Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2006−60003(T2006−60003/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第3371351号商標(以下「本件商標」という。)は、「つるつる美容」の文字を縦書きしてなり、平成6年4月27日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、平成12年2月18日に設定登録されたものである。
第2 イ号標章
被請求人が商品「ヘアートリートメント」に使用する標章として請求人が示すイ号標章は、「髪のつるつる美容液」の文字よりなるもので、商品の包装箱正面に使用される態様は、別掲のとおりである。
第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(甲第8号証は答弁に対する弁駁の際に提出)を提出した。
1.理由の要約
本件商標は「つるつる美容」であるから、イ号標章「髪のつるつる美容液」の要部は、その称呼、観念において共通する類似の標章である。また、本件商標の指定商品「化粧品」と、イ号標章の使用商品「ヘアートリートメント」とは商標法上類似する。
2.判定請求の必要性
判定請求に係る本件商標「つるつる美容」は平成12年2月18日に商標登録第3371351号として登録された。
本件商標は、その登録の前後から、商標権者において使用しており現在に至っている。
しかるに、商標権者の関係者がホームページ検索中にイ号標章に係る商品が平成14年7月頃より被請求人より販売されていることを確認した上で、商標権者は、被請求人に対して平成17年12月22日付で警告書を発送したところが、被請求人より、本件商標「つるつる美容」と「髪のつるつる美容液」とは抵触しないとの回答があったので、本件商標の商標権の効力の範囲について、専門的知識を持った中立的立場から判断される特許庁に求め、その判定に基づいてこの問題を解決することを適当であると判断し、本判定を求める次第である。
3.イ号標章の説明
被請求人は、平成14年7月前頃より商品「ヘアートリートメント」について商標「髪のつるつる美容液」なる標章を使用している。
4.本件商標の説明
請求人である商標権者は、第3類、指定商品「化粧品」について本件商標「つるつる美容」を所有している。そして、商標権者はその登録日の平成12年2月の前後より現在に至るまで継続して使用している。
5.イ号標章が商標権の効力の範囲に属する理由
イ号標章「髪のつるつる美容液」の文字中、「髪の」の部分は、その商品「ヘアートリートメント」の性質上から当然にそれが使用される頭髪部位を表すものであり、更に、この標章の最後尾の「液」なる文字は、例えば第3類の指定商品「化粧品」の中で、「水おしろい、一般化粧水、オーデコロン、スキンローション、乳液、粘液性化粧水、ハンドローション、ひげそり用化粧水、薬用化粧水、カラーリンス、コールドパーマ用液、セッティングローション、毛染剤、パーマネント用液、ヘアースプレー、ヘアートニック、ヘアーフィクサー、ヘアーラッカー、ヘアーリンス、各種香水、脱毛剤、ネイルエナメル除去液」等の多数に及ぶ。このように、液状化粧品に用いられるのが一般的であり、このような液状化粧品に関してその語尾に「〜液」とすることは一般的であるから、イ号標章の要部は「つるつる美容」そのものである。従って、イ号標章「髪のつるつる美容液」の要部は明らかに本件商標「つるつる美容」と同一である。イ号標章全体として、本件商標とは類似の標章と確信する。
また、本件商標の指定商品「化粧品」と被請求人が使用する商品「ヘアートリートメント」とは商標法上類似する。
以上の次第で、イ号標章の使用は本件商標権の効力の範囲に属することは明らかであるから、請求の趣旨のとおりの判定を求める。
6.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、その答弁書において、本件商標「つるつる美容」とイ号標章「髪のつるつる美容液」との類否に関連して、本件商標は商品「化粧品」については、商品の品質、効能等を端的に表す語であって、本来、自他商品識別力を有しない語であると理解されている。
一方では、「つるつる」と「美容」とを一体不可分に連結した造語とされた本件商標の登録性を認めている一方で、「本件商標は、あくまでも一体不可分に表示した『つるつる美容』よりなる商標を、その使用に係る商品『化粧品』に対し、自他商品識別機能を有し、商品の出所機能を表す方法をもって使用して初めてその効力を有するものであるということができる。」との本件商標についてコメントしている。
一方、本件商標と、被請求人のイ号標章との関係について、次のように説明している。「・・・本件商標『つるつる美容』とイ号標章『髪のつるつる美容液』とは、その称呼、観念においては全く異なるものであり、また、外観上類以すべき点は見当たりません」と述べている。
請求人は、イ号標章「髪のつるつる美容液」を「髪の」と「つるつる美容」と「液」を無理に分離して解釈しているのではない。イ号標章「髪のつるつる美容液」の要部が「つるつる美容」であると主張しているだけである。そして、その要部が登録商標であれば、イ号標章の使用は、全体として本件商標権の効力の範囲に属することは明らかである。
仮に、被請求人のような言辞が許され、本件商標「つるつる美容」とイ号標章「髪のつるつる美容液」とは商標法上、非類似というのであれば、「お顔のつるつる美容クリーム」、「お肌のつるつる美容化粧水」、「目元のつるつる美容乳液」、「美肌のつるつる美容スキンローション」等々は、全て本件商標とは、非類似となり、他人によるこれらの商標の使用が許されるのであれば、商標権を取得する意味がなくなり、商標権が有名無実化することは明らかである。万が一、被請求人のこのような解釈が罷り通るのならば、特許庁の権威の上でも由々しき問題である。
(2)本件商標は、先に述べた経緯により、平成12年2月18日に登録された。
被請求人の主張と略同様な異議申立がなされ、一旦は、特許庁において異議申立を認め、拒絶査定となったが、請求人側において拒絶査定不服の審判を平成10年7月22日に請求することにより、平成11年12月24日に「本件は登録をすべきものとする。」との審決を賜った。
本件出願が、平成6年4月27日であり、それが登録すべきとの審決があったのが、平成11年12月24日であれば、5年8ケ月の長きにわたって以下述べるように少なくとも三回にわたって慎重に審議されたことになるから、これが過誤登録であるはずがない。
先に述べた、三回の審査、審理について言えば、一回目は出願公告に至るまでの審査、二回目は、異議申立と答弁に関する審査及び、三回目は、拒絶査定不服審判における審理と三回にわたって特許庁において審査、審理をされた。
これらの三回の慎重審理は主として、本件商標が商品の品質、効能表示に当たるかどうか否かに焦点をあてられた審理である。そして、これらの審理の最終的な結論が、本件商標は、商品「化粧品」について商品の品質、効能表示にはあたらないというものであった。
(3)以上の経緯から、被請求人が使用するイ号標章は商標法第26条第1項第2号にも該当しないことも明らかであるので、商品「ヘアートリートメント」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するとの判定を速やかに求めるものである。
第4 被請求人の答弁
被請求人は、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない、との判定を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
答弁の理由
請求人は、被請求人が使用しているイ号標章は、本件商標と類似する旨主張するが、この主張に対して、次のとおり答弁する。
1.本件商標は、「つるつる美容」の文字を書してなり、平成6年4月27日登録出願、異議申立により、同10年7月10日に拒絶査定され、査定不服審判を経て、第3類「化粧品」を指定商品として、平成12年2月18日に設定登録されたものである。
これに対し、イ号標章は、「髪のつるつる美容液」の文字を書してなるものであり、商品「ヘアートリートメント」に使用しているものである。
2.本件商標とイ号標章とを比較すると、本件商標に係る指定商品は、第3類「化粧品」であって、イ号標章を使用している「ヘアートリートメント」が第3類「化粧品」の範疇に属する商品であることについては、首肯し得るものである。
つぎに、本件商標とイ号標章との類否についてみると、本件商標を構成する「つるつる」の文字は、「表面が滑りそうになめらかなさま。」を表す語(乙第1号証)であり、また、「美容」の語は、「容貌・容姿・髪型を美しくすること」の意を有する語(乙第2号証)として一般に膾炙されており、本件商標に係る指定商品及びイ号標章に係る使用商品である「化粧品」について使用するときは、前記意味合いにおいて、商品の品質、効能等を端的に表す語と言うことができる。
したがって、本件商標を構成する、「つるつる」、「美容」それぞれの語は、指定商品「化粧品」との関係においては、本来、自他商品識別力を有しない語であるということができる。
本件商標が拒絶査定不服審判を経てその登録が認められたのは、「つるつる」と「美容」とを一体不可分に連結した「つるつる美容」よりなる語が普通に用いられていないし、特定の意味を把握できない一種の造語との判断に基づいて登録が認められたものとみることができる。
そうとすると、本件商標は、あくまで一体不可分に表示した「つるつる美容」よりなる商標を、その使用に係る商品に対し、自他商品識別機能を有し、商品の出所表示機能を表す方法をもって使用して初めてその効力を有するものであるということができる。
これに対し、イ号標章は、傷んだ髪を「サラサラ・つるつる」にするための美容液である「髪のつるつる美容液」と一連に記述的に全体をもって表示し、「髪に対し、その表面をなめらかにするための美容液」であることを認識させるものである。このことは、請求人提出の甲第3号証の「 ...つけた時からつるつる感がすぐに実感できる髪の美容液です。」との説明文からも覗えるところである。
このような実態からすると、イ号標章は、その構成文字中から「つるつる美容」の文字部分のみを取り出して本件商標と比較すべきものではなく、「美容液」の部分についても「美容」と「液」とに分離させ、その「美容」の部分を「つるつる」と結合させてイ号標章の要部を「つるつる美容」に帰結することはまったく不当であると思料する。本件商標の「つるつる美容」とイ号標章の「髪のつるつる美容液」とは、その称呼、観念においては全く異なるものであり、また、外観上類似すべき点は見当たらない。
したがって、両者は、その構成を全く異にするものであって、その称呼、外観、観念のいずれよりみても非類似のものであるとみるのが相当であると思料する。
さらに、本件商標を構成する「つるつる」および「美容」よりなる各文字は、前述した如く、化粧品を取り扱う者にとっては、その品質、効能を表す語であって、その使用は自由に認められるべきものである。
イ号標章を構成する「髪の」、「つるつる」、「美容液」についても、商品「化粧品」との関係においては、品質、用途、形状等を端的に表すものであって、これらの語そのものは、自他商品識別力を有しないものである。
商標法第26条は、商標権の効力の及ばない範囲として、指定商品若しくはこれに類似する商品の品質、効能、形状等を挙げており、イ号標章「髪のつるつる美容液」の表示は、それぞれの構成文字が自他商品識別機能を有しない語よりなるものであって、商標法第26条第1項第2号に該当し、商標権の効力の及ばない範囲に属するものといえるものである。
3.以上のとおり、イ号標章は、本件商標と、その称呼、外観、観念のいずれにおいても相違する非類似のものであるばかりでなく、イ号標章の使用は、本件商標の商標権の効力が及ばない範囲のものであると思料する。
したがって、商品「ヘアートリートメント」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲には属しないものであるとの答弁の趣旨のとおりの判定を求める。
第5 当審の判断
本件商標は、上記第1のとおり、「つるつる美容」の文字を縦書きしてなり、その指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有するものとして、現に有効に存続しているものである。
そして、その構成文字に相応して、「ツルツルビヨウ」の称呼を生ずるものである。また、本件商標の指定商品「化粧品」は、一般的にみて、皮膚や肌、髪などになめらかさが求められる商品であって、これら商品との関係では、本件商標「つるつる美容」からは「なめらかになる美容」との意味合いが容易に看取される。
他方、イ号標章は、別掲のとおり、商品の包装箱正面の上部に小さく「髪の」の文字が書され、その下に大きく顕著に「つるつる」の文字が書されて、さらにその下にやや大きめに「美容液」の文字を三段に横書きしてなるものであるところ、その構成文字に相応して「カミノツルツルビヨウエキ」の称呼を生ずるものである。
ところで、一般に、商品のラベル等において、他の文字よりも大きく書されている部分がある場合、需要者は、その大きく表示されている部分に着目し、さらにそれに続く一体的に把握される部分をとらえて、それら当該部分から生ずる称呼、観念をもって取引にあたる場合もあるものとみるのが自然である。
そこで、イ号標章をみるに、その構成中の「髪の」の文字は、その商品「ヘアートリートメント」が使用される頭髪部分を表すものであり、また、「液」の文字は、その商品との関係からすれば「液状のヘアートリートメント」を表示するものであって、いずれも自他商品の識別標識としての機能がないものである。
そうすると、二段目に大きく顕著に書されている「つるつる」の文字と、その下にやや大きめに書されている「美容」の文字からなる「つるつる美容」の文字が、需要者の注意を惹き、これが本件商標の「つるつる美容」の文字と同じであって、かつ、イ号標章を構成する主要部として認識されることから、全体として、互いに相紛れるおそれのあるものとなり、イ号標章は本件商標と「つるつる美容」の文字部分において、外観は差異があるとしても、「ツルツルビヨウ」の称呼及び「なめらかになる美容」の意味合いにおいて類似するものと判断するのが相当である。
また、イ号標章が使用されている商品「ヘアートリートメント」は、本件商標の指定商品に含まれるものと認められる。
したがって、商品「ヘアートリートメント」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
よって、結論のとおり判定する。
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