Trademark Appeal Case
称呼類似と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90136(T2005−90136/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4824172号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、2003年5月2日、域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標登録出願に基づき、パリ条約第4条の規定による優先権を主張して第1類「木工製品・建築用品・家具及び車両の製造に使用する表張材,工業用途に使用される樹脂含浸の表張材,車両・建築用コンクリート製品・床材・家具装飾品・家具・印刷回路板の穿孔保護材・裁断板の製造に使用される高圧ラミネート材及びフイルムを含む表張材,その他の工業用化学品」を指定商品として、平成15年9月19日に登録出願された2003年商標登録願第81462号の分割出願であって、第17類「プラスチック基礎製品」を指定商品として、同16年12月10日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1670384号商標(以下「引用商標」という。)は、「ULTEM」の文字を横書してなり、昭和55年4月23日に登録出願、第34類「プラスチツクス、その他本類に属する商品」を指定商品として、同59年3月22日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成17年8月31日、第1類「原料プラスチック,パルプ」、第17類「プラスチック基礎製品,ゴム,岩石繊維製防音材(建築用のものを除く)」及び第22類「おがくず,カポック,かんなくず,木毛,もみがら,ろうくず,牛毛,人毛,たぬきの毛,豚毛(ブラシ用のものを除く。),馬毛,羽」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、上記引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第7号及び同第19号に該当すると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし同第12号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、称呼において類似する商標であり、かつ、指定商品も抵触しているから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、わが国においても、申立人の提供に係る「スーパーエンジニアリングプラスチック」の商標として、当業界において周知・著名なものである。このような状況において、引用商標とほぼ同一の称呼を生ずる本件商標が、引用商標の使用に係る指定商品「プラスチック基礎製品」に使用されると、申立人ないしその関連会社の提供によるものと、商品の出所について誤認・混同を生じさせるおそれのあることが明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標は、国際的に著名な申立人及び引用商標の信用を不当に利用しようとするものであり、国際信義に反するものであるから、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する。
4 本件商標に対する取消理由の要点
当審において、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成17年12月27日付けで商標登録の取消の理由を通知した。その要旨は、次のとおりである。
本件商標と引用商標との類否についてみると、本件商標は、別掲のとおり、「ultim」の文字を上段に、「by dynea」の文字を下段に表した構成よりなるところ、下段の文字に比べて上段の「ultim」の文字は、肉厚な太字で大きく、顕著に表されているものである。そうとすれば、かかる構成態様の本件商標に接する取引者、需要者は、当該「ultim」の文字部分より生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというのが簡易迅速を旨とする取引の実際に照らし相当である。
したがって、本件商標は、「ultim」の文字部分に相応して「ウルティム」の称呼をも生ずるというべきである。
他方、引用商標は、その構成文字「ULTEM」に相応して「ウルテム」の称呼を生ずるものである。
そこで、「ウルティム」と「ウルテム」の両称呼を対比すると、同じ音数からなり、語頭音「ウ」第2音「ル」末尾音「ム」を共通にし、第3音の「ティ」と「テ」に差異を有するのみである。
しかして、この差異音とて、無声破裂音「t」と母音「i」あるいは「e」が結合した近似の音であることから、かかる差異が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとは言い難いものであり、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調・語感が近似し、彼此相紛らわしいものといわなければならない。
そして、両商標は、外観及び観念の明瞭な差異により区別して認識し得る等の格別な事情も見あたらない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼において類似する商標といわざるを得ず、また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品に包含されているものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
5 商標権者の意見の要点
上記4の取消理由に対する商標権者の意見は、要旨次のとおりである。
(1)本件商標は、「Ultim/by dynea」の文字よりなるところ、「Ul」の文字は薄い色彩で、「tim」の文字と、その下段の「by dynea」の文字は濃い色彩をもって表されており、「ウィルテム」と一連不可分に称呼されるものではない。
本件商標を称呼する場合、「Ultim」の部分を称呼するときにおいても「Ul」と「tim」の称呼の間において、色彩の濃淡から必然的に息の段落が生じるものであり、本件商標は二音節からなるものである。
極端にいえば、本件商標は、前述した如き色彩構成から、「ウル」「ティム バイ ディネア」の二音節から成るものであり、「ウルテム」と最初から最後まで一連に発音される引用商標とは、音調、音感が全く異なるものである。
(2)本件商標の「Ultim」の部分のみを一連に称呼した場合にも、本件商標より生ずる称呼は「ウルチ(ティ)ム」であり、引用商標の「ウルテム」とは相紛れる虞れはないものである。
すなわち、本件商標の第3音たる「チ」の音は沈んだ音であるのに、引用商標の第3音「テ」は明るく響くものである。
そして、全体が4音からなる両称呼において、その中心たる第3音の差異は極めて大きく、両者に彼此混同が生じる虞はないものである。
(3)以上述べたように、権利者は本件商標と引用商標は非類似のものと思慮する
6 当審の判断
上記4の取消理由通知で示したとおり、本件商標は、その構成中の「ultim」の文字が、肉厚な太字で大きく、顕著に表されている構成態様より、当該「ultim」の文字部分に相応して「ウルティム」の称呼をも生ずるというべきであり、他方、引用商標は、その構成文字「ULTEM」に相応して「ウルテム」の称呼を生ずるものである。
そして、「ウルティム」と「ウルテム」の両称呼は、ともに4音構成からなり、4音中「ウ」、「ル」及び「ム」の3音を共通にし、第3音の「ティ」と「テ」に差異を有するものの、この差異音とて、無声破裂音「t」と母音「i」あるいは「e」が結合した近似の音であることから、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調・語感が近似し、彼此相紛らわしいものといわなければならないから、本件商標と引用商標とは、その称呼において類似する商標といわざるを得ない。
したがって、本件についてした先の取消理由は、妥当なものというべきである。
ところで、商標権者は、意見書において、本件商標は、色彩の濃淡がある構成で表されており、色彩の濃淡から必然的に息の段落が生じるものであるから、極端にいえば、本件商標は、「ウル」「ティム バイ ディネア」の二音節からなるものであり、「ウルテム」と最初から最後まで一連に発音される引用商標とは、音調、音感が全く異なるものである旨主張している。
しかしながら、本件商標は、色彩の濃淡の構成で表されているとしても、朱色と赤色の明確に識別し難い同系色の彩色の濃淡にすぎないものであるから、そのことが直ちに、視覚的に本件商標の構成を分離し、称呼するにあたっての特段の事由にあたるということもできない。そして、本件商標は、下段の文字に比べて上段の文字が、肉厚な太字で大きく顕著に表されている構成態様から、その構成中の「ultim」の文字部分に相応して「ウルティム」の称呼をも生ずるものであることは、先の取消理由においても説示したとおりである。
また、商標権者は、本件商標の「Ultim」の文字部分からは「ウルチ(ティ)ム」の、引用商標からは「ウルテム」の各称呼が生じるものであり、全体が4音からなる両称呼において、その中心たる第3音の差異は極めて大きく、両者に彼此混同が生じる虞はないものである旨をも主張しているが、本件商標の「ultim」の文字部分は、特定の意味を有しない造語と認められることから、一般に親しまれている英語風に称呼したときは、該文字部分より「ウルチム」の称呼をも生ずることを否定しないけれども、同じく、「ウルティム」の称呼をも生じ、本件商標と引用商標がその称呼において類似すること前記のとおりである。
してみれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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