Trademark Appeal Case
著名商標の混同類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90350(T2005−90350/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4853874号商標(以下「本件商標」という。)は、「Kent」の文字を標準文字で表してなり、平成12年8月31日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同17年2月21日に登録査定、同年4月8日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第43条の2第1項第1号の異議申立理由を有するものであるから、その登録は取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第60号証(枝番を含む。)を提出している(なお、申立人は、本件商標の取り消しを求めるについて、その取消理由となる適用条文を述べていないが、申立ての全趣旨に照らして、商標法第4条第1項第15号に該当するとする申立てであると解されるから、その趣旨に沿って、審理した。)。
株式会社ヴァンヂャケット(以下「ヴァンヂャケット社」という。)は、商標「Kent」(以下「使用商標」という。)を、本件商標の登録出願前から多年にわたり、紳士用の衣服、服飾用品、雑貨に使用してきており、使用商標は、ヴァンヂャケット社の業務に係る商標として、極めて著名である。
また、この使用商標の商標権確保のため、申立人が現在所有している登録第653109号商標は、「KENT」の欧文字を横書きしてなり、昭和38年2月12日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同39年9月16日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。なお、指定商品については、平成17年11月9日、第16類、第20類、第21類、第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、書換登録がなされているものである(当初、石津謙介名義で登録され、その後、ヴァンヂャケット社を含め、幾たびか変わり、現在の名義人は、申立人となっている。)。
そして、使用商標は、ヴァンヂャケット社等が紳士用の衣服を中心とした被服について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に取引者・需要者間に広く認識されていたものである。
ところで、一般に、被服等のファッション分野においては、被服のみでなく、靴、かばん、傘、身飾品等について同一ブランドの下に同一デザインや同一コンセプトにより統一したトータルファッションを提供し商品展開をすることが行われている。
一方、本件商標は、上記1のとおり、使用商標と同一綴字の「Kent」の文字からなるものであり、使用商標が使用されている被服等と関連性を有する「履物」を指定商品とするものである。
そうすると、本件商標をその指定商品である「履物」に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、使用商標を連想、想起し、該商品がヴァンヂャケット社等又は同社と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
申立人は、主に甲第6号証、甲第15号証ないし甲第33号証、甲第35号証ないし甲第41号証、甲第45号証及び甲第58号証を示しつつ、使用商標は、ヴァンヂャケット社等が紳士用の衣服を中心とした被服について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に取引者・需要者間に広く認識されていたものである旨主張する。
(1)使用商標の周知性
そこで、前記甲各号証をみるに、甲第6号証は、1985年に発行された雑誌「KENT BOOK」であって、その内容から1966年から1980年頃の使用商標に係る変遷であり、同じく、甲第15号証ないし甲第26号証は、1987年から1992年(甲第15号証ないし甲第25号証;なお、甲第26号証のみ1996年)に発行された雑誌「MEN'S CLUB」等で、使用商標の商品広告であり、同じく、甲第27号証ないし甲第33号証は、1987年から1989年及び1993年から1996年に発行された使用商標の商品カタログであり、同じく、甲第35号証及び甲第36号証は、1997年と1998年に発行された雑誌「MEN'S CLUB」で、使用商標の商品広告であり、同じく、甲第37号証ないし甲第41号証は、1997年から1999年に発行された使用商標の商品カタログであり、同じく、甲第42号証ないし甲第44号証は、1997年から1999年に発行された使用商標の商品カタログであり、同じく、甲第45号証は、2000年8月から2004年6月までの使用商標の商品売上票であり、同じく、甲第58号証は、社団法人日本メンズファッション協会名で発行された証明書であり、その内容は使用商標等に関するものである。
しかしながら、前記証左のうち、使用商標の商品広告は、1987年から1992年、及び1996年から1998年までに雑誌等に掲載されたものであり、また、使用商標の商品カタログは、1987年から1989年、及び1993年から1999年までに発行されたものであって、いずれも本件商標の登録出願日(平成12年(2000年)8月31日)前の掲載又は発行であるものの、商品広告については、他の広告媒体による広告の頻度、広告費用等の商品広告全体の規模、範囲が明確にされていないものであり、加えて、1992年から1996年は、発行された使用商標の商品広告を掲載した雑誌等が提出されていないことから、この期間においては、ヴァンヂャケット社等の商品カタログを除き、宣伝広告を行っていないことが推察されるところである。また、使用商標の商品売上は、2000年8月から2004年6月までのヴァンヂャケット社の売上金額であって、通常使用権者の株式会社イトーヨーカ堂を含めた使用商標に係る商品の総売上金額を把握することができないものであり、さらに、使用商標に関する証明書は、社団法人日本メンズファッション協会が、その内容である当該商標の著名性、或いは出所の混同に関して、ヴァンヂャケット社の作成した証明文言(内容)に基づく書面であって、いかなる調査方法、証左に基づいて判断、立証したものであるか確認し難いものであり、かつ、証明者に関して、その押印(協会の代表者印ではなく、個人の私印が用いられている)の体裁からすると、その書証の内容を直ちに採用し得ないことから、これら証左をもっては、使用商標が、本件商標の登録出願時から登録査定時に至るまで、継続して使用されていたことは推認し得るものの、それが著名であったことを立証したものと判断することはできない。
上記よりすると、使用商標が、たとえ、1980年後半から1990年前半にかけて、雑誌等の商品広告を介し、著名であったとしても、本件商標の登録出願時(平成12年(2000年)8月31日)以前の1992年から1996年まで、ヴァンヂャケット社等の商品カタログを除き、宣伝広告を行っていないと推察される時期を含むものであって、本件商標の登録出願時を経て登録査定時(平成17年(2005年)2月21日)に至るまでは、継続して使用されていたことを推認し得る程度のものであることから、使用商標が、1980年後半から継続使用されていたとは直接的に認められないし、その著名性も1980年後半より本件商標の登録出願時を経て登録査定時に至るまで継続していたということもできない。また、このことは、申立人の提出に係る他の甲各号証を総合しても同様であり、他に申立人の前記主張を認め得る証拠はない。
(2)本件商標と使用商標
本件商標と使用商標とは、ともに「Kent」の文字を書してなるところ、これより、ともに「ケント」(イングランド南東部の州名)の称呼及び観念が生ずるほか、その外観も同一綴字の構成からなるものであるから、両商標は、称呼、観念及び外観のいずれにおいても類似する商標といわざるを得ず、また、本件商標と使用商標の指定商品は、いずれも非類似の商品と判断されるものである。
(3)まとめ
以上よりすれば、本件商標と使用商標とは、商標において類似するものの、使用商標は、ヴァンヂャケット社、ひいては申立人の業務に係る商品について使用する商標として本件商標の登録出願時から登録査定時に至るまで、我が国において周知・著名であったとは認めることができないことから、本件商標をその指定商品に使用しても、ヴァンヂャケット社、ひいては申立人又は同人等と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものとは認めることができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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