結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2006−89011(T2006−89011/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4904671号商標(以下「本件商標」という。)は、「チャート四季報」の文字を標準文字で表してなり、平成17年3月24日に登録出願、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年10月28日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1560064号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和53年4月10日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和58年1月28日に設定登録され、その後、平成15年4月2日に、指定商品を第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(2)登録第2137631号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和59年12月27日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成1年5月30日に設定登録されたものである。
(3)登録第2392145号商標(以下「引用商標3」という。)は、「四季報」の文字を横書きしてなり、昭和53年11月15日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年3月31日に設定登録され、その後、平成14年10月16日に、指定商品を第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(4)登録第4853467号商標(以下「引用商標4」という。)は、「四季報」の文字を標準文字で表してなり、平成16年8月20日に登録出願、第9類、第35類、第36類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成17年4月1日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第29号証を提出した。
(1)各引用商標の著名性について
引用商標1及び引用商標2は、1936年(昭和11年)に創刊され(甲第6号証)、約70年間にわたって継続して発行されている季刊誌であり、3700社を超えるすべての上場企業を対象として、業種、社名、事業内容、業績、財務、株価、格付け、チャートなどについて、最新の企業情報を掲載した内容となっている(甲第7号証及び甲第8号証)。
「会社/四季報」は、掲載する企業について、中立的、客観的な企業分析・業績予想を行ない、投資は勿論のこと、ビジネスや就職活動といった様々な分野で、幅広い需要者に企業情報のハンドブックとして活用されている。
そして、各号の発行部数は、60万部にも達し、企業情報ハンドブックの分野においては、約7割(2005年秋号調べ)に迫る圧倒的なシェアを獲得するに至っており(甲第9号証)、さらに請求人は、新聞などへの宣伝活動も多く行なっている(甲第10号証及び甲第11号証)。
したがって、引用商標1及び引用商標2は、上記の使用期間、販売数量、シェア等から判断して、遅くとも本件商標の登録出願時である平成17年3月24日から現在に至るまで、請求人の発行、販売する雑誌の名称として、需要者の間に広く認識されるに至っているものである。
さらに、引用商標1及び引用商標2は、「会社」の文字と「四季報」を分離して表し、また、「会社」の文字は「四季報」に比べて小さい文字に表されていることから(甲第7号証)、需要者は、外観上顕著に表されている「四季報」の部分に注目し、単に「四季報(シキホウ)」と省略して、取引に当たっているのが実情であり、「四季報」といえば、請求人が発行する「会社/四季報」を指すものとして、需要者の間に広く認知されているものである(甲第12号証から甲第27号証)。
また、引用商標3は、商標法第3条第2項の適用を受け、商標登録されていることから、著名商標であると思料される。
してみると、引用商標3及び引用商標4についても、遅くとも本件商標の登録出願時から現在に至るまでの間、需要者の間に広く認識されているものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標と各引用商標の類否
本件商標中の「チャート」の文字は、図表などを意味する英語「Chart」を片仮名書きしたものであり、金融業界などにおいては、株価をグラフにしたものの総称を表す語として、一般的に用いられている(甲第28号証)。請求人が発行する「会社/四季報」においても、チャートを用いて会社情報を掲載しており(甲第7号証)、株価分析などにおいてチャートを用いることは一般的に行なわれているものである。
また、本件商標を外観、観念上考察してみても、特に「チャート」と「四季報」の語を一体不可分にのみ観察する特段の理由はない。
してみると、本件商標に接する需要者は、その構成文字中の「チャート」の文字については、グラフ(チャート)を用いた雑誌等を意味するものと理解し、商品(雑誌、新聞)の内容を表したと認識するというのが自然であるから、本件商標は、「四季報」の部分が自他商品の識別標識として機能する要部と判断するのが妥当である。
とりわけ、「四季報」は、前述したとおり、請求人の業務に係る商品を表すものとして、需要者の間に広く認識されていることから、本件商標に接する需要者は、一層「四季報」の部分に注目し、「チャート(図表)」を用いた「四季報」と理解して、単に「四季報(シキホウ)」の称呼及び観念をもって取引する場合も少なくない。
したがって、本件商標は、「チャートシキホウ」の称呼及び「チャートを利用した四季報」の観念が生ずるほか、「シキホウ」の称呼及び「四季報」の観念をも生ずるものである。
一方、引用商標1及び引用商標2は、前記(1)のとおり、外観上「四季報」の部分が注意を惹くことから、「四季報(シキホウ)」と略称されるものである。また、引用商標3及び引用商標4は、「四季報」の文字からなるものである。
したがって、本件商標は、引用商標1ないし引用商標4と「シキホウ」の称呼及び「四季報」の観念を共通にする類似の商標である。
請求人の上記主張は、過去の無効審判における審決からも、首肯されるものである(甲第29号証)。
(イ)本件商標及び各引用商標の指定商品の類否について
本件商標の指定商品中の「雑誌」は、引用商標1ないし引用商標3の指定商品及び引用商標4の指定商品中の「電子出版物」と同一又は類似の商品である。
(ウ)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
前述のとおり、本件商標は、その構成中に、請求人の業務に係る商品(雑誌)を表すものとして、需要者の間に広く認識されている「四季報」の文字を含むものである。
また、請求人は、「株価四季報」、「役員四季報」、「就職四季報」、「転職四季報」など雑誌の題号に「四季報」を冠した商品をシリーズとして販売していることから(甲第8号証)、本件商標が指定商品に使用された場合、需要者は、請求人が発行、販売する「四季報」シリーズの一つであろうと誤認するおそれが極めて高いものといわざるを得ない。
特に、本件商標の商標権者は、株に関する各種書籍、雑誌を販売しており、経済、ビジネスに関連する刊行物が主たる商品と考えられることから、請求人が販売している商品と近似した内容の雑誌を販売する可能性が高く、本件商標を使用した雑誌が販売された場合、請求人の業務に係る商品の一つであると誤認されるおそれが高いと懸念される。
したがって、本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきものである。
被請求人は、前記3の請求人の主張に対し、何ら答弁していない。
(1)各引用商標の著名性について
甲第6号証ないし甲第27号証及び請求の理由を総合すると、請求人の業務に係る雑誌「会社四季報」は、昭和11年(1936年)6月に創刊され、以来約70年にわたって発行されている季刊誌であり、掲載されている企業(2005年4集における上場会社は3780社)について、その社名、業種、事業内容、本社住所、記事、業績、株主、役員、連結会社、財務、資本異動、株価、格付け、株価チャートなど最新の情報を掲載した雑誌として、本件商標の登録出願前より、株式市場をはじめ、各種業界、投資家、ビジネスマン等の間に広く認識されていたこと、上記雑誌の略称といえる「四季報」の表示も、本件商標の登録出願前より、その需要者の間に広く認識されていたものと認めることができ、その著名性は、本件商標の査定時においても継続していたこと、さらに、請求人は、上記「会社四季報」のシリーズ商品として、「会社四季報未上場会社版」、「会社四季報プロ500」、「株価四季報」、「役員四季報」、「就職四季報」などの雑誌も発行していることなどが認められる。
(2)出所の混同について
本件商標は、前記のとおり、「チャート四季報」の文字を書してなるものであるところ、構成文字全体をもって、親しまれた熟語的な意味合いが生ずるものとは認め難いものである。そして、本件商標中、前半部分の「チャート」の文字は、一般的には、「海図。地図。天気図。図表。一覧表。ヒット−チャートのこと。」(広辞苑第5版)を意味する外来語としてよく知られているものであり、また、株式用語においても、「株価をグラフにしたものの総称」(甲第28号証)を意味するものとして掲載されていることから、「図表」ないし「株価をグラフにしたもの」などの意味をもって、商品の内容(品質)を表したと理解されるにとどまるものであるのに対し、後半部分の「四季報」の文字は、請求人の業務に係る季刊誌の題号の略称として、需要者の間に広く認識されている表示と同一のものである。
してみれば、本件商標に接する需要者は、本件商標中の「四季報」の文字部分に強く印象づけられるというのが相当である。
さらに、前記(1)で認定したとおり、請求人は、「会社四季報未上場会社版」、「会社四季報プロ500」、「株価四季報」、「役員四季報」、「就職四季報」など、ビジネス関連用語と「四季報」の語とを結合した題号の雑誌を、「会社四季報」のシリーズ商品として発行していることを併せて考慮すると、本件商標に接する需要者は、本件商標より直ちに請求人の業務に係る著名な季刊誌の題号若しくはその著名な略称を想起又は連想し、本件商標をその指定商品について使用した場合は、該商品が請求人若しくはこれと営業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品、又は請求人の業務に係る季刊誌のシリーズ商品の一つであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標というべきである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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