Trademark Appeal Case
ヘルシーカテキン品質表示
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−24583(T2004−24583/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ヘルシーカテキン」の片仮名文字をゴシック体で書してなり、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、平成15年11月20日に登録出願され、その後、指定商品については、当審において、同17年3月24日付け手続補正書により第30類「茶,茶カテキン成分を含む菓子およびパン」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『健康的な、体によいこと』等の意味を有する『ヘルシー』の文字と、『フラバン骨格に複数個の水酸基を有するポリヒドロキシフラバノールの総称であり、緑茶の苦み、渋みの主成分』として知られる『カテキン』の文字を一連に『ヘルシーカテキン』と普通に用いられる方法で書してなるものであるから、全体として、『体によい緑茶の渋み成分』の意味を表したものと認められるものであり、これを指定商品中『茶,カテキン成分を含む商品』に使用したときは、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、上記1のとおり、「ヘルシーカテキン」の片仮名文字を書してなるところ、構成中の「ヘルシー」の文字は、「健康的なさま。または、体によいこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味を有する語として一般に親しまれているものである。また、他の語と結合することにより、後続の語を形容する語として、例えば、「ヘルシーメニュー」、「ヘルシーフード」のように表示されて「体によい健康的な献立、ヘルシーな献立」、「体によい健康的な食品、ヘルシーな食品」程の意味合いを認識し、理解されているものということができる。
そして、構成中の「カテキン」の語は、「カテキュー(阿仙薬)から精製する黄色の非結晶化合物。植物界に広く存在し、タンニンの成分となる。抗酸化作用、抗菌作用を持つ。」(株式会社岩波書店 「広辞苑第五版」)の意味を有する語である。
ところで、近年、ポリフェノールの一種である「カテキン」の機能性の研究が進められる中、「カテキン」は、発ガン抑制、動脈硬化予防、脂肪代謝異常の抑制、血圧上昇の抑制、血栓予防等の効果があるとされている。加えて、近時の健康志向を受け、緑茶の渋み成分として知られる「カテキン」は、飲料を中心に各種商品への応用が図られており、取り分け、食品業界においては、各食物成分の機能性の解明と実用化及び機能性食品の需要の高まりを背景に、茶葉から「カテキン」のみを抽出する技術も開発されたことにより、飲料や菓子等の原料として供給され、「カテキン」を増量、添加した商品が各社より販売されている実情にある。
このことは、例えば、以下の資料、新聞の記事からも裏づけられるところである。
(ア).「カテキン」について
(a)「お茶の渋み成分でポリフェノールの一種。お茶の中では緑茶に最も多く含まれ、紅茶やウーロン茶の場合は、発酵過程でカテキン類が約半分になる。緑茶カテキンは茶葉の種類によって異なるが、乾燥葉重量の8〜15%含まれ、それをさらに分類すると、約半量以上を占めるエピガロカテキンガレートを筆頭に、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピカテキン、ガロカテキン、カテキンなどが数えられる。これら緑茶カテキンの効能は発ガン抑制、動脈硬化予防、脂肪代謝異常の抑制、血圧上昇の抑制、血栓予防、抗糖尿病、抗アレルギー、抗ウイルス、抗菌、虫歯予防、口臭防止、腸内細菌叢正常化効果など、多くの分野で研究成果が公表されてきたが、なかでも近年はとくに抗酸化作用、活性酸素やフリーラジカルの消去作用が注目されている。・・・」(株式会社東洋医学舎 2002年3月30日発行 「健康・栄養食品事典」)の記載。
(イ).「カテキン」の各種商品への応用及び製品の原料としての「カテキン」について
(a)「血圧降下にお茶が効く/薬理作用高めた新種に人気」(1991.08.30 流通サービス新聞)の見出しのもと「□■□食品原料に応用■□■一方、お茶の中に含まれる有効成分を食品開発に生かそうとの試みも活発だ。・・・各社は二年ほど前からカテキン類を製品原料に採用し始めている。例えば、不二家は「アンパンマンチョコレート」に、カンロは「けろけろけろっぴーキャンディー」に、それぞれ加えている。このほか森永製菓、味覚糖、UCC、名糖産業などがカテキン類を使っている。原料を供給しているのは太陽化学で、カテキン類製剤は菓子以外の食品へ利用が進み始め、水産−畜産用鮮度保持剤、魚類の日持ち向上剤などへの使用も計画されている。」の記載。
(b)「三井農林、カテキンの来年度販売目標を70億円に設定」(2004.03.11 日刊工業新聞)の見出しのもと「・・・・・健康志向を追い風に、飲料メーカー各社がカテキン入り緑茶の販売を伸ばしていることから需要が引き続き拡大すると判断。飲料を中心にしながら菓子や家庭用品など幅広い分野に販売用途も広げていく。三井農林は国内企業として初めて80年に茶カテキンの研究に着手、翌81年に世界で初めて茶葉からカテキンだけを抽出することに成功、90年台初頭から「ポリフェノン」の商品名でカテキンの販売を開始した。・・・・・特に販売を引っ張るのが茶飲料で、三井農林は伊藤園を除いた国内の大手飲料メーカー全社にカテキンを供給している。・・・・・飲料以外には現在、空気清浄機のエアフィルターへの応用やあめやガムなど菓子商品の原料として販売しているが、化粧品などさらに幅広く市場を開拓することで売上げ増を図っていく。」の記載。
(ウ).カテキンを添加または増量した商品について
(a)「茶系飲料」の項「緑茶飲料にカテキンを添加したタイプの製品の種類が増えている。」(株式会社集英社 2005年1月1日発行 「imidas2005」)の記載。
(b)「全国菓子博覧会で馬場製菓の『駿府のお茶飴』が名誉総裁賞−静岡(表彰、茶、飴)」(1998.06.26 静岡新聞 朝刊)の見出しのもと「・・・・・特に菓子博のために開発した緑茶カテキンあめは有機栽培の緑茶の粉末にカテキンを加えた健康志向のあめ。自然食品でカテキンを使い、・・・・・」の記載。
(c)「カテキン3−4倍 お茶もヘルシー 花王が参入」(2003.03.20 産経新聞 大阪朝刊)の見出しのもと「・・・体脂肪の低減に効果があるとされる茶カテキンを一般の三−四倍に増やした緑茶とウーロン茶を開発。・・・健康志向の強まりを背景に、・・・ヘルスケア事業の柱に育てる方針。ヘルシアは、茶カテキンを効果的に抽出、高濃度化し、苦味成分を調整した上で茶に加えて飲みやすく仕上げた飲料。・・・」の記載。
(d)「『カテキンのど飴』、カンロ――お茶の渋み成分を配合(視点採点)」(2003.12.27 日経プラスワン)の見出しのもと「殺菌作用があり、のどに良いといわれる茶カテキンを配合したのど飴(あめ)。・・・カテキンは、お茶に含まれる渋み成分でポリフェノールの一種。抗ウイルス作用があるといわれ、風邪の予防などでお茶でうがいをする人も多い。体脂肪の低減にも効果があるとされ、これを豊富に含んだ緑茶飲料は人気がある。袋入りタイプには茶カテキンが二百ミリグラム、スティックタイプには百ミリグラムそれぞれ配合されている。・・・」の記載。
(e)「敷島製パン、健康素材のパン、雑穀や抹茶入りを拡充。」(2004.04.07 日経産業新聞)の見出しのもと「・・・十六日には健康素材として注目を集めている茶カテキンを配合した菓子パン七品を発売する。食パンの単一ブランドとしてトップシェアの「超熟」に続く商品として、健康志向のパンを育てる考えだ。・・・」の記載。
以上のことから、「カテキン」が、各種商品に応用され販売されている実情のもと、その取引者、需要者は、「カテキン」に様々な健康効果を有することを広く一般に認識し、理解しているということができる。
したがって、「ヘルシーカテキン」の文字は、「健康的なさま。または、体によいこと。」の意味を有する語として親しまれている「ヘルシー」の語と様々な健康効果を有するポリフェノールの一種を表す「カテキン」の2語からなるものであると認識、把握されるものとみるのが相当であり、また、近時の国民的な健康への関心の高まりをも踏まえると、これに接する取引者、需要者は、「ヘルシーカテキン」の構成文字全体から、「体によいカテキン、ヘルシーなカテキン」程の意味合いを把握し、認識するとみるのが相当である。
(2)ところで、出願人(請求人)は、「本願商標は、一連に表記した特定の品質等の意味を有しない一種の造語であり、当該取引界において『体によい緑茶の渋み成分』の意味合いで『ヘルシーカテキン』が一般的に使用されている例はなく、指定商品の品質を直接的、かつ具体的に表示したものは認められず、さらに、過去の商標登録例を挙げ、本願商標は登録されるべきである。」旨、主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の品質表示に該当するというためには、取引者、需要者が品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるのであって、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることは必ずしも必要としないと判示されている(平成13年(行ケ)第207号 東京高裁平成13年12月26日判決言渡参照)。
そうすると、たとえ、「ヘルシーカテキン」の文字が、指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表すものとして実際に使用されていないとしても、これに接する取引者、需要者は、全体として商品の品質等を表示するものとして認識し得るものであるとみるのが相当である。
また、特定の商標が商標法第3条第1項第3号に該当するかどうかは個別具体的に判断すべきであると解されるところ、請求人(出願人)が主張する過去の登録例、審決例に係る商標は、本願商標と構成文字、審査又は審理における判断時等を異にするものであるから、本件とは事案を異にするものである。
したがって、請求人(出願人)の上記主張は、採用することができない。
(3)以上のことからすれば、「ヘルシーカテキン」の文字を、本願の補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品が「体によい(緑茶の渋み成分である)カテキンを含んだ、または、カテキンを使用した商品」であることを表現したもの、すなわち、商品の品質を表示したものであることを把握、理解するに止まり、これをもって、商品の出所を識別する標識とは認識し得ないものといわなければならない。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、商標登録を受けることができないというべきである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。