Trademark Appeal Case
地名+発の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−20439(T2003−20439/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類「鮎を原料とする加工水産物」を指定商品として、平成14年11月19日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『仁淀川発』と『鮎の土佐姿煮』の文字を普通に用いられる方法で二段に書してなるところ、構成中の『仁淀川発』は高知県南部を流れる仁淀川で捕れる、あるいは当該地の産物であることを意味し、『土佐』は高知県全域あるいは土佐市近辺の地域を意味し、また『姿煮』は、原型を崩さずに煮る料理であることを意味することから、全体としても『高知県仁淀川でとれた鮎を身を崩さずに煮たもの』である意を表すに止まるから、これをその指定商品に使用しても、商品の産地、販売地、品質を表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標の構成態様について
本願商標は、別掲に示したとおり、「仁淀川発」の文字を毛筆書体で上向き円弧状に書してなり、その下に「鮎の土佐姿煮」の文字を毛筆書体で書してなるものであり、全体として「仁淀川発 鮎の土佐姿煮」の文字を二段に分けて配した構成のものと認識を与える態様のものとみるのが相当であり、この構成が普通に用いられる方法を脱している態様のものとすることができないというべきである。
2 本願商標の自他商品識別機能について
(1)本願商標の構成中「仁淀川」の文字部分は、「四国山地の石鎚山南面に発する面河川が南東流し、高知県に入って仁淀川となる。土佐市街の東側を流れ、土佐湾に注ぐ川。」(コンサイス日本地名辞典)を指称するものであり、「わくわく仁淀川」のホームページ(http://niyodoriver.org/)によると「中流域は、アユやウナギなどの川魚漁のメッカとしても広く知られているものである。」及び「いの町観光情報」のホームページ(http://www.town.ino.kochi.jp/kanko_shizen.html)によると「国土交通省認定第一級河川の仁淀川は自然と生き物の宝庫でアユ釣りや川遊びで親しまれ、四季折々に美しい風景を映し出しています。」等との記載があることから、鮎が獲れる川としても親しまれているものと認められる。
また、「発」の文字部分は、「出ること、出すこと」(広辞苑第五版)等を意味するものであり、いずれも普通に使用されている語であるから、本願商標中の「仁淀川発」の文字からは、「仁淀川から出ること」又は「仁淀川から出すこと」の意を表すものと容易に理解されるものである。
そして、近年「○○発」なる文字は、本願指定商品を取り扱う業界において、商品の産地、販売地を表したと一般的に認識されるものであり、例えば、以下にあげる新聞記事情報及びインターネット情報から窺い知ることができる。
ア 2002年2月25日付け読売新聞の東京朝刊には、「即席じゃじゃめん、冷めん人気、発売1か月で4万食売る=岩手」の見出しのもと、「即席めんを作ったのは、安代町の製めん会社『北舘製麺』・・・。『本場盛岡冷麺』と『
盛岡発
じゃじゃ麺』=いずれも280円(税別)・・・」の記載。
イ 1996年12月9日付け日本食糧新聞には、「桑野食品がもち需要拡大へ、ギフト『雪国気分』を発売」の見出しのもと、「桑野食品工業(株)(新潟市・・・)は、包装もち数種類を組み合わせたもちのギフトを、
新潟発
『雪国気分』として新発売した。・・・」の記載。
ウ 1995年1月27日付け日本食糧新聞には、「全国給食物資販売共同組合新年会『これからの食品産業』加ト吉・加藤会長講演要旨」の見出しのもと、「国内では、・・・コシヒカリを使った無菌パック工場。ご飯は
新潟発
“二分でできるご飯”をキャッチフレーズにしていく。・・・」の記載。
エ 2006年3月27日付け日本食糧新聞には、「栗山米菓、『ばかうけ』と音楽サイトのコラボ企画 新コミュニケーション構築へ」の見出しのもと、「(株)栗山米菓・・・は、消費者との双方向コミュニケーションに特化したマーケティング戦略を進めているが、その最新の取組みとして『
新潟発
コミュニケーションお煎餅』をキーワードに主力米菓『ばかうけ』と・・・コミュニケーションの構築を開始した。」の記載。
オ 2005年10月17日付け日本食糧新聞には、「『日清 やきそばできました。 ジンギスカン風味』発売(日清食品)」の見出しのもと、「◆商品特徴=箱型カップ焼きそば。北海道限定カップ焼きそば『日清 やきそばできました。』シリーズから、
北海道発
の人気メニュー“ジンギスカン”を取り入れ、カップ焼きそばで具現化。しなやかでのど越しの良い中太麺。・・・」の記載。
カ 2006年7月12日付け日本食糧新聞には、「北海道ファミリーマート、道内第1号店オープン 3年後50店目指す」の見出しのもと、「【北海道】(株)北海道ファミリーマート・・・3年後50店体制に向けスタートを切った。・・・商品政策でも、
北海道発
の商品開発で全国発信していく考えを明らかにした。」の記載。
キ 2006年8月3日付け朝日新聞には、「朝日ほーむめーるのロングセラー&ヒット商品セレクション」の見出しのもと、「
新潟発
産直 郷愁を感じさせる素朴な味わい。ぬかいわし ぬかさんま 日本近海物を使用!!・・・」の記載。
ク 「ゆうパック即日市場 2nd Site」のホームページ中「
長崎漁港発
鮮魚活け〆朝開きのお魚10匹セット
長崎漁港発
・鮮魚活け〆朝開きのお魚10匹セット ■長崎漁港水揚げ・新鮮朝開き−新鮮な魚を即日。水揚げその場で開いて即時浅塩だから朝開き。即時出荷・発送。」(http://www.soku1.jp/shop-nagasaki.html)の記載。
そうとすれば、本願商標の構成中の「仁淀川発」の文字を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品が仁淀川で産出された商品であると認識することから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
(2)また、本願商標の構成中の「鮎の土佐姿煮」の文字は、その指定商品「鮎を原料とする加工水産物」との関係から、原審説示のとおり、その構成文字に相応して「鮎の形を崩さずに煮た土佐(高知県)産のもの」との意味合いを容易に生じるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
(3)上記から、原審説示のとおり、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、該商品が「高知県の仁淀川で獲れた鮎の形を崩さずに煮たもの」であること、すなわち、商品の産地、販売地、品質を表示したにすぎないものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものとみるのが相当である。
(4)なお、請求人は、仁淀川が鮎の産地として著名でないから、鮎を原料とする加工品についての産地といえない旨主張しているが、前記(1)のとおり、鮎が獲れる川としても親しまれているものであり、また、「商品の産地等を普通に用いられる方法で表示する商標であるというためには、必ずしも、その商品が当該商標の表示する土地において現実に生産等がなされていることを要せず、需要者又は取引者によって、その商品が当該商標の表示する土地において生産等がなされているであろうと一般に認識されることをもって足りると解されるべきものである」(最高裁判所昭和60年(行ツ)第68号(昭和61年1月23日言渡)参照)から、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、過去に登録されたいくつかの事例を挙げて、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの取引の実情などを勘案して、個別具体的に判断されるべき性質のものであるところ、本願商標については、前記のとおり判断するのが相当であるうえ、請求人の挙げる登録例は、本願商標とはその文字構成を異にするものであるから、請求人の主張は前記の認定を左右するものではない。
3 結論
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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