Trademark Appeal Case
スッポンパワーの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−15700(T2003−15700/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「スッポンパワー」の文字を標準文字で書してなり、第29類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成14年11月21日に登録出願され、その後、指定商品については、原審において、同15年7月1日付け手続補正書により、第29類「すっぽんの食用油脂,すっぽんの卵,すっぽん,すっぽんスープのもと,すっぽんを使用したふりかけ」と補正されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『スッポン(すっぽん)の力・精力』との意味合いを認識される『スッポンパワー』の文字よりなるから、これを本願指定商品中『スッポン(すっぽん)の力・精力を有してなる食品』に使用しても、単に商品の品質、原材料、効能、種類を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」と認定、判断して、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えたが、請求人は、該通知書に対して、何ら意見を述べていない。
記
1.本願商標の構成文字中の「スッポン」の文字が、強精・強壮等の効果のある食材であることが、各種書籍及び新聞記事情報に掲載されていることが認められ、例えば次に示すようなものがある。
(1)「スッポン料理は、強精・強壮に特効のある料理として世界に知られている。・・・スッポンはカルシウムやタンパク質、とくに必須アミノ酸やビタミンが豊富で、栄養価が高く・・・血液をアルカリ性に保ち、心筋の収縮を活発にする作用がある。さらに神経の働きにも影響し、ストレスへの対応には欠かせないものである。そのほか、ビタミン類ではB1・B2・B6・葉酸、パントテン酸などを含み、ミネラル類では鉄分とナトリウムが特に多く、増結作用を活発にする効果が期待できる。さらにスッポン油は動物でありながら、不飽和脂肪酸を多く含んでいる。不飽和脂肪酸は血中コレステロールの増加や血管への沈着を防ぎ、動脈硬化・脳卒中の予防に効果がある。スッポンは動物食品なのでコレステロールも含まれているが、・・・このコレステロールがホルモンを合成するときに、スッポン肉などに含まれる酵素活性ビタミン群の働きが加わり、精力増強に効果を発揮すると考えられる。とくに内臓部分には精力増強パワーの源といわれる成分が豊富に含まれており、すばらしい効果があるといわれている。・・・」(株式会社東洋医学舎 1994年1月10日初版発行、「改訂新版 健康・栄養食品事典」257頁、「スッポンエキス 精力増強、滋養強壮に効果」の項)
(2)「・・・強壮剤として加工されたり,高級食材として利用される.・・・」(丸善株式会社 平成10年3月25日発行、「丸善食品総合辞典」576頁、「すっぽん」の項)
(3)「・・・タンパク質のほか,カルシウム,亜鉛などのミネラルを多く含んでいる.脂肪酸組成は魚油と類似しており,EPA,DHAが多い.・・・」(丸善株式会社 平成10年3月25日発行、「丸善食品総合辞典」576頁、「すっぽん加工食品」の項)
(4)「・・・肉は美味、滋養に富み、血は強精剤とされる。・・・」(株式会社岩波書店 1998年11月11日発行、「広辞苑 第五版」1436頁、「すっぽん【鼈】」の項)
(5)「・・・栄養価の高いものとされているが,・・・無機質,ビタミン類は比較的多く,特にビタミンA・B1が期待できる。・・・生き血は酒類を加えて強精剤や補血剤とするほか,・・・」(社団法人全国調理師養成施設協会 平成10年12月25日 改訂版第1刷発行、「改訂 調理用語辞典」619頁、「すっぽん【鼈】」の項)
(6)「・・・期待が高まるのが健康食品だ。・・・こうした成分を含む食品を取って病気を防ごうという研究が進められている。・・・財団法人日本健康・栄養食品協会(JHFA)の基準に合格した健康食品は『JHFA』の認定マークが表示できる。・・・▼(財)日本健康・栄養食品協会が認定した健康食品一覧・・・(37)スッポンオイル食品・・・」(1999年9月24日付け、中国新聞中国朝刊、「健康食品 正しい知識で上手な利用を『食』で防ごう 生活習慣病 認定マーク 安心の基準」の見出しの下)
(7)「・・・スッポンの卵は鶏の卵油などよりも栄養価が高く、・・・タンパク質やカルシウム、ビタミンを多く含み、栄養補助食品としての役割だけでなく、『飲み過ぎや便秘にも効果がある』という。・・・」(1995年2月14日付け、北海道新聞朝刊25頁、「〈列島ファイル〉スッポンの卵で健康食品」の見出しの下)
(8)「・・・スッポン卵白から、活力源となる動物性レシチンをはじめ、カルシウムや鉄分などのミネラル類、ビタミン類などの豊富な栄養素を分離、精製した食品。夏バテ予防、不眠、低血圧で悩んでいる人におすすめ。・・・」(1999年7月3日付け、毎日新聞地方版/大阪23頁、「[あげまっせ]栄養補助食品『スッポン卵・卵坊』/大阪」の見出しの下)
(9)「・・・『スッポン』が若い女性を中心に日常的な食材として認知されるようになった。女性雑誌などで美肌効果があると紹介されたことがきっかけで、スープの缶詰、通信販売の鍋セットが消費者層の拡大に貢献している。・・・『スッポンは・・・強壮・強精のイメージで抵抗感が強かった』・・・」(2006年1月28日付け、静岡新聞夕刊静岡、「浜名湖特産変わるスッポン事情−強壮、強精→美容、健康 通販で手軽に、若い女性に人気」の見出しの下)
(10)「スッポンは『精力がつく』と中高年層に根強い人気があるが、確かにビタミン類が豊富で栄養価も高い。今年1月、小、中学校の給食にスッポンスープを出したところが、子どもらにも好評だった。・・・」(1992年4月9日付け、朝日新聞大阪地方版/兵庫 兵庫版、「スッポン養殖に力 美方町(これでまちおこし) 兵庫」の見出しの下)
2.本願商標の構成文字中の「パワー」の文字は、例えば、「角川 外来語辞典 第二版」の「パワー」の項(1984年11月10日、株式会社角川書店 第二版56刷発行、1008頁)によれば、「力,精力・・・」の意味を有する文字である。
3.また、本願商標を構成する「スッポンパワー」の文字が、スッポンを食べることによる効能等を表示するものとして、新聞記事情報に掲載されていることが認められ、例えば次に示すようなものがある。
(1)「岩谷産業はゴルファー専用のドリンク剤『キャリー300』=写真=を四月一日に発売する。主成分は岩谷の独自技術で製造したスッポン粉末(SST)。この『スッポンパワー』がゴルファーの疲労回復、ストレス解消に役立つとしている。・・・」(1992年3月19日付け、日経産業新聞24頁、「岩谷産業、ゴルファー専用のスッポンドリンク剤。」の見出しの下)
(2)「・・・スッポンを食べた。滋養強壮に良いとされる『スッポンパワー』で、下降気味だった体力も復活させた。・・・」(2005年8月14日付け、スポーツ報知5頁、「ヤンキース・松井秀喜がレンジャース戦に先発、3安打で3割復帰」の見出しの下)
(3)「スッポンエキス配合ドリンク剤『DONA』シリーズの発表会が都内で。・・・『肌が美しくて、東洋の真珠といわれたのはスッポンのおかげ』と『スッポンパワー』を大絶賛。」(2001年6月16日付け、スポーツ報知29頁、「デヴィ夫人がドリンク剤『DONA』の商品キャラクターに」の見出しの下)
(4)「『スッポンパワーで不景気を吹き飛ばして』・・・『・・・スッポンは栄養満点。美容や健康に良い津島町産のスッポンなべを食べて心も体も温めてほしい』・・・」(1999年12月22日付け、愛媛新聞朝刊南予、「スッポンご難、なべの季節 養殖業者、出荷ピーク 津島」の見出しの下)
第4 当審の判断
本願商標は、上記第1のとおり、「スッポンパワー」の文字を書してなるところ、該構成文字中の「スッポン」の文字部分については、亀の一種であり、強精・強壮等の効果のある食材であることが、世人に知られているところである。
また、該構成文字中の「パワー」の文字部分については、「力,精力」等の意味を有する文字である。
そして、本願商標を構成する「スッポンパワー」の文字が、スッポンを食べることによる効能等を表示するものとして使用されている事実がある。
これらのことは、例えば、上記第3に示した各種書籍及び新聞記事情報の掲載からも十分に裏付けられるところである。
してみれば、「スッポンパワー」の文字からなる本願商標は、その指定商品「すっぽんの食用油脂,すっぽんの卵,すっぽん,すっぽんスープのもと,すっぽんを使用したふりかけ」との関係からして、原審説示のとおり、単に「スッポン(すっぽん)の力・精力を有してなる食品」を認識させるに止まるものであるから、商品の品質、効能を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有しないものといわざるを得ない。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標についても登録されるべきである旨主張しているが、そもそも商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの取引の実情などを勘案し、個別具体的に判断すべき性質のものであるところ、前記実情等を勘案すると、本願商標については前記のとおり判断するのが相当であり、また、請求人の挙げる登録例は本願商標とはその文字構成を異にするものであるから、同一に論ずることはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であり、これを取消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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