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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用証拠

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30402号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2529978号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙(1)に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成3年3月12日に登録出願、同5年4月28日に登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(本件商標の商標登録原簿)を提出した。

(1)請求の理由

被請求人は継続して3年以上日本国内において本件商標をその指定商品について使用していない。また、本件商標の商標登録原簿によれば、専用使用権者及び通常使用権者は存在しないから、これらの者による本件商標の使用はあり得ない。したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人が本件商標の使用を立証するものとして提出した乙第2号証ないし同第29号証によっては、その使用が立証されたものとはいえない。

即ち、乙第2〜3号証は単なる契約書であり、本件商標の使用を直接証明するものではない。

乙第4〜9号証(婦人用ジャケットの写真)は、本件審判請求の予告登録の日以前に日本国内で撮影されたことは証明されていない。また、乙第4〜7号証の写真の被服の襟に付されている商標は、本件商標とその構成態様を著しく異にするものであり、社会通念上からも同一の商標とはいえない。また、乙第4〜6,8号証写真の被服のタグに付された商標は、上記襟に付された商標及びこれと一体化した図形からなるものであり、本件商標と同一とはいえないことは明白である。更に、乙第9号証写真の被服のタグに付された商標は、主要な部分がアルファベット「V」及びそれを囲む二重丸であり、これが本件商標と同一でないことは明白である。

乙第10〜11号証(手配書及び仕入伝票)は、本件商標の指定商品に関するものではないので、本件商標の使用を直接証明するものではなく、商品名又は品種として「VERSACE」とのみ記載されているにすぎない。また、乙第10号証に添付の見本の商標は、本件商標と同一とはいえないうえ、上段の語頭「A」が下段の語頭「V」の真上に位置しており、乙第4〜8号証写真の被服に付された商標とは、その文字の位置関係を異にするものであるから、乙第10〜11号証と乙第4〜9号証とを結びつける被請求人の主張には根拠がない。

乙第12〜14号証については、乙第13〜14号証(制作見積書及び請求書)が乙第12号証(セールスブック)の制作に係るものであったとしても、乙第12号証が本件審判請求の予告登録の日以前において日本国内で展示または頒布されたことは証明されていない。また、乙第12号証に使用されている商標が本件商標と異なるものであることは明白である。

乙第15号証(’98秋冬物展示会開催のこ案内)は、単なる「案内」であり、本件商標は使用されていない。

乙第16号証(新海外ブランド導入のお知らせ)に表されている商標が本件商標と同一でないことは明白である。

乙第17〜27号証は、美濃屋株式会社のショールーム及び展示商品を撮影したものであるとされているが、これらの写真が本件審判請求の予告登録の日以前に撮影されたことは証明されていないので、これらの写真のうちのいくつかにおいて、展示商品に商標が付されていることをもって本件審判請求の予告登録の日前3年以内における日本国内での本件商標の使用が立証されるものでないことはいうまでもない。

乙第28号証は、単なる会社案内であり、本件商標の使用とは直接関係がない。

乙第29号証は、美濃屋株式会社が乙第15,16号証の「ご案内」及び「お知らせ」を取引先に配布したことが陳述されているが、乙第15,16号証に本件商標が付されていないのであるから、乙29号証によっても、本件審判請求の予告登録の日前3年以内における日本国内での本件商標の使用は立証されていない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証の1ないし同第29号証を提出し、坂本奏雄の証人尋問申請書を提出した。

被請求人は、乙第2号証のとおり、本件商標について住金物産株式会社との間に「独占的ライセンス契約書」を交わしており、住金物産株式会社は、乙第3号証のとおり、その独占的ライセンス契約に基づき美濃屋株式会社との間に「商標権使用再許諾契約書」を交わしている。本件商標は、当該通常使用権者である美濃屋株式会社によって、商品「被服」に継続して使用されているものであるから、商標法第50条によりその登録を取り消されるものではない。

乙第4〜9号証は、本件商標を使用している被服「婦人用ジャケット」の写真であり、その襟ネーム・タッグには二段態様の「Alfredo/VERSACE」の文字がプリントされている。

乙第10号証は、美濃屋株式会社から小林織ネーム株式会社への「襟ネーム」に係る手配書であり、乙第11号証は、小林織ネーム株式会社がタケダネーム協業組合に襟ネームの製造を依頼し、その製品(襟ネーム)が小林織ネーム株式会社に納品された際の仕入伝票である。この場合の「襟ネーム」は乙第4〜7号証(写真)の商品に付された「襟ネーム」のことを指している。

乙第12号証は、「ALFREDO/VERSACE」ブランド商品のセールスブック(見本帳)であり、これは美濃屋株式会社の営業担当者が営業活動時に持ち歩くものである。また、乙第13・14号証は、当該セールスブックの制作依頼を受けた有限会社レピートから住金物産株式会社への「制作見積書」及び「請求書」の写しである。そして、乙第13・14号証の日付から見ても明らかな通り、本件審判請求の予告登録日(平成10年5月27日)以前に当該「セールスブック」が制作されていたことは明確であり、又これ以後、美濃屋株式会社の営業担当者によって当該セールスブックを通じた「ALFREDO/VERSACE」ブランド商品の営業活動が行われていたことも明らかである。

乙第15号証は、「’98秋冬物展示会開催のご案内」写し、乙第16号証は、「新海外ブランド導入のお知らせ」写しであり、これらは美濃屋株式会社の取引先に配付され、又、美濃屋株式会社のショールームに、来訪者が何時でも入手できる状態に備えられていた資料である。その日付から、平成10年(1998年)1月下旬には配付され、又、来訪者が入手できる状態にあったものであり、本件審判請求の予告登録日以前から展示され、且つ商談も行われていたことを示すものである。

乙第17〜27号証は、美濃屋株式会社の外観、屋内ショールーム及び同ショールームの展示商品を示す写真である。このショールームは単に新商品を発表する場ではなく、デパートの被服売り場などと同様に、商品(被服)を展示即売する為のショールームである。

乙第28号証は、美濃屋株式会社の会社案内である。この会社案内に記載されている美濃屋株式会社の代表電話番号と乙第15号証「’98秋冬物展示会開催のこ案内」に記載されている電話番号が同一であることからみても、当該展示会の開催場所である「新本社ショールーム」とは、乙第17〜21号証のショールームであることが理解されるものである。

乙第29号証は、美濃屋株式会社の常務取締役 坂本奏雄の陳述書である。これにより、本件商標を付した「被服」が平成10年2月に当該ショールームに展示され且つ商談も行われていた事実が証されるものである。

被請求人は、併せて上記 坂本奏雄の証人尋問を申請する。

4 当審の判断

被請求人が本件商標の使用の事実を証明するものとして提出した乙号各証をみるに、まず、乙第2号証は、被請求人と住金物産株式会社との間で交わされた1997年(平成9年)12月1日付の独占的ライセンス契約書であり、同第3号証は、住金物産株式会社と美濃屋株式会社との間で交わされた1998年(平成10年)2月2日付の商標権使用再許諾契約書であるところ、これらによれば、美濃屋株式会社は、本商標権についての通常使用権者であることを認めることができる。

次に、乙第4号証ないし同第9号証(婦人用ジャケットの写真)によれば、婦人用ジャケットの襟ネーム及びタックには、別紙(2)に示すとおりの構成よりなる「Alfredo」の文字と「VERSACE」の文字を二段に表した商標がプリントされていることを認めることができる。そして、これらの襟ネームは、乙第10号証(平成10年1月13日付け手配書写し)及び同第11号証(98年1月19日付け仕入伝票写し)によれば、美濃屋株式会社が小林織ネーム株式会社へ、小林織ネーム株式会社がタケダネーム協業組合へ製造委託されたものであり、その手配書には、上段に「Alfredo」の文字を下段に「VERSACE」の文字を表した商標等が表示されていること、また、仕入伝票の「商品名/ブランド名」の欄には「VERSACE」の文字が記載されていることを認めることができる。

また、乙第12号証(商品のセールスブック)によれば、その表紙及び各頁の下段部分に「ALFREDO VERSACE」の文字を一連に、あるいは中心に図形を配したその上下に「ALFREDO」と「VERSACE」の文字が表されていることを認めることができる。そして、このセールスブックは、乙第13号証(1998年3月10日付けのALFREDO VERSACE 企画 セールスブック制作見積書)及び同第14号証(平成10年3月20日付けの請求書)からみれば、本件審判請求の予告登録日(平成10年5月27日)以前に制作されていたものであることを推認し得るところである。

そして、乙第15号証は、’98年2月2日(月)〜2月13日(金)に美濃屋株式会社の新築本社ショールームで’98秋冬物展示会を開催する旨の案内であり、同第16号証は、「ALFREDO VERSACE」ブランドを導入したカジュアルウェア等を’98秋冬物から商品展開する旨の1998.1.26付けのお知らせであり、同第17号証ないし同第27号証は、美濃屋株式会社のショールームにおいて「ALFREDO VERSACE」等の商標が付された商品が展示されている状態等を写した写真であることを認めることができる。

以上の乙号各証及び被請求人の主張並びに乙第29号証(美濃屋株式会社の常務取締役 坂本奏雄の陳述書)を総合してみれば、通常使用権者と認められる美濃屋株式会社は、1998年2月2日(月)〜2月13日(金)に新築本社のショールームで、「ALFREDO VERSACE」ブランドを導入したカジュアルウェア等についての’98秋冬物展示会を開催し、また、遅くも、その頃以降、同ショールームにおいて、別紙(2)に示すとおりの婦人用ジャケット等の商品を展示即売するとともに、乙第12号証のセールスブックを用いて「ALFREDO VERSACE」ブランド商品の営業活動をしていたものとみるのが自然である。

この点について、請求人は、乙号各証は本件商標の使用を直接証明するものとはいえないこと、乙第10号証(手配書)に添付の見本の商標と乙第4〜8号証(婦人用ジャケットの写真)の被服に付された商標とは異なるものであるから、両証拠を結びつけることはできないこと、また、各書証において表されている商標は、本件商標とその構成態様を著しく異にするものであることを挙げて、本件商標の使用は立証されていない旨主張している。

しかしながら、確かに、乙号各証をそれぞれ個別にみた場合には、本件商標の使用を証明するものとして十分なものとはいえないとしても、継続的に行われている一連の取引の流れのなかで上記各証拠をみた場合には、全体として整合性はとれているものと認められ、相互に補完し合うことによって本件商標の使用は証明されているものとみるのが相当である。そして、乙第10号証(手配書)の商標と同第4号証ないし同第8号証(婦人用ジャケットの写真)の商標との間には、その文字の配置に一部ずれが認められるにしても、他の書証からみて、格別、両書証の信憑性に疑問を抱かせるところは見当たらない。

また、被請求人の使用商標、例えば、婦人用ジャケットの襟ネームに付されている商標は、別紙(2)に示すとおりの構成よりなるものであるところ、本件商標とその構成態様を異にするところがあるにしても、欧文字における小文字と大文字の差異、あるいは構成文字の大きさの若干の差異に過ぎないものであり、共に「アルフレッド ヴェルサーチ」の称呼を生じ、人名としての「アルフレッド ヴェルサーチ」の観念を同じくするものであるから、両商標は、社会通念上同一と認められる範囲内の商標といい得るものである。

してみれば、被請求人の提出した乙第1号証ないし同第29号証を総合すれば、被請求人(通常使用権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件商標の指定商品に包含されている商品について使用していたものといわなければならない。

なお、被請求人は、坂本奏雄の証人尋問申請書を提出しているが、本件については上記のとおり判断し得るところであるから、証人尋問は行わないこととした。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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