Trademark Appeal Case
称呼類似性:末尾音の近似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成7年審判第12454号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「CROSSCOMM」の欧文字を横書きしてなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具、配電用又は制御用の機械器具」を指定商品とし、平成4年10月16日に登録出願されたものである。
第2 原査定の引用商標
原査定において商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶の理由に引用した商標登録第2353371号に係る商標(以下、「引用商標」という。)は、「CROSSCOB」の欧文字を横書きしてなり、昭和63年11月11日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として平成3年11月29日に設定登録されたものである。
第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
「原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。」旨の審決
2 請求の理由
本願商標は、「クロスコム」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
引用商標は、「クロスコブ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
両商標は、外観及び観念上類似しないことは明白である。
称呼について両者は、いずれも途中で区切られることなく一連に称呼され、「クロスコム」と「クロスコブ」とは「ム」と「ブ」の1音の違いで語尾に配置される音であるとはいえ、明確に発音される特徴的な音であると認められるから、両称呼が相紛れるおそれはない。
商品及び需要者・取引者との関係を考慮すれば、本願商標は、その指定商品が比較的高価で専門的な商品に関するものであり、需要者、取引者の範囲は限定され、かかる取引者、需要者はこれらの商品の選択に際して注意深く検討し、判断するのが通常である。
本願出願人は、クロスコム コーポレーションであり、本願商標は、取引の実際において商号的に理解、認識され、引用商標とは出所の違いを明確に区別して認識される。
したがって、本願商標と引用商標とを付した商品が市場において出所の混同を生じることはなく、両商標が同一又は類似する商標ではないから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
なお、本件出願人は、引用商標の商標権者と引用商標権の譲渡ついて交渉中であり、この譲渡がなされれば、本件についての拒絶理由は解消する。
第4 当審の判断
1 当審において請求人に対し、平成11年4月30日付で「請求人は、審判請求書において、引用商標の商標権者に対し引用商標権の譲渡ついて交渉中であり、この譲渡がなされれば、本件についての拒絶理由は解消するとしているところ、現在に至るも引用商標権が請求人に譲渡された事実はない。ついては、本件審判に係る引用商標権につき、譲渡交渉の結果如何又は譲渡交渉が成立したのであれば、いつまでに請求人に譲渡されるのか。」旨の審尋書を送付し、相当の期間を指定して回答書を提出する機会を与えた。
上記審尋に対して、相当の期間を経過し現在に至るも、請求人からは何らの手続もされていない。
2 そこで、本願商標と引用商標との類否について検討する。
(1)本願商標
本願商標は、上記のとおり「CROSSCOMM」の欧文字を横書してなるものであるところ、特定の語義を生じない造語と認められ、その構成文字に相応して「クロスコム」の称呼が生ずる。
(2)引用商標
引用商標は、上記のとおり「CROSSCOB」の欧文字を横書きしてなるところ、特定の語義を生じないものと認められ、その構成文字に相応して「クロスコブ」の称呼が生ずる。
上記(1)及び(2)の点については、請求人も争わないところである。
(3)本願商標と引用商標の比較
▲1▼観念
両商標は、いずれも特定の語義を生じないものであるから、観念については比較することはできない。
▲2▼称呼
本願商標より生ずる「クロスコム」と引用商標より生ずる「クロスコブ」の称呼について比較すると、両商標は、いずれも5音構成であり、称呼の識別上重要な要素を占める冒頭音を含め「クロスコ」までの構成音を全て共通にし、その差異点は、末尾音につき本願商標が「ム(mu)」であるのに対し、引用商標が「ブ(bu)」である点のみである。
そして、該差異音は、子音「m」及び「b」が、いずれも上下の唇でつくられる音(両唇音)であって、調音位置を同じくする音であり、しかも子音に帯同する母音「u」を共通にするため、音質が近似した音である。のみならず、該差異音は、末尾音であり、冒頭音に比較して称呼の識別上さほど重視される音ではないというべきである。
そうすると、両称呼を一連に称呼するときは、両者は、全体の語調語感が近似したものとなり、取引者、需要者をして互いに聞き誤らせるおそれのある称呼上類似するものである。
請求人は、「ム」と「ブ」の1音の違いで語尾に配置される音であるとはいえ、明確に発音される特徴的な音であると認められるから、両称呼が相紛れるおそれはないと主張する。
しかしながら、両称呼は、請求人主張のとおり「いずれも途中で区切られることなく一連に称呼され」、聴取されるものであって、格別特定の音にアクセントが置かれるという事情も見出せないこと、しかも差異音は末尾に位置する音であり、冒頭音に比較して、聴者に明確に聴取され難い音であることを考慮すると、差異音「ム」と「ブ」が明確に発音される特徴的な音であるとする請求人の主張は採用することができない。
▲3▼外観
本願商標「CROSSCOMM」と引用商標「CROSSCOB」の外観について比較するに、末尾において前者が「MM」であるのに対し、後者が「B」である点が相違するほかはその他の配列文字を全く同一にするものであるから、両商標を時と処を異にして離隔観察するときには、前記のとおり両者がいずれも特定の観念のある欧文字ではないため、その配列文字について特段の注意を払うのは少ないこと及び称呼が類似することを併せ考慮すると、外観上においても、取引者、需要者をして近似した印象を与えるものであることを否定し難い。
▲4▼したがって、本願商標と引用商標とは、観念においては比較することができないが、外観において近似した印象を与えるものであって、称呼において類似するものであり、商標全体として出所の混同を生ずるおそれのある類似する商標といわなければならない。
そして、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似する商品である。
3 請求人は、「本願商標は、その指定商品が比較的高価で専門的な商品に関するものであり、需要者、取引者の範囲は限定され、かかる取引者、需要者はこれらの商品の選択に際して注意深く検討し、判断する」旨主張する。
しかしながら、本願商標の指定商品は全て高価で専門的な商品に限定されているものではないから、請求人の主張は失当である。
また、請求人は、本願出願人は、クロスコム コーポレーションであり、本願商標は、取引の実際において商号的に理解、認識され、引用商標とは出所の違いを明確に区別して認識されると主張する。
しかしながら、取引者、需要者が、常に請求人の商号名を確認して商品の取引に当たるわけではないから、この点に関する請求人の主張も失当である。
4 以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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