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Trademark Appeal Case

医療機械器具の範囲

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第31171号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

商標法第50条の規定により、登録第2492282号商標の指定商品中「医療機械器具」についてはその登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

I 本件商標

登録第2492282号商標(以下「本件商標」という。)は、「REVEAL」の欧文字を横書きしてなり、第10類「作物の病気、環境汚染菌等の検査、測定機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年5月9日登録出願、同4年12月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

II 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

1.本件商標は、その指定商品中「医療機械器具」について使用されている事実は発見できない。また、本件商標について、専用使用権者、通常使用権者の登録もされていないから、これらの者による使用の事実もない。

2.答弁に対する弁駁

(1)被請求人提出の証拠方法によっては、本件審判の予告登録前3年以内に本件商標が取消請求に係る商品「医療用機械器具」に使用されていることは何ら証明されていない。以下、その理由を詳述する。

(2)被請求人は、本件商標が「臨床検査用器具」に使用されている旨主張しているが、本件商標が使用されている商品は専ら食品中に存在する大腸菌を検査するための検査キット及びその菌の培養に使用する培地にすぎない。

「培地」が「医療機械器具」に属しないことは明らかである。また、「大腸菌を検査するための検査キット」は専ら食品中に存在する大腸菌を検査するためのものであり、専ら研究用に使用され、診断用に使用できるものではない旨が同商品のカタログに述べられている(乙第5号証参照)。

一方、商標法上、「医療機械器具」とは、専ら、病院及び医院で使用される機械器具をいうものと解されている。このように、病院及び医院で使用される機械器具は当然人(ないしは動物)の診断、治療の用に供されるものである。であるとすれば、診断用に使用できない「大腸菌を検査するための検査キット」は専ら病院及び医院で使用されるものとはなり得ない。したがって、当該商品は「医療機械器具」に属しないものとなる。

(3)以上述べたことからして、被請求人は、本件商標が取消請求に係る商品「医療機械器具」に属する商品に使用されていることを何ら立証していないことは明らかである。

III 被請求人の主張

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。

1.被請求人は、1996年以来今日まで、本件商標を使用した商品を日本に輸出している。この事実を立証するため、被請求人の日本における本件商標の通常使用権者が、本件商標を指定商品中の「医療機械器具」に属する「臨床検査用器具」に使用していることを明らかにする。

(1)和光純薬工業株式会社による使用状況を立証すると、乙第1号証及び乙第2号証(注文書)により、かつ、乙第3号証及び乙第4号証(送り状)により、本件商標を使用した「臨床検査用器具」が輸入、販売されていることが判る。

また、乙第5号証の同社のカタログ(LIFE SCIENCE REAGENT抜粋)中に「臨床検査用器具」が図示されている。

(2)乙第6号証(送り状)により、本件商標が使用された「臨床検査用器具」を日水製薬株式会社が輸入、販売していることを立証する。

さらに、乙第7号証及び乙第8号証(注文書)、乙第9号証及び乙第10号証(送り状)により、国際試薬株式会社が本件商標を使用した「臨床検査用器具」を輸入、販売していることを立証する。

なお、乙第6号証中の「AMPCOR DIAGNOSTICS,INC.」は被請求人の100%子会社である。

(3)通常使用権者のエア・ブラウン株式会社の乙第11号証ないし乙第15号証(送り状)及び乙第16号証(カタログ抜粋)により本件商標を使用した「臨床検査用器具」を輸入、販売していることを立証する。

2.以上の各証拠により、本件商標の通常使用権者が予告登録日(平成10年12月2日)前3年以内に本件商標を指定商品中、「医療機械器具」に属する「臨床検査用器具」に使用したことが明白である。

IV 当審の判断

1.被請求人は、「REVEAL」の文字よりなる商標を、通常使用権者である和光純薬工業株式会社、日水製薬株式会社、国際試薬株式会社、エア・ブラウン株式会社が、本件審判の請求登録日前3年以内に日本国内において、取消請求に係る「医療機械器具」の範疇に属する「臨床検査用器具」について使用していたと主張するので、以下検討する。

(1)和光純薬工業株式会社、日水製薬株式会社、国際試薬株式会社、エア・ブラウン株式会社が通常使用権者であること、使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一と認められること、使用の時期が本件審判の請求登録日前3年以内であること及び日本国内において使用していたことについては、当事者間に争いがなく、乙各号証を総合すれば、商標の使用者、使用に係る商標、使用の時期、使用の場所が上記のとおりであることが認められる。

(2)そこで、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、取消請求に係る「医療機械器具」について使用されていたか否かについてみるに、

▲1▼乙第1号証ないし乙第4号証、乙第6号証ないし乙第15号証(注文書及び送り状)には、「REVEAL−20 MEDIA,20 BOTTLES」、「REVEAL FOR E.COLI 0157:H7,20 TEST KIT」、「REVEAL−8 MEDIA,20 BOTTLES」、「REVEAL FOR SALMONELLA SYSTEM,20 TESTS(20 DEVICES,REVIVE & SCMEDIA)」、「REVEAL−8 BULK MEDIA,500GRAMS」、「REVEAL−8 SYSTEM,20 TEST KITS(20 DEVICES & MEDIA BTLS.)」などの記載が認められ、乙第5号証、乙第16号証との関係からすると、「培地」、「大腸菌0157:H7の検査キット」、「サルモネラ検査キット」等が輸入されたことが認められる。

▲2▼乙第5号証は、平成9年3月15日、和光純薬工業株式会社が発行した「Life Science Reagents」と題する商品カタログと認められるところ、(イ)その1549頁には、上段に「食品中に存在する大腸菌0157:H7を増菌後(・・・)約15分で正確に検出するキットである。」なる商品説明の記載が認められ、「特長」欄には「別売りのReveal培地を使用することにより8時間〜20時間で増菌培養ができる。」の記載が、(商品)「構成」欄には「検査デバイス20個/ピペット20本」の記載が認められる。また、「使用法」として「増菌培地は、・・Reveal E.C.BrothもしくはReveal Media 8 hourを使用」し、「食品サンプルを増菌培養後」は、「キット付属ピペットを用いて培養液を吸い上げ」、「検査デバイスのサンプル添加部分に培養液3,4滴滴下する。」なる記載が認められ、さらに、同頁の末尾には「本品は研究用試薬であり、体外診断用薬品ではありません。従って、診断用に使用することができません。」なる記載が認められる。

(ロ)同じく、次頁には、「病原性大腸菌0−157検査用/大腸菌分離用」の項目で、「Reveal Media 8 hour」、「Reveal Bulk Media 8 hour」、「Reveal E.C.Broth」の各培地の説明がなされている。

▲3▼乙第16号証は、1998年10月に発行されたと認められるエア・ブラウン株式会社の商品カタログと認められるところ、(ハ)その298頁には、「大腸菌0157:H7検査用試薬」の項目で、「Reveal(リヴェール)0157:H7検査キット」と「Reveal(リヴェール)8時間培地」について紹介され、前者については、「食品中に存在する有毒な大腸菌0157:H7を増菌培養後約15〜20分で正確に判定することができます。」との商品説明、及び検査デバイスに増菌培地を滴下して検査する方法及び保存温度の説明がなされており、後者については、短時間で培養できる培地であることの説明がなされている。

(ニ)同じく、299頁には、「サルモネラ検査用試薬」の項目で、「Reveal(リヴェール)サルモネラ検査システム」について「食品中に存在するサルモネラ菌を21時間以内にスクリーニングすることができます。」なる商品説明、及びその使用方法、特徴、保存温度などが記され、頁末に「注記」として、食品に適合する選択培地の説明として、「蟹の肉 魚料理 粉ミルク エビ 海産物」には「RappaportVassilisdis選択培地」を、「家禽類の餌 ハンバーガー ケーキミックス チョコレート 大豆料理 酵母」には「SeleniteCystine選択培地」を、また、「牛・豚の肉片、加工肉、生卵、ホットドック等は、どちらでも可能です。」なる記載が認められる。

(3)上記(2)▲2▼▲3▼の認定よりすれば、上記(イ)の商品(乙第5号証、1549頁)は、食品中に存在する大腸菌0157:H7を増菌後検出するためのキットであることが認められ、該キットは「検査デバイス、ピペット」からなっていることが認められる。

(ロ)の商品(乙第5号証次頁)である「Reveal Media 8 hour」、「Reveal Bulk Media 8 hour」、「Reveal E.C.Broth」は、培地と認められ、商品区分第1類の「薬剤」の範疇に属する商品と認められ、第10類「医療機械器具」の範疇には属しない商品である。

(ハ)の商品(乙第16号証、298頁)「大腸菌0157:H7検査用試薬」には、「Reveal(リヴェール)0157:H7検査キット」と「Reveal(リヴェール)8時間培地」とがあり、前者は、食品中に存在する大腸菌0157:H7を増菌後検出するための「検査デバイス」であり、後者は、前者の検査キットで検出可能な増菌ができる培地と認められる。そして、両者は、それぞれ別売りであることが認められるが、後者の培地は、第10類「医療機械器具」の範疇には属しない商品であること明らかである。

(ニ)の商品(乙第16号証、299頁)「サルモネラ検査用試薬」である「Reveal(リヴェール)サルモネラ検査システム」は、食品中に存在するサルモネラ菌をスクリーニングするためのもので、培地、選択培地、検査キットからなっていることが認められる。

(4)そこで、使用に係る商品中の、前記した(イ)の商品「検査デバイス、ピペット」(乙第5号証、1549頁)、及び(ハ)の「大腸菌0157:H7検査用試薬」としての「Reveal(リヴェール)0157:H7検査キット」(乙第16号証、298頁)である「検査デバイス」(以下まとめて「使用商品」という。)についてみるに、使用商品は、いずれも、食品中に存在する大腸菌0157:H7を増菌後、約15分程度で検出するという使用目的、検査デバイスに増菌培地を滴下して検査するという使用方法等を共通にするものと認められる。

そして、乙第5号証1549頁最下段の「本品は研究用試薬であり、体外診断用薬品ではありません。従って、診断用に使用することができません。」なる記載があること、乙第16号証の「Reveal(リヴェール)0157:H7検査キット」に関して、最上段に「大腸菌0157:H7検査用試薬」と項目付けられていることが認められる。

また、株式会社廣川書店(平成2年6月25日)発行「廣川 薬科学大辞典〔第2版〕」、「試薬」の項(641頁)によれば、「各種の実験や試験,検査などに用いられる化学薬品」なる記載が認められ、同じく「キット法」の項(325頁)には、「特定の物質の一定量を分析するとき,必要な試薬類を一つのキットとして,試薬調整のための誤差の導入の防止,手順の簡易化を図るためのもの.例えば,血清中の酵素活性を測定する際,酵素の気質,緩衝液,標準溶液,あるいは採血,比色用具までを一つのキットに組入れたものがある.」の記載が認められる。

さらには、近時わが国において、大腸菌0157が猛威を振るい、社会的問題に発展している状況にあって、大腸菌等の病原菌の有無を迅速に判定する検査キットが多数市場に出回っている実情にあり、例えば、1996年7月30日付日経産業新聞(20頁)には、「グンゼ産業」が「病原性大腸菌0157の簡易検査キット..の販売を始め」、該簡易検査キットは、「価格は一万九千六百円(二十検体用)」で、「検体をセ氏三七度で十八時間培養し、その培養液をキットに滴下した後、約十分で0157の存在が肉眼で判定できる」なる記事が掲載され、また、これに類する新聞記事として、1996年7月31日付読売新聞(朝刊、11頁)には、「アメリカの化学大手のスリーエム社」が「病原性大腸菌『0157』を短時間で検出する測定キット」を日本に向け「緊急増産を決定した」こと、1996年9月26日付日経産業新聞(29頁)に、「病原菌の有無を迅速に判定する0157検査キット」に関し、「欧米の化学各社が日本市場の供給体制を整えた」こと、1997年8月16日付日本経済新聞(夕刊、10頁)に、米国の企業が「わずか五分程度の短い時間で簡単に病原性大腸菌0157を検出できる簡易検査キットを開発」したことなど多数認められ、これら検査キットは、保健所、食肉検査所、食品販売業者、飲食店等を対象に販売され、近い将来には一般家庭用も販売されることなどが上記新聞記事より認められる。

上記事情を総合して勘案すると、使用商品は、医院または病院で専ら使用される機械器具であると解される、商品区分第10類の「医療機械器具」の範疇に属する商品とは認め難く、むしろ、培地とともに使用される検査用試薬キットの一つとみるのが相当であり、第1類「薬剤」の範疇に属する商品と認められる。

また、(ニ)の商品(乙第16号証、299頁)は、「Reveal(リヴェール)サルモネラ検査システム」の内容である「リヴァイブ培地、リヴェール選択培地、リヴェールサルモネラ検査キット」がセットで販売されているものと認められ、「サルモネラ検査用試薬」との項目からしても、商品区分第10類の「医療機械器具」の範疇に属する商品とは認められない。

(5)してみると、使用に係る商品は、いずれも商品区分第10類の「医療機械器具」の範疇に属するものとは認めることはできない。

2.以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国において、本件商標を取消請求に係る商品について使用していなかったものといわざるを得ない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「医療機械器具」について取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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