Trademark Appeal Case
キャッチフレーズの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2005−9723(T2005−9723/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「古酒は沖縄の宝もの」の文字を標準文字で書してなり、第33類「泡盛,しょうちゅう」を指定商品として、平成16年7月6日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、「古酒は沖縄の宝もの」の文字を書してなるところ、沖縄県では泡盛の古酒の製造も盛んであることからすれば、本願商標をその指定商品中の「泡盛」に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、単に商品のキャッチフレーズを表示したものと理解するにすぎず、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
企業は、その取扱商品や企業イメージに関して、需要者に親しみやすさや好感度、信頼感などの良い印象を抱いてもらうよう日常的に心掛けているところ、その一手段として、企業の姿勢、理念についての標語(キャッチフレーズ、スローガン)などを採択し、それらを通じて商品の広告、宣伝や企業イメージの向上に努めているというのが実情である。
そして、これらの中には、端的な宣伝文句のほか、商品や企業のイメージアップを目的とした観念的、抽象的表現もしばしば採択されているところである。
そこで、本願商標についてみるに、その構成は前記のとおり「古酒は沖縄の宝もの」の文字よりなるところ、該文句は、全体として「古酒は沖縄で大変貴重なものである」程の意味合いを容易に認識させるものであって、これをその指定商品中の「古酒」に使用した場合、これに接する需要者は、自他商品の識別標識として認識するというよりは、むしろ、「(取扱商品である)古酒は、沖縄の宝ともいうべき貴重なものである。」の如き意味合いを端的に表現したものとして理解するにとどまり、キャッチフレーズないし宣伝文句としてしか認識されないものというべきであるから、結局、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当し、また、古酒以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人(出願人)は、「本願商標構成中の「古酒」は品質を表示し、「沖縄の」は地名であるが、「宝もの」の部分は自他商品の識別力を満たしている。「ビール、日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」を指定商品として、「宝」の文字よりなる登録商標が存在することからすれば、本願商標中の「宝もの」は、比較的簡単かつ単純な「宝」という表示よりも自他商品の識別力が強いから、「古酒は沖縄の宝もの」中の「宝もの」という部分については、自他商品の識別力を満たしているので、本願商標全体としても、キャッチフレーズとはいえず、十分に識別力のある商標として認識される。また、本願商標を付した焼酎は「古酒」であることを認識させるものではなく、一般的に古酒と若酒との品質の違いを理解させるにすぎないから、本願商標を古酒に使用しても、また古酒以外の若酒に使用しても、品質の誤認をきたすようなおそれはありえないので、商標法第4条第1項第16号に該当しない。」旨主張している。
しかしながら、例えば、次の(1)ないし(3)の新聞記事及びインターネット上の情報等における使用例を考慮するに、これらと構成文字が酷似し、同趣旨の意味合いを容易に理解させる「古酒は沖縄の宝もの」の文句は、キャッチフレーズないし宣伝文句として認識される状況を窺うことができる。
(1)「最後の王子に時代の激流 沖縄戦で悲劇の最後」の見出しのもと、「尚順(しょう・じゅん)という人がいた。琉球王家出身の男爵、沖縄初の新聞の創刊者、貴族院議員。・・・そのころの随筆「豆腐の礼讃」や「古酒の話」が、没後刊行された「松山王子尚順遺稿」に収められている。今、首里の瑞泉酒造がうたっている泡盛の宣伝文句「古酒は沖縄の宝物」は、「男爵の遺稿からの引用なのです」(佐久本武社長)。」との記事(2005年6月2日 共同通信)。
(2)「秘蔵泡盛1970年代古酒53蔵元コレクションポスター」における「古酒は沖縄の宝」との記載(http://www.awamori.co.jp/images/1970-53.jpg)。
(3)「泡盛館でしか出会えない、時を重ねた「沖縄の宝物」30年20年泡盛古酒」との記載(http://www.awamori.co.jp/image/awamori01.jpg)。
そうすると、本願商標が全体としてキャッチフレーズないし宣伝文句としてしか認識されないものというべきであることは上述のとおりであって、結局、本願商標は、自他商品識別標識としては認識されないものといわざるを得ないから、請求人(出願人)の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。