分野と位置づけているのが自動車。軽量化で各種樹脂部品の採用が見込まれ、ハイブリッド用の電池材料、次世代ヘッドライト向け発光材料など先端材料の需要も期待される。」の記事がある。「2006年1月1日 日刊工業新聞社 19頁」
(ケ)「『@CARS オブ ザ イヤー』決定 トヨタ『ヴィッツ』が一番!」の見出しの下に、 「◆ハイブリッド 低燃費志向とともに地球環境への関心も高く、ハイブリッド車が高得票を得た。ヴィッツと最後まで競り合い、2位に入ったホンダの『シビック』も『ハイブリッド車で燃費が良い』(福岡県・無職男性)ことや、『ホンダらしい先進の技術』(北海道・小学生男子)が評価され、セダン15モデルの首位となった。」の記事がある。「2005年12月25日 東京朝刊2部 7頁 写表有 読売新聞社」
4 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、「NEO」の欧文字と「HYBRID」の欧文字とをややデザイン化し横書きした構成よりなるところ、構成中の「NEO」の文字部分は、「新しい」の意味を表す接頭語として、一般によく知られ、親しまれた語といえるものである。
そして、「NEO(neo)」の語が、「新しい」の意味合いで語頭に付した既成語の例は、証拠調べ通知中の2(1)ないし(7)で通知したとおりである。
また、「HYBRID」の語は、「混成物、雑種」等の意味を有する語であるが、自動車との関係においては、「複数の動力源を利用して走行する自動車。ガソリンエンジンと電動機を組み合わせた自動車の類。」を意味を有する語として世間一般に良く知られた語と認められる。
そして、「HYBRID」(ハイブリッド)の語が、自動車との関係においては、その構造、仕組みを表したものと理解、認識させる事実は、上記第3の証拠調べ通知中の3(1)ないし(4)及び4の(1)ないし(3)で通知した、自動車に関する専門書や用語集より明らかである。
また、自動車業界においては、ハイブリッド(HYBRID)の語がハイブリッド車を指称するものとして、普通に使用されている事実があることは、証拠調べ通知中の5(ア)ないし(ケ)で通知した、新聞記事情報の記載のとおりである。
さらに、近時、日本の自動車業界はもとより、世界的(近隣では、韓国、中国)においてもハイブリッド車についての技術開発が盛んであり、特に昨今においては、ハイブリッド車の需要が高まる中、自動車メーカー各社は、世界的に強化される燃費規制、排ガス規制が背景にあるため従来より増して燃費効率に優れた新しいハイブリッド車の開発を急いでいるところである。
上記事情を総合すれば、別掲のとおり「NEO」の文字と「HYBRID」の文字とを結合した本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、全体として「新しいハイブリッド車又は新しいハイブリッドシステムを備えたもの(車)」の意味合いを容易に認識、理解させるというのが相当である。
そして 、本願指定商品中の「異なった動力源を組み合わせた動力源を備えた自動車」は、所謂「ハイブリッド車」のことを指称するものと容易に認識させるものである。
してみれば、本願商標は、その指定商品中「異なった動力源を組み合わせた動力源を備えた自動車」に使用するときは、全体として「新しいハイブリッド車又は新しいハイブリッドシステムを備えたもの(車)」の意味合いを容易に認識、理解させるにとどまるものであって、その商品の品質(構造、仕組み)等を表示するものと認識させるものであり、また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認をを生じさせるおそれがある商標といわざるを得ない。
なお、請求人(出願人)は、自社の製品「ティーノ」に本願商標を使用し需要者、取引者の間で十分に浸透している旨主張し甲各号証を提出しているが、上記のとおり判断されるものであり採用できない。
また、過去の登録例を挙示して、本願商標もこれらと同様に登録されて然るべきものである旨主張するが、それらの登録例は商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に拘束されるべき理由はない。
したがって、この点に関する請求人(出願人)の主張も採用できない
以上、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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