Trademark Appeal Case
著名商標と称呼の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90657(T2005−90657/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4897344号商標(以下「本件商標」という。)は、「SENJIN」の欧文字と「戦人」の漢字を二段に書してなり、平成17年4月4日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4415650号商標は、「SEAN JOHN」の文字を標準文字で表してなり、平成11年11月30日に登録出願、第3類、第9類、第14類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年9月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)申立ての理由(要旨)
ア 商標法第4条第1項第11号について
本号は、現実に使用され、市場において周知性、著名性を取得している場合には、これをも考慮に入れて類否を判断すべきである。
この点、申立人が使用する商標と引用商標とは同じ構成からなるものであるところ、現実に申立人が使用する商標「SEAN JOHN」の著名性からすれば、一般需要者をして、本件商標との間で外観及び称呼上相紛れるおそれがある。
また、引用商標の指定商品と本件商標の指定商品とは抵触することは明白である。
イ 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、アメリカ音楽界のシンボル的存在であり、俳優でもあるショーン(パフ・ダディ)コムズ氏が設立した法人(アパレルメーカー)である。 ショーン・コムズ氏は19歳でレコーディングディレクターとしてキャリアをスタートさせ、1997年にリリースしたデビューアルバムは2ヶ月近くアメリカ全土でNo.1ヒットを記録した。現在では、アメリカのエンターテインメント産業における最も成功した人の一人であって、音楽界のカリスマ的存在である。
申立人は、ショーン・コムズ氏のファーストネーム及びミドルネームからなるブランド「DEAN JOHN」を立ち上げ、現在では、ワイシャツ、ジーンズ、カジュアルスポーツウェア、アンダーウェア等衣料品についてのブランドとして世界的に有名であって、近年では、毎年1億ドルの売上げを記録している。
申立人は、当該ブランドを世界的に保護すべく、オーストラリア、カナダ、中国、香港、日本、韓国、シンガポール、台湾、アメリカ、EC等、世界各国において商標登録をしている。
申立人が有する著名ブランド「SEAN JOHN」に関して上記した事項は、甲第3号証ないし甲第38号証からも明らかである。
他方、本件商標は、その構成中に「SENJIN」の欧文字を含むものであるところ、これは、上記著名ブランドと比較すると、語頭の「SE」、中間の「NJ」及び語尾部の「N」を共通にするものであるから、仮に本件商標が、申立人の著名商標が使用されている商品分野と共通する、その指定商品に使用された場合には、申立人の著名商標との間で出所の混同を生じるおそれがあるものである。
そして、申立人の著名商標が、本件商標の登録出願日である2005年4月4日以前から我が国あるいは外国において周知著名であることは、甲第3号証ないし甲第38号証として提出する証拠書類からも明らかである。
(3)以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1のとおり「SENJIN」の欧文字と「戦人」の漢字とを二段に併記した構成よりなるところ、上段と下段の文字部分との関係からして、上段の欧文字の「SENJIN」が、下段の「戦人」の漢字の称呼を特定しているものとみて何ら不自然なものではないから、その構成文字に相応して「センジン」の称呼を生じるというのが相当である。
他方、引用商標は、「SEAN JOHN」の文字を標準文字で表してなるものであり、外観上一体に表されており、これより生ずる称呼も冗長なものでなく、一連に称呼し得るものであるから、その構成文字に相応して、「ショーンジョン」あるいは「シーンジョン」の称呼を生ずるというのが相当である。
また、本件商標と引用商標との構成は、上記のとおりであるから、外観上において相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念についてみても、本件商標は、下段の「戦人」の漢字部分より「いくさをする人」の観念を、引用商標は、構成文字に相応して「ショーンジョン」又は「シーンジョン」の人名と認識、把握されるものであるから、観念上においては明らかに区別し得るものである。
そうとすれば、本件商標から生ずる称呼と引用商標から生ずる称呼とは、その音構成、構成音数において差異を有するものであるから、称呼上十分区別し得るものである。また、両者は、外観においても明らかな差異があり、観念においては明らかに異なるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の別異の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるばかりでなく、申立人が引用商標を使用しているとして提出したインターネット情報、雑誌及び新聞掲載広告(甲第17号証ないし甲第38号証)を徴するも、主として「ショーンジョン」の表示であり、本件商標とはその印象、特に観念を全く異にする別異のものである。
そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
なお、申立人は、「SEAN JOHN」ブランドを世界的に保護すべく、オーストラリア、カナダ、中国、香港、日本、韓国、シンガポール、台湾、アメリカ、EC等、世界各国において商標登録(甲第2号証、甲第3号証ないし甲第12号証)をしており、引用商標は著名である旨述べているが、我が国を含め諸外国の登録例をもって、直ちに引用商標が著名とは認められないし、また本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、商標において別異のものであるから、この点に関する申立人の主張は、採用できない。
(3)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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