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Trademark Appeal Case

不使用取消と証拠の信頼性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−31006(T2005−31006/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4001513号商標(以下「本件商標」という。)は、「テルミック」の片仮名文字を書してなり、平成6年10月7日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」を指定商品として、平成9年5月16日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標は、その指定商品中『薬剤』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び平成17年11月25日付け答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。なお、平成17年12月15日付け答弁に対して、弁駁していない。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「薬剤」については、継続して3年以上日本国内において使用をされていないので、「薬剤」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。

(2)平成17年11月25日付け答弁に対する弁駁

乙第1号証ないし乙第4号証は、本件商標が「平成14年9月以降に使用されたことがある」事実を立証する証拠として十分な信頼性と説得力を有するものではなく、証拠としての適格性に欠けることを以下に説明する。

(ア)乙第1号証ないし乙第3号証について

乙第1号証は、被請求人が販売名「テルミックAカプセル」に関して平成7年9月28日付けで申請し、医薬品製造承認書を平成8年6月11日付けで受領したことを示しており、平成7年9月28日には被請求人が「テルミックAカプセル」に関する事業計画があったことは立証できるが、本件商標が「平成14年9月以降に使用されたことがある」事実を立証するものではない。

乙第2号証は、被請求人の「テルミックAカプセル」製品の包装を写真で示すものであるが、その写真を撮影した日時は不明であり、乙第2号証からでは実際に市場で流通していたかも不明であり、やはり本件商標が「平成14年9月以降に使用されたことがある」事実を立証するものではない。

乙第3号証は、被請求人の「テルミックAカプセル」の能書を示すものであるが、乙第3号証からは、その能書が市場で流通していた製品に関して実際に使用されていたかは不明であり、やはり本件商標が「平成14年9月以降に使用されたことがある」事実を立証するものではない。

(イ)乙第4号証の1ないし6について

乙第4号証の1ないし6は、それぞれ、奈良県生駒市、静岡県藤枝市、和歌山県和歌山市、大阪府寝屋川市、静岡県藤枝市、静岡県伊東市在住の薬品販売店の代表者と思われる人物による販売証明書である。しかし、乙第4号証の1ないし6は、証拠として十分な信頼性と説得力を有するものではないから証拠として採用できない。

被請求人は、2005年3月期決算単体で2328億5千8百万円の売上高を有する大きな薬品製造販売会社であり(甲第1号証)、大衆薬では最大手である(甲第2号証)。

乙第4号証の1ないし6は、全て同一の文体、字体を有し、文字の配置も一緒であるから年、月も印刷した同一の写しにそれぞれの作成者が日付、住所、氏名を記入、捺印したものと認められる。そして、同号証には「この書面は、... 大正製薬株式会社が ... 証明するために、特許庁へ提出するものでありますが、下記の事項につき、該当箇所に丸印を記入してお答え下さいますようお願い申し上げます。」と記載されていることから、被請求人がそれぞれの同号証の作成者に販売証明を求めたことは、明らかである。

しかし、上記のとおり、被請求人は、最大手の大衆薬メーカーであり、大衆薬を販売する薬品販売店の代表者にとって、販売品の供給を停止される等の不利益を被るおそれを考えると販売製品の最も大きな供給元である被請求人の求めた販売証明を拒絶することは困難であると考えるのが自然である。すなわち、乙第4号証の1ないし6を作成した者は、被請求人の事業と密接に関連した業務を営んでおり、被請求人と利害関係を有するから証拠作成者としての適格性を欠き、乙第4号証の1ないし6は、証拠として十分な信頼性と説得力を有するものではない。

乙第4号証の1ないし6において証明するべき事項は、本件商標が「平成14年9月以降に使用されたことがある」事実である。しかし、同号証では、最初に『大正製薬株式会社が「かぜ薬」に登録商標「テルミック」の使用をしていたことを証明するために』と記載され、その下の「記」にやや離して〔間〕として『平成14年9月から平成17年8月までの間に、...「テルミックAカプセル」を販売しましたか。』と記載されている。この様な構成は、不使用取消審判の要件を知らない一般人に対して、証明の目的が特定の期間中に販売したことではなく「大正製薬株式会社がテルミックの使用をしていたこと」が目的であるとの錯誤を引き起こさせる。すなわち、乙第4号証の1ないし6は、証明する対象に関して充分な知識のないと思われる薬品販売店の責任者が、真に求められた証明の内容を認識していたかには疑問が生じる証明書であり、証拠として十分な信頼性を有するものではない。

なお、請求人が調査したところでは、数年前から市場には「テルミックAカプセル」製品は出回っていない。請求人が被請求人の販売担当者に電話で尋ねたところでは、同製品は、平成12年以降販売されていないとのことである。

(ウ) まとめ

上記のとおり、請求人の提出した資料は、すべて証拠として十分な信頼性と説得力を有するものではなく、証拠能力を欠くものである。

よって、本件商標が、平成14年9月以降に使用されていた事実は、未だ立証されていない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めるとして、平成17年11月25日付け及び同年12月15日付けで答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)平成17年11月25日付け答弁

商標権者である被請求人は、本件商標を乙第1号証の「かぜ薬」について、乙第2号証の態様にて、平成14年9月から平成17年8月までの間に使用していた(乙第3号証及び乙第4号証)。

なお、被請求人は、本件商標を使用する販売名である「テルミック液」に関して厚生労働省に製造承認申請を行っている。現在も申請中であることの厚生労働省の「証明書」の発給を現在申請中であるが、厚生労働省の発給に時間を要しているため、発給され次第追って提出する。これにより、被請求人は、上記カプセル剤の使用のほかに、商品「液剤(かぜ薬)」については「不使用の正当理由」を有していることを証明する。

(2)平成17年12月15日付け答弁

被請求人は、本件商標を使用するかぜ薬「テルミック液」について厚生労働省に製造承認申請を行い、現在も申請中である。

上記事実を裏付ける厚生労働省医薬食品局審査管理課長の証明書(乙第5号証)を提出する。

これにより、被請求人は、平成17年11月25日提出の答弁書にて示した本件登録商標の使用事実に加えて、「不使用の正当理由」も有するものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものではない。

4 当審の判断

(1)商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該登録商標の使用をしていることを証明するか、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない(同条第2項)。

(2)しかるところ、乙第5号証は、厚生労働省医薬食品局審査管理課長による平成17年12月9日付けの証明書であるが、これにより、被請求人が平成8年7月15日に名称を「テルミック液」とする医薬品について、薬事法の規定に基づく医薬品の製造販売申請をし、その申請は、平成17年12月9日時点において、申請中であることが認められる。

そして、上記申請(証明書)の医薬品の名称欄の表記「テルミック液」は、本件商標に係る記載とみて差し支えないというべきである。

(3)上記認定した事実と被請求人の主張によれば、被請求人は、本件取消請求に係る指定商品のうち「薬剤(かぜ薬)」について使用の意思を有していたにもかかわらず、本件審判の請求の登録前3年以内にあっては不使用であったが、その不使用は薬事法に関わる事由によるものであって、被請求人の責めに帰することができないものであったと認め得るところである。

以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録(平成17年8月29日)前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品について使用されていなかったものではあるが、被請求人は、商標法第50条第2項ただし書きの規定により、その指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたものといわなければならない。

(4)したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の請求に係る指定商品「薬剤」について、その登録を取り消すべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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