Trademark Appeal Case
著名図形商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90647(T2005−90647/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4895916号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成16年12月27日に登録出願され、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として、同17年9月22日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1976560号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、昭和59年2月22日に登録出願、第24類「おもちや、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコ−ド、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同62年8月19日に設定登録され、その後、平成9年9月9日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
同じく登録第1371518号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、昭和47年6月30日に登録出願、第24類「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」を指定商品として、同54年2月22日に設定登録され、その後、平成1年3月29日及び同11年3月2日の2回にわたって商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
同じく登録第4336985号商標(以下「引用C商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成9年9月1日に登録出願、第41類「陸上競技会その他のスポーツの興行の企画・運営又は開催,スポーツの教授,スポーツに関する放送番組その他の放送番組の制作又は配給,演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」を指定役務として、同11年11月19日に設定登録されたものである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
その他、申立人を商標権者とする、湾曲した円弧状の図形と円形とからなる図形を有する登録第4811828号商標、及び外4件の標章を引用しているものである。
3 登録異議申立ての理由の要点
(1)引用商標の著名性等について
申立人は、「運動靴、運動用特殊靴」、「被服、運動用特殊衣服」等について、世界的に著名な商標「NIKE」及び「SWOOSH(スウッシュ)」と呼ばれる引用商標を使用するのみならず、各国有名チーム、有名選手と契約することにより、多大な費用をかけて継続的かつ大々的に「スウッシュ」マークを使用した広告宣伝を行ってきたことにより、需要者は、「スウッシュ」のマークを見ただけで、申立人の商品を直ちに想起するに至っており、引用商標がわが国において著名であることは顕著な事実である。
(2)本件商標と引用商標の類似性について
本件商標は、「ADjUST」なる文字部分と、その接頭に付された図形部分とから構成されているところ、該図形部分は、円に近い太い楕円形を斜めに配置した図形と、左下から右上方向へ伸びる、筆書きのブーメラン(あるいはレ点)のような形状の図形が重なった形となっている(以下、本件商標のうち上記ブーメラン型の図形を「本件引用図形」という。)。
本件引用図形は、上方から左下に向かって約60度の角度をもって描き始め、折れ曲がる付近で最大の太さとなり、右やや上方へ水平より約20度の角度をもって右端部で収斂するように伸ばした図形となっている。
一方、引用商標は、いずれも左下から右上方向へ伸びる、筆書きのブーメラン(あるいはレ点)のような形状の図形から構成されており、上方から左下に向かって約60度の角度をもって描き始め、折れ曲がる付近で最大の太さとなり、右やや上方へ水平より約20度の角度をもって右端部で収斂するように伸ばした図形となっている。
本件引用図形と引用商標とは、図形の湾曲性の程度、折れ曲がる部分の丸さ、及び上方から左下に伸びる部分の長さ等に差異が見られるが、その差異はわずかなものであり、外観においてきわめて類似性が強く、需要者が明瞭に区別できず、近似するといえるものである。
(3)出所の混同
本件商標の指定役務は、引用商標及び引用に係る標章が使用される商品及び役務と強い関連性を有するものである。
そうすると、前記(1)および(2)で述べた引用商標の著名性、本件引用図形と引用商標の類似性及び取引の実情等を考慮すれば、本件商標に接する取引者、需要者は、直ちに引用商標を想起、連想し、本件商標をその指定役務について使用した場合は、該役務が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように誤認し、出所について混同を生ずるおそれがある。
(4)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきである。
4 当審の判断
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、「ADjUST」の文字部分と図形部分とからなる構成のものであり、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすと認められるものである。
しかして、該図形部分は、右側にやや斜めに傾け、かつ、左側部より右側部へ掛けて徐々に太くなるように描いた楕円形状図形と、レ点を表したと思しき上弦三日月状図形(以下「本件図形」という。)とが右側上部で重なるように描いた図形よりなるものであるところ、本件図形は、両先端を細くし、下部を太くした円弧状の黒塗り図形であって、下部の太い部分が左下になるように、左右の先端部はいずれも右上方向に向かうように、かつ右部分が長く描かれ、全体として鋭角的なカーブを有する三日月状の図形であって、レ点を表したと思しき上弦三日月状の図形との印象を与えるものである。また、黒塗りの楕円形状図形は、本件図形の右側先端部と重なる部分が太くなるように描かれ、かつ傾けて顕著に表されているものであって、看者の注意を強く引く部分であるといえる。そして、これらの構成要素が外観上一体的に表されていることを併せ考慮すれば、本件商標に接する需要者は、その構成中の本件図形のみに着目して、自他役務の識別標識として把握、認識することはないというのが相当である。
これに対して、引用商標は、別掲(2)及び(3)のとおり、黒塗り、白抜き等の差異はあるものの、いずれも、左上より発して、右に緩やかに折れ曲がる箇所で最大の太さを有し、右上方向にいくに従って細く長くなる構成よりなるものであって、全体としてスマートな、動的な印象を与えるものといえる。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観上顕著な差異を有するばかりでなく、仮に本件商標中の本件図形に注意が引かれる場合があるとしても、本件図形と引用商標とは、前記のとおり、看者に与える印象において著しく相違するものである。
してみれば、需要者が時と所を異にして、本件商標と引用商標とを離隔的に観察した場合においても、本件商標より直ちに引用商標を想起又は連想することはないというのが相当である。他に本件商標と引用商標とが互いに誤認、混同を生ずるおそれがあるとみるべき特段の理由は見出せない。
したがって、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれはない商標といわなければならない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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