sokuhyo

Trademark Appeal Case

ダックスフント図形商標の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2006−89008(T2006−89008/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4766549号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成14年12月18日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」を指定商品として、同16年4月23日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の指定商品中「かばん金具,がま口口金,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。

(1)引用商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第4602759号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成14年1月9日に登録出願、第18類「原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同年9月6日に設定登録されたものである。

(2)請求の理由

本件商標は、黒塗りで左を向いた静止状態の直ちにダックスフントと認識される図形からなり、引用商標は、黒塗りで左を向いた静止状態の、やはり直ちにダックスフントと認識される図形の下に小さな英文字で「DOG COUNTRY」と書してなる。

そこで、本件商標と引用商標の図形部分とを比較してみると、本件商標と引用商標は、共に黒塗りの静止状態の左向きの、直ちにダックスフントと認識させる図形である点で共通し、子細に比較した場合は差異点を確認できるものの、その差異は迅速を尊ぶ取引社会において、商品選択の際に認識するであろう程度の差異ということはできず、両者は外観において類似する商標というべきである。

また、上述したように、両商標は、黒塗りで左を向いた直ちにダックスフントと認識されるものであるから、両商標からは、共通の「ダックスフント」なる観念及び「ダックスフント」の称呼が生じ得ると解すべきである。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼・観念上も同ー又は類似である。

そして、本件商標にかかる指定商品中の「かばん金具,がま口口金,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」と引用商標の指定商品とは、同一又は類似である。

なお、過去の異議申立事件であって、本件同様ダックスフント同士を比照した先例が存するので、甲第5号証として提出する。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、上記指定商品についての登録を無効とすべきである。

(3)答弁に対する弁駁

被請求人は答弁書において、ダックスフントの特徴を種々挙げて、本件商標の図形は、ダックスフントとは特定できない旨主張している。

しかし、簡易迅速を尊ぶ取引社会においては、特に本件商標のような図形商標の場合、一見して受ける印象を以て商標を把握し、かつ記憶するのであって、被請求人が指摘するような子細な相違点の認識、対比を行なうことはない。ダックスフントの姿態上の特徴と言えば、胴長、短足であることは、老若男女を問わず熟知しているところであり、逆に、胴長、短足の犬といえば、他に同様の姿態の犬は知られていないので、何人もダックスフントを想起するであろうことは疑いのないところである。

しかるに、本件商標の犬は、個々の部分はさておいて、胴長、短足に表わされていることは明らかで、これを見た者はダックスフントを想起するであろうことは疑いのないところである。

また、被請求人は、本件商標と引用商標との差異を種々述べているが、被請求人の挙げている差異が両図形の全体の外観に及ぼす影響は大きいものとはいえず、全体の印象は、ほぼ同じ犬図形、即ち、ダックスフントよりなるものと看取、認識されるから、両図形は時と所を異にして接した場合、互いに紛らわしいものというべきであり、本件商標と引用商標とは、外観において類似の商標と認定されて然るべきである。

更に、本件商標及び引用商標の図形部分は、共に黒塗りで左を向いた直ちにダックスフントと認識される図形であるから、共に「黒塗りのダックスフント」の観念が生ずることが明らかで、本件商標と引用商標とは、観念上も同ー又は類似である。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

(1)請求人は、本件商標と引用商標は、共に黒塗りの静止状態の左向きの、直ちにダックスフントと認識される図形である点で共通すると述べているが、本件商標が直ちにダックスフントと認識されることはない。

ダックスフントの体型は、乙第1号証(誠文堂新光社発行「愛犬の友 犬種ライブラリー ダックスフント」)によれば、(a)頭部は鼻先に向かって細くなり、整った顔立ち、(b)耳は頭頂部から垂れ下がり、頬のあたりまでの長さ、(c)首は長く筋肉質、真っ直ぐ伸びている、(d)胴は一直線で伸びやか、地面に水平、(e)胸部はがっちりし、相当目立つ程に前に張り出している、(f)腰は、短くて硬く、腹部はゆるやかに巻き上がっている、(g)前肢及び後肢は短く筋肉で太い。

これに対して、本件商標は、大きな頭部、厚みがありがっしりとした鼻口部、前脚の付け根まで垂れ下がった耳(胸元のふくらみは垂れ下がった耳の一部である)、異様に長い胴体、くの字に折れ曲がった細く短い四肢といった特徴が見られる。

本件商標とダックスフントの体型とを比較すると、いずれの部位をみても、ダックスフントの特徴には当てはまらない。これほどまでにダックスフントの特徴と異なる本件商標は、もはやダックスフントとは特定できないことは明らかであって、バセット・ハウンドのようにも見えるが、どの犬種を表したものか特定することはできない。

よって、本件商標から直ちにダックスフントを認識するとする請求人の主張は成り立たない。

(2)そこで、本件商標と引用商標との類否について検討すると、引用商標は、上記した乙第1号証に示すダックスフントの体型と軌を一にするものである。

そうすると、本件商標と引用商標の図形部分は、共に黒塗りの静止状態の左向きの図形である点で共通しているが、両者の各部位の構成は大きく異なり、本件商標からはアンバランス感、重量感の印象をもって、図案化された短足の犬の図形として把握されるのに対し、引用商標からは精悍さ、スマート感の印象をもって、ダックスフントを忠実に表現した図形として把握されるのであって、一見して外観から受ける印象の相違は明らかである。

(3)次に、両者の観念及び称呼を比較すると、上述したように、本件商標は、ダックスフントを表した図形ではなく、ダックスフントに基づく観念及び称呼は生じないのに対し、引用商標は、図形と「DOG COUNTRY」の英文字との結合商標であるから、これに接する取引者・需要者は、商標中の「DOG COUNTRY」の英文字部分より生じる観念及び称呼を重要視して取引に当たり、引用商標からは、必然的に「ドッグカントリー」の観念及び称呼が生じるものである。

したがって、両者は、観念及び称呼においても互いに混同を生じるおそれのない商標であることは明白である。

(4)請求人は、甲第5号証(異議2002−90270)を挙げているが、本件とは商標の構成を異にするものであって、本件に通ずるところはない。むしろ、過去の審決例、異議決定例及び登録例をみれば、黒塗りの静止状態の横向きの犬を表していることを理解できるとしても、直ちに類似とはならないとされた例を多く見受けるところである(乙第2号証ないし乙第6号証)。

(5)以上述べたように、本件商標と引用商標は、外観、観念、称呼のいずれの点においても、互いに混同を生じるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。

4 当審の判断

本件商標は、別掲(1)に示したとおり、黒塗りの犬の図形よりなるものである。

他方、引用商標は、別掲(2)に示したとおり、黒塗りの犬の図形とその下に「DOG COUNTRY」の欧文字を配置した構成よりなるものである。

そこで、本件商標と引用商標の図形部分とを比較するに、両商標は、いずれも、胴長にして左向きの犬を黒塗りで描いてなる点において共通にしているところがあるとしても、本件商標の犬の図形は、胴体が体高に比してかなり長く(約3倍の長さ)、顔は鼻先が丸みを帯びており、胸部は薄く、背筋は緩く湾曲し、腹部は膨らんでおり、脚はくの字状に折れ曲がっていて細く、尾は背筋の延長線上にあって下向きに伸びているものであり、全体として、極めて細長い体型の犬であって、身を低くかがめているかの如き姿態にして、なよなよした感じを与えるものである。

他方、引用商標の犬の図形は、胴長ではあるが体高よりやゝ長い程度であって、顔は鼻先に向かって細くなり、胸部は分厚く前に張り出しており、背筋は一直線で腹部も引き締まり、脚は太く、尾は後脚の間に巻き込むように下がり先端が辛うじて見える程度であり、全体として、上半身ががっしりとした体型の犬であって、首を立て前方を正視して立ち止まっているかの如き姿態にして、精悍な印象を与えるものである。

そうとすれば、両商標の犬の図形は、その構成態様において判然とした差異を有しており、この差異から受ける視覚的印象も明らかに異なるものであるから、これを時と所を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものといわなければならない。

また、胴長の犬はダックスフントに限られるものではないが、引用商標の犬の図形は、ダックスフントの特徴を備えていることから、請求人が主張しているように「ダックスフント」の称呼・観念を生ずることを否定することはできない。しかし、本件商標は、乙第1号証(誠文堂新光社発行「愛犬の友 犬種ライブラリー ダックスフント」)に照らしてみれば、ダックスフントを表したものとはいい難く、これに接する取引者・需要者(犬に関心を持たない者も多く含まれるものと認められる)をして、直ちに特定の犬種を理解・認識させるものとはいえないから、本件商標から特定の称呼、観念を生ずることはないものとみるのが相当である。さらに、犬をモチーフにした商標は数多く採択されている実情にあることから、両商標から単に「イヌ」の称呼、「(黒塗りの)犬」の観念をもって取引に供されることもないものというべきである。

そうとすれば、本件商標と引用商標の犬の図形とは、称呼及び観念については比較すべくもないものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

なお、請求人は、甲第5号証の異議決定例を提出しているが、該異議事件で争われている商標は、本件商標とはその構成・印象を明らかに異にするものであって、事案を異にするものというべきであるから、上記認定に影響を及ぼすものとは認められない。

以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の「かばん金具,がま口口金,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。