Trademark Appeal Case
称呼類似性:促音と語尾
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90656(T2005−90656/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4897209号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成17年1月17日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、下記(a)ないし(g)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(a)登録第1322219号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、1972年1月31日アメリカ合衆国おいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、昭和47年6月30日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同53年2月3日に設定登録されたものである。
(b)登録第1986004号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和52年5月31日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年9月21日に設定登録されたものである。
(c)登録第470527号商標(以下「引用商標3」という。)は、「NIKE」の文字を書してなり、昭和29年11月9日に登録出願、第65類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同30年9月13日に設定登録され、その後、平成18年2月1日に、指定商品を第28類「おもちゃ(おもちゃ花火・折り紙・きびがら・千代紙を除く。),まり,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,ビリヤード用具,運動用具(体育用器械器具・体操用器械器具・スターターピストル・スケート靴を除く)」とする書換の登録がされたものである。
(d)登録第1995973号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和58年10月4日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年10月27日に設定登録されたものである。
(e)登録第4343147号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成8年10月8日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年12月10日に設定登録されたものである。
(f)登録第2075469号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、昭和59年10月4日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年8月29日に設定登録されたものである。
(g)登録第4343148号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成8年10月8日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年12月10日に設定登録されたものである。
(これらの登録商標をまとめていうときは、以下「引用商標」という。)
(2)理由の要点
本件商標は、申立人の商標として需要者の間に広く認識されている引用商標1ないし引用商標4と共通する欧文字をその構成の一部に含むものであり、引用商標6及び引用商標7とも外観上その構成(欧文字表記+文字下部における流線)において類似するものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合には、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
具体的理由
(a)引用商標との類似性
本件商標は、欧文字で「Nikki」「So1」及び「Tech」との三つの構成部分からなり、各々の頭文字の線を長く描き伸ばす(ロゴ化する)ことによって、全体として流線的なラインに文字が載る態様となっている。
これに対して、引用商標1ないし引用商標4は、アルファベット4文字で「NIKE」と表記するものである。
本件商標の構成部分の一つ「Nikki」と引用商標1ないしび引用商標4を対比するに、両者はともに欧文字「N」、「I(i)」及び「K(k)」の3文字を含み、外観上類似するものである。また、称呼上も本件商標を「ニッキ」、該引用商標を「ニケ」とそれぞれローマ字読みした場合、両商標における促音「ッ」の有無は、該音それ自体が独立した1音として明確に発音され、かつ、聴取されるとはいえないもので、両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものである。また前者の「キ」と後者の「ケ」の差異は、印象の弱い語尾におけるものであり、該差異音自体も50音図中の同行に属し、かつ帯有する母音「イ」と「エ」は近似することから、両者は類似するものである。
本件商標の残り2つの各構成部分(「Sol」及び「Tech」)については、指定商品との関係上特定の意味が看取されるわけではなく、また、本件商標権者のホームページを観察しても、本件商標の各構成部分は看者に対して「Nikki」との部分(ニッキ)と、「Sol」及び「Tech」との部分(ソルテック)に分断把握されやいものとして表示されていることが分かる(甲第7号証)。
そうとすれば、本件商標はこれを全体把握されるとしても、その構成要素として特に看者の注意を惹き易い語頭部の「Nikki」が、単独で看者に認識・把握されることがあるとみても差し支えないというべきである。
引用商標5は、「SWOOSH」と呼ばれる申立人の著名商標である。
「SWOOSH」マークの特徴は、上弦三日月状の図形を、その幅が端部から左下方向に向けて広がるように描き、ここからさらに該図形を右やや上方向に向けて幅を狭めて終部で収斂させるように描いてなる点にある。
本件商標の「Nikki」の下部におけるアンダーライン部分と引用商標5を対比するに、前者のラインは、本件商標の構成文字「Sol」の頭文字「S」の始部と終部を描き伸ばし、前後の各構成文字(「Nikki」と「Sol」及び「Tech」)を抱え込むように掛け流す線である。一方後者のラインは、三日月形状を採っている。よって前者の「S」字のラインはあたかも、引用商標5を左右対称に展開させたものを二つ繋げた流線的形状のごとく観察されることから、両者はともにその外観において近似するといえるものである。
引用商標6及び引用商標7は、申立人の所有する各商標「NIKE」と「SWOOSH」マーク(引用商標5)とを結合させてなるものである。本件商標の特に顕著性のある部分(「Nikki」)と引用商標6及び引用商標7は、互いに欧文字部分の下部に流線的なアンダーラインが描かれており、看者に対してリズミカルなイメージを与えつつも、その文字部分がまとまりよく一体としてなることにおいて、外観上の印象を共通にするものである。
よって、本件商標は、引用商標6及び引用商標7とも類似する商標というべきである。
本件商標の外観については、その「Nikki」の部分が筆記体で表記された引用商標1及び引用商標2と印象を同じくし、この点において特に引用商標1及び引用商標2と紛らわしいものである。
以上より、本件商標は、その構成中に引用商標1ないし引用商標4に近似する文字部分を、同じくその構成中に引用商標5に近似する流線状のラインを有することから、両商標をロゴ的に全体として観察するときには、引用商標6及び引用商7と構成の軌を一にする類似の商標というべきである。
(b)引用商標の著名性
申立人、ナイキ・インコーポレーテッド(NIKE,INC.)は、「運動靴、運動用特殊靴」、「被服、運動用特殊衣服」等について世界的に著名な商標「NIKE」(引用商標1ないし引用商標4)並びに「SWOOSH」(スウッシュ)と呼ばれる引用商標5と両商標を結合した引用商標6及び引用商標7の所有者である。引用商標5の「スウッシュ」と呼ばれるナイキのシンボルマークは、ギリシャ神話の勝利の女神NIKEの翼を表しており、申立人の創作に係るものである(甲第8号証及び甲第9号証)。申立人の商品は、我が国においては、株式会社ナイキジャパンの東京本社、大阪支店、札幌営業所、名古屋営業所、福岡営業所を通じて販売されている(甲第10号証)。
「スウッシュ」マークは、申立人の広告等に単独でも印象的に用いられている。例えば、本件商標が登録出願された2004年10月、及び同年11月に放映された、我が国のバスケットボール選手、田臥勇大選手のテレビ.コマーシャルの画面、及び米国の有名なバスケットボール選手、レブロン・ジェームズ選手のテレビ・コマーシャルの画面に表示されているごとくである。また、本件商標が登録された2005年5月のナイキジャパンのプレスリリースに表示されているごとくである(甲第11号証)。
本件商標の登録出願直前の引用商標1及び引用商標2の使用例として、「アテネ・オリンピック総集編」掲載の各国選手のウエア等に付されているもの(甲第12号証)、「ワールドサッカーダイジェスト」掲載の各国サッカー選手のウエア等に付されているもの(甲第13号証)、「2004‐2005ヨーロッパサッカー・トゥデイ」掲載の各国サッカー選手のウエア等に付されているもの(甲第14号証)を挙げる。
このように、申立人は、引用商標である「スウッシュ」マークを商品に付すのみならず、各国有名チーム、有名選手と契約することにより、多大な費用をかけて継続的かつ大々的に「スウッシュ」マークを使用した広告宣伝を行ってきたことにより、需要者は、この「スウッシュ」のマークを見ただけで、申立人の商品を直ちに想起できるに至っている。よって、引用商標である「スウッシュ」マークには多大なグッドウィルが化体しているものである。
引用商標3及び引用商標4は、特許庁ホームページの日本国周知・著名商標リストに掲載されており(甲第15号証)、引用商標が我が国において著名であることは特許庁に顕著な事実と思われる。
以上のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願前から現在に至るまで、申立人の商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である。
(3)混同のおそれ
上記(2)で述べた引用商標の著名性と、上記(1)で述べた本件商標と引用商標との類似性から、本件商標を本件指定商品である、電気通信機械器具、その他の電子応用機械器具等に使用すると、申立人の商品又は役務と出所の混同を生ずるおそれがある。本件商標は、その構成の要部となっている部分が申立人の著名商標である「スウッシュ」マークとその描法やコンセプトが酷似するもので、本件商標の指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の商品、若しくは申立人と経済的あるいは組織的関連性のある者の業務にかかる商品と誤認し、出所について混同するおそれがあるものである。
申立人の日本法人ナイキジャパンのホームページにも掲載されているように、ナイキの商品はアパレルのみならず、テクノロジー商品に至るまでの多彩なラインアップを有している(甲第16号証)。そのうちMP3プレーヤーなどのデジタルオーディオ製品は、本件指定商品であるソフトウェア及びコンピュータと関連ある商品である。
よって、申立人が現実に引用商標を使用している第9類の商品について、出所混同のおそれがあるものである。
(4)著名商標と近似した部分を含む商標
著名商標と構成に共通点のある商標は、たとえ当該商標が著名商標と多少の相違があるとしても、また相違する構成要素を含むとしても、当該著名商標を想起させるものとして、商標法第4条第1項第15号に該当すると判断すべきである。なぜなら、商標法の法目的に照らし、著名商標に化体する多大な信用を保護するには、混同のおそれの範囲を広く想定し、該著名商標の信用殿損あるいは希釈化を防止する必要があるからである。
過去の審判決例として、甲第17号証ないし甲第19号証がある。
本件についても、本件商標は、引用商標と描法を異にするとしても、構成文字及び態様の共通性により、全体として引用商標と印象を共通にし、需要者の目に見慣れた引用商標を想起させるものとして、商標法第4条第1項第15号に該当すると判断すべきである。
(4)むすび
以上述べたとおり、本件商標は、申立人の商標として需要者の間に広く認識されている引用商標1ないし引用商標4と、引用商標5と近似するラインをその一部に含むものであり、引用商標6及び引用商標7ともその構成において類似するものであるから、本件商標が指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号に該当するものとして、登録を取消されるべきである
3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類似性について
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、構成各文字は、全体として、外観上極めてまとまりよく一体の表現方法で現されており、これより生ずるものと認められる「ニッキソルテック」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって、他に構成中、前半部分の「Nikki」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
そうとすれば、本件商標は、該構成文字全体に相応して「ニッキソルテック」の称呼のみを生ずる一体不可分の一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
他方、引用商標は、前記あるいは別掲のとおりの構成からなるものであるから、それぞれの構成文字及び図形に相応して、「ナイキ」あるいは「スウッシュ」の称呼を生ずるものというのが相当である。
そうとすれば、本件商標から生ずる称呼と引用商標から生ずる称呼とは、その音構成、構成音数において明らかな差異を有するものであるから、称呼上十分区別し得るものである。また、両者は、外観においても明らかな差異があり、観念においては比較することのできないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の別異の商標といわなければならない。
(2)混同のおそれ
本件商標と引用商標とは、上記のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるばかりでなく、申立人の提出に係る証拠甲第8号証ないし甲第16号証を徴するも、本件商標とは、その印象を全く異にするものである。
そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
なお、申立人は、「著名商標と構成に共通点のある商標は、たとえ当該商標が著名商標と多少の相違があるとしても、また相違する構成要素を含むとしても、当該著名商標を想起させるものとして、商標法第4条第1項第15号に該当すると判断すべきである。」と述べ、過去の審判決例として、甲第17号証ないし甲第19号証を提出しているが、いずれも商標の構成において、前記のとおり判断される本件商標とは事案を異にするといえるものであるから、申立人のこの点に関する主張は、採用の限りでない。
(3)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲(1)本件商標
別掲(2)引用商標1及び引用商標2
別掲(3)引用商標4
別掲(4)引用商標5
別掲(5)引用商標6及び引用商標7
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