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Trademark Appeal Case

冷却水処理剤の薬剤該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−30929(T2005−30929/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2085375号商標の指定商品中「薬剤」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2085375号商標(以下「本件商標」という。)は、「オムニック」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和61年2月28日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同63年10月26日に設定登録、その後、平成10年6月16日付けで商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録は、同17年8月23日にされたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。

(1)請求理由

請求人が調査した限りにおいては、本件商標がその指定商品中の商品「薬剤」について、商標権者によって継続して3年以上日本国内において使用されている事実を発見することができなかった。

また、商標登録原簿を見ても専用使用権及び通常使用権は設定登録されておらず、許諾を受けた通常使用権者等による使用の事実もない。

さらに、本件商標を使用していないことについての正当な理由も認めることができない。

よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その指定商品中の商品「薬剤」についての登録は取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

(ア)被請求人は、本件商標を、被請求人の販売する簡易薬注システムの「ソーラーリプレ」に用いるリプレ用冷却水処理剤に使用しており、このリプレ用冷却水処理剤は、スケール・腐食・スライムを抑え、これらの障害による冷却水系のトラブルを防ぐものであり、水加ヒドラジンを含有しスライムの原因となる微生物や藻類に作用してその繁殖を防ぐ効果を有することから、水加ヒドラジンを主成分として含有する殺菌剤又は防菌剤及び殺藻剤又は防藻剤であって「薬剤」に含まれる商品であるとしている。

しかしながら、被請求人は、本件商標が使用される商品を「薬剤」中の「殺菌剤」としているが、本件商標は工業用の「冷却水処理剤」、即ち、「化学品」に使用されているものである。

即ち、乙第1号証及び乙第2号証の記載にもあるように、本件商標が使用されているのは、スケール・腐食・スライムを抑え、これらの障害による冷却水系のトラブルを防ぐための工業用の「冷却水処理剤」であり、「薬剤」中の「殺菌剤」ではない。仮に、その処理剤に含有される水加ヒドラジンの物性として、乙第5号証および乙第6号証に記載されるような殺菌効果・防菌効果・殺藻効果・防藻効果があったとしても、それを理由に、本件商標を「薬剤」中の「殺菌剤」に使用しているとするのは、受け入れられない。

乙第2号証には、「既に冷却水系にスライムが発生している場合は、化学洗浄や除菌洗浄を行うと効果的です。」と、別途、除菌洗浄を行うこと勧めていることが記載されている。この記載からも、この商品が、そもそも「除菌」を目的としたものではなく、あくまでもスケール防止・腐食防止・スライム防止を目的とした工業用の「冷却水処理剤」であることが明らかである。

(イ)上記のとおり、被請求人において本件商標を使用している商品は、スケール防止・腐食防止・スライム防止を目的とした工業用の「冷却水処理剤」であることは明らかである。

そこで、請求人においては、このスケール防止・腐食防止・スライム防止を目的とした工業用の「冷却水処理剤」を指定商品とする登録例4件を甲第3号証ないし甲第6号証として提出する。

これらの登録例に示された指定商品の記載からも明らかなように、本件商標を使用している商品は、スケール防止・腐食防止・スライム防止を目的とした工業用の冷却水処理剤であるから、「化学品」に属する商品であるというべきであり、「薬剤」中の「殺菌剤」に属する商品ではない。

(3)以上説明したとおり、本件商標は、被請求人によって継続して3年以上日本国内において指定商品「薬剤」中の「殺菌剤」に使用されているものではない。よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定によりその指定商品中の「薬剤」についての登録を取り消されるべきものである。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号含む)及び人証を提出した。

答弁の理由

(1)被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を本件取消請求に係る指定商品「薬剤」中の「殺菌剤」に使用しているものである。

(2)被請求人の簡易薬注システムのカタログ「ソーラーリプレ」(乙第1号証)の表面には、中間部に、「リプレ用冷却水処理剤『オムニック100』『レジオムニック400』とのコンビネーションでスケール・腐蝕・スライム防止に優れた効果を発揮します。」、また、最下欄の「特長」の項に、「4.冷却水系障害を効果的に防止」として「リプレ用冷却水処理剤『オムニック100』『レジオムニック400』はスケール・腐蝕・スライムを抑え、これらの障害による冷却水系のトラブルを防ぎます。」と記載されている。

また、その裏面には、「ソーラーリプレ、リプレ専用薬品のご紹介」として「小型冷却塔用複合処理剤オムニック 100&レジオムニック 400」が赤地に白抜きで表示され、その左下には、小型冷却塔用複合処理剤「オムニック100」の容器が記載され、その容器の前面に貼着されたラベルにも「小型冷却塔用複合処理剤」表示の下に、青地に白抜きで「オムニック」と表示されている。

次に、当該カタログには、前記「オムニック 100&レジオムニック 400」の下側に、「薬品仕様」の「特長」として「スライム防止効果/スライムの原因となる微生物や藻類に作用して、その繁殖を防ぎます。」と記載されており、また、「オムニック100は、水加ヒドラジンを含有した製品です。水加ヒドラジンは、「変異原化学物質」に指定(1994)されていますので、厚生労働省指針(1993)に沿った取扱いを行ってください。」と記載されている。

さらに、このカタログの下部には被請求人の名称と住所、最下欄には「0506ヨ1ソーラーリプレ(Ver.1.0)」が記載されており、当該カタログが2005年6月に改定印刷されたことが判る。

以上のことから、被請求人が販売するリプレ用冷却水処理剤すなわち殺菌剤又は防菌剤及び殺藻剤又は防藻剤の薬剤とスケール防止剤又はスケール除去剤及び腐蝕防止剤の化学剤との複合剤の容器の表面には、青地に白抜きで「オムニツク」と表示したラベルを用いていることが明らかである。

加えて、当該カタログには、被請求人の販売する簡易薬注システムの「ソーラーリプレ」に用いるリプレ用冷却水処理剤に本件商標「オムニック」と社会通念上同一の商標が使用されていること、このリプレ用冷却水処理剤「オムニック 100」は、スケール・腐蝕・スライム(slime)を抑え、これらの障害による冷却水系のトラブルを防ぐものであること、このリプレ用冷却水処理剤「オムニツク 100」は水加ヒドラジンを含有し、スライムの原因となる微生物や藻類に作用してその繁殖を防ぐ効果を有することと、当該カタログが平成17年(2005年)6月に印刷されたことが記載されている。

そして、この微生物や藻類に作用してその繁殖を防ぐリプレ用冷却水処理剤「オムニック 100」は、水加ヒドラジンを主成分として含有する殺菌剤又は防菌剤及び殺藻剤又は防藻剤で薬剤に含まれる商品であることは明らかである。

(3)被請求人の営業推進部名義の小型冷却塔用複合処理剤「オムニック100」の商品案内(No.0211005 2003年1月・乙第2号証)には、「特長」として、「一液でスケール防止・防食・スライムコントロール効果を持っています。」と記載され、さらに、主成分として、「水加ヒドラジン ポリカルボン酸 有機酸」と記載されている。

これらの記載から、乙第2号証に示す商品案内には、被請求人の販売する簡易薬注システムの「リプレ」専用の小型冷却塔用の複合処理剤の水処理剤の「オムニック100」は、スケール防止・防食・スライム(slime)コントロール効果を有し、水加ヒドラジンを含有していること、この商品案内は平成15年(2003年)1月に発行されたことが記載されている。

(4)本件商標が、本件取消請求に係る指定商品「薬剤」について、本件取消審判の請求の登録時(平成17年「2005年」8月23日)前3年以内に使用されていた事実を乙第3号証及び乙第4号証の1ないし3により立証する。

被請求人は上記(1)〜(4)に示す事実を証人石間智生氏の証拠調べにて立証する。

(5)「厚生省生活衛生局企画課監修 新版 レジオネラ症防止指針(財団法人ビル管理教育センター 平成11年11月初版発行)」(乙第5号証)には、「登録薬剤原料名一覧」の成分として、「ヒドラジン−水和物」が記載されている。

この記載から、「ヒドラジン水和物」すなわち、「水加ヒドラジン」はレジオネラ属菌に対する殺菌剤であることが明らかである。

(6)ドイツ国特許第1065571号明細書(1959年9月17日発行・乙第6号証)には、要約すると、「ヒドラジン塩基の水和物が抗菌剤または細菌に効果を有するということは、知られており、この発明の課題ではない。」と記載されていることから、「水加ヒドラジン」は殺菌剤であることは明らかである。

4 当審の判断

被請求人は、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、本件取消請求に係る指定商品である第1類「化学品(他の類に属するものを除く)、薬剤、医療補助品」中の「薬剤」に属する「殺菌剤」に現に使用しているとして、乙第1号証ないし乙第6号証を提出すると共に答弁書記載の(1)ないし(4)に示す事実を証人の証拠調べにて立証したい旨主張している。

しかしながら、被請求人の提出に係る乙各号証によれば、被請求人が本件商標を使用している商品として表示しているものは「小型冷却塔用複合処理剤」であり、「小型冷却塔用複合処理剤」は、その商品中に殺菌剤である「水加ヒドラジン」を含有しているものではあるが、その商品の実体は「スケール防止・腐食防止・スライム防止を目的とした工業用の冷却水処理剤」であり、化学的製品とみるのが相当であって、「殺菌剤」そのものではないといわざるを得ない。

そして、該「工業用冷却水処理剤」は、その商品の用途・目的等からみて、本件商標の指定商品中の「化学品」に属するものと認められるものであり、「薬剤」の範疇に属する商品ではないと判断するのが相当である。

そうとすれば、被請求人提出に係る乙第1号証ないし乙第6号証によっては、本件商標が商品「薬剤」に使用されていた事実を証するに不十分であるといわざるを得ない。

してみれば、被請求人は、本件商標を継続して本件取消審判の請求の登録日(平成17年「2005年」8月23日)前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る商品「薬剤」について使用していなかったものといわざるを得ず、また、これを使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

なお、被請求人は証人尋問を要請しているが、本件審判請求における両者の争点は、本件商標の使用商品である「小型冷却塔用複合処理剤」が「薬剤」であるのか「化学品」であるのかが争点であり、その事実は、両者が提出した甲各号証及び乙各号証によって、上記のように判断し得るものであるから、証人尋問の必要性はないものと認められるので、証人尋問の申出は採用しない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「薬剤」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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