Trademark Appeal Case
産地・品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90033(T2005−90033/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4811800号商標(以下「本件商標」という。)は、「Canadian Ice Wine Chocolates」の文字を書してなり、平成16年3月4日に登録出願、第30類「チョコレート及びチョコレートを使用した菓子」を指定商品として、同年10月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
本件商標は、「カナダ産のアイスワイン入りのチョコレート」意を表す「Canadian Ice Wine Chocolates」の欧文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるから、これをその指定商品に使用しても商品の産地、品質、原材料を表示するにすぎず、商標法3条1項3号に該当し、「カナダ産のアイスワイン入りのチョコレート又は当該チョコレートを使用した菓子」以外の商品に使用する場合、取引者、需要者は、カナダ産のアイスワイン入りのチョコレート又は当該チョコレートを使用した菓子と誤認するから同法第4条第1項第16号に該当する。
3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対し、平成17年10月27日付けで、本件商標についての以下の内容の取消理由を通知した。その要旨は次のとおりである。
登録異議申立(01)に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)収穫時期を遅らせ凍りついた葡萄を収穫してそのまま搾って造るワインがあり、それが独語では「Eiswein」、英語では「Ice wine」と指称され、ともに「アイスワイン」と称されていること(甲第2号証ないし同第8号証)。
(2)カナダは、上記アイスワインの産地の一であり、同国においては、カナダワイン醸造品質協会(以下「VQA」という。)によりその製法等に厳しい標準が定められ、厳格に品質の管理がされていること(甲第10号証ないし同第19号証)。
(3)カナダ産アイスワインが、我が国においても取引の対象とされ流通していること(甲第9号証、同第20号証ないし同第45号)。
(4)洋酒を加味したチョコレートが取引されていることは周知である(甲第46号証ないし同第56号証)ところ、カナダ産アイスワインを原材料の一に用いたチョコレートが我が国において現に取引されていること(甲第57号証ないし同第59号証)。
(5)「Canadian」が「カナダの」の意を、また、「Chocolate」が「チョコレート」の意をそれぞれ表す語であること(甲第1号証)。
以上よりすれば、「Canadian Ice Wine Chocolates」の文字は、カナダ産のアイスワインを使用したチョコレートの意をもって容易に理解されるものというのが相当である。
そうしてみると、本件商標を指定商品に使用すれば、これに接する取引者・需要者は、これを商品の品質、原材料を表わしたものとして把握・理解するに止まり、自他商品の識別標識としては認識しないというべきである。
また、本件商標を、その指定商品中「カナダ産アイスワインを使用した商品」以外の商品について使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見の要旨
上記3の取消理由に対して、商標権者の意見は、要旨次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る甲第2号証ないし同第8号証は認められるとしても、これらから我が国のおいてアイスワインなるものが知れ渡っているとは思えず、一般人がアイスワインなるものが如何なるものか承知しているとは思えない。
(2)次に、同じく甲第10号証ないし同第19号を挙げて、カナダにあっては、アイスワインの製法等にVQAにより厳しき標準が定められた厳格な品質管理がなされているとしているが、我が国の一般人がこれらの事実を知っているとは思えない。
(3)さらに、同じく甲第57号証は、カナダで暮らすガイドによりカナダ土産としてアイスワインを使ったチョコレートが推薦されているに過ぎず、同じく同第58号証は、大花亭ストロベリーチョコとアイスワインとをセットにしたものが表示されているに過ぎず、同じく同第59号証は、報道関係者に対するリリースに過ぎないものである。
(4)以上、アイスワインが如何なるものか、またアイスワインを原材料として用いたチョコレートが我が国において流通しているとは断定されないところから、我が国において本件商標に接する者が「カナダ産のアイスワインを使用したチョコレート」を意識し、これが「商品の品質」を表示するものと捉えるおそれはないものと思料する。
5 当審の判断
(1)本件商標は、上記1のとおり、「Canadian Ice Wine Chocolates」の欧文字を普通に用いられる方法で書してなるものあるところ、上記3の取消理由の通知のとおり、登録異議申立(01)係る証拠を徴するに下記の事実が認められる。
(ア)収穫時期を遅らせ凍りついた葡萄を収穫してそのまま搾って造るワインがあり、それが独語では「Eiswein」、英語では「Ice wine」と指称され、ともに「アイスワイン」と称されていること(甲第2号証ないし同第8号証)。
(イ)カナダは、上記アイスワインの産地の一であり、同国においては、VQAによりその製法等に厳しい標準が定められ、厳格に品質の管理がされていること(甲第10号証ないし同第19号証)。
(ウ)カナダ産アイスワインが、我が国においても取引の対象とされ流通していること(甲第9号証、甲第20号証ないし同第45号)。
(エ)洋酒を加味したチョコレートが取引されていることは周知である(甲第46号証ないし同第56号証)ところ、カナダ産アイスワインを原材料の一に用いたチョコレートが我が国において現に取引されていること(甲第57号証ないし同第59号証)。
(オ)「Canadian」が「カナダの」の意を、また、「Chocolate」が「チョコレート」の意をそれぞれ表す語であること(甲第1号証)。
(2)以上よりすれば、「Canadian Ice Wine Chocolates」の文字は、カナダ産のアイスワインを使用したチョコレートの意をもって容易に理解されるものというのが相当である。
そうしてみると、本件商標を指定商品に使用すれば、これに接する取引者・需要者は、これを商品の品質、原材料を表わしたものとして把握・理解するに止まり、自他商品の識別標識としては認識しないというべきである。
また、本件商標を、その指定商品中「カナダ産アイスワインを使用した商品」以外の商品について使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
(3)これに対して、商標権者は、申立人の提出に係る甲第2号証ないし同第8号証は認められるとしても、これらから我が国においてアイスワインなるものが知れ渡っているとは思えず、一般人がアイスワインなるものが如何なるものか承知しているとは思えない旨主張している。
しかしながら、甲第2号証ないし同第8号証に照らせば、本件商標が指定商品との関係で使用されるときには、「カナダ産のアイスワインを使用したチョコレート」の意味で理解されるとみるのが妥当であり、また、これらの証拠は、査定時である平成16年9月8日以前の発行又は発表に係るものが殆どであり、需要者、取引者に広く知られていたものと十分推認できるものである。
次に、商標権者は、同じく甲第10号証ないし同第19号を挙げて、カナダにあっては、アイスワインの製法等にVQAにより厳しき標準が定められた厳格な品質管理がなされているとしているが、我が国の一般人がこれらの事実を知っているとは思えないと主張している。
しかし、甲第10号証ないし同第19号証は、カナダにおいてアイスワインが生産され、その品質が厳格に管理されていることが窺われるインターネット上の公開情報等であるから、我が国の需要者、取引者は、その内容を知り得る状況にあったといえるものである。
さらに、商標権者は、同じく甲第57号証は、カナダで暮らすガイドによりカナダ土産としてアイスワインを使ったチョコレートが推薦されているに過ぎず、同じく同第58号証は、大花亭ストロベリーチョコとアイスワインとをセットにしたものが表示されているに過ぎず、同じく同第59号証は、報道関係者に対するリリースに過ぎないものであると主張している。
しかしながら、これらの甲各号証によって、カナダ産アイスワインを原材料の一に用いたチョコレートが我が国において現に取引されていることが十分窺えるものである。
(4)してみれば、本件商標は、これをその指定商品中「カナダ産アイスワインを使用したチョコレート及び同チョコレートを使用した菓子」に使用するときには、指定商品の品質を表示してあると理解されるにとどまり、それをもって自他商品の識別標識を表示したとは認識されないというのが相当であり、また、「カナダ産アイスワインを使用したチョコレート及び同チョコレートを使用した菓子」以外の商品に使用するときには、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法3条1項3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ず、商標法43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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