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Trademark Appeal Case

地名と事務所名の結合識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2005−6291(T2005−6291/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「TOKYO IP FIRM」の文字(標準文字による)を書してなり、第42類「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務,訴訟事件その他に関する法律事務,登記又は供託に関する手続の代理」を指定役務として、平成16年5月10日に登録出願されたものである。

2 当審において通知した拒絶の理由

審判長は、請求人に対し、平成17年10月24日付けで、「本願商標は、『TOKYO IP FIRM』の文字(標準文字による)を書してなるところ、指定役務との関係において、その構成全体から『東京に在る知的財産を取り扱う事務所』といった意味合いを容易に看取、認識させるものであるから、これをその指定役務について使用をしたときは、これに接する需要者は、役務の提供場所又は役務を提供する者の所在を表したものと認識するにとどまり、これをもって何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨の拒絶の理由を通知した。

3 請求人の意見

請求人は、上記2の拒絶の理由に対し、平成17年11月9日付け意見書を提出し、要旨次のように述べている。

(1)請求人(出願人)の属する東京IP特許事務所は、平成15年11月1日から、その英文である「TOKYO IP FIRM」を主に外国の顧客及び外国代理人のためにこの事務所を表す商標として使用しており、証拠として提出する添付書類1ないし6に示すとおり、「TOKYO IP FIRM」は出願人の事務所を表す商標として既に十分な識別力を有している。

(2)前記(1)において述べた添付書類1ないし6は、国内外の顧客や代理人等から出願人の事務所宛の手紙又はその封筒であるが、その宛先に「TOKYO IP FIRM」とのみ記してあり、これは、差出人である国内外の顧客や代理人等が、商標「TOKYO IP FIRM」によって、出願人の特定の事務所(即ち、その事務所の弁理士が提供するサービス)が、何人かの一定の業務にかかるものであることを認識していることを示すものに他ならない。さらに、「TOKYO IP FIRM」を宛先とした郵便は、毎日続々と出願人の事務所に間違いなく届いており、一般人である郵便配達人にとっても「TOKYO IP FIRM」に十分な識別力が備わっていることを示している。

(3)請求人(出願人)は、平成17年6月28日付けの上申書にて、東京地裁が「IP FIRM」(商標登録第4783133号)が商標法第3条第1項第6号に該当する商標であると判断した(平成17年6月21日東京地裁平成17年(ワ)第768号)旨上申した。「IP FIRM」は何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であり、「TOKYO IP FIRM」はそのような商標ではないことを示す証拠を提出する。添付書類7及び8は、「IP FIRM」の商標権者のホームページであるが、彼らは、「IP FIRM」を必ず彼らの事務所名「IP国際技術特許事務所」又はその英文表記「IP.KOKUSAI PAT&ENG.」と一緒に用いており、「IP FIRM」単独で彼らの特許事務所を表示するものとしては使用していない。これは、「IP FIRM」が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるからである。しかし、請求人(出願人)は、そのホームページで「TOKYO IP FIRM」を単独で出願人の事務所を表示するものとして用いている(添付書類9)。それは、「TOKYO IP FIRM」が、「IP FIRM」とは異なり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができる商標であるからである。

(4)本願商標と同じような事情にあると考えられる商標は、例えば、「日本国際特許事務所」(商標登録第4528130号)、「東京国際特許事務所」(商標登録第4540843号、商標登録第4861977号)、「みなと国際特許事務所」(商標登録第4787357号)、「MINATO PATENT FIRM」(商標登録第4801878号)、「新都心国際特許事務所」(商標登録第4542396号)、「つくば国際特許事務所」(商標登録第4570087号)、「富士国際特許事務所」(商標登録第4652145号)及び「名古屋国際特許事務所」(商標登録第4737111号)のように多数登録されている。

4 当審の判断

本願商標は、上記1のとおり、「TOKYO IP FIRM」の文字を書してなるものであるところ、その構成中の「TOKYO」の文字は、日本の首都であって、政治、経済、文化の中枢である「東京」を欧文字表記したものとして一般に広く慣れ親しまれた語であり、例えば、「東京証券取引所」を「TOKYO STOCK EXCHANGE」、「東京国立博物館」を「TOKYO NATIONAL MUSEUM」、「東京検疫所」を「TOKYO QUARANTINE STATION」のように、様々な分野において、その所在地「東京」を表す語として普通に用いられているものである。

また、本願商標の構成中の「IP」の文字は、例えば、平成11年8月4日付け日本工業新聞(15頁)に、「弁理士会 大学へ講師派遣 IPマインド醸成へ」の見出しの下、「(前略)知的財産支援センターは、IP(知的財産)マインドの醸成とインフラ整備を図るために四月に設立。(後略)」との記載があること、同15年8月3日付け読売新聞(東京朝刊29頁)に、「文科省の大学知的財産本部整備事業 北陸先端大を採択=石川」の見出しの下、「(前略)文科省などによると、北陸先端科技大学院大は年内をめどに、この事業に対処するため「IP(インテレクチュアル プロパティー=知的財産)オペレーションセンター」を学内に設置。(後略)」との記載があること、同年12月5日付け日本経済新聞(朝刊1頁)に、「東京高裁、知的財産訴訟、来春に専門組織−『知財高裁』構想先取り」の見出しの下、「東京高裁は、民事部にある知的財産訴訟を担当する部署を分離独立させ、全国の特許訴訟などを扱う専門組織『知的財産権センター』(仮称、英語表記はIPハイコート=知財高裁)を来年四月に創設する方針を固めた。(後略)」との記載があることに照らせば、本願に係る指定役務との関係において、「知的財産」を指称する語として、一般に広く知られているものと認められる。

さらに、本願商標の構成中の「FIRM」の文字は、本来、「会社、商会」の語義を有する英語及び外来語として慣れ親しまれている語(「コンサイスカタカナ語辞典第2版」、株式会社三省堂発行)であるが、例えば、「シティユーワ法律事務所」のホームページ(http://www.city-yuwa.com/)の「事務所概要」の項目に相当する英語版の項目に「FIRM OVERVIEW」との記載があること、「光陽国際特許法律事務所」のホームページ(http://www.koyo-patent.co.jp/)に事務所名として「光陽国際特許法律事務所」の文字と「KOYO INTERNATIONAL PATENT & LAW FIRM」の文字とが併記されていること、「プレシオ国際特許事務所」のホームページ(http://www.snowdrops.gr.jp/)の英語版に事務所名として「Prezio IP Firm」との記載があること、「RYUKA国際特許事務所」のホームページ(http://www.ryuka.com/)に「技術と特許のコンサルティング集団として、お客様の未来に貢献致します。RYUKA IP LAW FIRM」との記載があることに照らせば、本願に係る指定役務との関係において、「事務所」を指称する語としても、一般に広く知られているものと認められる。

加えるに、前記「IP」の文字と「FIRM」の文字とを結合してなる「IP FIRM」の文字又はこれに通ずる「IPファーム」の文字が、特許等の知的財産を取り扱う事務所を意味する語として普通に用いられていることは、例えば、株式会社法学館のホームページ中の「アメリカ司法制度視察旅行報告(1)」(http://www.itojuku.co.jp/magazine/tayori/pdf/56_p8.pdf)において、「(前略)Finnegan法律事務所はアメリカでも有数のIP(Intellectual Property;知的財産権)専門の事務所です。アメリカの大きなファームは、特に専門を絞らないで、何でもこなすいわば総合事務所であることが多いようですが、このFinnegan法律事務所はIPに専門化した、『ブティック=ファーム』であると称されています。日本ではさしずめ特許事務所のようなイメージかもしれません。(中略)IPのプラクティスは当然ながら将来性が高く、また利益率もよいのだそうです。総合事務所が何とかしてIPの領域に食い込もうと小さなIPファームを合併するなどしているのですが、このFinnegan法律事務所では自らの優位性に大きな自信を持っているようでした。(後略)」との記載があること、「YOU ME特許法人」のホームページ中に、「YOU ME特許法人、国際法律専門家が選ぶ”推薦したい韓国のIP Firm第1位”」の見出しの下、「アジア法律市場の動向と流れを伝える香港の専門誌Asialaw誌は、2005年6月、第2次アジア地域国際法律事務所の選好度調査の結果を発表した。その結果、YOU ME 特許法人が韓国IP法律事務所部門で“推薦したい韓国のIP Firm 第1位”に選定された。(後略)」(http://www.youme.com/2005/jp/nw1_8.asp)との記載があることによっても裏付けられるものである。

そうすると、前記「TOKYO」、「IP」及び「FIRM」の各文字を結合してなる「TOKYO IP FIRM」の文字からなる本願商標は、その構成全体から「東京に在る知的財産を取り扱う事務所」といった意味合いを容易に看取、認識させるものといわなければならず、これをその指定役務について使用をするときは、これに接する取引者、需要者をして、その構成全体から「東京に在る知的財産を取り扱う事務所」、すなわち、役務の提供場所又は役務を提供する者の所在を表したものと理解、認識するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、これをもって需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。

なお、請求人は、上記3のとおり、意見を述べ、本願商標は登録されるべきである旨主張しているところ、請求人により該意見書と同時に提出された添付資料1ないし9によれば、「東京都中央区京橋3丁目3番4号」に「TOKYO IP FIRM(又はTokyo IP Firm)」と称する者(事務所)が存すること及び当該者(事務所)に宛てて外国郵便が送られてきたこと並びにインターネット上の英語による情報の一として、「TOKYO IP FIRM」の文字を記載した情報が掲載されていること等を窺い知ることはできるが、これらをもって直ちに本願商標「TOKYO IP FIRM」が自他役務の識別標識として機能する証左とは認め難く、また、請求人の挙げる過去の登録例は、いずれも本願商標とその構成、態様を異にするものであって、本件とは事案を異にするものであり、同一に論ずることができないものであるから、該請求人の主張は採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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