Trademark Appeal Case
図形商標の構図と著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2006−90203(T2006−90203/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4926844号商標(以下「本件商標」という。)は、次に示すとおりの構成からなり、平成17年7月14日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成18年2月3日に設定登録されたものである。
<本件商標>
2 登録異議申立理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する商標は、以下の引用A商標、引用B商標及び引用C商標である(以下、これらを併せては「引用各商標」という。)。
<引用A商標>
(平成4年4月10日に登録出願、第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、平成8年5月31日に設定登録された登録第3161039号商標)
<引用B商標>
(平成4年4月10日に登録出願、第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、平成8年5月31日に設定登録された登録第3161040号商標)
<引用C商標>
(平成6年5月9日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成8年12月25日に設定登録された登録第3242196号商標)
(2)理由の要点
本件商標の図形部分は、申立人が使用する商標として世界的に著名な引用各商標と類似するというべきであるから、その著名性に鑑みれば、本件商標が、その指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、恰も申立人若しくは同人と経済的又は組織的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかと誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 当審の判断
(1)構図の比較について
本件商標は上掲のとおり、図形と文字から構成されるものであるところ、当該図形部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると認められ、その図形は、重厚な腕鎧で装備された両腕で戦闘釜を恰も振りかざす如き構図を写実的なタッチで描いてなるものである。
一方、引用A商標及び引用B商標は上掲のとおり、角に丸みを帯びた線書き方形輪郭と盾形様の線書き輪郭とに相違はあるが、それらの輪郭内に描かれた図形は、甲冑の一部と思しき台座の上に、軽装な肘当てを着けた右腕で戦闘釜を握り締めた構図を線書による図案的に簡潔なタッチで描いてなり、また、引用C商標は上掲のとおり、横細長楕円に絞られた衣装の一部と思しき縞模様台座の上に、軽装な肘当てを着けた右腕で戦闘釜を握り締めた構図を集合細斜線と線とにより具象的なタッチで描いてなるものである。
そこで、本件商標構成中の文字部分と引用A商標及び引用B商標の輪郭を除いた図形部分、すなわち、本件商標と引用各商標の各図形のみを対比するに、前者は切断された如き左右の二本の腕を描き、かつ、これが重厚に装備されているのに対して、後者は特異な台座図形を有すること、及び軽装な肘当てを着けた腕が一本であること等の構成要素の差異があること、また、画出方法が前者は写実的なタッチで描いてなるに対し、後者は全体を図案化ないし具象的なタッチで描いている点において相違するものである。
しかして、両者は、腕鎧で装備或いは肘当てを着けた腕で戦闘釜を握っていることを主要な要素とする構図において共通しにするとしても、これより常に「武器を持つ腕」の如きの一義的な観念のみを理解させるものともいい難く、また、特定の称呼を生ずるものではない。
そうすると、引用各商標のかかる構図の着想自体が独創的なものであり、たとい、本件商標の図形がこれに因むものであるとしても、上述差異からして酷似する図形とまでいうことはできない。
(2)著名性について
申立人の提出に係る証拠によれば、引用各商標は、「HENNESSY」(Hennessy/ヘネシー)の文字とともに申立人の商品(ブランデー)に、永年使用されてきたものであることは認められる。そして、本件商標の出願時には、洋酒等の取引者・需要者の間においては、広く認識されるに至っていた商標といって差し支えない。
しかし、「HENNESSY」、「Hennessy」及び「ヘネシー」が、申立人の商品を表示する商標として、一般世人層にまで浸透して著名な商標となっていることを認め得るとしても、引用各商標の図形自体が、その使用商品の取引場裏を越えて異業種に係る商品(被服等)の需要者の間にまで浸透し、著名なものとなっていたとまでいうことはできない。
(3)商品関連性について
本件商標の指定商品は被服や履物等であるのに対して、引用各商標の使用商品は洋酒(ブランデー)であり、その性質や用途等からみて関連性の程度が高いとはいい難く、かつ、両者は流通経路が明らかに相違する異業種に係る商品であり販売場所を異にするものである。そして、前者はその多くが日常生活における一般消費物であるのに対し、後者は高級な嗜好品といえるものであり、その購買動機が異なり、自ずと需要者の共通性も低いというべきである。
(4)まとめ
以上のとおり、上述の両商標の構図の相違、引用各商標の周知・著名性の程度、両商標の使用される商品間の関連性、需要者の共通性等を併せ勘案すると、本件商標をその出願時において指定商品に使用したとしても、これに接する需要者が引用各商標を想起し連想して、申立人あるいは同人と経済的又は組織的に関係のある者の業務に係る商品であると誤信し、その出所を混同するおそれがあったということはできないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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